さぁ、賽は投げられた。存分に足掻くと良い
アンリ&士郎side
「ただいまー」
さて、覚悟は決めた。
後はオレの努力次第。
「ああ、士郎丁度いい時に」
「どうかしたのか?」
ぱたぱたとエプロン姿のセラがこちらに駆け寄ってきた。
「実は、私としたことが洗剤を切らしていたのを忘れてしまいまして」
「珍しいな。わかった、今から買ってくる」
「お願いします」
本当に珍しい。いつもは完璧家政婦のセラが忘れるなんて。
「ついでに、これらも買ってきてほしいのですが」
「どれどれ」
手渡された紙を読み上げる。
台所用の洗剤に、菜箸、詰め替え用のシャンプーとリンス。最後にリズのお菓子。
少ないか多いか微妙な数だな。
「わかった、それじゃ行ってくる」
行ってらっしゃい、と見送るセラに軽く手を挙げて対応する。
「な、案外バレねぇだろ?」
『・・・そうだな』
さて、今のオレは誰でしょう?
正解はアヴェンジャーでした!
まぁ、伊達に何億回も衛宮士郎として生活していたからな。
ちょっとやそっとじゃ見破られない自信がある。
『それにしても、なんか変な感じだな』
「そうか?だとしても、慣れておかねぇとな。戦う時は常にこれだぜ?」
オレと士郎の戦闘法。
オレが士郎の体を使って戦う。
実にシンプル。
「それにな?今すぐってわけじゃないが平行世界のお前の体験を追体験しなきゃならないわけだしな。どっちにしろ通る道だ。あきらめろ」
『む』
それにしても久々だなこの街も。
あの四日間は楽しかった。
朝は衛宮士郎として日常を謳歌し、夜はバゼットと一緒に終わらない聖杯戦争であーでもない、こーでもないと敵のサーヴァント相手に作戦たてて。
あ、でもバーサーカー。テメェは駄目だ。
勝てるわけねェよ。
なに、オレ耐久値Eだぜ?
身体がもはや凶器だよアンタ。
「さて、ちゃちゃっと終わらせますか」
のんきにはなうたを歌いながら、な。
「ただいまー」
「おかえりなさい、疲れたでしょう。夕飯になったら呼びますんで」
「悪いな、ありがとうセラ」
自室に戻り、すぐさまベッドに横になる。
『アンリこれからどうする?』
(まずは、オレが衛宮士郎として体験した戦闘を追体験してもらう)
『わかった。俺は何をすればいい』
気合は十分だな。
・・・・まぁ、これは小手調べみたいなもんだ。この記憶にすら耐えきれないのなら家族を守るなんてできやしない。
(簡単だ。ただ、耐えるだけ。この世界の衛宮士郎としての自我を気持ちを失わないようにしろよ。さっきも言ったがそうしないと死ぬぞ?お前が変質すれば俺は別のナニカになる。『家族を守る』っていうお前の願いは完全に別物に成り果ててオレも別物になる。つまり、お前は自分の命とオレの命を握ってるわけ。だからガンバレヨ?)
『グッ!!?』
オレの記憶。
それは何度も繰り返し殺されるっていう常人なら発狂する代物。
だが、他の記憶はこれがまだましだと言えるぐらいの地獄なわけだ。
今回の目標は『
これに加え、投影、強化、解析、変化ができれば上出来。
『ギッ!?ガァ!!』
士郎はだらだらと汗を流しながらベッドの上でもだえる。
魔術回路は驚くことに固定化された状態で開かれていた。
にも、関わらずそれを隠すかのように、封じるかのように、別の魔術が掛けられていた。
無意識にだがそれを壊したオレが言うのだから間違いない。
たぶん、この世界の衛宮士郎はどの世界の衛宮士郎よりも速く投影を十全に使いこなすことが出来ていたのだろう。それに気づいた正義の味方がいち早く引き取ったって感じか。
ま、オレにはどうでもいいが。
体を未知の化け物に裂かれた/それを奇怪な二刀で逆に裂く。
未来の自分に弓で射られた/信頼できる彼女を送り、攻撃を防ぐための盾を出した。
影のサーヴァントに首を刈られた/己が得意としていたあの二刀は・・・。
そういえば、俺を抉ったあの魔弾は・・・・。
「はっ!?」
目を開ける。
身体は汗でベタつき、呼吸も荒い。
