英雄伝説~銃精と剣皇の軌跡~   作:猫の炊事場

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どうも、風邪をこじらせた猫です。
いやー、見事に風邪をひきましてね、瀕死でした。
それでは、何時にもまして稚拙な文ですが、どうぞ。


特別オリエンテーリング《終了》

カノン達の目の前に広がっている光景は異様の一言だった。

ゴールドスタチューが六匹、高位アーツを問答無用で放ってくる黄金の傀儡に対して、そのアーツを無効化し、回避し、時には受け流すリオの姿は時に修羅のようであってしかし可憐だった。

しかし、フィーとサラは何かに気がついたのか皆に声をかけ部屋を出るように伝える。

 

「いいから早くしなさい!あいつに限って有り得ないとは思うけど、最悪死ぬわよ!」

 

その言葉に戸惑い、若干の遅れを取りながらも部屋から最後に脱出したカノンはもう1度異常な光景を目にする。

まるで、面々が脱出するのを待っていましたと言わんばかりに先程までいた部屋が爆散した。

その部屋から出てきたのは黄金とはかけ離れた漆黒のゴールドスタチューだった。

 

「しまった...あいつ戦闘狂(バトルジャンキー)の気があったんだわ...あんたら早く階段の上まで上がりなさい!」

顔面を蒼白にしてサラは生徒達の避難誘導にあたる。しかし、最後に部屋を出たカノンは若干他の面々と距離が離れてしまっていた。

そして、今回はそれが仇となった。

未だ部屋から出てきていないリオを最初のうちは六匹のゴールドスタチュー全てが気にしていたが、痺れを切らしたのか周囲に無差別にアーツを放ち始めた。

その危険性を知っているフィーは未だ数アージュ離れているカノンの元へと走り、救出に向かう。

しかし、フィーがカノンの手を取り走り出した瞬間、水属性のアーツの一つが二人の元へと飛来した。

サラが走ろうとするも高速で飛来するアーツから二人を抱えて逃げる事なと時間的にも距離的にも不可能で学院生活が始まったばかりなのに二人の生徒を危機に晒したサラは先程よりも更に顔を白くし、2人はその場にうずくまってしまった。

そして、アーツが二人に直撃する刹那、サラの目にはこの顛末の張本人が現れたのを目にして、胸をなで下ろしていた。

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

アーツが直撃するその瞬間、フィーとカノンの前に白い壁がそそり立った。

アーツの衝撃によってパラパラと舞う壁の破片は全て紙でできており、その瞬間、二人は助かったと思いホットした。

 

「あー、悪ぃ悪ぃ。ちょこっと手間取って遅くなったわ。ま、安心しなされ、もう大丈夫。」

 

背後を向くと、そこには背中から生やした紙の翼で自分と二人を覆うようにしながらはにかんだリオの姿があった。

 

「ん、リオ、遅すぎ。来るのは分かってたけどハラハラさせないで。私は大丈夫だけど、カノンが怖がってる。」

 

ジト目で睨みつけるフィーの言葉通り、フィーの側ではカノンが小動物のように小さくなって震えていた。

 

「あぁ...悪い。まあ、あれだ、もう大丈夫だから安心しろ。」

 

それに対してリオは後ろ頭を掻きながら苦笑いする。

 

「アストレイ!君は一体何者なんだ!」

 

「ん?俺か?俺は単なる一学生だぞ。」

 

そんな話を中断するように階段を上がった先にある高台からワカメことマキアスが怒鳴りかけてくる。

それに対してリオは背中の翼をはためかせ、飛行というより、滑空しながらマキアスの元にいくと、さらっと言ってのけ、下で暴れているゴールドスタチューの元へと飛んでいく。

 

「サラ教官、リオ・アストレイとはいったい何者なんですか?」

 

「あいつ?あいつはねー...大陸屈指の遊撃士よ。」

 

「え?...ゆ、遊撃士?!」

 

「えぇ、そうよ。特別A級遊撃士【呪剣(じゅけん)】のリオ・アストレイ。これがあの子のあの実力の正体よ。」

 

「しかし、サラ教官。遊撃士になるにはリオは年齢が足りない気が...」

 

「あぁ、そのことね?ちゃんと特別って付いてるでしょ。あいつはA級遊撃士五人の推薦+遊撃士協会への直訴(かちこみ)によって特例で認められたのよ。」

 

リオにはぐらかされたマキアスに変わってリィンがサラにリオの正体を聞くと数々の驚愕の答えが帰ってきた。

本来なら、年齢制限で取れるはずのない遊撃士の資格、しかもA級の資格を、更に二つ名を持つリオの驚愕的な実力、その片鱗に触れた気がしたリィンはまた一つの疑問が浮かぶ。

 

「しかし、サラ教官。今のこの魔獣の状態はどういう事ですか?明らかに暴走しているのも何かリオが関わっているんですか?」

 

先程まで金色に輝いていた魔獣は今や漆黒となり破壊の限りを尽くしている。

 

「ああ、そのことは俺が答えるよ!」

 

