biohazard cordname”NT”   作:ナッツガン

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約束を守って見せる
絶対に…


BSAA

 エレベーターのドアが開くと、俺達はエレベーターから出てきた。

 俺はエルに静止の合図を送ると、奥の曲がり角の先を確認した。

 ゾンビがいない事を確認すると、エルに来るように指示を出す。

 俺は曲がり角を右に曲がると、そのまま真直ぐ進んで行く。

 周囲はとても暗く、足元が良く見えない。

「先に電力を復旧させるのがさきだ」

「了解です」

 俺達はマップでブレーカーのある場所を確認すると、そこまでの最短ルートを歩いて行く。

 今の所はゾンビは現れない、その為俺達は邪魔が入らない。

 電力を復旧するためには、この奥にある制御室を通って行かなくてはならない。

 しかし、この制御室に入ったチームから連絡が途絶えている。

「気をつけろ。この先に突入したチームが全滅したと報告を受けている」

「はい」

 制御室のドアをゆっくり開けて行くと、俺達は周囲を確認しながら奥に進んで行く。

 制御室の中には、あらゆる機材が多く点在しており、室内は少し明るかった。

 窓から月明かりが差し込んでいるからだろう。

 制御室の中を歩いて行くと、先に突入していた部隊の死体を多く発見した。

「だめだな」

「そんな…」

 突入部隊は全滅しており、手当の必要すらない。

 問題なのは彼らの傷であり、彼らの傷はとても深く一撃で殺したと考えるには十分だった。

 ある者は体を真っ二つにされており、その威力を考えさせられる。

 こんな攻撃を仕掛けられるのは明らかにBOWだ。

「まだこの周辺に居ると思うが…」

 周辺を見ているが、今の所は誰もいない。

 エルは完全におびえていると、奥の部屋から物音が聞こえてくる。

 俺はゆっくりドアに向かって進んで行くと、更に奥から大きな音が聞こえてきた。

 俺はドアノブに手を掛けると、ゆっくり回した。

 ドアをゆっくり開けて行くと、俺は部屋の中に入って行く。

 すると隣から何かが振り下ろされる感じがした。

 俺はエルを担ぐとそのまま一気に距離を取って行った。

「なんですか!?」

 そこに居たのはギロチンの刃を付けた大きな処刑用の斧を抱えた大男だった。

 体は大きく肥満しているが、それ以上に腕の筋肉がすごい事は武器を見れば分かる。

 さすがの俺もあれをまともに食らったらひとたまりもない。

 攻撃力は高そうだが、動きは完全に鈍い。

 斧を引きずりながら移動している為、俺達の方が断然早い。

「少し距離を取るぞ!あれはさすがにやばい」

「は、はい」

 エルは完全にビビっているようで、俺が手を取って行かなければ中々歩けない。

 部屋の中はどうやら研究の実験室の様で、奥には実験用の別室も用意されている。

 俺達が居るのは所員が実験内容を確認したりする為の部屋だ。

 俺はテーブルの上に在った薬品を適当に投げると、その一つが割れた途端煙を上げだした。

「中身は酸だったか…」

 大男は少しの間苦しそうにしていたが、すぐに俺達に向かって走り始めた。

 大男は走りながら斧を横に薙ぎ払った。

 俺達はそれをしゃがんで回避すると、またしても距離を取った。

 ハンドガンで頭を攻撃してみるが、効いているという感じがしない。

「弱点を探したほうが良さそうだな」

 室内を走りながら移動している。

 ブレーカーを先に上げた方が良さそうだが、そのブレーカーを破壊されたら意味が無い。

「エル!しっかりしろ」

「で、でも…」

 なんでHQは新人をこっちに寄越したんだ?

