艦これのヤンデレ短編小説です。
 pixivで投稿していたものを少し手直ししてあります。

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提督sideと艦娘sideで2本のストーリーがありますが、繋がりはありません。
ちなみに名前は出ませんが、「艦娘side」で喋っているキャラは川内をイメージしています。


愛情の毒

【提督side】

 

「あまり艦娘に入れ込むなよ」

 

鎮守府の提督に任命される前、こう言われた。

 

「彼女達は兵器なんだ。道具として扱えばいい」

 

上官も友人も、口を開けばこのセリフ。ウンザリしていた。

 

終わりなき深海棲艦との戦いに身を捧げる大事な仲間を、どうして道具などと思わなきゃいけない? だから私はその忠告を無視して、艦娘たちと家族のように接し続けてきた。

 

それが間違った選択だなんて思っていない。

 

 

「てーいーとーくー? どこー?」

 

 

ああ、彼女達の声が聞こえる。

 

…ここまでか。

 

 

「異動だなんて嘘だよねー?」

 

「ずっと一緒にいるって約束したのです」

 

「行ってはいけません。

 これは鎮守府を混乱に陥れるために敵が張った罠に違いないのだから」

 

 

彼女達は生まれたときからずっと兵器として扱われ、「愛情」を知らずに育ってきた。

 

知らないままなら問題は無い。

今までどおり、何が起ころうと大丈夫だった。

 

「なんで逃げようとすんの? 意味わかんないし」

 

「提督は既に洗脳されているのかもしれません」

 

「まぁ、大変…はやく近代化改修しないと」

 

彼女達に愛情を芽生えさせてしまったのは、他ならない私だ。

愛を知ってしまった彼女達は、もう依存する相手がいなければ生きられない。

 

ここまで追い詰められて、ようやく上官や友人の言っていたことを理解した。

 

私は、【兵器】を感情を持った別の「存在」に変えてしまったのだと。

 

「提督」

「司令官さん」

「てーとく」

 

もう逃げられない。だが、今一度言おう。

 

私は、自分がやったことを間違った選択だなんて思ってない。

 

 

しかし、後悔がないと言えば………ウソになるだろう。

 

 

 

 

【艦娘side】

 

だめだめ。逃げられないよ。

 

どうしたの? ぶるぶる震えちゃって。

 

あ、もしかして、見た目からは想像もできないような力で締め付けられてるから驚いてる?

 

あはは。

そんなに必死な顔で、引っ掻いたり、つかみ返してもムダムダ。

痛くも痒くもないよ…文字通りね。

 

かわいいね、提督。

まだ「私たち」を普通の女の子と同じだと思ってたんだ。

 

私たちが女で自分が男だから、いざとなれば力づくでどうにかできるとでも思った?

バカだなぁ、提督。

 

そりゃ、想いを寄せる異性に優しくしてもらいたいから

たまには「非力」な女の子を演出して見せることもあるよ?

 

でもさ、よく考えてみてよ。

未知の脅威、深海棲艦と戦うために造られた存在。

それが艦娘だよ。

 

戦艦や空母はもちろん…

小さな体である駆逐艦ですら、超重量の砲塔を担いで俊敏に動き回れる筋力があるんだよ?

ただの人間が、力で勝てるわけないじゃない。

 

さて…と、自分の置かれてる状況が理解できたなら―――。

 

いっしょに帰ろ?

 

みんな待ってるからね。

 


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