無限の成層によるDies irae   作:アマゾンズ

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「あらゆる世界の可能性が彼女達に集まる・・」

「ああ・・君達は我等に見せてくれるというのか」

「私とわが友に未知をくれると」

「感謝したい、今一度君達に」

演説・水銀の蛇


第十七劇 半身の喪失

作戦行動開始時刻となり、千雨は愛機である白式・春雨を展開した状態でセシリアのブルー・プラネットの上に乗っている。

 

「私が決めてみせるから!」

 

「ええ、お願いしますわ。千雨さん」

 

ブルー・プラネット。それはブルー・ティアーズを束が改修し、生まれ変わらせたセシリアの新しいISである。

 

コアはそのままに、ボディが強襲型高機動多数戦用という形に生まれ変わり、ライフルは小型に改修された物が2丁、接近戦用のレイピアが2本、最大の特徴であるビット兵器はブルー・ティアーズの三倍の数になっている。

 

 

男性操縦者の二人、騎士団所属の三人、セシリア以外の代表候補生の三人、そして新たに専用機持ちとなった箒がISを展開し、待機する。

 

「作戦開始だ!」

 

千冬の号令と共に全員が出撃する。その中でも群を抜いているのが紅椿とブルー・プラネットだった。

 

紅椿は第3世代にまでパワーダウンさせているとはいえ、元は第4世代のISである為、他の機体に着いて来ている。しかし、操縦者の熟練度が低いためか、箒は移動中に機体に振り回される場面もあった。シャルロットとラウラのアドバイスで速度に慣れ始めている。

 

ブルー・プラネットは他のメンバーと離れないよう速度を調節しながら先頭を進んでいた。

 

束が改修した事もあってセシリアは喜んでいたが機体のピーキーさに慣れるので必死だ。速度をある程度、落としても第3世代と同等のスピードに驚愕する暇もない。

 

事実上、実戦での慣らしというセシリアにとって前代未聞の挑戦となってしまった。

 

「(なんて速度・・・箒さんを悪く言えませんわね)」

 

セシリアはあの日から特訓を欠かしたことはなかった。女尊男卑に染まっていた己を恥じ、反省した上で自分を高めようと努力を続けた。

 

シャルロットに連射タイプの銃撃を指導してもらい、ベアトリスには接近戦の要である剣術を指南してもらった。

 

その結果、ブルー・プラネットに振り回されない機体制御と冷静な判断力、ビットを操りながらの連続攻撃などを身に付けた。

 

「!!目標を確認しましたわ!」

 

「接近まで残り10秒!!すぐに決めろ!」

 

「任せて!はあああああ!!」

 

千雨が零落白夜を発動し、そのまま『銀の福音』に斬りかかる。しかし、福音は動かない、まるで攻撃を待っているかのように動かないのだ。

 

「貰ったわ!!」

 

そのまま、福音は零落白夜を受け墜落していく。

 

「呆気なかったわね、これが軍用なんて」

 

千雨はフンと悪態を付いた。この程度だったなら相手にもならないと言いたげに。

 

そんな中、男性二人を含めた騎士団所属のメンバー達は警戒を解かなかった。

 

「(バカな、曲がりなりにも軍用だ。あの程度で終わるはずがねえ!)」

 

「(いつでも全力を出せるようにしておきましょうか)」

 

「(在り来たりよね~、けどもっと嫌な感じがするわ)」

 

「(・・・簡単なハズがないわ)」

 

「(来る、必ず!)」

 

それぞれが警戒、油断などをしている最中にそれは起こった。銀の福音が水柱を上げ、飛び上がってきたのだ。

 

コクピットが解放され、パイロットの人間らしきものが落下していく。

 

「!!いけませんわ!」

 

それに気づいたセシリアは最大戦速でパイロットを救出した。生体反応はしっかりしているようで命に別状はない様子だ。

 

救出したと同時にセシリアは急いで味方の後衛の位置に戻った。パイロットを抱えていては戦闘の妨げになってしまう。

 

「Laaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!」

 

福音は突然、声を上げた。その声は敵対する者には容赦しないという意味も込められているようにも見えた。

 

Initium sapientiae cognitio sui ipsius.(自分自身ヲ知ル事ガ知恵ノ始まマリデアル)

 

声を上げ終えた福音から言葉が聞こえ始めた。機械音声で一定の流れで紡いでいる。

 

Fortes fortuna adjuvat.(運命ハ、強イ者ヲ助ケる)

 

Nihili est qui nihil amat.(何モ愛さナイ者ハ、何ノ値打チモ無イノダ)

