【改稿版】 やはり俺の灰色の脳細胞は腐っている【一時凍結】 作:近所の戦闘狂
由比ヶ浜の依頼を解決した翌週の事。由比ヶ浜は結局クッキーを相手に渡せたのだろうか、そのクッキーを渡したのは誰なのか。ぶっちゃけそいつ滅べ――失礼、色々気になることはある。
だってわざわざクッキー渡すような奴だぞ? 絶対出来るだろ。
まぁ、依頼に関していえば彼女自身はそれで解決した様だったから、これ以上は何も言うまい。雪ノ下は少し不安げな様子ではあったが、「かまわんだろ」の一言で一蹴した。まぁ雪ノ下の気持ちも分からなくもない。これまでと全く違うやり方なんだ。不安を覚えない方がどうかしている。
閑話休題。今日、奉仕部の部室はそれまでと様子が違った。
俺が教室の右側に椅子を置き、左側には雪ノ下雪乃が座る。
窓から入り込む春風と、運動場から聞こえてくる声。
時計の秒針がチクタクと時を刻む。その音はこの教室内でも存在感を示す。
そして最も存在感がおかしいのが――
「それでよく見たら今ポタージュとコーヒーの缶が……ってヒッキー?」
「いや、何でもない」
御覧の通り、百合の花を咲かせる由比ヶ浜。
今週頭の部活始まってすぐくらいに「お礼」といってクッキーを貰ってから、毎日のように奉仕部に入り浸るようになっていた。その日は防衛任務が入っていたから五時ごろに部屋を抜けられたが、その後も部室にいたようだ。翌日の雪ノ下の憔悴しきった顔を見てすぐわかった。
しかもその翌日も来る。
その翌々日も来た。
最早「あ、そういえばいたな」と言い始める次元だ。物凄いスピードで雰囲気に溶け込んでいった。
普段は雪ノ下の隣を陣取り、まるで飼い犬の様になついていた。俺の席から若干遠い点に関しては絶対に言及してはいけない。絶対に。
少し遠目から二人を観察していると、ふと思うことがある。ただの百合にしか見えない……。
ゆっるゆっりゆっらゆっら~♪
話を戻す。
由比ヶ浜が雪ノ下に懐いてから何をしているかと言えば、何故か先ほどのような他愛無い話ばかりだ。由比ヶ浜が元々コミュニケーションが高いのもあってか、この部室の中でにぎやかな声が絶えない。
その光景は少し眩しくて。
こんな関係を友達同士と呼ぶのだろうか。少なくとも由比ヶ浜はそう思っていそうだな。
雪ノ下も、こんなにも純真無垢な人間を相手にしたことは無かったんだろう。反応を見ればすぐわかる。パーソナルスペースに躊躇いなく入り込んでいく由比ヶ浜に多少の拒否反応を示している。
しかし、彼女には悪意なんてものは少しも感じない。この感覚はおそらく長年ボッチ生活を営んで来た者ならわかるはずだ。それを雪ノ下も薄々と感じているようで、少しづつ態度が軟化していく。
だが、少し違和感もある。
彼女からは悪意は感じないが、何かを隠している気がするのだ。それは何か分からないが。
彼女とこれまであった事はあるはず無いし、何かをされた記憶もない。だから、初対面で何故俺のことを「ヒッキー」と呼んだのか――。
何かありそうだが、今はこれ以上考えないでおく。
――だって、この二人が本当に楽しそうだから。
☆
「ヒッキー! 一緒に部室行こうよ!」
相も変わらず元気なものだと思う。
さっき俺の方が先に教室を出たにも関わらず、クラスの友人たちに早々に別れを告げパタパタと追いかけて来た。
「ん。行くぞ」
俺は由比ヶ浜がある程度追いついたと思ったところで「まぁいいか」と思いゆっくり歩き出す。それを見て由比ヶ浜は置いていかれた子犬の様にしょぼんとしてしまった。
「ちょっと、待ってよぉ~…」
またパタパタと走りながら追いついてきたのを見て、歩く速さを落とす。
だが、俺としてはこの状況はあまりうれしくない。