 こんな重要な任務にはエージェントの中でもある程度任務に慣れた人間を送るものだ。

 なのに今回HQは俺に新人を送ってきた。

 俺が直接選べばよかったのだが、アメリカでの一件の後直接来たためそんな人選をする時間が無かった。

 エルは先程から戦いをする人間にすらおびえている。

「エル!しっかりしろ!今は戦うしかないんだ!」

「分かってはいるんです…」

 分かっては居るのだ…それでも怖いものは怖い。

 それでも戦わなくてはいけないのだ。

 エルには戦う事に恐怖を抱いているのだ。

「エル…。俺達の仕事はこの世界からバイオテロをなくすことだ。お前もその為にBSAAに入ったんだろ?だったらこれから戦わなくてはいけない事が多くある。今戦わなくては、これからも戦えなくなる。それにお前はBSAAのこれからを担うんだ、お前の戦いはこれからだ。もし怖いんだったら…俺が助けてやる。お前がどんな状況でもお前を必ず助けてやる。だから今は戦うんだ。絶対に助けてやるから」

 走りながら俺はエルに向かってそう叫んだ。

 エルは俺の方をじっと見ると、黙って頷いて見せた。

 ある程度距離を取ると、俺達は戦う準備を整えた。

 奴は斧を振り回しながら進んでいて、奴の近くに入り込めない。

「俺が奴を引き付ける!エルはその隙に回り込め!」

「は、はい!」

 エルは俺から距離を取ると、一気に走って行く。

 俺は奴の斧に触れないようにすると、奴はあろうことか斧をエルに向かって投げた。

「エル!」

 エルに向かって真っすぐ斧は向かっていくと、俺はエルを思いっきり吹き飛ばした。

 俺の頭をかすめるように斧は通過すると、奴は俺に向かって拳を下した。

 俺は両手でそれを受け止めると、奴はもう一方の拳を俺に向けた。

 拳が振り下ろされる瞬間、部屋の中に銃声が響いた。

 奴は大きな巨体がそのまま俺に向かって倒れてきた。

「エルか?」

 エルのハンドガンから煙が出ている。

 エルはその場に座り込むと大きく息を吐いた。

「よくやった」

「代表が助けてくれたから…」

「約束したからな…。どんな時でも助けてやるって」

「ありがとうございます」

 どうやら奴の背中に膿を大きくしたようなできものがあり、それが弱点になっているようだ。

 エルがそこを撃たなければ、骨の一本は持っていかれていたかもしれない。

 まあ、瞬時に回復できるからいいんだが…それでも痛いからなるべくそういうダメージは受けたくない。

 エルに手を差し出すと、エルはそれを受け取り立ち上がった。

「できるじゃないか…」

「代表が居たからです…。私一人では…とても」

「そんなことないさ…。少しぐらい自分を褒めてやれ」

「はい」

 俺達は改めてこの先の電力供給室に向かって行った。

 室内は先程の戦闘のせいで、めちゃくちゃになってしまっていた。

 俺達はマップを頼りに先に進んで行くと、ようやく電力供給室に到着した。

 多くあるブレーカーの中からエレベーターの電力を供給することにした。

「?ブレーカーが起動しない?」

「どうやらキーが必要なようです」

「面倒だな」

 心からの言葉が不意に出てくる。

 キーは全部で三本で、その内の一本は先程エルが室内で見つけていた。

 残りは二本なのだが、どうやら室内には無いらしい。

 まあ、簡単にいくとも思っていなかったけどな。

 それ以上に探すのが面倒だと感じる俺がいた。

 俺は携帯のマップを開くとこの階で鍵があると思われる場所を検索した。

「くっ!遠い!面倒!」

「代表って意外と面倒な性格していますよね」

 この階のオフィスに一つと、その奥にある実験道具を収めている収納庫に一つだった。

 それがとても遠くに感じてしまった。

 俺は大きくため息を吐いた。

「仕方ない…。それぞれの部屋に出向くか」

「そんなに面倒なんですか?」

「ああ、俺以外がじゃじゃ馬のように探せばいいのに」

「さらっとひどい事を言いましたよね?」

「なんの事だね?」

 俺は知らんぷりをしながらその場を移動していった。

 電力供給室を出て行くと、まず先にオフィスに向かう事にした。

