イリヤside
あの凄まじい戦いを終えた次の日。
「七.三℃。微熱ですね」
「うーん。これぐらい大丈夫なのに。セラ、過保護すぎー」
私は熱を出していた。
あの後、途中から気を失ってしまったみたい。
美遊さんが一人でカードも回収してしまっていた。
凛さんとルヴィアさんも無事だったようで安心した。
それで気が抜けたのかいつもならほとんどひかない風邪をひいてしまった様だ。
「駄目ですよ。士郎も熱出しているんですから今日は絶対安静です」
「え、お兄ちゃんも?」
「はい、朝いつも通りの時間に起きてこないので様子を見に行ったらひどい熱が」
そうなんだ。
お兄ちゃんも風邪なんだ。
もしかして、夏風邪が流行ってるのかな?
「イリヤさん、必要な物があったら買ってきます」
「う~ん。特にないかなぁ」
しいていうなら、ヒマつぶしの漫画ぐらいだろうか。
・・・・怒られるから言わないけど。
「そうですか。何かあったら呼んでください」
セラが出ていく。
はぁ、それにしても。
「ヒマだなぁ」
■■■side
あつい。
轟轟と燃え盛る街を目的もないのに進む。
暑い。
ここは何処だろうか?
見覚えがあるような無いような。
厚い。
煙で空にかかる雲は分厚く真っ黒だ。まるで、アンリの泥の様に。
熱い。
ああ、でも、もし本当にあるのだとしたらここは、
アツイ。
地獄そのものなのだろう。
ゆっくり瞼が開く。
全身は重怠く、力も上手く入らない。
『よう、お目覚めかい?』
「あん・・り?」
聞きなれた声が頭に響く。
『あんまり動かない方がいいぜ?結構、熱が高いみたいだしな。今日はゆっくり体の回復に使う方がいい』
「そう・・か」
ああ、でもあの夢をまた見てしまいそうだ。
だってあそこは苦しい。
永遠と終わらない地獄。
何もかも燃やして、溶かして、消してしまう。
寝たくない・・のに。
目蓋が重い。
意思とは別に重力に引っ張られるように目蓋は落ちる。
ああ、出来れば夢を見ませんように。
そう祈りながら俺の意識は深く深く落ちていった。
夢を見た。
少女は国を救うため人間をやめた。
夢を見た。
『王は人の心が分からない』
良き王であるため感情を殺した彼女のその小さな背に周りの人々は全てを預けた。
潰れまいと頑張る彼女に返ってきたのは容赦のない言葉。
夢を見た。
血の川が流れ、屍の山が周りに広がる。
多くの騎士たちが息絶えたその丘で彼女は悟る。
「ああ、私では駄目だった」のだと。
気づいた時には既に取り返しのつかない所まで来ていた。
故に。
汝、契約を此処に。
世界から出されたその甘い誘いに乗るしかなかった。
聖杯を手に入れ故国を救う。
その願いは多くの思いを踏みにじるとも知らずに彼女は世界と契約を交わしたのだった。
第四次聖杯戦争。
彼女はセイバーとして呼び出された。
そこで目にしたのは切嗣とアイリさんだった。
まるで、映画を見るように色々な情報が頭を駆ける。
呪いの黒子を持つ悲劇のランサー。
大陸を駆け抜けた大王のライダー。
身勝手な神に絶望した狂気のキャスター。
数多の人格を持ち本当の自分を知りたかった探求のアサシン。
王に自身を裁いてほしかった愚かなバーサーカー。
全ての財を手に入れ神さえ縛る傲慢なアーチャー。
噛み合わないマスターとのやり取りに苦しみ、王として生き様を否定され、生前でさえ行った事のない非道な勝利に自身の価値観を壊された。
だが、それでも勝ち抜いた。
勝ち抜きあと一歩だった。
それなのに
『令呪を持って命ずる、聖杯を破壊しろ』
自身のその手で奇跡を砕いた。
彼女は知らない。
聖杯は既に万能の願望機ではないことに。
故に、多くの同胞が息絶えたカムランの丘で間違いを重ねる。
「ああ、やはり私が王では国は救えない。選定のやり直しを」
そして、彼女は・・・・・・。
「ん」
ぱちりと目が覚めた。
身体はやはり変わらず重いが気分はましになった。
何か夢を見ていた様な気がするがどうにも思い出せそうにない。
「のど、乾いたな」
重い足取りで一階まで降りる。
冷蔵庫から冷えた麦茶を一杯。
「ぷはっ」
時間を見れば午後三時半。
セラは買い物にいったのかいなかった。
「あ、そうだ」
イリヤにも麦茶持っていこう。
ぼんやりした頭で思いついたことだからか、何も疑うことなく麦茶のボトルとからのコップを持って二階へ向かう。
「イリヤ、入るぞ」
いつもならノックもするのだがそのままガチャリとドアノブを回し、
「「・・・・・・・」」
「・・・なにやってんだ?」
メイド服を着た美遊ちゃんに息を荒げて抱き着く妹。
こうして、衛宮士郎は幼女同士の百合展開を見てしまうのだった。
今回、捏造というか自己解釈もどきが沢山あったので直した方がいい表現やこれ間違ってるという訂正などありましたら報告よろしくお願いします。
他にも、誤字脱字感想お待ちしています