魔法少女リリカルなのは!? 「時空管理セクハラ相談部隊+パンツ」 作:ヘルカイザー
ではよろしくお願いします!
【なぁ〜頼むよ。もう一回だけあいつと試合してくれねぇか? 】
「その……私にもやることがありますので……探さなければならない人が」
【この間言ってた奴か? ん〜そだ! アインハルトこうしないか? ヴィヴィオともう一度試合してくれたら私も含めて知り合い総動員でそいつの事探してやるから。どうだ? 】
この間のヴィヴィオさんとのスパーリング以降、こうしてノーヴェさんはしつこく私にお願いしてきていた。探したい人がいる。これはただの口実だろう。勿論嘘ではない。あの子を見つけたいのは事実だ。だからノーヴェさんの提案は悪い提案ではない。私にしても、この間は言い過ぎたと思っていたところなのだから。
「わかりました。ならもう一度だけ」
【本当か!? いや、無理言ってすまねーな】
「いえ、それは構いませんが、約束の方を忘れないでください」
【それは勿論だ。にしてもどうしてそんなにこだわるんだ? 】
「それは……」
【ん? 】
「私が彼に負けた事が偶然であるか否か。それを証明したいからです」
私は別に負けたことを認めたくないわけではない。ただ、彼のあまりにも振り幅の大きい実力。それが本当にまぐれではないものか。仮にまぐれならばそれでいい。でも本当の意味で私が彼に負けたのならば、私は戦いたい。もう一度、油断することなく。彼と正面から正々堂々。それが私が彼を探す理由。彼にこだわる十分な理由だ。
【お前がそこまで言うんだから相当なんだろうな。ちょっと私も会ってみたくなった。そんじゃ、日時は後で連絡するから頼むわ】
「はい、こちらこそ」
ヴィヴィオさんともう一度試合をする事になった私は、半ば油断をしていた。あの子は一生懸命にしろそれはあくまで趣味の世界。だからいくらやったところで結果は変わらない。そう思っていた。
この当日までは。
ノーヴェさんから詳しい日時が送られてその当日。私は広い空き地で彼女と向かい合った。だがおかしい。この間よりも顔つきが鋭い。何かを見つめ、何かを狙っているかのごとく闘志がみなぎっている。言うなればハンターのような目だ。
私は彼女を見誤っていたのか。ならば私も答えなければならない。この拳で、想いを乗せて。
「言葉はいりません。拳をかわせば」
「ッ……ンツ……パ……ッ……アインハルトさんの……パ……ッ…………」
私達が向かい合い。これから試合が始まる。そんな時、私は気づいた。ヴィヴィオさんの口元が少しだけ動いている事に。さらにはブツブツと何かを言っている。内容は聞こえないが何やら不気味だ。
そして運命のゴング。開始の掛け声が放たれた瞬間、私は一気に血の気が下がった。
「え、なっ!? 」
「……草葉琶流 下着剥ぎ取り術……【蜃気楼】」
一瞬だった。開始の瞬間、ヴィヴィオさんはその場から消え、私に一撃。それを与えられる距離まで移動すると私の顔に拳を打ち込む。だがそれは完全なる囮。そう見せられた。何故なら私が彼女の拳を受け止めたその時、彼女はまるで蜃気楼のように消え、元の位置へ戻っていた。その手に……私の下着を握りしめて。
「な、なななな」
「……まずは1枚……今日は遠慮しません。全力でいきます。草葉琶流……下着剥ぎ取り術……」
「くっ、ハアッ!! ……え……いっ!? きゃぁぁあああああああああ!? 」
「【鍵外し】」
「な、何するんですか!? 私の下着返して……へ? 」
「うへ〜えへへ〜下着。アインハルトさんの下着ぃへへへぇ〜」
私はまんまと2手で下着を上下全て剥ぎ取られた。しかしこんなものは試合ではない。私は抗議をしようとヴィヴィオさんを見る。すると彼女は本当に女の子なのだろうかと言いたくなる衝動に襲われた。大人モードになりながら私の下着を舐めるような視線で眺め、緩み切った顔で変態のように嬉しがっている。終いにはヨダレを垂らすんじゃないかという雰囲気だ。
「このっ!? いい加減にしてください!!! 」
「えへ、ふへへ〜」
