Fate/kaleid liner エドモン☆ダンテス   作:雛宮メリー

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2話 裏舞台一枚目 嫉妬

夜になりました。

え?時間が飛んだ?いや、学校じゃ特別なことなど何も無かったし……。

強いて挙げるならばくたびれた様子のイリヤスフィールの鞄からカレイドステッキ氏が一瞬、覗いていたことぐらいだな(全力でスルーしました)。

 

「切り替えよう。ここからはお仕事だ」

 

時間は午後11時55分。彼女らの初戦闘の僅か5分前。

穂群原学園高等部の体育館。

神の依頼である散らばった七枚。その一枚目のカードは、ここに出現する。

 

「おっと、急がないと向こうに気づかれかねないな」

 

腰のホルダーから復讐者(アヴェンジャー)のカードを取り出す。

 

「変身」

 

カードが輝く。体育館を一瞬、明るく照らしそのまま光は収まった。

 

「完了」

 

コートにポークパイハット、青白く光る雷光。独特の髪型。

モンテ・クリスト伯爵。またの名を巌窟王、エドモン・ダンテス。

俺の姿は彼のソレへと変わった。

 

「半径1メートルで反射路形成。

鏡界回廊一部反転……《接界(ジャンプ)》」

 

さぁ、初陣だ。

 

ーーー

 

ーーー人を羨んだことはあるか?

己が持たざる才能、機運、財産を前にしてこれは叶わぬと膝を屈した経験は?

世界には不平等が満ち、ゆえに平等は尊いのだと噛み締めて涙に暮れた経験は?

答えるな。その必要はない。

心を覗け、目を逸らすな。

それは誰しもが抱くゆえに、誰ひとり逃れられない。

他者を羨み、妬み、無念の涙を導くもの。

嫉妬の罪。

 

監獄塔に復讐鬼は哭く『第一の扉・黒髪鬼』より抜粋。

 

ーーー

 

鏡面界に入ってすぐに気づいたのは

 

「歌?」

 

体育館の中央。そこに、顔の半分を仮面で隠した黒髪の男がいた。

その喉から発せられる声は美しく、その姿は悍ましいまでの異形。

鋭い爪、仮面、歌。

ここまでくればもう分かるだろう。

そう、

 

オペラ座の怪人(ファントム・オブ・ジ・オペラ)

 

今の彼は美しき声を求め、醜きものの全てを憎み、嫉妬の罪を以て襲いかかってくる化け物。

 

『ララララ♪』

 

彼は歌う、嫉妬を。

人の業たる、他者を、世界を『妬ましい』と思う感情(こころ)を。

爪を振るい襲いかかってくる彼を見据え、俺は

 

「砕け散れ、嫉妬の化身よ。

お前の出る幕は此処じゃない」

 

問答無用で右手から光線を放った。

 

ーーー

 

「チッ、やっぱこの程度じゃ終わらないか」

 

光線を切り裂き現れた黒髪鬼は勢い良く突進し、俺の目の前にまで急接近する。

だが、この程度なら捌き切れる。

すかさず両手に青黒い炎を纏い、《巌窟王(モンテ・クリスト・ミトロジー)》によって身体を鋼のような硬度へ変える。

奴が振り下ろした爪を右の拳で真正面から殴り飛ばし、カウンターとして左の手で喉を掴む。

 

「終わりだ」

 

ズドンッ、という轟音と共に喉を光線で貫かれた黒髪鬼はあっさりとその姿を消し、床に残ったのは一枚のカードのみであった。

 

「……まずは、一枚目」

 

俺はカードを拾い上げると余韻に浸る間もなく素早く撤退した。

まだ一枚目。こんなところで正体がバレるわけにはいかないのだ。

 




散らばったカードに関すること その1
この世界の人間にはこのカードが発生させたオドの歪みを感知できない。
更にタチの悪いことに近くの歪みに寄せられて正史に介入してしまうことも……?
重戸は神様マニュアルによって位置が特定可能。
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