 オフィスはここからそんなに遠い場所にあるわけではない。

 歩いて数秒でたどり着くことが出来る。

 オフィスの中に入ると、そこでは死んだここの所員が転がっている。

 ウイルス反応が見当たらないところを見るとここにはゾンビはいないことが分かる。

「鍵を探すか」

 室内を手分けして探していると、俺は机の引き出しを探っていた。

 引き出しの中には、実験の報告書が多くしまっている。

 それも全てにトライセル社の幹部であるエクセラの名前が書かれていた。

 どうやらここで実験していたことは完全にエクセラが主導していた事は確実なようだ。

 前々から分かっていたが、それ以上にこの書類に書かれているもう一つの名前に俺の目は釘付けになっていた。

「アルバート・ウェスカー…」

 そこに書かれていた名前はクリス達にとっては因縁めいた名前だった。

 ウェスカーはどうやらアフリカの地に来ているようで、今エクセラと共に行動をしているよだ、

 しかし、肝心の鍵が見つからない。

「見つからない…。面倒」

 俺が若干飽きていた所でエルがどうやら鍵を見つけたようで、俺達はさっさとこのオフィスを出て行くことにした。

 収納庫は電力制御室とは反対側にある部屋で、俺達はそこに向かって歩いて行った。

 ゾンビが徘徊していないのは例の化物が全て薙ぎ払ったからだと信じている。

 これ以上戦闘事態を避けたいという思いも少しぐらいはある。

 というより、面倒。

 それを言って見たら、なぜかみんなから「代表って変わりましたね」と遠い目をされてしまった。

 そんな事を考えていると、ようやく俺達は収納庫の前にたどり着いた。

 収納庫へ入ると、中は色々な実験道具や機材で埋め尽くされていた。

 収納庫の中はかなり汚く、掃除をしていないっというのが丸わかりだ。

「収納庫というより、倉庫と名乗ったほうが似つかわしい場所だな」

 ほこりが宙を舞っている為、咳き込みながら俺達は先に進んで行く。

 今回も手分けしていくことで話はまとまった。

 段ボールの中を見て行くと、中にはこれといった物は見つからない。

 その段ボールの内、一つの中からアルバート・ウェスカーに関する記述が書かれていた。

『アルバート・ウェスカー…体内に投与したウイルスのお蔭で超人的な身体能力を手に入れた男。しかし、いや…やはりというべきだろう。完全にはコントロールできていないようだ。コントロールをする為には『PG67 A/W』を投与しなければならない。しかし、彼の体質は私の実験に大いに役立ってくれた。バーキン博士にあのウイルスを渡していたかいがあったと言うものだ。彼の身体データを探る事で私の研究はもはや完成の域に達したと言っても過言ではない。このウイルスが完全体になった暁にはあの男は不要の存在になるだろう。しかし、私がプラーガを持って来た時にあの男は手の平を返したように私を迎えてくれた。おかげでここまで実験をはかどらせることが出来たのだから。しかし、所詮は未完成品だ、ウェスカーではあの男には勝てなかったのだから』

 そこまで読むと俺は書類から目を外していた。

 これを書いた男が誰かは容易に想像できる。

 これを書いたのはバロクだ…間違いない。

 これを読む限りではウェスカーが投与したウイルスは…“NTウイルス”だったのだろう。

 ウイルスを投与する事で超人的は力が手に入る。

 俺はかつて一度だけウェスカーと戦った事が在る。

 俺は終始ウェスカーを圧倒していた。

 バロクはウェスカーすら利用して見せたのだ。

 そしてあの男の計画の内容がうっすらとではあるが見えてきた。

 その紙の最後に書かれていた計画名を俺は小さくつぶやいて見せる。

「project name:cord name“NT”」




 その後、俺達はエルが見つけた鍵を持って収納室から出ようとした。
 俺が書類をポーチの中に入れた瞬間、突如俺の後ろに在った壁が崩れた。
 俺は隣に大きくジャンプすると、そこに現れたのは先程の化物だった。
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