生者を呪う残骸が
あるものは跳びかかり、またあるものはその素早い身のこなしで
「ッ!」
だが、それは無意味だ。
跳びかかった者は巨大な斧剣に斬られ、懐に入った者はその剛腕に押し潰された。
包囲しても無駄と感じた残骸は一斉に攻撃を開始する。
それはまるで黒い波だ。
残骸たちのバラバラのようで各自が敵を殺す最適な動き。
様々な憎悪があらゆる角度から大英雄に襲い掛かる。
「――■■■■■■■―――!!!!!」
その波すら諸共せず
それを真っ向から士郎は立ち向かう。
正気でない。
常人からすればもはや狂気の域だが士郎は別に狂っているわけではない。
勝てるからこそ真っ向から挑むのだ。
「
「―■■■■■――!!?」
煌めく剣は返り血すらその刀身に残さずにヘラクレスの身体を切り裂いた。
「残りっ!」
『十回!!』
素早くその場から離れ体制を整える。
「アンリ!」
『あいよ!
再び現れる残骸たち。
あとこれを十回続けなければならない。
精神をぎりぎり削る様な戦いをあと十回もだ。
「
手に握るは稲妻を纏う槍の穂先の様な
それを回復しかけているヘラクレスに投げつける。
その瞬間、腹の底から震えるような爆音が辺りに響き渡る。
コンクリートの粉塵が辺り舞い土煙を巻き起こす。
「―■■■■――」
「・・・・・・」
粉塵の中から現れた巨人は無傷。
まるで効いていなかった。
此方を見据え一歩、巨人が進んだ瞬間。
「―■■■――!?」
階下に落ちていった。
それを追うように残骸も穴に飛び込んでいく。
『少し休憩だな』
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
アンリの言葉を返す余裕もない。
今回はアンリが主体ではない。
全て自身が担当するのだ。
当然、今までの戦闘よりも数倍の疲れが身体を襲う。
残り十回。
されどその十回の壁が高い。
アンリのサポートがあるとはいえ苦戦は免れない。
『ッ!?シロウ、離れろ!!』
「ッ!!?」
アンリのとっさの警告に全力で答え前に転ぶような形で離れる。
そして、次の瞬間には斧剣が地面から生える。
「あぶなっ!」
喉が思わず干上がる。
一瞬でも遅れていたらアレに貫かれていたのだ。
「―■■■――!」
天井を突き破りヘラクレスが現れ、あろうことか斧剣を投げてきた。
「しまっ!!」
体勢を崩した状態。
回避も防御も不可能。
初めて自身が体験する死に身構え。
「え?」
横から何かがぶつかり斧剣を回避することができた。
「君は・・・!」
そこに居たのは青い魔法少女であった。
「加勢します。お兄さん」
凛とした佇まいと強い意志が宿った碧眼の瞳に思わず魅入られる。
「■■■――!!!!!」
それを引き戻す雄叫びが辺りに響き気合を入れなおす。
「危なくなったら逃げろ」
「了解です」
『うわ、信用ならねぇ。・・・やっぱ似るもんだねぇ』
「アンリ?」
『ま、ヤバくなったらオレが何とかしますか!ほら、来るぞ!』
「――■■■■■■■■■■!!!!!」
猛り狂う狂戦士との第二戦が始まった。
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