基本的にエミヤ1人称で進める予定です。
なので他キャラの動きに不鮮明な部分が多々見られると思いますが、一応そこも考えながら書いてるつもりなので、その辺含めてよろしくお願いします。
雲が空を覆い、少し強めの風が赤の外套を揺らめかす。
普段の装いは民間人と変わりないが、今日これから会う相手は支配体制を相手に戦っている者だ。
昨日のようにはいかないかもしれない。それでも私は当初の目的を果たすだけだが。
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扉を開けると部屋の中央付近に仮面の男が立ち、斜め後ろでは緑髪の少女が座った椅子に片膝を立て、体育座りの様な格好をしてそこに顎を置いた状態でこちらを向いた。
「ようやく来たか」
緑髪の少女c.c.は顔を上げ、ややからかいを含んだ声音で言う。
確かにこちらの方が来るのは遅かったようだが、
「待たせてすまない。だがこれでも待ち合わせの5分程前のはずだが?」
「時間など関係ない。お前が私達より遅れてきた。これが全てだろう?」
・・・本当に良い性格をしているな。
まあ、いいだろう。何時の世も何処の世界でも、こういった理不尽はつきものだ。
「c.c.」
抑揚の無い声が諌める様に教会に響いた。
若干の機械音から察するに、変声機を使っているのだろう。
「わかっている。」
遮られてもc.c.に特段不快げな様子は見られない。
察するに、これがいつものやり取りなのだろう。その苦労、痛み入る。
「お前がアーチャーだな?」
「そうだ」
「c.c.から聞いている。ある事情に深く踏み入っていると」
”ある事情”という言い回しでは、この仮面の男がギアスに関わっているのかを掴む事は出来ない。
c.c.がどのように言ったかわからない以上こちらも迂闊な事は言えない。
仮面の男は何も話さずに、こちらから情報を引き出そうという訳か。
なるほど、頭は回るようだ。
「ああ、その事もあるが私としては君達”黒の騎士団”に興味があってな」
「ほう?それは光栄だ。どういった興味が?」
仮面で表情はわからないが、話に乗ってくれるようだ。
なら、ここで確かめさせてもらおう。
「聞けば君達は”正義の味方”だそうじゃないか?」
「ああ、そうだ。私達は正義の味方だ」
「なら問おう。お前の正義とは何だ?何の為に戦う。その先に何を見ている?」
一瞬間が空く。後ろのc.c.は真剣な眼差しで会話を聞いている。
「私達黒の騎士団は、日本解放の為に戦っている。だがやがては日本だけでなく世界中の弱者を助け、強者を倒す。」
「・・・それだけか?」
「何?」
「確かに日本、いや世界の弱者の為に戦う事は立派だろう。だが私としてはそれよりも君個人の理由が聞きたい。
黒の騎士団の活動方針、目標はそうであっても、団員一人一人にも守りたい者や場所があるだろう。
私はそれを確かめに来たのだ。お前の正義とは一体どこにある?」
「ッ・・・」
決して大きくない声ではあったが、この静かな空間に妙に響いたように感じる。
私などが到底言えた義理ではないが、見知らぬ誰かの為になんてものは偽物だ。
人を構成する要素が自分以外の人な以上は、必ず自分を認識している人が必要となる。
逆に自分を見ていない見知らぬ誰かとは、自分にとっての世界の外側の人間だ。
そんな他世界を救おうなんて奴にろくな奴はいないだろうし、早々いる訳でもない。
だから確かめたいのだ。お前は誰の為に戦い、誰の為に何を成そうとしているのか。
「・・・ルルーシュ」
僅かな静寂が途切れ、とても優しげな声が聞こえた。
「c.c.お前ッ!!」
「言っただろう。この男は平行世界なる場所から世界を救うために来た大馬鹿者だと」
「そんなもの信じられるか!」
「信じられる」
「なぜだ!」
「私にはわかるんだよ。それにお前にもわかるだろう、そいつの目を見ろ」
・・・酷い言い草だ。言いたい放題にも程があるぞ。
おまけに、何が”取りあえず黙っておく”だ。この調子では包み隠さず全て話したな?
