誰も彼も。
故に絶望の足音に気づかない。
美遊side
「よくやったわ、イリヤ!まさか、アーチャーのカードを使いこなすなんて!!」
「美遊、次は勝ちなさい。そこのサルの喚き声など無視して!!」
「あら~?悔しいの?ねぇ、悔しんでしょ?おっほっほっほ、負け犬の遠吠えは心地いいわ~」
「あらぁ?いまウッホッホッホっていいました?ミス・ゴリラ?」
「「・・・・・・」」
醜い言い争いから拳と拳を交える熱血漫画の如く戦い始める二人。
『もう、これだからお二人の相手は嫌なんですよ!!』
『ええ、美遊様とイリヤ様を見習ってほしい物です』
「あははは・・・・・」
いつも通りの二人に思わず気を抜いてしまいそうになる。
イリヤスフィールに至っては転身を解いている。
確かに、キャスターには勝てた。だが、それに止めを刺したのは私でもイリヤスフィールでもないのだ。
「あの、ルヴィアさん。それと凛さんお話が・・・」
だが、それに気づかずまだ殴り合う元・魔法少女達。
「ねぇ、美遊さん?さっきのあの凄い攻撃何処から来たのかな?」
『ええ、それならこのルビーちゃんにお任せを!!あれは・・・!!』
『あれは、私達が戦っていた場所から約六百メートルほど離れた民家の上から放たれた物です。材質は何かわかりませんでしたがかなりの威力と思われます』
サファイアちゃんが私の言葉を!?
ガーンと器用に効果音を付けしくしくっと泣きまねをするルビーに。
姉さんは前置きが長すぎるので。
と妹からの容赦ない正論が刺さった。
「って、あれイリヤがやったんじゃないの?」
「は、はい。何だかよく分からないうちに・・・」
争っていた二人がピタリと喧嘩をやめる。
「そういえば、此処の空間崩れるのが少々遅くありません?」
「ってことは、もう一枚カードがある!?」
そう気づいた時には遅かった。
「ッ!?イリヤスフィール!!」
「え?」
黒い濁流がその場にいる全員を襲う。
どうにか、イリヤスフィールの手を引き物理・魔術障壁に保護することが出来た。
が、それも数秒。強制的に転身を解かれその濁流の余波に巻き込まれた。
「うっ」
痛い、気持ちが悪い。そうだ、イリヤスフィールは!?
「ううっ」
良かった。ちゃんと守れた。
安堵のため息が漏れる。
「イリヤスフィール、大丈夫?」
「な、なんとか」
よろよろと起き上がり、
「・・・・・・・・え」
彼女は絶句した。
黒い濁流が収まりあたりを見渡すとそこは何もなかった。
あるのは建物の残骸や抉れて捲れ上がりただの岩となった道路。
冬木大橋もあらゆるところが破壊されている。
これを意味すること即ち。
「・・・・・」
「凛さん」
ぽつりイリヤスフィールは呟く。
「ルヴィアさん」
「ルビー」
「サファイア」
その声は祈るように無残に変わり果てた大地へ響く。
「返事して。ねぇ、どこにいるのー!!お願い返事して―!!」
段々と涙交じりのその声を聴きながら何もしてやれない。
この世界で私を助けてくれたルヴィアさん。
魔法少女として自分を選んでくれたサファイア。
もうそのどちらもここにはいない。
何度か同じように呼びかけていたが遂にイリヤスフィールは地面に膝をついた。
「・・・・こんなの、うそだよ」
「・・・イリヤスフィール」
「いや、いや、いやーーー!!!」
泣きじゃくるイリヤスフィールに対して何もできないまま立ち尽くした。
「どうして、こんなことになっちゃたの・・・」
泣き疲れたイリヤスフィール。
「もうヤダ!!」
「っ」
その声には確かな悲しみと恐怖が感じられた。
「意味が分からない・・・。もうお家に帰りたいよぉ」
だが、そんな願いを嘲笑うかのように。
地面の一部が爆発した。
「「ッ!!?」」
そこには黒い鎧を着た騎士。
一目で分かる。
この騎士こそセイバーのカード。
そして、先程の攻撃を行った人物だと。
「こっち!!」
茫然としているイリヤスフィールの手を取り橋の鉄柱に身を隠す。
「・・・・・」
どうやら、まだ見つかっていない様だ。
だが、
「・・・・」
「っう!!」
暴風が身体を襲う。
一振りごとに魔力を纏わせ辺りをしらみつぶしに攻撃しているのだろう。
「ううっ!!」
そして、二度目の暴風がやんだとき
「ッ!!」
「・・・・・」
見つかった。
イリヤスフィールは動けず自身の体を抱きしめ震えている。
怖い。
恐怖で身体は震えている。
騎士が一歩近づく。
怖い。
息が上手く吸えない。
その距離はどんどんと無くなる。
怖い。
でも。
だが、此処を退いたりするものか。
怖い。
それでも彼女だけは何とか!
日常に帰して見せる!!
「ッセイ!!」
「・・・・!」
ガキィン!!
刃物と刃物がぶつかる音が耳に届く。
「え?」
その背に覚えがある。
「よっと、あー流石に効いたぜ。まぁ、次は同じ手は喰らわねぇけど」
その声は違えども。
「さぁ、まだ付き合ってもらうぜ?第三ラウンドだ」
その姿は違えども。
「ああっと、そういえば」
くるりと踵を返しながら
「よく頑張ったな。後は、オレに任せときな、美遊。イリヤを頼む」
安心させるように笑って見せた。
彼は足の調子を確かめるように軽く飛び跳ね
「シャ!!」
黒い騎士に駆けだした。
「「・・・お兄ちゃん?」」
その声を聴いて
「「え?」」
同時に顔を見合わせたのだった。
イリヤが覚醒すると言ったな?
・・・何度もスマンがあれは嘘だ。次回でします
はい、ある程度独自設定がありますので分からなければ質問など受けます。
そして、遂にストックがきれました。
よって、投稿は不定期になります。すみません。
誤字脱字感想お待ちしています。