転生者は駆け抜ける   作:ポピュラー

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とりあえず、クロスは先に取っておく為に削除しました。もっと上手になってから書き直して投稿しようと思います。
身勝手な理由で申し訳ありませんでした。


七話っぽい何か

 あぁもう、良い天気だぜ。最高だ。

 

 ジャングルっていうか森っていうか、とにもかくにも自然が溢れてる場所っていうのは最高だ。空気は美味いし景色は良いし。なんて言うのか……そうだ、ロハスだ。これはロハスなんだろう。包み込むような暖かい日差しと新緑溢れる風景が絶妙なコラボを作り上げていやがる。そう、こういう場所ってのはどんな時だろうと心を入れ替えれば極上の楽園にも見えるはずだ。

 つまり何が言いたいのかっていうと

 

「ッザけんじゃねぇぞゴラァァァ!!」

「上等だボケッ! オラァ!!」

 

 机やら椅子やらが飛び交う熱き殴り合いの風景も、心を入れ替えれば仲良しのスキンシップに見えなくもなくね? っていう事だ。

 

「ちょっと、氷堂君。変な事言ってないで止めてよぉー!」

 

 失敬な、のぞみん。俺は至って真面目だというのに。

 

 あの襲撃から既に三日が経っている。その間は特に襲撃されることもなく、俺は期待していた静かな生活って奴をのんびりまったりと過ごしていたんだが、他の奴らはそうはいかなかった。

 確かに、飯もあれば寝る所もある。電気やガスだって(どうなってるのかは知らないが)ものべーから供給されてるらしいし言う事無しって感じかもしれないが、ホームシックっていうのかな。やっぱり慣れない場所では神経をすり潰されるようだ。見るからに不満をそのまま貼り付けた様な表情してる奴だっている。

 まぁ、先輩の演説じゃ一時的に混乱を治められても、心の中に巣くった恐怖心までは消せなかったってところだろう。その結果が今目の前で起きている喧嘩だ。

 

「ちょ、ちょっと二人とも。喧嘩はダメだよ!」

 

 希美が必死に声を上げて止めようとしているが、喧嘩している二人は聞く耳持ちやしない。頼みの綱の望や沙月先輩は丁度食糧調達に出かけたばかりだし、早苗先生は余りの激しさにオロオロしている。っていうか早苗先生もあんな風になるんだなぁ、とちょっと得した気分になる。

 

「はぁー……、仕方ねぇな」

 

 早苗先生はおろおろしてるし、希美は声を上げるだけだし、その他大勢は遠巻きに見てるだけだ。こんな荒れた喧嘩を見るのは初めてなんだろうからしょうがないと言えばそれまでなんだが。もう少し気合いが入った正義漢が止めてくれても良いと思う。

 

「おいっすー」

 

 飛んでくる机椅子を避けて背後から、喧嘩している片割れの肩に手を載せる。何故ソイツなのかというと、向こう側の奴の顔が無茶苦茶強面だったからに他ならない。今見ても怖い、血を流してるから余計にだ。

 

「あァ!? 邪魔すんじゃぁべしッ!!」

 

 振り向いてきたソイツの額に渾身のデコピンをくれてやる。強すぎたのか後ろに一回転しながら吹き飛んだ。

 

『………………』

「ふむ、力を入れ過ぎたかな?」

 

 その時の皆の表情と言ったら、まるで冬の夜空の様に静かな空気がその場の時を止めた様だった。

 ……あ、やべ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物部学園の一室、俺はそこで喧嘩をしていた。元々いきなり訳が分からない世界に飛ばされたって事に頭が如何にかなりそうだったし、更に言うと色々と鬱憤が溜まってた。校内は自由に動けるとはいえ、外には出られない。あの白い連中が俺たちに襲い掛かってくるかもしれないからだ。おかげで、常に命を狙われてるようでピリピリとした肌を逆なでするような空気が校内には充満していた。