「・・・」
仮面をしていても、オレの目を見ていることが分かる程に正面から視線を感じる。
・・・暫らくこのままだが埒が明かないな。仕方ない、私の正体を実演も混ぜつつもう一度説明しようか。
先の質問は有耶無耶になってしまうが、この状況では仕方あるまい。
内心ため息を吐きつつ、説明を開始しようと口を開き
「・・・妹の為だ」
私が言うより早く、仮面の男は話しだす。
並々ならぬ決意を秘めた口調で。
「妹の為に、優しい世界を作らなければならない。人が他人に優しく在れる世界を!」
しらず頬が緩んでしまい、優しい気持ちが溢れてくる
そうか、この男は私とは根本的に違っていたのだ。
見ればさっきまで斜め後ろにいたc.c.も、今は優しげな表情で微かに上向き、彼にその背を任せている。
「その為に俺は・・・」
「いや、もう十分伝わったよ。」
ならばオレも。
「利害は一致している。その優しい世界を作るのに私も協力させて貰えないだろうか?」
「・・・」
「なぁ、いいだろう?ルルーシュ。そいつはきっとお前の目標の役に立つ」
「ええい、うるさいぞ魔女め!そもそもお前が・・・」
「わかった、わかった。悪かったよ。うるさい坊やだ」
「c.c.!!」
きっと彼は最後まで間違えないだろう。
まあ、仮に間違えそうになってもこれまで傍に居て、きっとこれからも居るだろう彼女が正してくれるのだろう。
なんなら私もその時は全力を尽くそう。
「それで、どうなんだ?答えは。」
「・・・今すぐに決める訳にもいかない。まだお前の能力も把握していないしな」
「それもそうだ。では私の力の一端をお見せしよう。ああ、それとこの場で見せるにも限界がある。何せ、私は英霊。末席とはいえその一端を担う者だからな」
「英霊?」
「そこも追々話していこう。そうだな、先ずは・・・」
この世界に来てもう7年程にもなる。
最初はこれまで同様、霊長の守護者として人類の滅亡を避ける。
その繰り返しの1つに過ぎないと考えていたが、今日まで再び座へ戻る事は無かった。
なるほど、確かにこの世界も人間同士で争い、悲しみに満ちている。
だが、生前は遂に見つけられなかった同じ目標に進む事の出来そうな同志を見つけられた。
オレの理想は借り物だ。オレはただ愚直にそれを目指す事しか出来ない偽物だ。
それでも、その理想が綺麗だと、美しいと感じたことは。その想いだけは間違っていない。
仮に最後まで目の前の男に理解されなかったとしても、進むべき場所が同じなら共に歩んで行けるだろう。
以前は成しえなかったが彼らとなら、きっと。
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見渡す限り青い水平線の彼方に突如、巨大な白が天へと立ち上る。
刹那の間を置いて耳に届くのは、若干くぐもった重低音。
やがてその白が崩れ去り、暫く波は荒れ狂うも時間が経ち、辺りは少しの余韻を残し再びいつもの変わらぬ水平線へと戻っていく。
先ほどの爆発は何の理由もなく起こったものではない。
“
私の戦闘方法は主に剣を用いた白兵戦だが、曲がりなりにもアーチャーと呼ばれている身だ。
ならば、この程度の事が出来なければ他のアーチャークラスの英霊にも申し訳が立たないだろう。
今回、私の力を見せるに当たって実際に戦う訳にはいかないので、最初に軽く魔術の説明をした後に、先ずは私の持つ最大火力を見せて欲しいとの事だったので、海に1発放つことになった。
当然、ただ放っただけではいくら空間を捻じ切るほどの貫通力があろうと、あのような規模の爆発は起こらない。
ならなぜあの爆発は起こったのか。答えは簡単だ。矢として放った剣の魔力を暴発させたのだ。
「と、こんなものか。取りあえずはアレが最大火力だと考えてくれていい。射程は数km程度なら正確に着弾させられるだろう。見ての通りそこそこの範囲に被害が及ぶ。あまり考えもせず使うのは止めた方がいいだろうな」
「そんな事、見ればわかる!!」
こちらを向き叫ぶのは、黒髪にアメジストの瞳をした少年、ルルーシュ。
先ほどc.c.が本名をバラした上に、一応人目につかないような場所から矢を放っていたが、もし他人に見つかったとしてもゼロが居るより、”見た目だけなら”少年少女3人の方が何かと誤魔化しも効くという事でこうして仮面を外している。
