NEXUS of the Heroes ~英雄達との絆~   作:0.1tトラック

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第3話 変身

「ふっ・・・存外、甘く見られた物だな」

 

一気に黒い女性との距離を詰めようとしたが、突然目の前に黒い霧が広がる。

 

 

「っ!?」

 

咄嗟の判断で急停止をし、頭を下げた。

 

霧の中から一本の槍が突き出された。あのまま頭を上げていたら深く突き刺さっていただろう。

 

 

「ほう・・・避けるか・・・ならば」

 

 

足元の方に違和感を感じて、すぐにその場から下がると何本もの槍が突然突き出てくる。

 

 

ーーー色々おかしすぎるんだがっ!??

 

 

目の前で起きてる漫画の様な攻撃に驚きながらも、身体を勘に頼って動かす。

 

 

続々と槍が、霧が俺を確実に殺そうと攻撃してくるが、それを紙一重で避けることが出来た。

 

「ふむ・・・面白いな」

 

 

霧が一つに集中すると、人が形成されていく。

 

先ほどの髪が長いランサーと呼ばれた男性だった。

 

 

「・・・おいおい、マジで頭おかしいんじゃないのかサーヴァントって」

 

 

未だに魔術とか英霊とか良く分からないのに、目の前で起こり続けている現実を、俺は無理矢理納得するしかない。

でないと、その隙に心臓を貫かされそうだった。

 

 

「余の槍を避けるとは中々骨のある奴だ・・・」

 

「ちょっと・・・いつまで遊んでいらっしゃるの、串刺し公」

 

「何・・・少し遊んでいただけだ・・・これからは、血を啜るとしよう」

 

 

全身に悪寒が走る。あの串刺し公とかいう人から、殺意が膨れ上がったのが分かった。

 

今ので遊びでこれから本気ってことは聞きたくない言葉であった。

 

 

「なら、私は聖処女の血を浴びるとしますので・・・失礼」

 

仮面を付けた女性が消えたかと思うほどのスピードで白い女性達に近づく。

 

 

「はぁっ!!!」

 

 

「・・・っ!」

 

 

目にも止まらぬ速さで斬撃が仮面の女性に襲い掛かるが、杖で防御をした。

 

 

「すまぬが、あの御綺麗な少女を守るというマスターからの命でな・・・付き合ってもらうぞ、ご婦人」

 

 

「ふん・・・男って・・・目障りよ、じっとしてなさい。殺してあげるから」

 

 

仮面の女性と侍が攻防戦を繰り広げる。

 

 

一方、俺の方はというと・・・。

 

 

「あっはははは!!燃えなさい、獄炎に身を焼かれて!」

 

 

黒い女性がワイバーンと自らの力で俺の周りを炎で取り囲むようにしていた。

 

その炎の円の中には俺と串刺しさんがいる・・・。つまり、決闘場みたいな感じだ。

 

ーーーくそ熱い・・・。早く後ろの人達を守らなければ・・・っ!?

 

 

串刺しさんが突然動き、槍を振るってきた。

 

耳元を風が切るような音がしてくる。皮膚が切られ、少し痛い。

 

「ぬぅん!」

 

 

「ごはっ!!??」

 

 

相手の蹴りがお腹にメリメリとめり込むような感じがした。

そのまま俺は逆らいきれず吹き飛ばされた。

 

ーーー痛い・・・。どっか折れたか?

 

身体中が痛すぎて、どこが骨折したのか分からずにいた。

 

「・・・ごっほ・・・」

 

口の中が鉄のような味しかしなかった。咳き込むと血が滴り落ちた。

 

 

「ふむ・・・もう少し愉しめるかと思ったが、まあ良い、仕上げだ」

 

 

目の前にいる串刺し野郎が嘲笑って、未だにうつ伏せでいる俺にトドメを刺そうとしてるのが分かった。

 

 

ーーー結局、夢でしかなかったのか・・・。

 

殺される。

 

そう分かった瞬間、諦めようとした。この状況、この敵、どんなに頑張っても覆しきれない。

 

相手は霧になったり、地面から槍を出したり等、出鱈目すぎる。

 

勝てるはずが無い・・・。

 

もうすぐ死ぬのだと・・・。

 

分かっているのに。

 

 

ーーーなんで、立とうとしてるのかな、俺は・・・。

 

 

全身が悲鳴を上げる。知った事じゃない。無理矢理動かす。

 

 

ーーーああ、そういえば、あの人達も、頑張って立ち上がってたなぁ・・・。

 

 

昔、そして今でも見る番組で、敵に絶望を叩きつけられても、何度も立ち上がってくる。

 

死が待っているのに、それを物ともせず立ち向かう。

 

それを見ていた俺は、子供の頃からずっと憧れていた。目指していた。成ろうとしていた。

 

 

