遊戯王ARCーV get back in the game   作:眉キー

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番外編です。


番外ーー デュエリストクラッシャーVS天翔ける隼

 それは、ジャン・ミシェル・ロジェがデニス・マックフィールドと会議室でデュエルを始める少し前ーー。

 

 

「黒ー咲! 黒ー咲! 黒ー咲!」

 

 相手の応援が犇くアウェイな環境で、セルゲイ・ヴォルコフは既に自身のDホイールに跨り、サーキットのスタートレーンで口に笑みを称えていた。

 

 ロジェに聞けばこの相手は既に今日までに8連勝をしているという。 ……なるほど、中々に噛み具合が良さそうな相手だ。 絶好の……獲物でもある。

 

「……貴様が、セルゲイ・ヴォルコフか。このシティを震えさせた犯罪者であったと言うが……本当か」

 

 鷹を思わせる鋭い目をした男ーー黒咲が、ゆっくりとDホイールを止めて横から話しかけてきた。

 

「……そうだ」

 

 その顔を観察するかのようにセルゲイは見ると、また前に向き直る。

 

20もいかない年齢だが……コモンズで一般的に見るような低質のライダースーツではない。そこそこのスポンサーがついていると見える。

 

「……娑婆にでてきたところで悪いが、俺は加減をする気はない。怪我をしたくなければ引っ込むんだな」

 

 黒咲はそうとだけ言うと、自身の準備が終わったと手でスターターに合図を行った。

 

 そろそろ、開始のようだ。

 

ーー今回もいつものように、第一コーナーを制した方が先行というルールだ。ただ、まだ此処は9回戦目なのでライフについてはお互い4000制となっている。

 

『それでは、デュエルを開始します! 両者スタート用意!』

 

 サーキットのBGMが変わると同時に、観客が黄色い歓声で盛り上がり始める。

 

 此処は賭けデュエルの場だ。オッズは知らんが、今も相当の金が飛び交っているだろう。

 

 デュエルモード、オン! オートパイロット、スタンバイ! フィールド魔法発動! 《スピードワールドネオ!》

 

 走るデュエルディスク……Dホイールから魔法が発動されレーンの周囲が、光に包まれた。

 

 3! 2! 1! ……

 

 カウントが始まり、こちらもエンジンを吹かさせる。

 

 いつ聞いても、この電子音声……悪くはない感覚だ。

 

『「デュエル!」』

 

 黒咲がロケットスタートを決めたが、セルゲイはその後に続いた。

 

 

「ーーほぅ、出来るな」

 

 走り出してすぐに、セルゲイは少し、驚いた。

 

 黒咲という男は……見た目より軽いと見える。 ほぼこちらがトップスピードでいるというのに、差が、縮まらないのだ。 Dホイールの出力がレギュレーションで決まっている以上、大柄なセルゲイは成人男性を大幅に上回る自身の体重もあり、直進における加速性能において不利を背負う。

 

 ……ストレートでは抜けんか。

 

 とはいえ、時速160kmを超える世界でのバトルだ。ドライバーが人間である以上、レースですら何かしらのミスをするというのにデュエルをしながら走るのでは最適な走りは出来ない。

 

 それ故に、セルゲイには付け入る隙があった。

 

 黒咲/LP4000   セルゲイ/ LP4000

 

 第一コーナーは、黒咲が、制す。

 

 先行権をとった瞬間、軽くガッツポーズを黒咲がしたのを、セルゲイは見逃さなかった。

 

「先行は貰った! 俺はRRーバニシング・レイニアスを召喚! さらにその効果を使い手札からRRートリビュート・レイニアスを特殊召喚! その効果でデッキから墓地にRRーミミクリー・レイニアスを墓地に送る! 墓地のミミクリー・レイニアスを除外し、RRーコールをデッキから手札に加える! さらに、自分の場にRRが二体以上存在するとき、手札から永続魔法、RRーネストを発動! デッキから、RRーブースター・ストリクスを手札に加える! そして、場の二体のRRでエクシーズ召喚を行う! 冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!飛来せよ!ランク4!《RR-フォース・ストリクス》! 俺はフォース・ストリクスのオーバーレイ・ユニットを取り除きデッキから鳥獣族・闇属性・レベル4のモンスターを手札に加える! 俺は二体目のRRーバニシング・レイニアスをデッキから手札に加える! 俺はカードを1枚セットし、ターンエンドだ!」

