では、よろしくお願いします!
※少々分かりずらい所があったので、加筆しました。
住居の手配を終え、戻ろうとしていた私達の前にその光景は現れた。
それを見て思う。
どれ程人類を救おうが結局は切が無かったように、ただ回避するだけでは意味が無いのだ。
『人を変える』
争いこそが人の本質だというが、今の私はそうだとは思わない。
いや、一部ではあるだろうが、それだけが全てではないことを知っている。
まあ、とは言えだ。今見ている”アレ”を見過ごしたりはやはり出来ないがな。
その辺りは死んでも直らなかったものだし、今更だがな。
無言でソコへ進もうとする私の肩へ待ったの手が置かれる。
「下手に加勢して勝つと、あいつはあそこで商売が出来なくなるぞ?」
視線を少し後ろへ逸らすと、冷めた目つきをしたルルーシュが数人の集団で囲まれ暴行を受けている日本人を見つめていた。
私が勝つ前提なのは高く買って貰っていると理解出来たが、私の真髄は”負けない”事にあると教えなければな。
自然と口角が上がるのを自覚する。
「ふむ。私が勝たずに彼らを撃退すれば良い訳だ」
依然、眼前で繰り広げられるソレを見据えながら話す私に、今度は静止の声は上がらなかった。
近づくにつれて大きくなる野次馬の喧騒に紛れ、私と同じ方へ向かおうとしている制服姿の赤毛の少女が目に入る。
あの目。止めに入ろうとしているのか?ふむ、彼女の足止めは彼に任せようか。
後ろの彼を見やり、その後すぐ近くに居る彼女を流し見る。
それだけで意図を察してくれたのか、それとも最初からそのつもりだったのだろうか。
足早に彼女へ近づき、先ほどの私とのやり取りを再現するように、その肩へ手が伸びる。
さて。
「すまない、君たち。その彼に用がある。少しいいか?」
その大きくホットドッグがプリントされたつなぎを着る彼に用があると、周りの彼らになげかける。
「おい、何だお前。何か用でもあんのかよ?」
暴行を止め、私の方へ一斉に顔を向ける不良たち。
その歪んだ顔に、
これは色々と前途多難だな。
「君達に用はない。ホットドッグが欲しいのだが」
彼らを挑発し、そして話は終わったとばかりに後半を店主の男へと向ける。
店主は驚いているが、これで彼らのターゲットは私へと変わるだろう。
「おい、あんま調子乗んなよ?ガキ」
「用は無いと言ったはずだが?それとも君たちが作ってくれるのかな?」
出来るだけ笑顔でその屋台を指差す。
その瞬間、周囲の空気が明らかに凍った。
私としては満面の笑顔のはずだが、彼らの表情を見るに相当の怒りを買ってしまったのだろう。
ふむ。もしかすると笑顔を作るとき”勝手に”口角が上がってしまったのが原因だろうか。
その空気からいち早く抜け出した不良の一人が顔を真っ赤に染め、途端に叫ぶ。
「調子乗んなよ!!」
その少ない語彙力を遺憾なく発揮すると同時、私の顔目掛けて拳を突き出す。
さあ、ここから私が勝たずに彼らを撃退させる。どうすれば良いか?
答えは簡単だ。これを勝負にしなければ良い。
要するに、稽古と同じだ。
こちらからは手を出さず、受け流す事に終始する。
そして、集団で
数人係で拳を、足を振るうが、一向に目の前の少年へ届く気配が無い。
こちらの息は段々と上がっていくにも関わらず、余裕の表情を崩すことも無く、乱雑に放たれる暴力の全てを往なしていく。
さらにこの場には見物人が最初から多くいた。
そんな中、このような醜態を晒し続けた彼らはどうするか。
「もう行くぞ」「クソが」「死ね」
口々に同じようなセリフをはいて逃げ出すのは、全国共通何処の世界だろうと同じだろう。
おまけに、自分達の醜態を彼らが自分から口にする事は無いだろうから、この件はここにいた人達の持ちネタの1つ程度にしか広まらないだろう。
舞台は終わり、観客達の時間が動き始める。同時に私も店主の方へ向かう。
「大丈夫か?」
「ええ、ありがとうございます。あなたの方は?」
自分に責があると考えているのだろう。その尋ねる声は沈んでいる。
「私の方は問題ない。それより、念の為にも病院へ行ったほうが良いのではないかね?」
「いえ、大丈夫です。お店もありますし」
「そうか。では、せめて痛みが引くまで私が店番を引き受けようか?」
「そんな!そこまでして頂く訳には・・・」
「・・・そうか。では私はこの辺で失礼しよう」
「あの!助けて頂きありがとうございました!あの、お名前は?それと何かお礼を!」
「名を名乗る程の事はしていない。それとお礼も構わない。では、気をつけて」
呆然とする店主へ背を向ける。
そう、名乗る名などないし、受け取るべき礼すらも無い。
私は既に、”欲しいもの”は貰っていたのだから。
私が目指すは他人に優しい世界。
さっきの様に、不当に虐げられる弱者がいない世界。
今日、私はその為の一歩を踏み出すのだ。
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「最初に私から合図を送る。そしたらアレを指定した通りに放って欲しい。その後、所定の位置まで移動しそこで待機。私達は正面入り口から中に入り、降伏するよう勧告する。従うならよし、従わないならこちらから制圧を開始する。その際の援護は私の指示通りに頼む」
「了解した」
「では」
