アンリside
「
呪いの朱槍をその手に顕現させる美遊。気合は十分。
そして、本人は上手く隠しているつもりなのだろうが丸わかりな思惑に内心ため息をつく。
ああ、全く。嫌になるぜ。
これも運命とかいう奴の仕業なのだろうか?
幸せになって欲しいと願い自身を犠牲に送り出したあいつ。
危険を取り除くために自身で死地に飛び込んだこいつ。
だというのにその願いを嗤うかの様な現実に思わず中指を立てたくなっちまうな。
「来るぞ!」
「はい!」
「――■■■■■!!!」
狂った大英雄様が突撃してくる。
それはあの繰り返しの夜に出会った怪物と同じ殺意剥き出しの突進。
『
その怪物の行く手を残骸達は立ち塞がるがまるで紙切れの如く弾き飛ばされる。
だが、二人が避ける時間は稼ぐことが出来た。
さぁ、手痛い一撃をくれてやれ!シロウ!
士郎side
こちらから少しばかり意識が外れたヘラクレスに不敵に笑う。
そのわずかな隙を逃すほど俺は甘くないぞ!
「――――投影、開始」
「――――憑依経験、共感終了」
「――――工程完了」
次々と撃鉄をあげる。
確実に当てる為、雑多な剣に本命を数本混ぜ合わせ引き金を引く。
「――――全投影連続層写!!!」
瞬間、虚空から無数の剣が射出される。
既に止まることが出来ない狂戦士に剣群は「■■■■――!」咆哮を伴ったヘラクレスの剛腕により砕き、逸らされ、弾き飛ばされる。
だが、一つだけ砕かれず狂戦士の腕を貫いた剣があった。
それは鮮やかな黄金の柄の剣。
その名は呪われた宝剣ダインスレイブ。
「
「――■■!?」
瞬間、ヘラクレスの動きが鈍くなる。狂化されたその顔が驚愕したように見えた。
「はぁ!」
自身の横を疾風のように駆ける美遊。
彼女は手にした呪いの朱槍をヘラクレスの心臓へと突き刺した。
「―――■■■■■■―――」
「残り九回!美遊、直ぐに離れろ!」
「はいっ!」
残り九回。
「
「―――■■■■―――――!!!!!」
それは投影した宝具の自壊。
内包した神秘による大爆発は再生間際のヘラクレスの身体を吹き飛ばした。
これであと八回。
「・・・すごい」
『・・・まずいな』
感嘆の声と焦った声が聞こえる。
確かに、あと八回で大英雄を完全に倒すことが出来る。
「――■■■――」
大英雄の手には再び斧剣が握られていた。
恐らく、あの突進は最初から武器を確保するための行動だったのだろう。
思わず歯噛みしてしまう。
「・・・お兄さん。少し時間を稼いでください」
「美遊?」
短い間に連続で殺されたからかヘラクレスは動かない。
「私は・・・あれを倒す術を持っています」
『美遊様?その術とはいったい・・・』
その術はどうやら魔法のステッキすら知らない方法。
「・・・大丈夫なのか?」
「はい。必ず倒して」
「あ、いや違うんだ」
「?」
「それは使っても大丈夫なのかという意味だ。もし、自分の身体に負担がかかる様なものなら駄目だ」
「・・・大丈夫です」
「アンリ」
『大丈夫と思うゼ?多分だが、あれだ。イリヤがやったあれのはずだ』
「・・・・・・」
あれと言われると一つしかない。
完全なる英霊化のことだろう。
確かに、英雄に英雄をぶつけるのは間違いじゃない。
だが、アンリみたいにもしカードに意識が残っていたら?
もし、残っていた時、美遊はどうなる?
一度目が大丈夫だったから二度目も大丈夫?
「駄目だ」
「っ!?」
可能性はゼロじゃない。事故が起きてからじゃ遅い。
世界は目を覆いたくなるほど残酷なんだ。
それを俺は、俺達は知っている。
なら、より確実な方法でアイツを倒せる俺がやったほうがいい。
「何で、ですか!?私だって・・・!」
『おい、痴話喧嘩はあとにしろ!動くぞ!』
「美遊、一旦作戦を練る。隠れるぞ」
「・・・はい」
『・・・美遊様』
再び金剛杵を投影し、アンリの残骸を振り払いこちらに向かうヘラクレスの足下に投げつける。
「――■■■―」
二度も同じ手は喰らわんと言わんとばかりにそれを横にずれて避けようとして「―■■―――!」直撃した。
正確にはその余波を受けたというべきか。
アンリの残骸が自身の爪に当て起爆させたのだ。
「―――■■■■■■――――!!!!!」
怒りの大咆哮を背に士郎たちは入り組んだビルの中に身を隠すのだった。
オリ宝具の説明
ダインスレブとはファブニールが守っていた財宝の一つで凄まじい切れ味を持つ宝剣。
ただし、呪われている。
宝具ランクはBの対人。効果は斬りつけた相手と使った人物を一定時間呪う。
大変遅い更新ですいません。
誤字脱字感想お待ちしています。