 

その詠唱は福音を包み込み、羽根を黒く染めていく。ISの変化ではなく詠唱による改変だ。

 

Briah――(創造)

 

Fraktur Rot Gefallener Engel(赤き破壊の堕天使)

 

創造と確かに福音は唱えた。これは有り得ない事だ、機械が詠唱するなど全くの想定外の出来事なのだ。

 

「機械が、ISが詠唱した!?」

 

「ありえねえ、いや・・束さん曰くISのコアには意志があると言ってたからありえないことじゃねえ」

 

福音は黒に近いレーザーと通常のレーザーをその黒い羽根から広範囲に放った。

 

その攻撃に対し、全員が回避行動を取ったがレーザーは徹底的にメンバーを追尾している。

 

「!!何よこれ!!」

 

最初に驚嘆の声を上げたのは鈴だ。レーザーを双天牙月によって弾いたが弾いたはずのレーザーが拡散状態で返ってきた。拡散したレーザーの一本一本を回避しているがエネルギーは削られていく。

 

これが福音が得た力である。銀の福音のISコアは「搭乗者を守り、敵を逃したくない」という渇望を体現させた結果、創造位階を会得してしまったのだ。

 

「逃げろ!これは創造だ!!相棒やベアトリスさん達以外は太刀打ち出来ない!!早く逃げろ!!」

 

「で、でも!!」

 

サタナの促しにシャルロットが声を出そうとしたが怒号のような声が聞こえた。

 

「大馬鹿野郎!!福音のパイロットを保護してる奴が居る時点で邪魔なんだよ!とっとと撤退しろや!!」

 

声の正体はフォルだ。代表候補生達を撤退させようと声を荒らげていた。

 

「分かりましたわ!皆さん!サタナさん達にお任せして撤退しますわよ!」

 

「セシリア!?」

 

「お二人と全力で戦ったわたくしには分かります!詠唱された時点でわたくし達はただの足でまといなのです!!」

 

「ああ、セシリアの言うとおりだ!あの力に私達では勝てん!!屈辱だが今の私達に出来るのは逃げることだけだ!急いで撤退するぞ!!」

 

代表候補生達の中で人間として、創造の使い手と戦ったセシリアとラウラの二人だからこそ、創造の強さと恐ろしさを身に染みて知っている。

 

「っ!悔しいけど!私たちじゃ勝てないわ!」

 

「そんな、二人共!!」

 

「シャルロット!!撤退だ!逃げねばならん!!」

 

「嫌、嫌だよ!ラウラ離して!」

 

「いい加減になさいませ!!今のわたくし達ではかえって足を引っ張ってしまうのですよ!状況は理解出来てるでしょう!」

 

「う・・」

 

セシリアの厳しい指摘にシャルロットは気圧され、黙ってしまった。ラウラはシャルロットを支え、代表候補生組は福音のパイロット連れて撤退していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[推奨BGM Dies iraeより 『Deus Vult]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代表候補生組が撤退していった後、福音が創造を発現させたこの状況において、騎士団所属組も各々の創造を使い、福音と激戦を繰り広げていた。

 

 

「ちっ!ここじゃ模倣しても意味がねえ!!」

 

「私達が行きます!行くわよ、螢!!」

 

「ええ!」

 

ベアトリスと螢が福音へと向かっていく、今のメンバーで速さに関しては創造状態のベアトリスに追いつける者はいない。螢はベアトリスに捕まることで速さを補ったのだ。

 

二人の創造は性質こそ違うものの能力に変わりはない。速さに劣る螢をベアトリスがフォローすれば問題がない。

 

「La!?Laaaaaaa!!」

 

「これで!」

 

「終わりにしてあげる!!」

 

「残念だけど、逃げられないわよ?」

 

ベアトリスと螢の刃が振り下ろされ、斬られた福音を見ていたルサルカは拷問時に使う審問椅子を福音の落下するコースへ召喚した。

 

「Lagaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」

 

「痛いわよね~?機械でも拷問が効くなんてゾクゾクして来ちゃった」

 

審問椅子は創造によって召喚されている。さらに言えば福音は覚醒したばかりで燃料となる魂を取り込んでいない為、純粋な力の差でルサルカに劣っている。

 

「それじゃあ、楽しませてね?」

 

誰もが見惚れる笑顔でルサルカは少しずつ福音を壊し始めた。人間に対する拷問と同じように機能が停止しないギリギリのところで回線を切ったり、装甲を剥ぎ取っている。

 

