艦娘と自称狐   作:矛盾者

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善とはなんだ? 悪とはなんだ?
何をもってしてそれを
善とする
悪とする

神が定めたそれが善であり、悪であるとでも?
ならば、善も悪もなにもない
善もなければ、悪もない

善と悪
この二つだけでは世界は成り立ちはしない





第26話

 

 

「……大本営相手に戦争仕掛けてやろうかな」

 

いきなり何言ってんだコイツ的発言をしだしたのはいつも通り元帥からの手紙が原因だった。

 

『あるブラック鎮守府がクーデターを企んでいると云った情報を掴んだ。この事を表沙汰にするわけにはいかんから、その鎮守府の提督を秘密裏に消せ。

その鎮守府に所属しておる艦娘についてはお主に一任する。

 

今わかっておるブラック鎮守府はここで最後じゃ。頼んだぞ。

 

by元帥』

 

88㎜(アハトアハト)砲を持って(大本営を)襲撃するか」

 

「………」

 

そして、本日の秘書艦である不知火は先程からずっと無言で秘書艦の仕事をしている。………本音を言うならば、巻き込まれたくない。

 

「ハァ~、面倒だねぇ~」

 

「(その面倒事に巻き込まれませんように)」

 

「不知火~、ちょっとばかし出掛けてくるから留守番任せた。あと、俺が戻ってくるまでの間は提督代理な」

 

「お任せください」

 

そう言い残して部屋から出ていった。それから少しして、

 

「し、司令官!?」

 

「何だ? ブッキー」

 

「手に持ってるそれ、なんですか?!」

 

「ハルコンネン」

 

「ファルコンっぽい?」

 

「ファルコン、パ~ンチ」

 

「ぴょん?!」

 

「チッ、外したか」

 

外が騒がしくなってきたきたが、不知火は敢えて気づかない振りをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでクーデター企んでいるらしい鎮守府にやって参りました~。

何故か白昼堂々と隠れもせずノンビリ移動してたら執務室に侵入出来てしまった。……なんでだよ!?

なんで門番がいないんだよ?! おい憲兵、仕事しろよ。そして、なんで執務室に提督いないんだよ!

 

「(本来なら俺はボケ役であって、ツッコミ役じゃないんだけどな~。調子狂うぜ)」

 

執務室に到着するまでに誰もいないのはブラック鎮守府ではよくある事だからどうでもいいけど、人の気配が建物内からしてないんだよな~。

 

「これは捜さないとダメなのかよ。あ~面倒だ」

 

「んで、こっから一番近いのは食堂か」

 

 

 

食堂に着いたが予想通り誰もいなかった。大抵のことは想定済みの為、気にせず次の場所を探し始めた。

艦娘寮、工廠、倉庫と順に見て回るも、誰も見つからないまま時間が過ぎていく。

 

「……ハルコンネンⅡを建物にブッ放せば誰か出てこないかな? 出てくる前に建物がなくなりそうだけど」

 

ハルコンネンⅡ

別名デンドロビウムとも呼ばれている人間では持つことすら出来ない頭のおかしい武器。狐もパワードスーツを着用してやっと使用することが出来る。

 

え、威力? ある婦警がコレを使って一人で飛行船を撃墜したと言えばわかるだろう。

 

「まぁ、流石にもいまは撃たないけどな~」

 

「(地図によれば、何処かに地下に通じるエレベーターがあるらしい)」

 

「あれ? そういや~、工廠にエレベーターあったな」

 

……どうやら、探す手間が省けたようです。こんな感じで探している狐に対し、此処に所属している人達はと言うと、

 

 

 

 

 

「隊長、侵入者です」

 

「なに?」

 

「このままではエレベーターからの侵入を許します。憲兵隊を出撃させますか」

 

「A~C小隊を向かわせろ」

 

「出来れば生け捕りにして目的を聞き出せ、無理なら別に殺しても構わん、と伝えておけ」

 

了解(ラジャー)

 

今頃になって漸く狐が侵入しているのに気づいた。どうやら三個小隊を向かわせれば十分だと思われているようだ。いまの狐の状態からしたら捕まえるにしろ殺すにしろ足りない気もするが、主に装備的な意味で。

 

 

 

「そう言えば、何でいままで気付かなかった。門番は何をしてたんだ?」

 

「自分達との賭けごとで負けましたので、近くのコンビニまで飲み物を買いに行ってます」

 

「頼まれてたの買ってきたぞーって、あ」

 

「………」

 

「「「………」」」

 

「……お前ら、減俸な」

 

「「「そんなぁー!」」」

 

自業自得である。

 

 

 

sideout

 

 

 

 

 

 

 

お~っと、前方に武装した集団が待ち構えてんな。撃つか、撃っちゃおうか。ありったけの弾を前方集団に御馳走してやろうじゃないか。

 

「狙い撃つまでもねぇな。乱れ撃つぜぇ!」

 

此処からは阿鼻叫喚だった。狙いもつけずにハルコンネンⅡを撃ち続ける狐と、逃げ惑う憲兵。

 

「助けてくれ!」「小隊長が殺られた!?」「に、逃げろー!」「お、俺の腕が!」「ば、化け物!」「エレベーターまで後退だ!!」「ぐはぁっ!」

 

「ハ~ハッハッハッ! どうした!