「ああなったらもうアインハルトさんに勝ち目なんかないよ。ね? コロナ」
「う、うん……たぶんこのまま……生まれたままの姿にされるんじゃないかな」
1枚。また1枚と私は服を剥がれ、とても言えないようなきわどい格好にされてしまっていた。ここまで見れば私はヴィヴィオさんに対して一撃も加えることができていない。前の時と違い何故か捉えられないのだ。消えては現れ、その度に私の服は一つ消える。でも流石に服の数が減れば相手の動きを読むのはさほど難しいことではない。
「もう少し……もう少しでアインハルトさんの美しい姿が! えへへ〜天使……あなたは私の天使です!! 」
「ど、どこのエロ親父ですか!? まったく……覇王……」
「これで……最後です! 」
「断・空・拳!! 」
ヴィヴィオさんは最後の布を剥ぎ取ろうと私の方へ向かう。だから私は羞恥心を全て捨て、捨て身のごとく一撃必殺の構えを取る。
ヴィヴィオさんの動きをギリギリまで読み。研ぎ澄ましながら相手の思考を自分の思考に重ね合せる。
先読みと言う意味では私の選択は間違っていなかった。しかしそれが自分に向けられた敵意ではなく好意である事を私はこの時……彼女から感じた。いや……真っ向から受け止めさせられた。
【愛してます貴方の存在全てに興奮します】
「うえっ!? 」
「伝わりますか? 私は……貴方が性的に好きです!!! 」
「あ……あ……で、ですが、それとこれとは……別です! フンッ!!! 」
彼女の心の声とも言うべき感情。それがまるで私に流れ込んでくるかの如く私に届いた。でも私の拳はそれを照れ隠しと言わんばかりに彼女の体に衝撃と敗北をもたらした。
「がはっ!? 」
「「ヴィヴィオ!? 」」
「はぁ……はぁ……へうっ!? ど、どうしましょう……わ、私……あ……ヴィヴィオさんが…………」
沸騰するように熱くなった顔。私は一体どうしてしまったのか。相手は女の子だ。自分と同じ性別の彼女に……私はなんと言う感情を抱いたのか。古の記憶があるとはいえ、私より年下の子に……心を揺り動かされてしまった。
「「ヴィヴィオー!? 」」
ヴィヴィオさんのお友達であろう2人の声が響き。そんな中私は顔を熱くして倒れているヴィヴィオさんをジッと見ていた。両手で顔を覆い、制御できないこの感情の正体を私は知らない。今まで感じたことがない。同級生の男子にすらこんな感情は抱いたことがない。真っ直ぐくけられた素直な好意が、欲望に忠実な好意が……こんなにも嬉しいと思ったことなど、今まで感じたことがなかった。
「ヴィヴィオさんあの……私は……」
「ひゃほぉぉぉい!! 」
私は少しモジモジしながらヴィヴィオさんの前に立った。みんなが見ている前で私は気持ちを伝えたくなった。でも恥ずかしい為、ヴィヴィオさんの気絶している今しかない。なにやらニヤニヤしている人達もいる。
しかしそんな時、どこからともなく場違いな声がこだました。雰囲気をぶち壊しにして突如現れた男。黒いハットを被り、茶色いコートを羽織った見るからに怪しい人間。私達は当然不思議な思いでその男を見ていたが次の瞬間、私を含めてその場にいた全ての人間が凍りつく。
「へい! レディ達ぃぃ? 見てくれ俺っちの芸術ふぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!! 」
『きゃぁぁぁあああああああああああああああああ!? 』
みんなの悲鳴が見事にシンクロした瞬間だった。男はコートを広げ、中を私達に見せびらかすように開く。だが、その中身は全裸。下着も無く、正真正銘の変質者であったのだ。
「ふ、ふざけんじゃないわよ変態!? 変なもん見せて、管理局として、あなたを逮……捕……す」
「ティ、ティア? どうし……ティア!? ……っ!? あ……れ? 」
ティアナさんが変態を逮捕しようと動き出すが、グラリと足元が崩れ、その場に倒れる。続いてスバルさんがティアナさんに近づくがスバルさんも何が起きたのかその場に倒れ、ピクリとも動かない。
