さて、噛み付いた後はどうなるのか?
それは第三者が決めることになるのだろう。
イリヤside
「よく頑張ったな。後は、オレに任せときな、美遊。イリヤを頼む」
下を向いてただ震えている私の耳に声が聞こえた。
口調も声音も違うのに。
私はゆっくりと顔をあげた。
違う。
私のお兄ちゃんは赤銅色の髪だ。この人は夜みたいに黒い。
違う。
私のお兄ちゃんは身体に変な模様何て入れてない。
けど、此方を安心させるようなその笑顔は自分の知っている兄と同じであった。
「「・・・お兄ちゃん?」」
「「え?」」
美遊さんと自分の声がぴったりと重なる。
「え?あの人、美遊さんのお兄さん?」
「・・・違う、と思う。けど・・・」
「けど?」
「・・・・何でもない。あの人はイリヤのお兄さんなの?」
「・・・・わからない。・・・声も姿も違うんだけどね?あの安心させるように笑った顔がお兄ちゃんにそっくりで」
突然、現れて私たちから黒い騎士を遠ざけながら戦っているその少年に覚えはない。
だというのに、この胸のざわめきは何だろう。
ドクドクと心臓は早鐘を打ち私を急かす。
奇妙な剣で戦う少年が兄と重なる。
身体があつい。
少年から目が離せない。
一方的に攻撃を仕掛けている少年に対し、黒い騎士は黙々とその斬撃を捌き続ける。
そして、
「ッ!!」
少年の剣が砕け散り。
黒い剣が肩に吸い込まれ、紅い花が地面に咲いた。
アンリ&士郎side
「ギ!?」
ザックリと肩を切り裂き振り下ろされた魔剣。
飛び退くのがあと数舜遅ければ即死だった。
まぁ、致命傷を貰って無事も何もありはしない。
さぁて、派手にやられたわけだが・・・・。
朦朧とした意識。それでも、口元に笑みが浮かぶのが止められない。
セイバー。最優のサーヴァント様よ。今から受ける痛みはテメエの自業自得だ!!
『
「・・・・!??!」
それは最も単純で最も解呪できない最古の呪い。
原初の呪いは速やかにその効力を伝え、セイバーに膝をつかせた。
『アンリどうするんだ。もう、俺も意識と魔力が持ちそうにないぞ。止めを刺す方法、考えてるのか?』
ああ、それなんだけど・・・。
『どうせ、ない、だろ?なら、あともうひと踏ん張り…』
「たおさなきゃ」
そして、それと同時に後ろで異変が起きた。
イリヤ?side
・・・たお、さなきゃ。
どうやって?
・・たおさなきゃ。
どうやって?
「たおさなきゃ」
手に取るのは弓兵のクラスカード。
膨大な魔力が身体からあふれでる。
それに呼応するよう、何処からともなく魔法陣が現れた。
何処か大人びた表情で彼女は自身も知らない言葉を紡ぐ。
「夢幻召喚」
読み込む記憶は剣の丘。
幾たびの戦場を駆け、決して理想をあきらめずに生涯を駆け抜けた。
紅い外套に黒いボディースーツ。
黒の洋弓を手にし、彼女はこの場に顕現した。
セイバーはゆっくり彼女を見据え、一気に距離を詰め切り伏せようとして、ガキンッ!!
と剣を弾かれる。
その手に弓はなくいつの間にか二刀の陰陽剣が握られていた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
一瞬の静寂。
そして、
「・・・・」
「・・・・」
騎士と弓兵の剣戟が幕をあげた。
誤字脱字感想お待ちしています。
試験が近いので更新はしばらくお休みします。