由比ヶ浜は控えめに言っても「可愛い」女の子だ。学内カーストの最上部に君臨していることからも、その事実を裏付けている。
故に、俺は若干前を歩く。
決して隣には並び立てない、現状を表す様に。
「そういえばヒッキー?」
「なんだ?」
「うちの学校にいるボーダー隊員ってだれだろ?」
――来た。
これまで学校の方では話す相手がいなかった事もあり一度も聞かれたことは無かったが、上層部によるボーダーの宣伝が非常に上手いこともありボーダーはこの町のシンボル的存在だ。それ故日々の噂で「ボーダー」という言葉が交わされない日はないと言える。
ボーダーの公式サイトでは、どこの学校にボーダー隊員が居るかが紹介されているが、何人いるかは紹介されていない。まぁ、隊員の名簿は紹介されてはいるのだが。
去年までは三年生に「ボーダーの顔」こと嵐山さんがいたが、卒業と供に誰もいなくなったはずなのに学校が上がっていたことから、誰かボーダー隊員がいると話題になっていた。
――その話題の犯人、俺です。
なんて言える筈もなく。俺は教室の端っこでひっそりと過ごしている。
ぶっちゃけこの話題が上がった時、すごい居づらいです。
「去年までは嵐山先輩がいたけど、誰がいるんだろうなー? ヒッキーなんか知ってる?」
「……いや、何も」
「そっかー。さっきも葉山君たちと話題にはなってたんだけどね」
この話はマジで早く終わらせるに限る。いやマジで。
「なんか憧れるよねー! トリガーオン! ってさ!」
「そういや、昔そう言って女子にドン引きされてふさぎ込んだ奴がいたな。そいつ後でトイレですげぇ落ち込んでたけど。あれは笑ったな」
「うわヒッキー意地わる!」
いや、そりゃおもしれぇだろ。
ただそいつ、その後中二病拗らせてしまったんだがな……。
その後も由比ヶ浜と話しながら部室前まで着いた。
いや、着いたのは良いんだが。何故か雪ノ下が部室前でうろうろしていた。
いや何やってんだあいつ。
「どうした雪ノ下。部室は間違えてねぇだろ。」
「あら比企谷君。いえ、そうではなくて……」
何故か言いよどむ雪ノ下。埒が明かないので部屋を思いっきり引き開けた。
何故か吹き込む風。
何故か舞い散る原稿用紙。
もうそろそろ五月になるというのに何故かコートを羽織り、無駄に黄昏るバカ。
360度どっからどう見ても不審者だ。
「ぬぅ、漸く来たか……。待ちわびたぞ! 八幡!」
「場所間違えてんぞ。ほら、出口はそっちだ」
「うん、なんで窓の方指さしてるの? さりげなく自殺しろって言ってる?」
「ばっかお前。そんなことわざわざ口で言わなくても伝わるだろ?」
ってか素出てんぞ。
と、この不審者をどうにかしようとしていると雪ノ下と由比ヶ浜が気後れしながらも部屋に入ってきた。
二人とも怪しい人を見る目だ。
「あなたの知り合いのようだけど? 比企谷君」
「すまんな。こんな奴俺の記憶にない」
「モハハ―! 笑止! この剣豪将軍『義輝』のことを忘れるとはな!」
「と、こいつは材木座義輝。見ての通り心に病を負っている」
「知り合いじゃん!」
なんか一瞬材木座が俺の言葉にビクッと反応していたが、あえて無視しておく。
「見下げたぞ八幡……。かつては天命を共にしたというのに」
「体育のペア一緒になっただけだろ。んで、何の用だ」
粗方、散らばった原稿用紙を見れば分かるが。
「平塚女史に聞いたのだが、ここは奉仕部で相違ないか?」
「間違ってはないが、取り敢えず――」
俺は床に散らばっている原稿用紙を眺めて、心底面倒臭く思いながら。
「――この散らかした原稿用紙どうにかしろ」
「あっはい」
☆
「自作小説の感想が聞きたい……と」
材木座が自分で散らかした原稿用紙を拾い集め、いつもの面々が普段のポジションについてから話が始まった。
