遊戯王ARCーV get back in the game   作:眉キー

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第一章 常盤色の光の中で-2

 公用車で帰宅して使用人に食事の用意をさせておき、私はバスルームへ向かう。

 

 屋敷の湯船は既に、赤い着色で満たされていた。

 

 ……私好みの、天然の入浴剤だ。シティ……トップスの中でも、限られた人物しか手にする事が出来ない品質のものだ。

 

 湯船から手で、湯を掬う。

 

 いずれ赤馬零児、そして零王もこの湯のような赤い血に沈めてやる。

 

 鏡に映った自分の顔が、笑みを浮かべているのが分かる。だが、油断はならないのは事実だ。

 

 ……赤馬零児。奴は前の世界でシンクロ召還とエクシーズ召還、さらに融合召還に加えてペンデュラムまでを操っていた。

 

 だが私とて多少の腕には覚えがある。アドバンスと融合、そしてシンクロ召還までは自己評価で甘く見ても100点中の98点は出来ていると考えがある。

 

 しかし……それでは、足りない。 全く足りないのだ。不服かつ、業腹だが、エクシーズとペンデュラムについてはほぼ全く、仕掛け以外は私には分からないと言ってもよい。

 

 此処はどうするべきか。

 

……以前の世界のタイミングでは、確か地下デュエルでエクシーズを行う者が現れた記憶がある。その後、フレンドシップカップへのスケジュールが密接に組み込まれていくことになったはず……。

 

 一応前もって老人たちにマークは付けておいたが、どうやら赤馬零児は既にこの次元にいて、奴らと接触したと見える。ならば……始末は既に不可能と見る。

 

……作戦変更だ。セルゲイをーーセルゲイ・ヴォルコフを、このタイミングで使わせてもらおう。

 

 やるならばあそこ、地下デュエル、そこにセルゲイを使うのだ。

 

 前の世界では奴はキングに感化されて心を持った後に無様にもコモンズの虫に破壊されてしまったがーーこの世界で私の右腕になるに相応しい能力が奴(セルゲイ)にはある。だから、奴をキングにぶつけるのは見送るしかあるまい。それに……万が一にでもユーリが来た場合、戦うならばセルゲイしかないのだから。

 

……今この私が考え付く最適解。

 

ギャラガーに連絡を取らせ、地下デュエルに介入。そこでセルゲイを使いエクシーズの力を男から聞き出し、ランサーズを解体させるーー。運がよければ私にエクシーズを扱う力が備わり、さらに過剰なるほどに私自身が完全無欠となるのだ。

 

……どうせ柊 柚子はすぐにフレンドシップカップに来る。 今度こそ私の勝ちが決まる。全て私の掌の中だ。

 

「フフフ……ハッハッハッハッハ……!」

 

 

 愉快になってくるが、笑ってばかりではいられない。カードの研究もしなければならない。セキュリティのデュエルチェイサーにも支給カードを増やし、サイドデッキの選択権利を与えなければ。

 

 ペンデュラムが魔法カードの一種なのは分かっている。魔法効果の矢をまず投入させ、ほかに……サイクロン、魔封じの芳香、封魔の呪印。なにがなんでも潰さねばならん。

 

 色々と対策を考えているとシンクロ次元に来たばかりの事を思い出す。

 

闘争、他人を蹴落としてでも這い上がらなければならないような過酷な競争。情報アドバンテージ、他人を出し抜く力。

 

 ーーこれだ。久しぶりに忘れていた、人間が生きようとする力の大切さを。

 

 未来よ、幾らでも私の前に立ち塞がるがいい。全て粉砕してくれる。

 

 

私は密かに、ほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 

 バスルームから戻ると、治安維持局からの連絡が入った。

 

なにやら通信報告によれば、デュエルチェイサー227はやはり敗れたとの事だ。

 

ーー一応今回も彼は確保しておくとしよう。榊遊矢相手には遅れをとったが、温存しておけば

奴はオベリスクフォース相手には役に立つだろう。

 

「……」

 

鍵を手に取り、貴重品を保管してある自分の机をそっと開ける。私はアカデミアの印の入ったデッキケースを手に取った。

 

ーーずっしりと重い、デッキ。【古代の機械】という。

 

私の原点であり、アカデミアの魂ーーそれであり、内心嫌っていて離れたくもあったデッキだ。

 

 だが、あの時 ランサーズ……そして赤馬零児相手にこのデッキを使ってしまった。本来はシンクロデッキを使うべきところを。

 

 それは即ち、私自身がアカデミアと決別したつもりでいて、それでも過去を振り切れていないということだ。

 

 

ーー今は使える知識を総動員して別のデッキで間に合わせるとして、エクシーズとペンデュラムを修得した後は……いずれはこのデッキを改造し、私の魂の進化を世界全てに魅せつけるしかあるまい。赤馬零王を討ち取るのは、このデッキを新生させた超アンティークだ。

 

 

新生したこの私、ジャン・ミシェル・ロジェの至高で強大なる力が、奴らを跡形もなく葬りさるのだ。

 

 

 

「……明日はプロモーターのギャラガーがデニスを見つけるといった時分だな……奴を通して、やれる事がある」

 

 時間は有限だ。動けるうちに動く、その信念こそが私をこの長官の地位までのし上げてきたのだ。

 

シティ最大のデュエル大会……フレンドシップカップの9戦目、そこに炎城ムクロとかいう奴ではなく、セルゲイをぶつける。

 

本当に扱い辛いあの馬鹿者だが、お前の好きな美しい者が見付かるかもしれないとでも言っておけばとりあえずは動かせるに違いない。

 

 その隙を狙い、私がデニスと接触すればーー。

 

 




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早速の感想ありがとうございます!
長官がデュエルで使うデッキも今何度かリテイクしつつ、
現実でそこそこに戦えるデッキとするつもりです!


追記10/02 誤字脱字指摘を受け微修正しました!
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