メディアの魔術技量や知識と、イリ姉ぇの魔術特性や知識が、驚くほど相性が良かったことは非常に嬉しい誤算だった。
もともとメディアは聖杯から読みとった情報だけで聖杯の大枠を理解し、サーヴァントの身でありながら歪みが出たとはいえ確かにサーヴァントを召喚するなど、聖杯戦争のシステムに曲がりなりにも介入できる技量があった。
それに加え、システムを構築した御三家の所有する正確な情報と、さらにはある程度過程をすっ飛ばして結果を出せるイリ姉ぇの魔術を手札に得たことにより、曲がりなりにしかできなかった介入をよりスムーズに行えるようになったのだ。
「「「 ────── 告げる 」」」
召喚に適した英霊が限られているなかで、『彼』は必須と言ってよかった。だが元がシステムに強引に介入した結果のバグのような存在だったので、意図的に召喚しようとして成功するかは賭けだった。それがメディアの介入能力の向上により、俺の説明する存在を確実に召喚できる
「 汝の身は我が下に、我が命運は汝の “
「 汝の身は我が下に、我が命運は汝の “槍” に 」
「 汝の身は我が下に、我が命運は汝の “手綱” に 」
他の候補は一人はすぐに決まった。後の展開は読めなくなるが、それを受け入れざるを得ない状況でもある。俺達は圧倒的有利な位置にいるが、完全に自由なわけでもない。外しきれない枷はあるのだから、その条件下では『彼』を自陣に収めるのもまた、必須だった。
「「「 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 」」」
あとの一枠は、その枠を用意するか否かすら考えた。
だが二人目の候補のデメリットそのままだが、枠を明け渡した相手が、英雄王のような、一発で全てをひっくり返すような未知の
「「「 誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者 」」」
それでもできれば
「 されば汝はその身に
汝、刃の中に躍る者、我は道先を歩む者── 」
「 されば汝はその脚に風雷宿らせ侍るべし。
汝、
「 されば汝はその腕に
汝、朋の手綱を手繰る者、我はその道を示す者── 」
…………願わくば。誰もが幸せになれる、そんな都合の良い奇蹟を。
「「「 汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――! 」」」
極光の残滓の中、その姿を現したのは。
紺色の雅な陣羽織に異様な長さの長刀を帯びた、耽美なる
青い全身装束に血のように紅い槍を携えた、精悍な
そして黒を基調とした挑発的な装いに身を包み、眼帯で顔を隠した
ここに、『衛宮』が率いる全ての戦力が、揃った。