下のホールでその翼の機動力を使って魔獣からの攻撃を全て遊ぶように避けていたリオはリィン達を見向きもしないままリィンの疑問に答える。

 

「こいつらは、錬金術によって創られた人造魔獣だからな。式神使ってその行動プログラムにちょこっと干渉してやったんだ。そっちの方が面白いだろ?」

 

何やら物騒なことを呟いているリオはその間も旋回や急停止なども駆使してゴールドスタチューの攻撃を全てかわしていた。

リオの返事を聞いたⅦ組の面々はフィーを除いて皆一様に固まっていた。

 

「こーらー、リオ!あんた、いい加減そいつら片付けてちょうだい!」

 

こうなることを予期していたのかサラはため息を吐きながらリオに檄を飛ばす。

すると、リオも渋々と言わんばかりに納得したのか。その行動が一変する。

今まで交わすことに徹していたリオの動きは一瞬のうちに敵の自爆を誘う動きに変わり、壁蹴りなどを駆使して敵を翻弄し、いつの間にか、ゴールドスタチューを一箇所に纏めていた。

 

「さーて、そんじゃいきますか!【七曜の力よ我が剣に集い災厄を滅し、天地に安寧をもたらせ。我が翼よ、疫を縛り、幸を齎し、安寧を永遠のものとせよ。】【奥義・皇廛斬】!!」

 

魔獣の真上に立ったリオはその場で呪術の詠唱を開始する。

それを好機と見たのかゴールドスタチューは一斉にリオにアーツを放つ。

しかし、それはリオに届くことは無かった。

アーツが放たれた瞬間、リオの背中に生えていた紙の翼が輝いたかと思うと一瞬にして鎖に変わり、ゴールドスタチュー達を縛り上げた。

そして、縛り上げられたゴールドスタチュー達の上から翼を失ったリオが重力に身を任せ、その中心へと突っ込んだ。

その瞬間、辺りに砂埃が立ち込めその砂埃にリオのが姿が時々映される。それはまるで、舞っているようであり、綺麗でありながら過激だった。

砂埃が晴れて、魔獣とリオが居た場所には肩に付いた埃を払っているリオの姿のみがあった。

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「あー、昼間はやりすぎたか。...それにしてもめんどくさい事になってきたな。」

 

時間は過ぎて夜となったトリスタの街には朝のような活気はなく全てが寝静まった様なそんな雰囲気が立ち込めていた。

自室の窓を開け放ち、そこから足を投げ出してまだ少し冷たい夜風を浴びていたリオのその手には昼間リィンに渡した小鳥型の式神があった。

 

「はぁ...どいつもこいつも、あちこちで好き放題しやがって。」

 

その小鳥は何をリオに伝えたのか、役目が終わったとばかりにリオの手の上で灰になる。

リオはもう一度式神を飛ばそうと足についたホルスターから同じものを取り出そうとする。

しかし、そこで突如聞こえたノックによってその行動は中断される。

 

ーーーコンコン

 

「リオ、今いいか?」

 

扉の向こうから聞こえてきたのは意外でもなんでもなくリィンの声だった。

 

「あぁ、リィンか。別に暇だしいいよ。鍵は空いてるぞ。」

 

窓に腰をかけたままリィンを招き入れたリオは流石にこのままじゃ不味いと思ったのか窓を閉めベットに座るように促す。

しかし、リィンはそれを手で遮り一言。

 

その力はどうしたんだ?(・・・・・・・・・・)

 

とだけ聞いてきた。

 

「あぁ、そのことか。お前と同じ異能だよ。といってもお前みたいに混じってるんじゃなくて飼ってるんだがな。」

 

別段意外でもなかったリオは特に控えることもなく欠伸をしながら答える。

あっけに取られたリィンはそれ以上は何も聞かず下で改めて自己紹介をやっているから来たらどうだ?と聞く。

 

「え?まじ?俺またハブられてたの?」

 

最初の質問よりその事の方がダメージが大きかったのだろう、リオは急いで下に降りて行った。

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「ーーーって訳だ。ま、今は遊撃士は休業してるし一学生として仲良くしてくれ。」

 

サラが既に経歴をばらしていたので簡単な自己紹介のみに済ませたリオは他の面々からの苛烈な質問攻めを予想して身構えていたが、しかしそんな物はひとつも飛んでこなかった。

 

「さあ、今日は疲れたしみんな飯にしないか?料理番は交代制ってことにして皆で交代ごうたい作ろう。」

 

既にある程度のリーダー性を確立していたリィンの一言はリオを本気にさせるには充分だった。

 

「あぁ、料理なら任せてくれ。これでも依頼で店務めが多くてね。ある程度の料理スキルは身についてるぜ。」

 

皆が止めるのを聞かず腕まくりをしながら厨房へ向かうリオは特別オリエンテーリング以上に闘志が漲っていた。

 

その晩より当面の間リオが専属のコックになったのは語るまでもない。




読んでいただき、ありがとうございました。
皆様も風邪にはお気をつけお。

感想、批評、誤字脱字報告は感想欄まで宜しくお願いします。
それでは、次回お会いしましょう。
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