「な……て、てめぇ何しやがった!? 」
「ノーヴェさんダメです!? 不用意に近づいては!? 」
仲間が倒れた事に逆上したノーヴェさんは私の言葉を聞かずに走り出す。止めようにも私はもう間に合わない。男が何をしているのかわからない以上どうすることもできない。
「ひゃっはー!! 」
「このっ……なっ!? 」
「ダメだノーヴェ下がれ!? 」
たった1人の男が現れただけでこの場は混沌。ノーヴェさんの姉であるチンクさんや他のご兄妹も冷静さを欠いているノーヴェさんの身を安じ、一斉に動きだす。
「え? ……あ……ヴィ」
瞬間、フワリと私の後ろから何かが風邪を切るように通り過ぎた。振り返ると、そこにいるはずの人間がいない。そう……ヴィヴィオさんだ。
彼女は変質者とノーヴェさんの間に割って入り、一体どのタイミングでノーヴェさんに下から撫でるように出していたであろう変質者の手を掴むと、真剣な顔で変質者を睨む。
「ハッ!? 何ィィィイイイイイ!? 」
「フフ、おじさん……なかなかいい腕してるね? 私今起きたから状況が呑み込めないけど……同じセクハラーとしておじさんの好きにはさせないから! 」
ヴィヴィオさんは変態の腕を掴んだまま、真横から男を蹴り飛ばし、ノーヴェさんと自分から遠ざける。さっきまで好意を丸出しにして私と戦っていたのが嘘のように、彼女は怒っていた。
「うぐぅぅ!? ……クク、ヒャハハ!! ひぃぃぃいいいやぁぁぁああああああ!!! なんだいお嬢ちゃん? 女の子の癖にセクハラ〜ぁぁ? 面白い事言うねぇ〜? 気に入った〜名前聞こうか? 俺はボルテぇぇぇるぅ! 栄光あるS◯Xし隊のメンバーにして自分の全てを見せる事に誇りを持つおとくぉぉおおおおおおおお!!! 」
「私は高町 ヴィヴィオ。おじさん達みたいなセクハラを悪用する人達を絶対に許さないと思ってる……だって私はみんなを笑顔にするセクハラを目指してるから! 」
「なっ!? 高町……ヴィヴィオ……だとぉう!? ……お前が……」
私はこの時嫌な悪寒を感じた。誰もが唖然として動けない中、変態がヴィヴィオさんの名前を聞いた途端、明らかに顔色を変えた。でもそれは恐怖などの感情ではない。言うなれば嬉しさ、喜び。まるで狙ったいた獲物が目の前に現れたかのように……変態はダラダラとヨダレを垂らし始め、気持ち悪さ全開でウネウネと両手の指を動かし始める。
「お前が高町 ヴィヴィオ……探していた……タぁぁぁあああゲッツかぁぁああああああああ!! ひぃぃぃいいいいやぁぁあああああああっはぁぁああああああ!!! 」
「っ!? く、草葉琶流セクハラ術……【突乳指】!! 」
「ひゃぁぁあああっ、あふん!? ……はぁ……ぁ〜」
ここでヴィヴィオさんが変態に何をしたかはとてもじゃないが言いたくもない。ただ、その手に速さや、正確さ。ある一部を指でピンポイントで突き刺した動きは……別の意味でズバ抜けてすごい事だ。やりたくはないが、実際……敵が襲って来ている状況であれをやれと言われたらおそらく無理だろう。何故なら、明らかにヴィヴィオさんの動きは洗練された技と呼ぶにふさわしい練度。それがどう言ったものかは別として、変態には効果抜群だった。敢えて言わないが、ある部分を押さえながら地面で悶えている。正直見ているだけで気持ち悪いのだ。
「くぅぅ〜……くそぉぉ……でも、クク。まだまだ未熟だ〜ね? お嬢ちゃん〜? 」
「え? ん……ふ……やぁ……あ、はぁぁん!? ……そ、そん……あっ!? 」
「ヴィヴィオさん!? 」
「S◯Xし隊……性闘術……【撫で殺し】! うひゃぁひゃぁひゃ!! 」
突然顔を赤くし、ヴィヴィオさんは息を切らせながらその場に座り込んだ。私は急いで側まで駆け寄ったが、よく見ると足がガクガクと震え、とてもじゃないがもう立てる状態ではない。おそらくティアナさんやスバルさんをやったのも同じ技だろう。何をされたのかはわからないが、股間を押さえながらトロけているヴィヴィオを見ればロクなことでない事は確か。
当然受けたくもないし、これ以上彼女にそんなものは受けさせない。
