Sadness Red Wing~悲シミノ赤キ翼~ 作:§シロヘビ§
その日、夢を見た。
「平和」を形にしたかのように穏やかなこの天界が崩壊する夢。
「……うーん…またあの夢かよ、休日くらいはもっとぐっすりと寝かせて欲しいな。」
この特に何の特徴もない喋り方の奴は天界に君臨する、「固体」を司る神、「ソリッド」の守護者であり、本作の主人公、「エイル」。
現在休暇中。
【1日目】~タイヤ味のグミ…だと!?~
?「おーい、エイルー!今日発売のグミ、食ってみろよ!!」
早朝からやかましいコイツは「クロウ」、鳥人族でエイルのお友達。
エイル「何?この黒光りしたグミ…絶対マズいよね?」
クロウ「いや、俺もまだ食ってないからさ、お前から食ってみてよ。」
エイル「え、じゃあ一個貰うな。」
エイルは黒光りする新発売のグミを口にした。
エイル「…………~ッ!!?」
クロウはエイルの反応を見て笑っている。
エイル「この独特な味…まさかこれは……タイヤ!? 今にも吐きそうなんだけど…。」
クロウ「そう、タイヤ味w ヤバくね?ww」
エイル「クロウ…お前ぶっ飛ばしていいか?」
こうしてエイルとクロウがいつものように喧嘩をしているうちに、この日は特に何もない平和な時が流れていった。
…と、思っていたが、このままではクソも面白くない初日になるので最後に文を付け足します。
夜も少し明けてきた頃、エイルが家に帰るとき、北の山の空が血の様な色に染まっているのを見た。
エイル「あれは神殿の方角だ!ソリッド様達に何かあったのか…!?」
当たり前です。何かなければお話が進みません。
エイルは神殿へと向かう道を走っていった……
【2日目】~滅びの翼~
日が昇った頃に神殿に着いたエイルは言葉を失った。
平和の象徴である天界の神殿が無惨に壊され、辺りには神々に仕える者達の死体が転がっていた。
エイルは真っ先にソリッドが祀られる神殿へ行くと、そこには真っ赤な翼を持つ男と、その足元には原形が解らない赤黒い肉塊が転がっている。
赤い翼の男「よォ、エイル。遅かったじゃねェか。待ちくたびれたぜ?」
エイル「何故俺の名を知っている!?それに、ソリッド様はどうしたんだ!!」
赤い翼の男は足元の肉塊を蹴ると言った。
赤い翼の男「人の名前くらい脳信号を読めば簡単にわかるさ。あァ、それから…ソリッドは俺が殺した。このゴミの塊がそうさァ!!ヒャハハハハハ!!!」
エイル「…ろす」
赤い翼の男「あぁン?聞こえねェなァ!」
エイル「殺す!テメェだけは!絶対に殺してやる!!」
エイルが腰に差した剣を抜き、切り上げると、赤い翼の男はそれをバックステップで軽々とかわす。
赤い翼の男「おォ、危ないねェ。今度は俺様の番だぜェ!!?」
赤い翼が一瞬光ったと思うと3メートルほど前に居たはずの男が後ろに立っていた。
エイルは振り返る隙もなく何かに吹き飛ばされ、神殿の壁を突き破って倒れた。
赤い翼の男「おいおい、こんなもんで死なれたら面白くないじゃねェか。もっと楽しませてくれよォ。」
男がそう言うと、エイルはまた見えない何かに吹き飛ばされた。
赤い翼の男「お前が弱すぎるから飽きてきちゃったなァ、お前、本当にソリッドの守護者か?まァ、いいや、そろそろ終わらせようか。」
と、言い終わった男に腕を掴まれたと思うと、エイルは下界へ繋がる穴のすぐそこにいた。
赤い翼の男「お前は下界でふらふら冒険ごっこでもしてるといいさァ!!」
エイル「……クソッ、何だこの力は…まるで空間そのものを相手にしているみたいだ…ッ!」
赤い翼の男は指をエイルの額に置くと、エイルにエネルギーを注ぎ始めた。
エイル「ぐ……ッ!!頭がぁ!痛いぃ!! ううぅ…」
エイルは気を失った。
赤い翼の男「…クククッ、これでお前の記憶は全て消えたはずだ、だが俺様は優しいからなァ、お前の名前くらいは残してやったぜェ!ヒャハハハハハッ!!」
そう言うと、男はエイルを下界へ繋がる穴に落とした…