これがルサルカの本性そのもの、普段は抑えているが貪欲な性欲や加虐的な事を楽しむ傾向がある。これは言うまでもなく聖遺物に引っ張られている為だが本人に自覚はなく、むしろ受け入れているのだ。

 

「楽しめたから飽きちゃった。バーイ♪」

 

笑ったままルサルカは福音のコクピットがある中心に手を突っ込み、コアを抉り出した。

 

「うわ・・・あれが人間だったらとんでもねえグロ映像だぜ」

 

「心臓を抉り出したようなものだからな・・・」

 

機体はそのまま海へと落下していき、水柱を上げて海中へと沈んでいった。

 

 

 

Irresistibil forza qui mi trascina(抵抗できない力が私をここに連れて来ている)

 

Gran Dio(偉大なる神の慈悲を)abbi pietà Perduta io son!(私は破滅であるのだから!)

 

福音の爆発に紛れて誰かが詠唱を紡いでいた。それは騎士団の誰のものでもない、力を望み、破滅であることを受け入れたような詠唱(うた)だ。

 

Pregava(祈りを!)Ah! T'allontana, pregar mi lascia!(祈りを捧げて、ああ私を独りにして欲しい)

 

Deh!Taci(黙っていて欲しい) Ch'io più non t'oda!(私はもうあなたの言葉を聞きたくない!)

 

『創造』

 

Der Allmächtige(全能の)Ausschlüsse!(黄金呪剣)

 

 

まさか、あれは・・・。

 

そこにいる全員が詠唱し、創造を発現させた相手を見つけていた。誰もが有り得ないといった顔をしている。

 

発現者は織斑千雨(・・・・)だったからだ。黄金の爪牙とも水銀とも接触がないIS学園の生徒が位階に至っている。

 

「あははははは!!これよ、これが私の望んでいた力よ!アンタ達全員、みんな殺してあげるわ!!」

 

「あの野郎、とうとうそこまで力を求めやがったか!!」

 

フォルは千雨に対して憤怒していた。自分で自分を鍛えようともせず、安易に人間を超えてしまう力を手にした事に。

 

「うるさいわよ?」

 

「何!?ぐわっ!?」

 

千雨は光以上の速さでフォルに接近し、蹴り飛ばした。魂を喰らっていないはずなのにシュライバー並の力がある。

 

彼女の渇望は『誰もが自分に勝てなくなればいい』というものだ。それによって発現した能力は『敵対した相手よりも強くなる』という格差の操作である。

 

これによって本来、格上である聖槍十三騎士団所属のメンバーを出し抜いている。

 

「相棒!おかしいぞ、創造に至ってるとはいえこんな威力は!」

 

「教えてあげるわよ、劣等種。私ね、犯されに行ったのよ」

 

「何!?」

 

「わざと誘い文句を使ってね?もちろん男に犯されるのなんてゴメンだからあ」

 

「ま、まさか!貴女!!」

 

螢は男を呼び寄せた理由を察した。自分も似たような事をしたことはある、極悪人だけを厳選して殺してきたが殺した事に変わりはない。

 

みんな切り刻んで殺したわよ?2万人程ね(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「なんですって・・・!?」

 

二万人、それは一つの町が出来る規模の数だ。それを千雨は一切の戸惑いもなく、己の糧にしたのだ。その事にベアトリスは息を呑む。

 

「男なんてISに乗れない役立たずな劣等じゃないの、そんな連中を始末して何が悪いのかしら?まぁ、私に跪くなら生かしてあげるけど」

 

「・・・・」

 

ルサルカさえも言葉を発さなかった。この女は世の中、いや世界そのものが自分の所有物かつ自分の思い通りに動くものだとしか考えていない。

 

「ざけてんじゃ・・・ねえぞ!てめえ!!」

 

「相棒!」

 

フォルは千雨に向かって叫んでいた。そのような考えがあってたまるかと、お前一人の考えだけで世界が動くものじゃないのだと。

 

「あら、生きてたのね?じゃあ・・・・・死ね」

 

「ぐはああっ!?ば・・・うぐ・・・この・・は・や・・さ・・ごぼっ!」

 

話していた位置から目で追えない速さでフォルの背後をとり、形成していた剣を背中を貫通させた。鏡花は解除され、フォルは吐血しそのまま海面と落下していった。

 

まさに一瞬の出来事で気付いたのはフォルが海中へと沈んでいった事を知らせる水の音が響いた時だった。

 

「相・・・棒?嘘・・だろ?・・・相棒・・う・・・お・・・・アアアアアああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

