biohazard cordname”NT” 作:ナッツガン
何が大切なのか、何を守りたかったのか…
俺がどうしてこの道を選んだのか…
これは…俺がみんなと歩む…物語…
エレベーターを降りると、俺達は一本道を真直ぐ進むように歩いて行く。
左右にはドアさえ無い事が分かる。
エイダは俺達の前を淡々と歩いて行くと、後ろでは三人が話している。
俺は1人みんなから離れて歩いている。
大きな曲り道に差し掛かると、エイダは真直ぐ道を進もうとしていた。
その時、俺達の上にある天井が崩れ始めた。
俺はレベッカと一緒に曲がり角を右に曲がる。
俺達が立っていた場所には既に瓦礫で埋もれている。
「みんな大丈夫か!?」
「こっちは大丈夫よ」
エイダの声が聞こえてくると、もう一組の声も聞こえてくる。
「こっちも!」
クレアの声も聞こえてくると、俺は少し安心していた。
「この先で合流しましょう」
「了解だ」
「分かりました」
そう言う言葉を掛けあうと、俺達はそれぞれの道を進み始めた。
俺はレベッカと共に道を真直ぐ進んで行く。
無言でただただ進んで行くと、奥の方からゾンビの群れが現れた。
「こんな時に…」
俺達はハンドガンを構えると、真直ぐ道を進み始めた。
ゾンビの頭を吹き飛ばし、ナイフで首を切る。
ただただこの作業を続けると、ゾンビをあらかた倒し終えた。
ゾンビで埋め尽くされた道を進んで行くと、レベッカが不意に話始めた。
「聞いてもいいですか?」
「どうぞ」
俺はレベッカの方を見ないでそう言いかえすと、レベッカは俺の心を見透かすように話始めた。
「何が怖いんですか?」
その言葉は俺自身を揺さぶるには十分な言葉だった。
「…別に」
それしか返せない俺自身がとっても歯がゆい。
「あなたと行動していて思ったんです。あなたは何かを恐れているんじゃないかって…。私個人の感想みたいなものですけど。なんか、あなたは死に逃げているように感じるんです。でも!あなたの死なんて結末は誰も望んでないと思うんです!」
「俺を恨んでいるに人がいたとしてもか?」
「人なんですから当たり前です!恨まれるのも!親しまれるのも!そうやって人は成長していくんですから!でも、あなたはどこかでそれを全て恐れているんです!」
他人を恐れて生きていく。
「他の人との関わりを避けて生きているように感じるんです。人から来るすべての思いを自分には関係が無いと思い込んで!愛情も友情も全て気のせいだって思ってるんじゃないですか!?」
その通りだ…俺は怖かったんだ。
ジョージがゾンビになっていた時、彼らが殺した俺を恨んでいるんじゃないかって。
そう思うと、たまらなく怖かったんだ。
だから俺は、1人で戦って1人で死ぬ事を望んだ。
誰も迷惑を掛けない死に方を望んだ。
でも、みんなが俺に優しくしてくれる。
そんな状況にどこか満足をしてしまっていたんだ。
俺にはそんな事をしてもらう資格なんてないのに…
だから逃げたんだ…全部気のせいだって思い込んで…
レオンやクリスたちの友情を無視して…
ジルやエイダから来る愛情を無視して…
そうやって逃げてきた…
「でも、それって無責任ですよ!他人が優しくしてもらってるのに!それを全て気のせいだって思い込むなんて!それに、あなたに恋した女性はどうなるんですか?あなたを好きだと思っている女性はどうなるんですか?一方的に助けて、それでも気のせいだって思い込むなんて…。それじゃあ辛いだけです…」
レベッカの表情は辛そうな、悲しそうな顔をしていた。
俺の為にここまで思ってくれていたなんて、俺自身が逃げ続けてきた真実…
それをレベッカが俺に告げてくれた。
彼らを隠れ蓑にして、そうやって彼らに責任を押し付けて俺は逃げてきた。
無責任な行動をしていたと思う。
「ありがとう」
俺はレベッカにお礼を言っていた。
気が付くと俺達は曲がり角に立っていて、右に曲がればおそらくクレア達に合流できるだろう。
しかし、俺はここで左に行かなくてはいけない。
この先にバロクが待っているだろう。
「君はクレアと合流しろ。俺はこの先に行かなくては行かない」
「でも…」
レベッカは俺を心配してくれている、それが今は本当にうれしかった。
「大丈夫だ。それに1人じゃない…。それが分かった」
俺はレベッカに背を向けると、走り始めた。
大きな通りを走って行くと、道の途中でエイダが待っていた。
「エイダ…お前は…」
「行きましょうか」
俺達は黙って道を進んで行く、俺達の道は今でも交わっているだろうか?
