遊戯王ARCーV get back in the game   作:眉キー

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第三章 シティの新たなる夜明け-2

密かにあがってくる心の中への不安を押し殺して、通信機のスイッチを入れたまま地下デュエル場に赴く。

 

そこではデュエルが丁度終わり、黒咲が勝利したところであった。

 

ーー渋滞のせいで見損ねたか。まぁいい、後で録画資料をギャラガーに提出させよう。

 

 賞金が黒咲の手に渡り、嬉しそうに右手を掲げているのが見える。

 

 中々に激戦であったらしく、デニスは止まったホイールの上で拍手をしていた。

 

「ーーまぁ、問題はあるまい」

 

 私はそう呟きつつも、施設管理者のところへ出向いた。ーー時間を作らねば。私は自分から身を挺して動く事は大嫌いだが、どうしてもやらねばならない事がある場合は別だからな。

 

 

 ーー30分後。

 

「ーーどうも、私がこのシティの警察組織の上役……治安維持局の長官、ジャン・ミシェル・ロジェです」

 

「ーー何だ、俺に何か用なのか」

 

 会場からほどなく離れた地上のVIPハウス。祝勝会でライダースーツからコートに着替えた黒咲 隼は、いきなり不遜な態度をとってきた。

 

 無理もない、優勝取材のプレスか何かだと期待していたのだろう。 不機嫌が全身から溢れていた。

 

「……いや、昨日実はアナタのご友人のデニス君と接触をさせて頂きましてね。……まぁ、アナタたちの仲間、ランサーズという組織があるという事は知っていたのですよ」

 

「奴は別に友という訳ではない」

 

 ツンケンと刺々しい、黒咲。何やら苛立っているかの様子だ。

 

「ーーまぁ貴方方が、強い決闘者を探しているというのは分かっておりました。そこで、私から一つ提案があります」

 

「何だ」

 

「フレンドシップカップの参加枠を増大し、貴方方ランサーズの仲間になり得る戦力を発掘するプロモーションとしてはどうでしょう? この私たちのいるシンクロ次元と貴方方がよぶ世界、それはこのシティの外側にも続いております。ーーつまり、シティの外からも決闘者を招待するので、それまで少しお時間を頂きたい。ーーそして、それまで私のところのセルゲイやデュエルチェイサー達にエクシーズ召還を教えていただきたい。その代わり、我々からはチューナーモンスターを幾らか提供しますし、臨時にデュエルチェイサーの身分を与えましょう。お金も食事もこのシティの平均よりは素晴らしいものが得られますよ。正直スカウトをしたいところですが」

 

 そう告げたところで、黒咲の眉根が動いた。

 

「セルゲイ……!? あの男は貴様の部下だったのか?」

 

 その眼、興味を示した眼ですね。

 

「喩え元が凶悪犯罪者でも、更正すれば立派に社会人を勤められるのが、このシティです。前歴など関係しません」

 

 私はそう続け、ちらりと黒咲を見る。

 

「そしてちょうど今、セルゲイはとある犯罪者を追っております……なので、協力して頂けませんかね?」

 

 私がそう聞くと、

 

「ーーシティの地図と、セルゲイの現在位置を教えてもらおう」

 

 黒咲はゆっくりと頷いた。

 

「GXー573地区を南下しております。シティの地図はこのUSBをデュエルディスクで読み込めばアプリケーションがインストールされます」

 

 私がそっと手を出すと、ひったくるようにUSBを奪う黒咲。

 

 これは、乗ってくれましたね。力を望むタイプは、こうも御しやすい。

 

「ありがとうございます。Dホイールを出しましょうか? デュエルチェイサー用のマシンは競技用よりも高性能ですが」

 

 そう提案するが、

 

「無用だ。<バニシング・レイニアス>!」

 

 黒咲は窓を開けるとそのままモンスターを召還し、飛び乗って上空へ飛翔する。

 

「お、おい、何処へいく黒咲!」

 

「黒咲ぃ! 折角のパーティだってのに! こっちの御馳走全部貰っちゃうよ!?」

 

 権現坂とデニスがその姿を見咎めたが、

 

「貴様達は待っていろ! 後で戻る!」

 

 そう黒咲は告げ、飛び去っていったーー。

 

「はぁ……ロジェさん、どうしたんですかぁ? 黒咲は。なんか急いじゃって変ですねえ」

 

 こちらを見つけて、デニスが話しかけてくる。 こちらを探りにきたか。

 

「デニス君、いやぁ、惜しかったですね。あぁ、私がフレンドシップカップにてこ入れをして強い決闘者を集めると言ったら、飛び出してしまったのですよ。彼もまた、危険そうな人物ではなく安心しました」

 

「んー、まぁ、彼は危険と言えば危険ですけどね」

 

「……ほぅ?」

 

「彼は妹を探しているんですよ。エクシーズ次元というところで、アカデミアに浚われた妹を取り戻すために戦っているのです。だから中々、棘があって僕らにも心を開こうとしないんですけど。妹の事になると、とても一生懸命で」

 

「なるほど……黒咲くんは妹思いのよいお兄さんなのですね。彼は荒々しいが、強い大人になるでしょう。もしもアカデミアがこの次元に攻めてきてそれを捕らえたら、捕虜を尋問してその妹さんに関する情報を聞き出す事にします。私の組織で出来る事と言えば、それくらいですからね」

 

 そう相槌を打っておく。

 

 ーー以前の世界の情報と照らし合わせるに、デニスが浚ったという事だな。

 

そしてその女は、柊柚子と似ているという話だ。

 

 赤馬零王の考える事が少し気にもなる。まさかこの次元にもその顔に似た女がいるという事か?

 

 まぁ、今の段階で考えても仕方がない。あの男の作戦を知れれば優位は保てるが、今の段階で出来る事をするしかない……。

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