「ヴィヴィオ大丈夫か!? 」
「ノ……ヴェ? ……ごめん……やられひゃった……よぉ」
「馬鹿!? 私にはわかんねーよお前らの勝ち負けなんざ!? もういいからジッとしてろ」
「それ以上彼女に近づかないでください!! 」
「あ、待てアインハルト!? 」
「なんダァ〜? 俺っちと戦うって? お前よく考えろよ? セクハラ〜……ナメてんの? 」
「うっ!? ぁ……ぃゃ……こ、これは……」
「アイン……ハルトひゃん……らめれす……セ、セクハラに耐性のにゃい人が……セクハラーとたいひしたら…………」
ところどころ途切れ途切れで、ろれつの回っていない彼女の言葉はまさに的を射ていた。どうしてかわからないが、相手の気迫に私は呑まれた。身体中を舐められるような気持ち悪い感覚と悪寒。相手の目を見ているだけで、私は体の中をメチャクチャにかき乱されていった。ヴィヴィオさんと同じくその場に座り込み、私は両手で自分の体を抱きしめた。震えが止まらない。それと同時に体がどんどん熱くなる。息が切れ始め、気を抜けば昇天してしまいそうだった。
「アインハルトしっかりしろ!? 」
「ノーヴェ……さ、さん……わた……し………」
「ひゃっはー! たわいもない……さぁーレディ達ぃ〜そのセクハラ〜のお嬢ちゃんを渡して貰おうカァ〜なぁ〜イィィィィィハァァァアアアアアア!!! 」
「ら、らめ……ゔぃ、ヴィヴィオしゃん……っ!? ふぇ? …………」
「なっ!? 」
「くおっ!? お、おまっ……ぐあっ!? 」
得体の知れない変態の前に私達はなすすべがない。しかしそんな時、私達の方へ体を開きながら迫って来た変態と私達の間に1人の人間が割り込んで来た。ノーヴェさんも他の人も、どうやらその人には身に覚えがない。だが私にはあった。
忘れもしない。
「やっと……見つけた」
「なんでい!? 邪魔ものばっかり!? てめぇはナニモンだ!? ……ハッ!? お、おまっ、え? ……い、いや……待て……どうしてお前がここにいるんだ……何故……そんな筈は……なぁぁぁあああぜぇだぁぁあああああああ!? 」
「なにゃた……どうしれぇ? 」
「……少し遅かった。くっ……兄さんだけじゃなく……兄さんの大切な人達にまで……」
私達の目の前に現れた人間。それは私が探していた、あの夜私を負かした男の子だったのだから。
「絶対に許さないぞ、S◯Xし隊!!! ……僕に力を……この下郎を倒す為に!! パンツ・イン・ソウルシンクロ! でぇぇぇえええええりゃぁぁあああああああああ!!! 」
「しょ、しょれ……わ、わらひのパンちゅぅぅ…………」
短編・アリすず劇場
第2話《ストック》
最愛の人がいなくなってしばらく、すずかはアリサと下着の家に来ていた。誰もいなくなった家で、寂しそうに下着の帰りを待つ。
「ハッ!? そういえば下着くんストック持ってってない!? 」
「ストック? なんの話? 」
「下着くんに渡してあげてた私のパンツだよ!? それがあれば安心して眠れるって下着くん喜んでくれたから!? 」
「すずか……流石にドン引きよ……それは……」
下着ラブのすずかは今自分がどんなにおかしな事を言っているのか気づいていない。その為、アリサは親友を前にして本気で引いていた。
「え? アリサちゃんのだってあげてるよ? 何着か? うぐっ!? 」
「ちょっと!? いつの間に!? あ、ああああんた!? 私に黙っていつ渡してたの!? そ、そういえば最近下着が消えてた気がしてたのは」
「うん! 私のしわざ」
「ひうっ!? さ、最低よ!? ……ハッ!?……ちょ、ちょっと待って……下着がなくなってた時って全部洗濯だした時だったような……ま、まさ……か」
「えへへ、下着くんは〜脱ぎたてほやほやが好きな変態さんなんだよ? 柄は気に入らないけどアリサちゃんのも好きだって言ってたし」
「い、い、いやぁぁあああああああああああああああああああ!? 」
その日……すずかはアリサにいつも以上に怒られた。
to be continued…………