いじめをしている、してくる奴らに立ち向かって、何度も立ち上がって。

 

 

絶対に諦めない。

 

 

それが習慣付いてしまったのか、こんな時でも立ち上がろうとする。

 

昔の英雄達に憧れて。

 

「我が神はここにありて!」(リュミノジテ・エテルネッル)

 

近くで誰かの声がした途端、身体の痛みが引いた。

 

何かの衝撃音が鳴り、顔を上げる。

 

そこには、距離を取った串刺し野郎と、目の前にはあの、白い女性が居た。

 

「大丈夫ですか?立てますか?」

 

「あ、ああ・・・なんとか・・・」

 

女性に驚きながらも返事をしながら立ち上がる。傷や痛みが無くなっていて内心驚いていた。

 

「逃げてください、今なら私が食い止めます」

 

「はっ!?君は・・・まさか!?」

 

 

あのワケ分からん生命体に立ち向かうのか。一人で。

 

その目は、しっかりとした決意を感じた。必ずやり遂げる・・・死んででも。

 

 

そんな風に見えた。自分を犠牲にしてまで、俺を逃がす・・・。

 

 

「はい・・・だから、貴方は早く・・・」

 

 

「逃げん・・・」

 

「えっ・・・?」

 

女性が驚いたように目を見開く。

 

ーーーまあ、言い出した自分も驚いているがな。

 

かっこつけたかったのかもしれない。

誰かに守られるのがイヤだと思ったかもしれない。

 

だが何よりも。

 

 

「女の子を、守らない男は男じゃないって思ってるからな!」

 

 

だから守る。守ってみせる。

 

あの人のように。

 

全力で、死にそうになっても、守ってみせた、あの人みたいに。

 

 

「な、何で・・・!?」

 

「俺は・・・誰かが死んで、誰かが泣いたり、哀しい顔をするのが大嫌いだ」

 

身体が熱い。

 

 

「俺は、守りたいものを守る・・・。だから、アイツとは、俺が戦う」

 

胸が熱い。

 

何かがこみ上げてくる感じがする。

 

 

「貴方は・・・一体・・・」

 

「俺は・・・ん?」

 

腰に違和感を感じて、視線を落とす。

 

 

そこに・・・俺の腰に巻かれていたのは、あの何度も好く見たベルトだった。

 

 

ーーーいや、待って、え、これって・・・

 

 

石の様な鈍い色。見た事もある普通でない文字。

 

赤、青、緑、紫。そして真ん中に何かが嵌め込まれていた。

 

 

いつの間に付けたのだろうか。そう何回も考えたが、付けた行為はしていなかった・・・。

 

 

ーーー待って。これアレやったら・・・マジで出来る?

 

色々とこの世界は常識が壊れていると思っていたが、いつの間にかコレが付けていたとしたら、もうあの可能性が有るとしか考え切れなかった。

 

「雑談に興じている場合か・・・?」

 

興奮しすぎたせいか、串刺しさんの存在を忘れていた。

 

「ならば、大人しく・・・血を捧げよ!」

 

串刺しが此方に突撃してきた。

女性が俺の前に出て守ろうとするが、それを手で制する。

 

なぜと言わんばかりの表情だが、ここはイチかバチか、試したくなった。

 

 

ーーーあの人と同じように、変身したい。

 

 

 

「なあ・・・見ていてくれるか・・・俺の・・・変身を」

 

 

「変・・・身・・・?」

 

 

あの人と同じようにポーズを取る。

 

時間がゆっくりと進む感覚。

 

 

『ああ・・・。君が進一君かぁ』

 

 

とても優しい声がする。

 

 

『君はすごく真っ直ぐで、諦めない根性が良いね!だから、きっと、その力は使えるよ』

 

 

とても聞き覚えのある声だ。

 

 

『だから、頑張れ!応援してるからね!』

 

 

 

ーーーはい、頑張ります。五代さん!

 

 

 

「変身!!!!」

 

 

身体に何かが起きてくる。だがもう目の前で串刺しをしようとする敵に向かって殴った。

 

 

「おりゃぁ!!」

 

右手が赤になる。

 

 

「うおりゃぁ!」

 

左手が赤になり、身体も赤に染まっていく。

 

 

「グフッ・・・!貴様・・・!?」

 

「うおぉりゃああ!!!!」

 

 

渾身の右ストレートを食らわせると、串刺しの身体が吹っ飛び、倒壊した家の壁にめり込んだ。

 

 

両手を見る。身体を見る。顔を触ってみる。

 

 

自分の姿が、まさに、あの姿に変わっていた。

 

 

「あ、貴方・・・一体・・・」

 

 

震えるような声で掛けてくる女性。

 

俺は、あの仕草・・・サムズアップをしながら、語りかける。

 

 

 

「俺は真木進一。今は・・・クウガ。仮面ライダークウガ!」

 

 

 

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