材木座は途中まで雪ノ下の前で中二を発揮してはいたが、流石は氷の女王、一瞬で陥落した。雪ノ下と由比ヶ浜に一応一通りの中二病の説明はしたが、材木座を屈服させるまでの手腕が流石だった。
「その気持ち悪い言動をやめてくれないかしら」「人の話を聞く時は目を見なさいと学校で教えられなかったの?」「何故もう四月下旬なのにコートを着ているの?そのグローブには何の意味があるのかしら。暑苦しいだけでしょう」
大体こんな感じだ。
雪ノ下自身には分からないかもしれないが、その言葉。中二病患者にとっては全部心にブスブス突き刺さるんだ……。
話が逸れた。
材木座曰く、「小説コンテストへ作品を応募したいらしいのだが感想を聞きたいから、読んでくれないか」とのこと。
「つまり私たちはこの小説の評価をすればいいと」
「はい……」
もう無残だ。
今にも土下座しだしそうな様子の材木座に思わず同情しそうになる。
「というかお前、兄貴に読んでもらうとかネットに投稿するって選択肢はなかったのか?」
「無理だ。兄上は一応忙しい身であるし、ネットは連中は、容赦がないからな。我死ぬぞ?」
なるほどな。
まぁとどのつまり、忙しい兄貴に迷惑は掛けられんし、ネットの連中に全否定されるのが怖いからここに逃げ込んできたと。まぁ、別にそれはいい。
ってなんでドヤ顔なんだよ。殴りたい。
「ってあれ? なんでヒッキー、中二にお兄ちゃんがいるの知ってるの?」
もう既に材木座の呼び名が中二になっている……。憐れ。それよりも由比ヶ浜、なんでこんな所だけ無駄に鋭い……。
「ケプコン、ケプコン! それはだな、我が兄義晴はあの――フゴァ!」
材木座の口封じ、完了。
「あれだ、昔こいつの兄貴に世話になってな。それでだ」
「ふーん?」
危ない……。こいつ何てこと言うつもりだったんだ。マジで焦った……。
一応納得はしてくれているみたいだ。嘘もついてないから問題ないだろう。
「まぁともかく、その依頼――承りました」
雪ノ下は依頼の承諾をする。まぁそれはいい。
いいんだが――。
「おい材木座。お前、明日までに心の準備しとけよ」
「何故だ?」
いやぁ……。何故って言われたら。
「そこにいるあいつ。――絶対にえげつないからな」
我らが部長様、ユキチェリーナ二世様だぞ。
☆
部活帰りに、夕焼け色で染まった歩道橋を自転車で渡る。
まだ夕日が落ちていないのを見て「まだ落ちてないのか」と歎息がでる。時間は既に十八時を四半刻程過ぎている。歩道橋からはビル群から外れて良く見ることが出来る。上を見上げれば半月が上っていた。
もう春分を過ぎたので、徐々に昼が長くなることを実感する。冬至を経るせいか、一日が妙に長く感じてしまう。
ふと横断歩道の前で信号が変わるのを待っていると、視線の先―横断歩道の向かい側―に飼い主と戯れる犬が見えた。犬は飼い主と戯れながら「キャンキャン」と、鳴いていた。
犬の飼い主はそのまま横断歩道を渡らずに歩道を歩いていく。犬の首輪に付けられたリードを話さないように握っていた。
車の信号が青から赤に変わろうという時、黒い漆塗りの車が駆け込むように過ぎ去っていった。
――あぁ、妙に既視感があると思えば。
アパートの部屋に戻ってから、ジャージに着替え制服を掛ける。
軽く食事をとってからが勝負だ。
それからは翌日の朝に至るまで材木座の小説とにらめっこだった。一応材木座には翌日来るように言ってあるから、とりあえず夜更かしでもしないと終わらなかった。読み終わるまでに八時間も費やしてしまったが、ぶっちゃけつまらんかった。結局話にオチがないし。二百枚近く書いておいて、その実はグダグダと文章を積み重ねた印象しかないまである。偶に「てにをは」の使い方を間違えているまである。
