人と時代、どちらが先に変わる?
どちらが先に滅びる
どちらが先に消える
どちらが先に栄える
それとも、双方が変わることもなくこのまま進み続けるのか?
人がどうなろうが
時代がどうなろうが
世界がどうなろうが
時計の針は、永遠に止まることなく刻を刻み続ける。たとえ、なにもかもが消え去ったとしても
何時もなら夕方近くになると誰もいなくなる執務室で狐は一人、元帥から届いた書類をタメ息を吐きながら見ていた。
「面倒だな~」
どうやらまた、面倒事が舞い込んで来たようだ。元帥から届いた書類に書いてあった文を簡略化しまくるとこうなった。
『最近、軍の一部で艦娘の人身売買が行われてるから、それを秘密裏に潰せ。
潰した際に、そこにいた艦娘達についてはお主の判断に任せる。
追記
拒否権はない。
by元帥』
……実際にはこんな風には書いてないが、どんなに堅苦しい文書だろうが狐風に略すとこうなる。
「ホンット、面倒だな。かといって、無視する訳にもいかね~しな~」
「……面倒だけど準備するか」
襲撃準備を着々と整え始める。準備している際に、視界の端に壁に立て掛けてあるモノが映り動きを止めた。
「……一応、アレも持っていくか」
そう言って、壁に立て掛けてあったモノを手に取り一通りの構えを繰り返した後に、一度だけ頷き襲撃準備を再開した。
「さ~てと、準備も終わったし行く前に、たまには誰か連れてくか」
誰を連れていくか悩んでいると執務室の扉をノックしながら誰かが入ってきた。
「やあ、提督」
「ん? 時雨か」
「どうした」
「執務室の明かりが点いてるのが見えたから、気になって」
「あ~っと、確かにこの時間帯に俺が執務室にいること事態が無かったからな。そりゃ明かりが点いてりゃ、気になるか」
「普通はこの時間帯にもいるものだと思うよ」
「一部の普通が俺に通用しないのを忘れたか?」
「……それよりも、提督は何をしてたんだい?」
「買い物に行く準備だ。お前も来るか?」
「………」
時雨は狐の服装や持っているモノを見て、付いていくか付いていかざるべきかを考え始めた。その間、狐は暇そうに待っていた。
「今回は遠慮しとくよ(嫌な予感がするし)」
「そうか。ならば、留守番は任せた」
「うん」
そう言い残して、執務室から出ていって少ししたあと、何処かで「ぽい!?」と聞こえた気がするが、気のせいだろうと自分に言い聞かせる時雨だった。
ってなわけで、襲撃予定地にやって参りました~。早速侵入しますか。
「ストレス発散の意味合いも込めて、今日は久し振りに思う存分に暴れさせて貰いますかね~」
「入口は……アレか」
入口まで歩いていき扉をノックした。そしたら、名前を聞かれたので、狐はこう答えた。
「チーっす、三河屋で~す」
「……は?」
「醤油届けに来ました~」
「醤油?」
「判子かサイン、お願いしま~す」
「は、え?」
「どうかしましたか~」
「ちょ、ちょっと待ってろ。いま行くから」
建物内にいる人物は少しだけ混乱しながら扉を開けて出てきた。
「ゲホアッ?!」
瞬間に、顔面にパンチを一発と男にとって大事なところに蹴りを五発喰らって沈んだ。
「ファーストミッションクリア。
セカンドフェイズに移行する」
「提督さん」
「なんだ? 夕立」
「この人、放置しといて大丈夫なの?」
「大丈夫だろ」
「ならいいっぽい」
どうやら今回は夕立を拉致って来たようだ。夕立を連れて建物内に侵入を始めた。
その頃、狐と夕立が建物内に侵入を始めたのを知らない人達はオークションが始まるのを待っていた。
自分達に地獄への片道キップを満面の笑顔で持ってきている、味方からすらもドン引きするようなことを平然とやってのけるヤツが向かってきていることに幸か不幸か気付かないまま、オークションが始まった。
「それでは、オークションを開催いたします」
「エントリーNo.1番!、と一人ずつ紹介していきたい所なんだけど」
「今回は四人だけだから纏めて紹介する。あと、艦種は全員駆逐艦だ」
「一人目は若葉、二人目は初霜、三人目は江風、四人目は山風だ」
「紹介も終わったし、面倒だから全員連れてこい」
「「「アイアイサー」」」
「「「(司会者が面倒臭がっちゃダメだろ)」」」
「連れてきました」
「ご苦労さん」
「今回は一々、一人ずつやってくのも面倒だし四人ワンセットな、拒否権はない」
「「「(今回の司会者は横暴だな)」」」
司会者がどんなに横暴で在ろうが、オークションは順調に進んでいる。時折、外で見張りの悲鳴らしき声が微かに響いているが、
その内の一人が、何が起こっているのかを耳を澄まして知ろうとしていた。その際に聞こえた会話が、