それにしても、素顔を見たときは驚いた。
中身が少年であることも、容姿端麗であることも、日本人ではないことも些細な事でしかない。
きっとこの少年は知らないだろうが、私が召還された時に近くにいた少年に間違いない。
こんな偶然があるだろうか。これは必然、いや運命かもしれないな。
確かあの場にはもう一人同じ年頃の少年が居たように思うが、彼もまた、会うことがあるかもしれんな。
私に関して一通りの説明を終え、現在はこれからの事を話している。
「戦力としては申し分無いが、正面から使う訳にはいかないな」
ルルーシュが思案顔で話す。話しながらも思考を巡らせているのだろう。
そうなのだ。この世界では、あのような力は実際使うよりも持っている事に意義があるだろう。
それに幾ら矢を観測するのが困難とは言え、ギアスと同様に堂々と他人に晒せる類のものでは無いしな。
「先ほどの爆発の件もブリタニアに伝わるだろう。ここは黒の騎士団の実験、もしくは演習辺りで処理しよう」
やはり頭のキレは良い様だ。
これで迂闊にブリタニアも黒の騎士団に手を出す事は出来ないだろう。
「私の使い所としては、戦闘面では遠距離のサポート。または”少し”威力のある嚆矢の役割などが良いと思うが?」
「少しではすまないだろう・・・。状況によるが基本的にはその線で考えよう」
自分で言うのも何だが、私が協力するとなると取れる選択肢が大幅に広がるだろう。
私の基本的な運用方法は決まったが、今後の黒の騎士団がどう動けば良いかは中々判断が難しいだろう。
こういう時はゴール地点から逆算するのも手の一つだな。
「それで今後の方針についてだが。最終目標としては優しい世界を作ることだが、具体的にどの様に実現するつもりだ?」
ただ武力を持って戦争を止めたとしても人は、世界は変わらない。
同じ方向を向いていなければ一旦は立ち止まっても、また別の方向へ歩いてしまう。
人が他人に優しい世界。現状でそんな世界にするには、言い方は悪いがある程度向きを強制する策が必要になるのだが。
「例えばの方法として1度世界を統一してしまうのはどうだ。今ある国を細胞として世界という1つの組織を作り上げる。多少強引にでも、細胞が機能出来る土台作りに従事したいと思う」
彼は思考を組み立てながら、綿密に計算を行いその計画を話していく。
「1番の懸念事項の軍事に対しては世界の軍事を1箇所にまとめ、それを監視する組織を作り権力分立の形態をとろう。下手に軍を解体しては独自で作る動きが強まるだろうからな。軍責任者、監視組織には民主主義を採用し全ての事柄に全人々の意見が反映される体制を作る。土台造りを終えたら、後は経過を見守りながら身を引いていこうと思う」
何だ。私などが心配する余地はあまり無かったかもしれんな。
後は実践の問題だが、この調子だと作戦立案は彼に任せても大丈夫だろう。
「ふふ、中々大きく出たなルルーシュ。世界統一か。これはブリタニアを倒すだけではすまなくなってきたな」
「確かに生半可なことでは無いだろう。だが目標は高く持つものだろう?c.c.」
「ふむ。世界を変えるのだ。この位の事をしないと簡単には変わらんさ。過程の方も君に任せて大丈夫そうだな。ただこれからは、犠牲となるものは最小限に抑える形で頼むよ」
「ああ、そうだな。こちらの取れる行動は大幅に広がった。これだけのカードがあれば幾らでも・・・」
「相変わらず自信家な坊やだ」
楽しげな小さな呟き。
「だからと言って今すぐに黒の騎士団の方針を大きく変えるつもりは無い。まずは・・・」
これは支配体制に抗う愚者と、万人を救いたいという愚者の物語。
されど大切なものを守る為に、自ら進んで愚者になれる彼らを、一体何処の誰に非難できようか。
何時の世も、世界を変えるような人間にただの凡人が居なかったように、今ここから彼らの革命が始まる。
「血は争えないと思っていたが、もしかすると男の子は皆こうなのかも知れないな」
ぽつりと、まるで子を見守る親の様な声は染み込むように辺りへ消えていった。
ありがとうございました!