フォルが海中へと沈んだと同時にサタナは断末魔以上の声を上げていた。サタナとってフォルは相克の存在、つまりフォルが居ることによって自身の存在が確立され切っても切れないものなのだ。

 

「千雨えええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」

 

「サタナさん!」

 

「サタナ!!」

 

「いいわよ?兄・さ・ん?遊んであげるから」

 

「今更、妹面するなァアアアアアアアアアア!!!!」

 

形成によるバスターソードとクレイモアがぶつかり合い、火花が散る。ベアトリスとルサルカが声をかけても今のサタナには聞こえていない。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

「ぐ!やるじゃないの!でも、どこまで持つ・・・!?」

 

「私が居る事も忘れないで」

 

「螢!?」

 

サタナの振るう剣を捌いたと同時に炎を纏う刀が振り下ろされてきたのを紙一重で千雨は回避していた。

 

「邪魔するな!櫻井!!コイツだけはァ!!」

 

サタナに冷静さは無くなっていた。相克の存在が居る者は相克者が倒れれば悲しみに打ちひしがれるか、もしくは殺された場合には怒りしか残らなくなる。

 

「サタナ君!!」

 

「ふふふ、よっぽど大切な親友だったのねえ!本当にいいざまよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撤退した代表候補生組は千冬に、銀の福音のパイロットを救出した事や福音がフォル達と同じ力を使いだした事などの全てを報告していた。

 

「そうか、よくやった」

 

千冬も創造を経験した一人である。そこから逃げ出せただけでも大したものだろう。

 

「お、織斑先生!!フォル君の機体反応がロストしました・・・」

 

「何!?」

 

それを聞いた千冬は確認の為、作戦室となっている大広間に急いだ。聞こえていた代表候補生達も急ぐ。

 

「そ、そんな・・・」

 

「見ての通りだよ、反応はロストしちゃってる。映像があるから見てみよう」

 

作戦室には束がおり、報告を受けて戦闘範囲で起こった出来事を映像にて確認する為にモニターが明るくなった。

 

「ば、馬鹿な!?何故」

 

「あ、アイツ!!」

 

「こ、こんな」

 

「どうして!?」

 

「まさかと思ったが!」

 

「そ、そんな!」

 

「嘘でしょ!?」

 

「これが本当なんて信じられませんわ!」

 

映像には創造を使い、千雨がフォルを撃墜した証拠の映像が非情にも流れていた。

 

「「っ!」」

 

「どこへ行く気ですか!?箒さん!鈴さん!!」

 

「決まっている!フォルを助けに行く!!」

 

「あのバカ千雨を一発殴らないと気が済まないわ!!」

 

「何を言っている!?私達はあの力に対して太刀打ち出来ん!!返り討ちに遭うのが見えている!!」

 

ラウラは二人を止める為に声を荒らげた。自分も飛び出して行きたいのを懸命に堪え、力の差を説いた。

 

「ぐ・・・!」

 

「なら、どうすればいいのよ!私達じゃ助け出す事が出来ないなんて!」

 

「ううう」

 

シャルロットは泣き崩れ、箒と鈴も悔しそうに口を結んだ。自分達はなんて無力なのだろう、あらゆる視野を広げてくれた恩人達が倒れているのにと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[推奨BGM Dies iaeより『Götterdämmerung』]

 

 

 

 

 

 

「ああっ!」

 

「弱い、弱いわよ!!」

 

「くそがああああああああ!!」

 

二対一の状況で千雨はサタナと螢を追い込んでいた。追い込まれている原因は純粋に魂の総量であった。螢とサタナの二人の合計で二万に届いているからだ。

 

本来、創造の使徒同士の戦いは相手の魂の総量が上回っている時点で勝ち目は無いが、二人の総量によって戦えている状況である。

 

「これで終わりよ」

 

「櫻井!!」

 

「あ!サタナ君!!」

 

「ごぼっ・・・・く・・そ・・・」

 

螢を狙っていた一撃は虚をついていた行動であった。本当の狙いであるサタナに千雨は刃を突き立てていた。

 

「さようなら、劣等種」

 

剣戟と共にサタナも海へと落下していく。ベアトリスは螢のフォローで助けに行く事ができず、そのまま海中へと沈んでいった。

 

「あ・・・そんな・・・二人が海に」

 

二人の男性操縦者はこの場から居なくなった。その瞬間に千雨は歓喜していた、自分の手で始末したという実績が己の中に染み込んでくる。

 