 俺はそれに何とか耐えていた。こんなところで一々怒って暴れても如何にもならないってのは頭の悪い俺でも十分分かる。ここは我慢して他の連中と足並み揃えてやりゃあいつかはマシになるだろ、とタカをくくっていた。

 ただ、全員が俺みたいな殊勝な考えを持っている訳じゃない。それが目の前のコイツだ。変な事口走りながら叫びやがって、格好悪いったらありゃしない。

 ま、気持ちは痛いほど分かる。俺も、もしかしたらこうなってたかもしれないからだ。そう思うと目の前のコイツが俺と重なってゾッとしない訳でもない。

 でも丁度良い機会だった。俺は暴れてるコイツを取り押さえるという名目で殴り掛かる。とばっちりみたいで悪いとは思うが、先に暴れた自業自得だとでも言ってやろう。

 

 それからどれだけ経ったか、確か永峰とかいう女が俺達に向かって叫んでいる。大方、喧嘩を止めるようにとでも言ってるんだろうが、こんな良い機会を無駄にする気は俺にはさらさら無い。

 目の前のイカレポンチは何度殴っても倒れない。それどころか机やら椅子やらを使って殴り掛かってくる始末。学校への配慮って奴が足りてない。それ以上にコイツは喧嘩の妙味って奴を分かっちゃいない。道具を使っちまったらソレは喧嘩じゃなくなっちまう。

 ああ、シラける。つまらない。他の学校の似非ヤンキー共とたいして変わらないつまらなさだ。こういう喧嘩は直ぐに終わらせるに限る。

 ただコイツは妙に体力が有りやがる。しかも、俺は椅子で何度か頭を殴られてて正直気を抜くと意識を持っていかれそうだ。状況が儘ならず、思わず舌打ちしたい衝動に駆られる。

 

「おいっすー」

 

 そんな時だ、この場にそぐわない気の抜けた声が聴こえてきたのは。

 スッと頭が冷える。声を掛けた奴はイカレポンチの後ろに居た。この場にいた全員の目線が一斉にソイツに集中する。

 イカレポンチの背後に悠然と立ったまま、ソイツは肩越しに俺を見ていた。

 俺と同じ物部学園の落ち着いた色合いの制服とは対照的に、獅子を思わせる様な金色の髪。やや細めの眦の向こうに、凄然とした力強さが垣間見える。俺はその視線でその場に縫われたように立ち尽くしてしまった。こんな、こんな奴が……この学校に居たというのか。

 

「あァ!? 邪魔すんじゃ―――!!」

 

 イカレポンチが振り向きざまにソイツに襲い掛かる。その手に持った椅子がそれなりの速度で振り下ろされ――その次に、俺は有り得ないものを見てしまった。

 

「―――ぁべしっ!!」

 

 机の上から物が落ちた時の様な鈍い音が響き渡り、イカレポンチが宙を飛ぶ。否、文字通り吹き飛んでいた。

 しかも、デコピンでだ。

 

 ――おいおい、何だってんだよ一体っ!?

 

 自分でも顔が引きつっていくのが分かる。ソイツがイカレポンチにしたのはデコピン一発、それは違いないだろう。ただその後に起こった現象は俺の理解の範疇を余裕で振り切る。

 

「ふむ、力を入れ過ぎたかな?」

 

 それでいて、目の前のソイツはさも当然といった雰囲気で立っていた。理不尽な、それでいて納得させられてしまう様な覇気は俺の目を捉えて離さない。目は最早ソイツに釘付けで、全身が痺れで打ち震える。

 ああ、やっと分かった。これは喜びだ、歓喜だ。理不尽なまでに強い奴と喧嘩したいと悪魔が俺に囁き掛ける。このチャンスを逃がせば次は無い。それに、いきなり止められて不完全燃焼気味だった。挑まない理由など、今ここにはない。

 俺はあっさりとその囁きに乗った。

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォ―――ッ!!」

 