これでお仕舞いか! 掛かってこいや!」

 

「野郎ブッ殺してやる!」

 

「逃げずに向かってくるヤツは、よく訓練されたヤツか、ただのバカだ!」

 

「総員退却ー! 退却ー!」

 

「逃げてるヤツは、相手との力差を冷静に判断出来るヤツか、腰抜けだ!」

 

最早どちらが悪役かわからなくなってくるような光景が繰り広げられている。そして、生き残っている憲兵たちはどうにかしてエレベーターに逃げ込むことに成功し、扉を閉めようとボタンを押すが、

 

open(オープン) the() sesamin(セサミン)!」

 

あと少しで閉まりきる扉を銃で無理矢理抉じ開けらるのを見て憲兵たちは死を悟った。

 

「…あ………あ、ああ…」

 

「憲兵諸君、御勤めご苦労。そして、さようなら」

 

エレベーターに逃げ込んだ憲兵は全員死亡。残すところ、司令部にいる数人のみ。

 

「ハルコンネンⅡの弾、無くなったな」

 

「まあいいや、重たいしパージするか」

 

ハルコンネンⅡをパージして、進み続け司令部に到着した。

 

「まぁ、いつも通り爆破するか」

 

狐 お得意の 扉 爆破が 炸裂した。

扉 は 吹き飛んだ。

内にいた 人達は 混乱した。

 

扉を爆破した後は、何事もなく終わった。

 

 

 

「これで全て終わったのかな?

そんじゃ、艦娘捜して勧誘するか」

 

捜し続けてやっとこさ、第一艦娘発見したんだけど、

 

「………」

 

「………」

 

ブラック鎮守府名物の目が死んでる娘だった。カウンセリングすれば治るかな?

え、無理? そこを何とか出来ない? あ、はい無理ですか。わかりました。

 

ってなわけで、次行ってみよう。

 

 

「何故だぁ~~~!」

 

ヒェ?!

 

第二第三の艦娘を見付けるも、目が死んでた。それに対して思わず大声で叫んだら、何処かで驚いたような声がした。

 

「………」

 

「そこかぁ~~~!!」

 

「ヒエーーー!?」

 

声が現在進行形で悲鳴に変わってきてる場所に向かって叫びながら爆走する。相手からしたら恐怖でしかない。

 

「お前かぁ!」

 

「ヒエーーー!?」

 

「お前なのかぁ!」

 

「ヒエーーー!?」

 

このよくわからないやり取りがお互いが落ち着くまで暫く続いた。

 

「さぁ、キビキビ答えてもらうぞ」

 

「あのー、何をですか?」

 

「貴様の名前は何だ!」

 

謎のノリで質問が始まった。

 

「え?」

 

「名前は何だと聞いている」

 

「ひ、比叡であります!」

 

「貴様は何故閉じ込められている!」

 

「わかりません!」

 

「なに、わからんだと?」

 

「はい。気が付いたら海上にいて、偶然通りかかった娘たちにこの鎮守府まで案内されてそのまま訳もわからずに閉じ込められました」

 

「あ~、ドロップ艦か。それって、つい最近か?」

 

「昨日です」

 

「そっか~、昨日か~」

 

「………」

 

「………」

 

「……マジで?」

 

「マジです」

 

「取り敢えず、この鎮守府についてだけど」

 

「はい」

 

「爆破工事することになって、一度完全に更地にして建て直すことに決まったからここに所属してる艦娘は他の鎮守府に異動しなきゃいけないんだよ」

 

爆破工事は完全なる嘘です。近隣の方達に爆発の音が迷惑なので爆破はしません。それでも鎮守府は解体して建て直すが。

 

「そうなんですか?!」

 

「そうなんだよ~」

 

「そしたら私はどうすれば」

 

「そこでだ。お前、此方の鎮守府に来ない?」

 

「いいんですか!?」

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

「よろしくお願いします」

 

狐は、ヒエーじゃなくて……比叡を手にいれた。

 

「んじゃ、鎮守府に行く前に大本営に行って色々と手続きだの報告だのを元帥にしないとダメだから急ぐか」

 

「わかりました!」

 

大本営に着いた狐は、何時ものようにダイナミックに入室するのであった。それを見ていた比叡は、

 

「85点!」

 

謎の点数をつけてた。

 

「なあ比叡」

 

「はい」

 

「それ、何の点数だ?」

 

「入室の点数です」

 

「そうか。どうすれば満点になるんだ?」

 

「入室するまでは完璧だったんですが、元帥がタメ息を吐いて頭を痛そうに抱えているだけなので85点です。元帥が驚いていれば満点でした」

 

元帥は狐の同類が増えたことに対して、これから起こりうるであろう被害を考えただけで、頭が痛くなってきていた。

 

「う~ん、元帥を驚かすのはキツいな」

 

「そこを驚かせてこそですよ!」

 

「そう言われてもな~」

 

「……お主らは何をしに来たんじゃ?」

 

「あっ、そうだった。例の件は一先ず終わったから、その報告に来たんだった」

 

「……そうか、終わったか」

 

「報告は以上だから、帰る」

 

「ああ、ご苦労じゃったな」

 

「比叡、行くぞ~」

 

「はい!」

 

比叡を引き連れてラバウル基地に帰っていった。戦闘狂たちに見付からないように細心の注意を払いながら。

 

 

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