「ふふ・・・あはは!ねえ!三人とも一緒に来ない?」

 

「ふざけんじゃないわよ!!」

 

螢ははっきりとした拒絶の意思を見せていた。ベアトリスもルサルカも彼女の言葉に賛同している様子だ。

 

「あなたはやり過ぎましたよ、千雨さん」

 

「アンタは営みすら拒絶し始めたものね」

 

拒絶の意思を見せた三人は創造を発動させ、千雨と敵対する。この女は自己愛の塊と化している、ならば許すわけにはいかない。

 

「アンタ達も殺してあげるわ!」

 

「やれるものなら」

 

「やってみなさい!!」

 

「アンタにやられる程ヤワじゃないのよー!!」

 

四人の創造の使い手がぶつかり合い、戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代表候補生達は自分達の機体に問いを投げかけていた、どうすれば自分達は彼らの域にたどり着けるのかと。問い続けていると突如、代表候補生達は一人、また一人と倒れてしまった。

 

呼ばれるべき世界の力を得る為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは・・・何処だ?」

 

最初に目を覚ましたのはラウラであった。自分の置かれた状況を確認する為に周りを見回した。

 

 

起き上がると自分の手が石をすり抜けていた。慌てて立ち上がるが痛みはなく、触れないだけなのを確認出来ると冷静さを取り戻した。

 

 

「ん?あれは!?シャルロット!」

 

見回した先にシャルロットが倒れていた、自分と同じ場所に来ていたのは嬉しかったが目を覚ますよう声をかけた。

 

「シャルロット!起きろ!シャルロット!!」

 

「う・・・ラウラ?」

 

「目が覚めたか」

 

「うん、でもここは?それにみんなは?」

 

「わからないな、廃墟のようだが。それに私達はこの世界には干渉できないようだ」

 

ラウラは証拠を見せようとそばにあった石を拾おうとしたがすり抜けてしまった。これによりシャルロットは慌てたが意識を覚醒させた。

 

「ISに話しかけてたらこんな世界に来ちゃったのか、あれ?場面が切り替わった?」

 

「どうやら何かを伝えようとしてるのかもしれないな」

 

「ラウラ、わかるの?」

 

「そんな気がしただけだ」

 

まるで映像のように切り替わっていく、天使と呼ばれる存在や(シン)と呼ばれる地獄と直結している者達などの戦いを見せられていく。

 

「罪・・・なぜだ?私はその言葉に強く惹かれる」

 

「僕も・・・あの天使って呼ばれてる子達から目が離せないよ」

 

二人が共鳴したのは罪と天使の力であった。しかしこれで自分達の世界の力に太刀打ちできるのかが分からないまま、次の空間へ飛ばされていく。

 

 

飛ばされていく最中、誰かが近づいて来るのが見える。その声は聞いたことのある声だった。

 

「ラウラさん!シャルロットさん!!」

 

「セシリアか!」

 

「セシリア!無事だったんだね!」

 

近づいて来たのはセシリアであった、ラウラとシャルロットは合流できた事を喜んだ。

 

「一体ここは何処なんでしょうか?」

 

「僕達にもわからないんだ。セシリアはずっとここにいたの?」

 

「ええ、目が覚めたら此処に居ましたわ。進んでも進んでも出口が見当たらなくて

 

「む、あそこを見ろ!出口のようだぞ!」

 

三人は光が漏れている場所へと歩いて行った。通り抜けると同時にヨーロッパのような街並みに出てきていた。

 

「ここ、フランスかな?」

 

「ええ、間違いなくフランスですわね、エッフェル塔がありますもの」

 

シャルロットは自分の故郷を思い出し、懐かしさを感じていた。

 

「ふ、二人共!来てくれ!!」

 

「どうしたのですか?ラウラさん」

 

「そんなに慌てて」

 

「せ、世界地図のようだが此処を見てくれ!!」

 

「え・・・これは」

 

「そ、そんな」

 

ラウラが指差した世界地図には自分たちが知っている物と何も代わりは無かった。ある一点を除いて。

 

「どうして・・」

 

「信じられませんわ・・」

 

「ああ、この地図には日本が書かれていない!(・・・・・・・・・・)




「世界の可能性・・・ああ・・・彼女達はそれを手に入れるか」

「これもまた未知」

「女神に会わせる時が来た」

「少女達よ、女神を支える礎となるがいい」


演説・水銀の蛇



追伸

流出はまだ先!先ずは代表候補生達が力を得る為に。彼女達は他のlight作品の力を借ります!
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