「エイダ…俺は…」
「言わなくてもいいわ。あなたが何を言いたいのかは分かるから」
エイダの表情は読めないが、少なくとも悲しんではいない。
「そもそも、私達の恋はかなわない事は分かっていたから。私達の道を自ら選んで進んだのだから」
「すまない。俺は多分…」
「だからね。私は時々こうして一緒に居るだけでいいのよ」
俺達の道はかつて俺達自身が決めて道で、こうなる事を覚悟で進んだのだから。
俺がバイオテロと戦う道を選んだように、エイダがスパイとしても道を選んだように。
俺達が恋して、愛し合う事は無いだろう。
それを俺達は受け入れなくてはいけない。
「私が案内できるのはここまでよ」
そう言うとエイダは別の道に進んで行こうとしていた。
その時、エイダは俺に向かって何かを投げた。
俺はそれを受け取ると、それはUSBメモリーだった。
「それは、ジル・バレンタインの居場所を書いた記録よ。あげるわ」
そう言うとエイダは闇の中に消えて行った。
俺はUSBメモリーをポーチの中に入れると、道を真直ぐ進んで行く。
俺が俺である為に…
通路を真直ぐ進むと、広い空間に出た。
二階と三階には通路があり、一階には何もないただ広い空間があるだけだ。
俺が少し前に進むと、三階から声が聞こえてきた。
「久しぶりだね。ベルトウェイ」
「久しぶりだな。バロク」
三階から声が聞こえてくると、三階にはあのバロクが立っている。
恐らくバロクの前には防弾ガラスが用意されているはずだ。
「お前はあの頃から何も変わらないな。何を企んでるのか分からないが、これ以上お前を野放しにしておくわけにはいかない」
「君は変わったようだね。彼女と共に歩いていた君とは違うようだ。君に何があったのかはあえて聞かない事にしよう」
部屋に入る音が聞こえてくると、右の部屋から入って来たのはレベッカとクレアとビリーと呼ばれていた男だ。
彼女たちは二階にいて俺達のやり取りを見届けている。
そうしていると二階の左側のドアから入ってくる人がいた。
それはクリスとレオンとパーカーで、彼らも俺達のやり取りを見届けている。
「あの頃の君なら全て1人でケリを付けようとしていたはずだ。しかし、その結果誰かを巻き込んで、君は傷を作ってしまう。誰かを失う事を恐れて、誰かを遠ざけた」
「俺はすべてを失ってしまった。アンブレラによって、家族を友達を大切な物すら。だからまた失ってしまう事を恐れてしまった。みんなから来る友情も全て無かった事にして生きてきた。でも、彼女が気づかせてくれた…。それは無責任な行為だって事を、これからはみんなと共にバイオテロをこの世界から無くして見せる。ここにいる全員と!」
俺の周りには二階から降りてきた彼らが居た。
今度こそ迷わない!今度こそ彼らを見失わない!
一緒なら生きていける!
目を瞑ればここにいないすべての人を思い出せる。
ジル、エイダ、レベッカ、クレア、クリス、レオン、パーカー、オブライエン、キース、クエント…そしてあの時死んだジョージ、今はどこに居るのかすら分からない俺の家族…それ以上の人達が思い出せる…これまで会ってきた全ての人達の為にも…。
何としてバイオテロをこの世界から無くして見せる!
それまで待っててくれるよな?
これからの道を真直ぐ進むことが出来る、みんなと一緒に進むことが出来る。
ゆっくり目を開けると、俺はみんなとバロクを見ていた。
「バロク・シン!バイオテロの重要参考人として拘束させてもらうぞ!」
俺はバロクの元に行こうとした時、俺達の目の前の床が開き始めた。
「ここで捕まるわけにはいかないのでね」
床から出てきたのは、謎の化物だった。
今まで見たことも無い、体からはあらゆる触手が生えていて、体の色は灰色だった。
「まだ未完成なんだがこの際だ、君たちに相手をしてもらおう」
そう言うとバロクは後ろの通路の中に消えて行った。
俺達はそれぞれ散開していった、触手が周囲の壁を壊そうとしてくる。
「今まで見たことが無い化物だぞ!」
「“Gウイルス”の変異体と類似点があるが…」
「どの道攻撃しなければ倒せないぞ!」
ハンドガンやアサルトライフルで相手をしているが、相手は中々死なない。
どうすればいい…どうすれば…
俺は腕を見ていると、腕からかすかに俺の血が流れていた。
俺の血には“NTウイルス”が流れている。
「そうだ!全員俺を援護してくれ!」
「何をするつもりだ!」
「あいつを倒す手段を考え付いた!」
俺はナイフで俺の腕を軽く切ると、腕から流れる血をナイフに付けた。
ナイフを構えると、俺は化物に向かって走って行く。
全員の攻撃が化物の攻撃を防いでいる。
俺は化物の触手に取りつくと、そのまま頭に向かって走って行く。
その時、二階のドアからゾンビが俺に向かって飛んできた。
「この状況じゃ!ベルに当たる!」
俺の体にかぶさろうとした時、ゾンビは闇の中からの攻撃によって吹き飛んだ。
それがエイダだとはっきり分かる。
俺は頭にたどり着くと、乾いていない血のついたナイフを化物の頭に突き刺した。
化物は苦しそうにしていると、体中に黒い斑点が浮かび…死んでいった。
「やったか?」
「どうやらな」
俺は化物の体の上から指示を出すことにした。
「クリス!」
俺はクリスに例のUSBメモリーを投げた。
「これは?」
「それは、ジルの居場所を書いてあるUSBメモリーだ!それを持ってクレア達と共にここを脱出しろ!」
「了解!」
「パーカーの部隊はバロクを追え!」
「了解!」
「俺は上に居る部隊の指揮をする!」
工場から出ると、町中には既に戦う音が聞こえてくる。
クリスはメモリーの中を確認すると、この場から離れて行った。
パーカーもバロクを追いかけて行った。
いつもの俺なら自分一人で行動しただろう。
しかし、俺はみんなと共に歩く道を選んだ。
だからこそ、俺は代表として今は戦おう。
近くに居る兵が俺に向かって走ってくる。
「代表!指示を!」
「北米支部から応援を寄越させろ!各部隊は今の場所のBOWを迎撃!状況が厳しくなった部隊から俺に報告!」
「了解!」
少しぐらいみんなを頼ってみるか…