心臓はこれでもかと早鐘を打ち、頭がイタイ。
『よう、どうやら耐えきったみたいだな?』
おめでとさんと気軽なアンリ。
「あれが俺?」
『そうさ、あれが別世界のアンタで更にオレが真似て偽った姿』
「・・・はは」
笑うしかできない。
もはや、次元が違う。
『ま、結果を確かめようぜ?』
アンリと俺が入れ替わる。
アンリが頭に思い描くは歪な短刀。
獣の牙の様な剣、それの本来の目的はソードブレイカー。
『よし、投影も出来そうだし大丈夫だな。・・・ま、お前の使い慣れた方は駄目みたいだが』
「とう・・・えい?」
『ああ、それがお前の唯一誇れる魔術。
「
自然と出た言葉に呼応するように先ほどの短剣が手の上に現れる。
『上出来。んじゃ、とっとと風呂に入っちまえ。流石に汗だくで飯は食いたくねェだろ?』
それもそうだ。風呂に入りたい。
着替えを片手に意識が鈍い状態で風呂場に向かう。
さっさと、風呂に、入ろう・・・・。
それにしてもさっきからアンリの声がうるさいな。疲れすぎて聞き取れないが。
わめくアンリを無視しながら風呂の扉に手を掛け
「え?」
「あ」
後悔した。
「い、イリヤ?」
「お、お、お」
『あー、だから言ったのに。あれか?覗きたかったの、おたく?』
うるさい、アンリ。これは事故だ。
「お兄ちゃんのへんたーい!!」
「ぐはっ!?」
布に包まれた何かが顔面に飛んできた。更にぶすっと首筋に何か刺されてそのまま目の前が暗くなった。
イリヤside
「はぁ、はぁ、はぁ!」
ま、まさか本当に入ってきちゃうとは!!
『いやー、イリヤさんのお兄さんはホントグッドタイミングできますよね!!』
「ルビー、うるさい!」
それにしても、お兄ちゃん何だかふらふらしてたし顔色も悪いような気がした。
「ルビー、お兄ちゃん運べる?」
『ええ、もちのろんですよ!!こう見えて身体は鍛えてるんで!!』
むはーっと謎のやる気を見せるルビー。
何だか心配になってくる。
それでも運ぶ手段がないので結局は頼むしかないのだが。
『イリヤさん、今日はイベント盛りだくさんですねぇ。空からは美遊さんが降ってくるし、そのままアニメの鑑賞会までして、その後にこれですよ?いや、イリヤさんは本当に退屈しません!!』
「人をおもちゃみたいにいわないでー!?」
アンリ&士郎side
うーん、ここは?
『ベッドの上だよ。まったく、俺まで気絶しちまったぜ』
う、めんぼくない。
「士郎―。ごはんできましたよー」
「わかったー、いまいくー」
その前に軽くシャワーを浴びなければ。
「なぁ、アンリ?」
『ん?』
「・・・なんで気絶したんだっけ」
『さぁ?そういえばなんでだ?』
夕飯を食べそれなりにリラックスする。
さて、今夜か。明日か。はたまた明後日か。
時計の針が十二時を指す。
その瞬間、身体に違和感がはしる。
きた!アンリ!!
『おうよ!!
今日の朝準備したこと。
それは俺の血を一滴地面に垂らすこと。
アンリ曰く、自分は数字でいうなら0であるため人間がいる限り何処にでも現れることが出来る。
だが、0は1がないとその存在が証明できず意味がない。そこで、俺と言う1を媒体として特定の場所に出現するらしい。
少し訳が分からなかったが発動したのでいいとする。
次にアンリが言っていたズル。
それは何度でも死んでは甦る反則宝具。
『アンリミテッド・レイズ・デッド』
アンリが持っている『泥』を限定的に具現化し、アンリを通してそれを使う。
いうなれば、ラジコンみたいなものだ。
ただし、痛みはこちらにも反映されるため無理も出来ない。
鼓動はいつもの三割増しで速く緊張しているのが分かる。
だが、それでもイリヤの身に何かあるかも知れないのなら。
泣き言を言ってる場合じゃない!!
さぁ、聖杯戦争を始めよう/続けよう
四話で戦うと言ったな?
・・・あれは嘘だ。
因みに、無限の残骸ですがオリジナルで宝具にしました
いや、ほんとは其処までもっていきたかったんですけど無理でした。
誤字脱字感想お待ちしています。