 

 

コースをリードしつつ走る黒咲。初動のラッシュを終えて尚、手札は4枚。

 

 (守)RRーフォース・ストリクス ランク4/闇属性/鳥獣族/攻 100/守2000

 

 セットカード 1 場 RRーネスト

 

 手札4

 

「フン……今のところは脅威は感じないが……面白くはあるな」

 

 Dホイールを駆るセルゲイは、その後ろを追走していく。

 

 ロジェに半ば無理やり連れてこられた地下デュエル場……普段は碌なことを言わないアイツの命令だが、決闘者の勘も後押ししたので素直にこちらに来てみたら、今回は当たりのようだ。

 

 ただ、融合は使うなと厳重に言われて妙なデッキを渡されたのは……気にくわんが。

 

 本音を言えば、簡易融合すら使うなと言うのはとても気に入らん。

 

 ーーまぁ、いいだろう。 美しくなければ速攻で潰すのみ。美しければ……丁寧に手折ってやるのみだ。

 

「ドロー!」

 

 セルゲイのドローの衝撃で、車体の後ろに風が巻き起こる。

 

「俺は魔法カード《エネミーコントローラー》を発動する。これによりお前のモンスターの貧小なフォース・ストリクスは攻撃表示になる! その100のボディを晒すがいい!」

 

「何ッ!?」

 

 黒咲の驚く声。流石に表示形式を変えられる事は、予想していなかっただろう。

 

「俺はさらに、手札から魔法カード《光神化》を発動! 手札のゼータ・レティキュラントを特殊召喚する!」

 

ゼータ・レティキュラント

 

星7/闇属性/天使族/攻2400/守2100

 

(1):このカードが墓地に存在し、相手フィールドのモンスターが除外される度に発動する。

自分フィールドに「イーバトークン」(悪魔族・闇・星2・攻/守500)1体を特殊召喚する。

 

(2):このカードは自分フィールドの「イーバトークン」1体をリリースし、手札から特殊召喚できる。

 

「……上級モンスターをリリースなしで特殊召喚か」

 

 黒咲は白紫の獣……ゼータ・レティキュラントを見て今度は然程脅威ではないといった様子で、呟く。

 

「この程度ではない。さらに緊急テレポートを発動! デッキから、レベル1チューナーモンスターのリ・バイブルを特殊召喚!」

 

 召喚に応じ、青い本が、フィールドに降り立つ。

 

「さらにチューナーモンスターだと?」

 

 

《7+1》

 

「心の闇より生まれし者、今、魂と引き替えに降臨するがいい! シンクロ召喚!脈動せよ、《ブラッド・メフィスト》!」。

 

 

ブラッド・メフィスト

 

星8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1300

 

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 

相手のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上に存在するカード1枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える事ができる。

また、相手が魔法・罠カードをセットした時、相手ライフに300ポイントダメージを与える。

 

 

「バーンを内蔵したモンスター……? それに2800とは、鬱陶しい……」

 

「フフ……攻撃表示のシンクロモンスターが召喚されたな。 だが……貴様。貴様は俺がまだモンスターを通常召喚していないことに気付いているか?」

 

「……っ」

 

 黒咲の目付きが変わる。

 

 「思い知らせてやろう! 俺は《カラテマン》を召喚!」

 

星3/地属性/戦士族/攻1000/守1000

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動する事ができる。このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、元々の攻撃力を倍にした数値になる。この効果を使用した場合、このカードはエンドフェイズ時に破壊される。

 

 セルゲイのフィールドに、胴着を纏った男が現れる。

 

 同時に黒咲の表情が歪んだ。

 

「カラテマンだと!? そんな弱小モンスター……ふざけているのか!」

 

「……俺は全く、ふざけてなどいないな」

 

 ……ふざけているのは、こんなデッキを渡したロジェだ。

 

「カラテマンの効果発動! カラテマンの攻撃力はエンドフェイズ時まで、元々の攻撃力を倍にした数値になる! この効果を使用した場合、このカードはエンドフェイズ時に破壊される!」

 

「うぉぉぉ!」

 

 カラテマンの身体がパンプアップされ、一回り身体が巨大になる。

 

「これで合計攻撃力は4800となる。 あっけなかったな」

 

 セルゲイはそう告げつつ、黒咲を静かに見る。

 

ーーいや、だがこの程度で終わってもらっては困る。もっと味あわせろ、貴様を。

 

