西暦2205年――――。
自分がここに転生してきて最初に思ったことは、何だったろうか。
未来都市なのに怪異と共存してることの違和感だったか。それとも随分昔にしたゲームの世界に来たことの驚きだっただろうか。
目の前に立つ政府の使いとしてきた黒服スーツ達を見ながらぼんやりと思う。
彼らの説明によると、自分は審神者としての適性があるらしい。
婉曲にごちゃごちゃ言ってるが、つまり審神者になることは断ることはできないらしい。
「・・・審神者は誰にでもなれるわけではなく、貴方様はまさに選ばれた人なんですよ!ですから、」
「いいですよ。審神者になっても。」
「え、、。は、はい。ありがとうございます!この契約書にサインしてもらえますか?」
すぐ了承を貰えると思っていなかったらしい黒服は、大慌てで鞄から契約書を出してきた。
ざっと流し見ると、こちらが思っていたことは抜け目なく記載されている。いわく―――
・審神者の居住区(以降本丸)は政府から支給し、審神者に選択する権利はない
・審神者の生活必需品及び業務必需品は政府が支給する(上限あり)
・審神者は政府が指定するノルマを達成する必要があり、ノルマが達成できない場合はペナルティが発生する
・支給後の本丸及び顕現された刀剣男士は審神者の所有物として全権限は審神者にあり、本丸内及び刀剣男士に関わる如何なる事象についても政府は責任を持たない
・刀剣男士及び本丸に異常が見られ(穢れが見られるなど)、原因が審神者である場合、政府は審神者の全権限を剥奪する
他にも色々書かれているが、重要な所はこの5つだろうか。特に下2つは重要だ。
政府としては問題が起こっても言い逃れできるようにしているのだろうが、審神者にもメリットがある。異常が見られない限り、本丸内と刀剣男士については政府より権限が上なのだ。
衣食住の保障と自分の領域での権限。このことさえ確認できれば、後のことは些細なことである。例え。例え審神者の生を保障する文言が見つからなくとも。
ひっそりとため息を吐いて、契約書にサインをした。
「ありがとうございます!では私共は失礼します!」
黒服は小躍りしそうなほど喜色満面の顔で契約書を受け取り、神速で鞄にいれて帰って行った。鮮やかすぎる去り際だ。もう何も言うまい。
―――ゲームをしていた頃に流行った二次創作にあるブラック本丸とやらでなければいいなぁ。
心の中で嘯くが、これだけ黒服が契約を急いだのだ。
何か訳ありですと言ってるようなものだ。
こうして私は審神者になったのだった。