というか出てきた特定の登場人物、絶対にモデルがいる。こいつ等だけ妙にボロカスに言っているし、すぐに死ぬ。しかも言っているセリフが何故か聞き覚えがある。
なんか無駄に闇を抱えてんだな……。すげぇどうでもいいけど。
気が付いてカーテンを開けるともうすっかり日は上っていた。時計の時刻は午前6時32分。普段なら目を覚ましている時間だ。仮眠をとっても構わないが、この後起きられる自信がないからやめておいた。
朝風呂に入ってからはいつも通りのルーティーンで動き出した。マックスコーヒーを一缶開け、朝食を作る。
玄関の扉を開けると、誰に向けた物でもない声を。
「――行ってきます」
☆
クソねみぃ。今すぐ寝たい。
そんな愚痴を頭の中で消化しながら自転車を漕いで行く。時折眠気が襲ってくるが構わずペダルを踏む。
学校前に着くと、少し遅かったのか自転車置き場は殆ど占領されていた。
仕方ないので適当な場所を探して放置をしてやろうかと思っていたが、幸いちょうど一台自転車が止められるスペースがあったからぶち込んでやった。
「ヒッキーッ、やっはろー!」
と、そこで何故か元気そうな声をあげる由比ヶ浜が。ところで「やっはろー」って新しい挨拶か? キモイな。 漢字を当てると「
「どうしたの? 元気ないね?」
「どうしたもクソもあるか。あんな小説読んで元気有り余ってるお前がどうかしてるだろ」
「――ぁ。そうだね……。あれちょーおもしろくなかったねー。あたしもちょー眠いし」
「なんだ今の『ぁ』って。お前絶対読んでないな」
「そ……そんなことないし。これから全部読むし!」
「つまりこれまで全く読んでなかったと」
ある意味予想通りなのがイラつく。
早く席について寝たい。ここにいるアホを放置して俺は教室までの道のりをズンズンと進んでいった。
☆
時間は移って放課後。
授業は一通り寝たお陰で眠気はだいぶ収まった。ノート? んなもん一回の授業飛んだくらいじゃ問題ない。学年首席舐めんじゃねぇ。
部室には相変わらず雪ノ下が先についていた。
席に座りながら船を漕いでいるその姿はやはり絵になる。自他ともに認める美少女というだけあって、何時までも見ていられそうだ。少しづつ上昇する動悸に困惑してしまう。
しかし同時に、余りに無防備な姿をさらす雪ノ下を起こそうかどうか迷ってしまう。
冷静になれ八幡……! ここで起こそうとした時に誰かが部屋に入って来てみろ。犯罪現場で現行犯逮捕、弁論の余地なく牢獄行きだ。
逆に起こさずにいつもの定位置で本を読んでいたとしよう。入ってきた善意の第三者には冤罪を吹っかけられてもなんも言えねぇ……。
つまり、ここは部屋にいること自体が拙い。早急に回れ右をしようとすると。
「……んッ」
その少し艶めかしい声に思わず振り返ってしまった。
うっすらと瞼を開く雪ノ下と視線が重なったと思えば――
「……あら、不思議なモノね。あなたの顔を見た瞬間眠気が一気に飛んだわ」
「それはどうも。さぞ強烈な印象を与えますよ。俺の目は」
「ええ。その腐りきった目を見ていると何故か身の危険を感じるわ。その所為かしら」
「そろそろ危険人扱いやめてもらえねぇか?」
いつもの様に、お互いに毒を吐き合う。
見てくれに騙されなくて良かった……。こいつ、起こそうとしたらセクハラとかで訴えそうだ。
というか犯人扱いされなかったことに一番安堵している自分がいる……。
お互い寝不足なのは察し合ったのか、小説の話題に関しては何も話さなかった。
というか俺は話したくないが……。
少しして由比ヶ浜も来る。
「やっはろー! ゆきのん!」
「やっは――こんにちは。由比ヶ浜さん」
今さり気無くやっはろーって言いかけたな?