通信が切れる。これが私の初仕事というわけだ。
既に太陽は地平へ隠れ遠くの雲へ微かに朱を宿すのみとなり、辺りには夜の帳が下り始めていた。
それが脅しだとしても、直接人に向ける事はなくて良かったと言えるか。
それにしても、まさか最初から使っていくとは、大胆だなゼロは。
まあ、これで屈してくれればその後も楽に行くのだが。
無機質な通信音が手元の機械から流れる。さて。
手に黒塗りの洋弓と捩れた剣を投影する。
津波が起きないように加減し、されども自分達をいつでも吹き飛ばせると理解させる威力は確保する。
「フッ!」
見事に威力を抑えられた一撃で、海が抉れ地響きとなって爆発音が殺到する。
見張りをしていた者たちは、皆一様にこの異常事態を理解できないままに中の者へ連絡を行っている。
こういったときに、夜目が利くのは非情に都合が良い。
今ので今作戦が終わるかは、ゼロの演説次第か。
このまま何も無く終われば良いのだが。
天井を吹き飛ばし、中の様子を伺えられれば、この場からでも的確に援護に入れるものの、その過程で瓦礫に埋もれる可能性のある人を見過ごす事は出来なかった。
ゆえに今作戦はゼロの指示を待つ必要がある。
ここで待機しているのは、さっきの一撃で降伏しなかった場合、より近くに放つためだ。
遠くの大爆発より、近くの小爆発といった所か。
ゼロが目となり、より的確に戦意を削ごうという訳だ。
しかし、分かってはいたが、作戦がどうなっているのか分からない状況で待機というのは中々性分に合わないな。
まあ、状態は作ってある。後は命令1つでどこへでも正確に着弾させて見せよう。
「a5,c5,f3,g7」
短い通信が入ると同時に弓を放つ。
別段高い神秘を纏って居るわけではないが、小型爆弾程度の威力を持つその矢群は指定された場所へ寸分違わずに吸い込まれ、遠くで小規模な爆発音が起こる。
今度こそ、これで終われば良いのだが。
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「敵ナイトメア1機と交戦。至急援護を」
「了解」
大体は降伏していたようだが、密売組織とグルの警察にナイトメアがあったらしく応戦中。
こちらもナイトメアは1機。倉庫内にはリフレイン使用者もおり、戦況は不利。
室内で動き回るナイトメアだけに外から攻撃する事は不可能。直接来いということか。
地を蹴り飛ばし、目標への距離を踏み潰していく。
建物のシャッターが見えてきた来た時には、既に戦闘音が鳴り響いていた。
その音を聞いたとたん、他の雑音が一切無くなり、自分とその音だけが存在している様な感覚に陥る。
考えなくても勝手に動く体に任せ、音の方へと更に急ぐ。
中に入ると、大きな衝突音が響く。移動音が無くなり、その後銃撃音が当たりに鳴り響く。
最初からもっと近くに居れば。もっと速く駆け抜けられたら。
そのような考えが頭を支配するが、体は止まることなく着実に近づいていく。
漸くたどり着いてそれを目にし、すぐさま思考が切り替わる。
2機のナイトメア。だが、片方のナイトメアは崩れ落ちており、片方はそれを破壊しようと腕を振り被る。
そして、崩れ落ちたナイトメアは女性を守る様にその場から動かない。
頭で状況を処理した瞬間、考えるより早く体は動き、次いで最適解を弾き出すため思考が加速する。
女性と、庇うナイトメアに被害がいかないよう、腕を振り下ろそうとするナイトメアに向け、弓を放つ。
瞬間、殆ど同時に頭、両腕、両足を射抜かれた巨体は、突然糸が切られた操り人形のように抵抗無くその場に崩れ落ちる。
完全停止したことを確認する間も無く、私は倒れた女性の安否を確認するためにその場へ向かう。
「怪我はないか?」
安否の確認をするが、まともな返答は帰ってこない。
おおよそ、彼女もリフレイン摂取者なのだろう。
内心複雑な心境に陥るも、今は事後処理の方が先決だ。
彼女を近くのコンテナに持たれかけさせてから、敵ナイトメアのコクピット部分を開け、中の者を拘束する。
そうしている間に、庇っていた方のナイトメアから見覚えのある少女が降りてくる。
赤い髪にバンダナを巻いた彼女は、「何が何だか分からない」とでも言いたげな顔をしている。
しかし、まさか彼女が黒の騎士団としてナイトメアに搭乗していたとは。
確かブリタニアの学校に通っていたようだが。
・・・どうやら複雑な事情がありそうだな。
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コンテナ付近に座る彼女はずっと、ここには無い何かに語りかける様に呟いている。
これがリフレイン。幸せだった頃に戻れるという薬か。
過去の自分を消す事で、これまでにして来た事への贖罪をしようとしていた私に摂取者を責める事は出来ないが、間違っても肯定する事は出来そうに無い。
誰しも過去を振り返り、思いを馳せる事は出来たとしても、それでも生きているのは今なのだから。
「あれ?あの時の・・・」
「誰だお前は!」
少女の呟きは、より大きな声にかき消された。
今回はキャラ同士の絡みが少なかったので、次回は多分その辺メインになるんじゃないかなと。
全く関係ないことではありますが、FGO10連でウラドおじとイベ礼装揃ってホクホクです。
ありがとうございました!