「バトルフェイズに入る! カラテマンで貴様の攻撃力100のフォース・ストリクスを破壊する! 暗黒空手で葬ってやるがいい!」

 

 全身の筋量を増大させたカラテマンが、フォースストリクスに迫る。これが通れば1900の大ダメージとなる……だが、攻撃は中断された。

 

「……ッ! させるか! 俺は手札のブースターストリクスを除外し、効果発動! これを対価に貴様のカラテマンを破壊する!」

 

カラテマンが爆散する。ーーなるほど、凌いだか。だがーー甘いな。

 

「……俺を止めた、と思ったか?」

 

「何?」

 

黒咲が顔を顰める。

 

「……フィールドのモンスターが破壊された時、俺は手札の機皇帝ワイゼル∞を特殊召喚させてもらう!」

 

セルゲイは片手で、Dホイールのパネルを叩く。

 

同時にソリッドビジョンから5つのパーツが飛び出て巨大なる白銀の機械が出現し、無機質な赤い目が黒咲を見た。

 

 機皇帝ワイゼル∞ 星1 攻撃力2500

 

「……こいつッ」

 

古代の機械と似ている、そうとでも思ったのだろうか。

 

「バトル続行! 機皇帝ワイゼルの攻撃! ステンレス・スチール・スラッシュ!」

 

 ワイゼルの手が刀と化し、フォースストリクス……そして、黒咲を襲う。

 

「ぐぉあ!!!」

 

 黒咲LP4000→1600

 

 大爆発が起こり、黒咲のDホイールが減速する。

 

「獲ったぞ!」

 

その瞬間を狙い、セルゲイはホイールを急加速させ抜き飛び出した。

 

「……しまった!」

 

「フフフ……一瞬とはいえ油断するとは美しさが足りないな。機皇帝ワイゼルのデメリット効果により、ブラッド・メフィストは攻撃する事が出来ない。故にターン……」

 

「待て!」

 

 黒咲は、言葉を遮る。

 

「何だというのだ?」

 

 セルゲイは、不審げに黒咲をみやる。だが、黒咲は不敵な表情をしてきた。

 

「忠告は聞いておこう。だが、俺には戦う手は残されている……! 俺は速攻魔法ーーRUMーラプターズ・フォースを発動! 自分フィールドの「RR」Xモンスターが破壊され墓地へ送られたターン、自分の墓地の「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる! そのモンスターを特殊召喚しーー」

 

「無駄だ、機皇帝ワイゼル∞の効果発動! 1ターンに1度、相手の魔法カードの発動を無効にし破壊することができる! つまり速攻魔法であろうと無駄だ!」

 

 言葉を中断させると同時にワイゼルの手から光が発せられ、瞬時にRUMのカードを貫く。

 

「何だと!?」

 

「さっきの攻防、瞬時にカラテマンの攻撃に対応し、ブースターストリクスの効果を使ったところは褒めてやろう。あれがなければ貴様は続くブラッド・メフィストの2段攻撃を受けて即座に倒れていたはずだ。ただ、もっとも今の攻撃を止めなくてもカラテマンの自壊チェーンに反応し、俺はワイゼルを特殊召喚するつもりではいたがな」

 

「……何を偉そうに」

 

 顔を歪める、黒咲。

 

「ーーフフフ。強いて言うのならば、カラテマンは見逃してブラッド・メフィストの攻撃に合わせて魔法を使うべきであったか?」

 

「……黙れ! 俺に指図するな!」

 

「フン……勘違いするな。俺はこんなつまらない勝負で終えたくない、というだけだ。貴様の手札は3枚……次のターンどうするか、見ていてやろう。勝とうとする執念は認めるが……美しくあがいて見せるのだな」

 

 

 セルゲイはパネルをタッチし、エンドフェイズを宣言した。

 

 セルゲイLP4000 黒咲 LP1600

 

 黒咲 隼 手札3 場 0 バック RRーネスト

 

 セルゲイ 手札0 場 ワイゼル ブラッド・メフィスト バック 0

 




ちょっとデニスの部分で詰まっている為
(OCGにカップトリッカーもファイアーダンサーもいないしヒグルミにいたっては(ry)

ので先にこちらから書かせていただきました。


簡易融合縛られるとなかなかきついですよね、戦術的に。

ロジェ長官のエクシーズ対策のため、異次元で拾ったカードが少しずつ力を発揮し始めます。
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