「夕立、頑張ったっぽい?」
「提督さん誉めて誉めて~」
「はいはい、良い子良い子」
「夕立は良い子だね~」
「ってな訳で、このRPG7でソコの扉を爆破しような~」
「任せるっぽい!」
なんか色々と可笑しいとツッコミをいれるべきなんだろうが、その前に被害を最小限にすべく他の艦娘たちと一緒に身を伏せることにした。そして、扉が爆風と共に吹き飛んだ。
「「「!?!!?」」」
「何事だ?!」
「敵襲!?」
「テロか!?」
いきなり扉が吹き飛んだ事に驚いていると、誰かが扉があった場所から入ってきた。
「チーっす、三河屋で~す」
「三河屋っぽい」
この一言に対して全員の心が一致した。
「「「(嘘つけーーー!!)」」」
三河屋を名乗っているが、明らかに必要ないだろうものを持っていた。ざっと見ただけで、扉を爆破したであろうRPG、スタンガン、ナイフ、刀が見てとれる。そして、極めつけは、
「なんで艦娘の方は」
「「「犬耳なんかつけてんだよ!?」」」
これに対しては艦娘たちもうんうん、と頷いていた。
「似合ってないっぽい?」
「いや、似合ってるぞ」
「本当!」
「犬耳をつける前から犬っぽかったのが、犬耳をつけたことにより、更に犬っぽくなってきてるしな」
「「「(それって、誉めてんの?)」」」
「まぁ、フザケんのは此処までにしといて」
「「「(ただ単にフザケてただけなんだ)」」」
「お前で28人目」
「死神部隊!?」
「恐れるな、死ぬ時間が」
「「来ただけだ/だけっぽい」」
二人による虐さゲフンゲフン……楽しい楽しい(悪夢という名の)パーティーが開催されたのであった。悲鳴と共に。
「これで依頼の半分完了だな~」
「終わったっぽい?」
「まだ半分残ってるから」
「早く帰りたいっぽい」
「ちゃちゃっと済ませるか」
艦娘side
あの二人は敵じゃないンだよな? 何でか知らないけど、男の方が一人で此方の方に向かってきてるし。
そんなことを思っているといつの間にか直ぐ近くまで来ていた。そして、若葉が一歩前に出ていき挨拶を交わし始めた。
「ドーモ、狐=サン」
「若葉デス」
「ドーモ、若葉=サン」
「狐デス」
え、若葉の知り合いだったのか? いや、それよりもなンで二人揃って手を合わせて挨拶を交わして、お辞儀してンだ?
「イヤーーー!」
「グワ~~~!」
いやいやいや、なンでいきなり戦闘が始まってンだよ!? しかも、攻撃受けてる狐って呼ばれてた人物は声だけで実際は大して痛そうにしてないしよ。そして、初霜はいきなり戦闘を始めた若葉の名前を叫んでるし。狐と一緒にいた艦娘って、よく見たら姉貴じゃン。なンか止めるどころか応援してるしで、訳わかンねーな。
あっ、今度は応援してた筈の姉貴が向かってきた。
艦娘sideout
いや~、若葉がいるのにはちょっとだけ驚いたけど、元気そうでなによりだ。格闘戦の腕も少しは上達してるみたいだけど、まだまだ甘いな。
「隙ありっと」
「うわっ」
狐が若葉の足を払ってすかさず足首を掴んで持ち上げたことにより、戦闘が終わった。
「取り敢えず、久し振りだな~。若葉~」
「久し振りだ。狐」
「なあ、ものは相談なんだが」
「なんだ?」
「いま、ラバウルで提督をやってんだけどよ。鎮守府に来る気ってあるか?」
「狐のいる鎮守府か。悪くない」
二人は何事もないかのように平然と会話をしているが、若葉は足首を掴んで持ち上げられたままの為、宙ぶらりん状態が会話中も続いている。
「提督さん、早く帰ろう」
他の三人の勧誘に向かわせてた夕立がいつの間にか戻ってきていた。
「ん? 勧誘の方はどうだった?」
「三人とも鎮守府に来るっぽい」
「そっか、なら帰る前に大本営に往かね~とな」
「どうして?」
「一応元帥の依頼だし。
面倒だけど書類の手続きとかもあるからな」
その後、毎回恒例の元帥襲撃などを経て、四人全員がラバウル基地所属になった。
その際に、狐の事を知らない三人は、なんで当たり前のように元帥を襲撃してんの!? そして、襲撃された筈の元帥は何事もなかったかのように会話してんの?!と、驚きの連続だった。
三人は1日に色々とありすぎて心身ともに疲労困憊になった為、その日は狐を含めた全員で大本営に泊まることになるのであった。
「さ~て、速く刀の手入れしないと刀身錆びて使い物にならなくなるんだよな~」
「戦闘狂どもが来る前に終わらせれるかな」
狐はノンビリと刀の手入れをしていた。そして、手入れが終わると同時に戦闘狂たちが勝負を仕掛けてくるが、いつも通りに返り討ちに遭うのであった。