 間合いを一気に詰め、拳を振りかぶる。殺す気で放つ一撃、という生易しい物ではない。これは“殺す”一撃だ。

 ソイツはそこまで行っても視線を俺に向けていない。まだ倒れて延びてるイカレポンチを見下ろしている。

 当たる――そう確信するには十分過ぎる距離、速度、シチュエーションに殺意も露わに歯を剥いて笑う。

 ――その時、いきなり目線を上げたソイツと目が合った。

 

「――――――――ッ!?」

 

 火山の火口で激しく立てる溶岩の如き熱も、その視線に晒されると一気に冷え込む。先ほどまで有った俺の勢いは、それだけで止まってしまった様に思えた。

 瞬間、雷鳴が頭の中に直接叩き込まれた様な衝撃に首が持ち上げられ、感覚と空を飛んでいる浮遊感が俺を包んだ。やられた――それが解って来た時には既に俺は床をベットにして倒れていた。この一幕は、俺の好きなジョン・ウェインに殴られた一般人の役みたいで、俺はやられたっていうのに妙にスカッとした気分だった。

 トンッという足音で俺は我に返った。時間が凍ってしまったような静寂の中で、その音は一番響いているようだった。

 ソイツは、何事も無かったかのように片手を引くと、静まり返った教室を割る様に横切って廊下へと向かう。

 

「ま……待って、くれ」

 

 俺の呼び止める声に、ソイツは見向きもせず素通りして廊下へと出てしまった。もし、ソイツが立ち止ったとして俺はソイツに何て言っていたのだろうか。もう一度立ち上がって殴り掛かる? 感服したと言って頭を下げる? ありがとうと礼を言う? もしかしたらそうなったのかもしれないし、他の言葉を言っていたかもしれない。

 でも、そうはならなかった。ソイツは立ち止らず、先へと進んだ。それでいい、充分だった。きっとそれだけで俺は目標を持つことが出来た。

 

「へ……カッコいいじゃん、かよ……」

 

 あの後ろ姿こそ、俺が目指す山の頂。その頂点だろう。

 間違いない。俺が受けた痛みがそう言ってるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――俺を、弟子にしてくれッ!」

「――はぁ?」

 

 普通に廊下を歩いていたら弟子入り志願されたでござる。

 いきなり弟子入り志願をしてきた奴は、確かこの前喧嘩していた強面の生徒だった。いきなりの事で思わず動揺してしまったが、理由を聞くとどうやら俺の強さと渋さに惚れたとか。あとカッコいい、と。とにかく、褒められてる筈の俺が思わず吹き出してしまう様な内容だった。

 というか、強さ……は分かるとして、カッコいい場面なんて無かったように思えるんだが。寧ろ呆れられてると思っていたというのが本音だ。というのも、強面君が最後にドスの利いた声で『待って』と言われたんだけど、それまでに俺がデコピンで二人とも沈めてしまったりしてずっと見られていた。余りにも皆が俺を見てるから、その目線から逃げたくて逃げたくてしょうがなくて。結果、無視してしまったというのが実情だ。だから俺がそそくさと廊下に逃げた事に対して凄く呆れられてると思ってたのに。

 まぁ、上手く纏まってるから良いのか……? というか上手く纏まってるのか? 俺の周り男っ気しかな――ハイすみませんヘレンさん貴方を忘れていた訳ではないですよぉぉぉ! ……って、拗ねてしまった。まぁそれも含めて可愛いんだけどねッ!!

 

 ……取り敢えず、当面の目的は目の前で土下座をしている強面君をどうしようか、まずはそれを考えることから始めるのだった。




前書き・後書きは自由に使いたい。

という訳で落下↓

胸の大きさ

永遠のアセリア
エスペリア 86
ウルカ 78
今日子 75
アセリア 74
おbsn(時深) 69
レスティーナ 66
佳織 65
オルファ 63

聖なるかな
ヤツィータ 96
ナルカナ 91
カティマ 88
ルプトナ 85
沙月 84
タリア 82
希美 79
ナーヤ 74
ユーフィー 70

衝撃的な事に、おbsnはユーフィーより胸が無い。そしてレスティーナは絶壁どころかマナ障壁。
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