☆
「ゴラムッ、ゴラムッ! さて、感想を聞かせてもらおうではないか」
その後、材木座本人が到着してから評論会が始まった。
何故か上から目線なのは突っ込まないでおく。
――だってもっと突っ込む奴がいるから。
そんな俺の考えに応えるが如く、雪ノ下はいくらか前置きを置いてから話し出した。
「想像を絶するつまらなさだったわ。先ずタイトルが無駄に長い。心理描写が少なすぎる。その心理描写でさえ矛盾があるわね。ここで何故いきなりこの女の子は服を脱ぐのかしら。意味が解らないわ。ラブコメ的展開に持っていくのならこの女の子の気持ちが分からないといけないのに何故この主人公はことごとく無視するのかしら。ルビ振りに関しては良くわからないことが多いのだけれど、ここの『刃紅旋斬』、ナイトメアの要素がどこにあるのかしら。文章上の文法でさえ間違っているわね。ここの『頭痛が痛い』って二重表現になってるわ。そもそも『てにをは』でさえ間違えているわ。小学校で習わなかったの? それよりも気になる点があったわね。何故倒置法を無駄に多用しているのかしら。読みにくいわ。もしかして倒置法で喋るのがカッコいいと思っているのかしら。その価値観はすぐに捨てた方がいいわ。だって見ていて醜いから」
「ブフォ!!」
あ、血を吐いて倒れた。
きったねぇ花火だな。
でも流石にマジで材木座が死にそうだったから、雪ノ下にストップを掛けておく。雪ノ下はまだ言い足りなさそうな雰囲気だけど、一旦は抑えてくれた。まだあんのかよ。
ターンは変わって由比ヶ浜。
先ほどからずっとうつらうつらと船を漕ぎながら、声を掛けられたことでハッとするが……。
「なんだか難しい言葉、一杯知ってるね!」
「グボァ! ……八幡。お主なら――」
うわぁ、由比ヶ浜の奴えげつねぇ……。無自覚に材木座の心を抉ったぞ。
最早最後の頼みと――「お前なら理解できるだろ?」と訴えかけるその瞳を見る。もう材木座の心は折れ掛けていた。
俺は、二人の猛攻によく頑張ったな、と労うように。
「で、あれ何のパクリ?」
積極的に折りにいった。
「――ぶへぇぇぇぇえええ……」
説明しよう! こういうライトノベルを書いている連中にとって「あれ何のパクリ?」という言葉は心に突き刺さる。そりゃもう、すんごいくらい。現に材木座、ぶっ倒れた。
もう材木座は三角座りを決め込み、「ッァァァァァァァァァッァァァァァァァァァ~」と訳の分からん奇声を上げている。
流石に二人の視線がゴキブリを見る目に変わってしまったから材木座に声を掛ける。
「ま、大事なのはイラストだから、中身なんてあんま関係ないし気にすんなよ」
「ファ――」
あ、死んだ。
☆
「また、読んでくれないか?」
帰り際、材木座はふとそんなことを呟いた。
「はぁ? 何言ってんのコイツ、あんだけ言われてまだ足りないとか頭おかしいんじゃないの!?」
由比ヶ浜は最早材木座のことをただの変態としか見られず、雪ノ下も汚物を見る目に変わっていた。
しかし、俺は材木座の目が真っ直ぐなのに気が付いた。
その瞳は、格好をつけたいからだとか、周りから良く見られたいからそう振る舞う、みたいなそんな飾り物の感情を一切感じさせない。
書きたいことがあるから書きたい。
それが結果的に誰かの心に響き、それは巡り巡って書き手にとってもうれしいとなれば、それはもう作家病だ。
材木座義輝という人間は、もう立派な作家病だ。
そういう者にとって、描いた物語が誰にも評価されないのは何よりも辛い。
ならばせめて、誰かがちゃんと評価をしてやらないと。
「良いぜ、また持って来いよ」
「――感謝する」
材木座は今度こそ去らばとばかりに立ち去ろうとした。
「――ハァァアアアア!! 時間跳躍!」
バンッと扉を閉めて。
あの中二病だけどうにかならないのか……。
今話の感想の殆どが「原作そのままやんけ!」だと思うんですが、すっごい伏線混ぜてます。
おいおい回収しますけど、無意味に放り込んだ話ではないと思って頂ければ嬉しいです(言い訳)。