美遊side
黒の軌跡を残しながら黒色に染まった魔剣は目の前の敵を屠らんと風を切り裂き、唸り声をあげる。
それを風に吹かれた柳の様に受け流し、踊るように予測不可能な斬撃でカウンターを狙う陰陽剣。
激しく鳴り響く金属音。
それはただの少女が剣の英霊と渡り合えているという事実を示していた。
「・・・嘘」
ステッキもないのにイリヤスフィールは弓兵のカードを使った。
しかも、限定展開ではない。
完璧にカードに宿る英霊に力を使いこなしている。
「イリヤスフィール、貴方はいったい・・・」
右に左にと目まぐるしく立ち位置を変えながら弓兵は剣士と互角に、いや僅かながらも相手を押している。
剣の英霊が振るう魔剣には先程までの力強さはなく、表情も苦悶に満ちている。
(何処か傷を負っている?)
「ッ!!」
「・・・!」
そして、遂に魔剣の主はその身に陰陽剣を受けその場に膝をついた。
『美遊様!!』
「サファイア!?」
ちょうどいいタイミングで空から自身が契約したステッキが飛んできた。
「サファイア、ルビィアさんと凛さんは!?」
『ご無事です。いま、姉さんが障壁を張りながら二人の側についていますのでご安心を』
「良かった」
安堵のため息が口から洩れる。
『それにしてもイリヤ様のあのお姿は一体?』
弓兵の限定召喚でしょうか?と尋ねるサファイアに今まであったことを説明する。
『そのようなことが・・・・』
「サファイア、今からイリヤスフィールの加勢を」
先程からその場に膝をついて動かない剣の英霊だが何があるか分からない。
それに先ほどまで自分たちを守ってくれたあの青年を捕まえなければ。
賢明な判断。だが少しばかり遅かった。
その場から大きく後ろに下がる剣の英霊。
最後の一撃とばかりにその魔剣に膨大な魔力を送り始める。
「しまった!イリヤスフィール逃げて!!?」
宝具の解放。
吹き荒れる黒い魔力を真っ直ぐと見据えながらイリヤスフィールは呟く。
その瞬間、黒を打ち消すかのようにまばゆい光が辺りに広がる。
イリヤスフィールの手には黄金に輝く剣が握られ、
「「エクスカリバー!」」
影と光の聖剣同士の魔力がぶつかる。
「くっ!」
余りの余波に思わず身体を伏せた。
拮抗する影と光だったが段々と光が勢いを増し、影を飲み込んだ。
「・・・・・」
剣の英霊はその身をカードに変え地面へと落ちていく。
そして、イリヤスフィールはそのままふらりと地面に倒れ、
「よっと」
ようとしたところを血だらけで土埃だらけの青年に支えられた。
「あー、まったく。無茶しやがって」
優しく、まるで壊れ物を扱うようにそっと頭を撫でる青年。
『三体目のカード!?美遊様、今すぐ転身を!』
「・・・・大丈夫」
『美遊様!?』
そのまま、彼はゆっくりとイリヤスフィールを地面に寝かす。
此方を見て彼はおどけたように話しかけてきた。
「大丈夫か?なんて、聞くまでもないよな。まぁ、最弱にしては頑張った方だし許してくれよ?」
「最弱?」
「そ。最弱。って、あ~、もうもたねぇや。悪いあと頼んだぜ」
「ま、まって!!」
そのまま背を向け何処かへ行こうとする彼を止めるもまるで溶けるように消えてしまったのだった。
どうも、雨の日です。
感想を見ていたら8話目の戦いで士郎が弓兵のカードを使っている様に思われた方が居たので訂正を。原作同様、イリヤスフィールが夢幻召喚しています。
文章が稚拙なため読書の皆様にご迷惑をおかけしました。
これからも感想や文章の間違い、誤字脱字などの報告よろしくお願いします。