神狼がケモナーなのは間違っているだろうか 作:シグナルイエロー
大岩に鎖で拘束された山のように巨大な狼が一匹
周りには小鳥や犬猫だけでなく獅子や象といった大小様々な動物が寄り添っている
「・・・モフモフ モフモフ フガフガ」
「フェンリル様くすぐったいです~」
巨大な狼は傷つけないように人型に体を変化させ絶妙な力加減で猫や犬をモフっていく、その手つきは一流のモフニシャンの如し
「ーっあ~そこ!そこ気持ちいい!そこ重点的にやって!」
「ここですね!お任せを!」
巨大な狼の背中に象が乗り指圧のようにマッサージをしていく、巨大な狼的には象くらいの大きさがちょうど人間で言う所の指先程度の大きさに過ぎない
そのため象の大きさと体重がほどよい指圧となって狼を癒やしていく、そのだらけきった表情は近所のマッサージ店にいる中年のおっさんそのものである。
ここは天界
悪戯の神、終末の鐘を鳴らす者として有名なロキ、その長兄フェンリルが封印されている地である
「あ゛~癒やされるんじゃ~」
「ピピ!フェンリル様、喜んでる!喜んでる!なんでなんで!ピピ」
かつてロキと共に暴れ回った姿を知る神々が今のフェンリルを見れば己が目を疑うことだろう、キャバクラでデレデレするただのおっさんの様に鼻先で戯れる小鳥たちを見てベロンベロンに癒やされるその姿はかつて天界を暴れ回った姿とはかけ離れすぎている。
「ガルルルルルル、ガアアアアアア」
小鳥たちに癒やされているフェンリルの耳にガキンガキンと金属同士が打ち合うような音が周りに響き渡る、「またか」とでもいうような表情で嘆息するフェンリル
音の正体は周囲にいる内の獅子や狼といった攻撃力の高そうな獣がフェンリルを縛っている鎖、グレイプニルを爪や牙で引きちぎろうとする音だ
「おーい、やめとけってお前たちじゃこの鎖は無理だって言ってんじゃん、俺でも無理なんだからさー」
「それでも!何もせずにわいられんのです!!大恩ある御身がこのような状態をどうして放置できましょうか!」
くっ、とでも言いそうに悔しさを滲ませる獣達
(いや、大恩って、ちょっと小間使いが欲しかったからしゃべれるようにして知識上げただけじゃん・・・)
周囲にいる獣たちは封印されているフェンリルが暇をつぶすために力を与えた獣たちだ
「あー、もういいからやめろって、そんな暇あるなら毛繕いとかしてくんない?」
「はっ、も、申し訳ありません!今すぐ誠心誠意繕わせていただきます!!」
一転して攻撃的な雰囲気を引っ込めてフェンリルの言うことに従う
(犬や猫たちみたいにモフモフさせてくれるだけで十分なんだけど・・・忠誠値が高すぎるだろこいつら)
「まぁ、気楽にやってくれや」
「はっ!!」
人間であれば敬礼でもしそうな声をあげてフェンリルの白銀に輝く毛を丁寧にといていく
「おっふぅ~気持ちええ~」
(あー気持ちいいけど・・・)
っっっ暇だっっ!!!!!!
いやもう本気と書いてマジと読むくらい暇だ、こんなこと考えるのも一体何度目いや何百何千回考えたことか
いや、別にこいつらが嫌なわけじゃないよ?むしろ感謝してるくらいだし
そもそも、寂しすぎてこいつらに言葉や知識を与えたのが俺ですし
こいつらがいなかったらたぶん俺ってば寂しさと退屈さで精神崩壊してんじゃね?
ただなぁ、今のこの状況を何とかしたいけどこの封印されてる状況は俺の自業自得な所があるから大っぴらに文句も言えんしなぁ
あーあ、昔の俺ってば何であんなに荒れてたんだろ
もーめっちゃ黒歴史、誰にでも黒歴史ってあるだろうけど、俺の黒歴史に勝てる奴は中々いないだろうな・・・なんの自慢にもなんねぇけど
いい年した親と一緒にヒャッハーしまくってたら親と引き離されて島もないのに陸で島流し状態とか誰得だよ
究極の怠けを開発するんだとかアホなこと言ってた弟のヨルムンガンドなら喜んで今の状況を受け入れるだろう、逆に妹のヘルなら発狂するだろうなー、あいつ仕事大好きっていうか忙しいのが好きっていうクレイジーサイコワーカーだからなぁ、冥府を九界も支配して忙しさに忙殺され恍惚の表情を浮かべているのを見たときはおふくろと一緒にどん引きしたわー
「誰がクレイジーサイコワーカーですって?」
そうそうこんな感じのキャリアウーマンみたいな高圧的な声のくせ全身の肌を見せないようなゴスロリ衣装に身を包んだろりぃな見た目なのが妹なんだよ
一部の特殊な趣味の神々からするとドストライクだと親から聞いたことがある・・・そして親から見てもひいき目抜きでドストライクらしく家族じゃなければ襲っていたそうだ・・・聞きたくなかったわそんなもん
「誰がロリだ!あと親がそんなこと考えてたとかこっちも知りたくなかったわよ!!」
・・・・・・・・・・ん?
「あれ、何でヘルがいんの?」
俺ってば家族全員との会話はおろか接触は禁じられてたはずだよね?
俺を封印する際に神々はにさらにある約束をおれの身内と呼べる者たちに誓わせた、俺が逃げ出す手助けをしないように今後一切の直接はもちろん間接的な接触を禁じるという内容だ、
つまりヘルがここにいるのはかなりまずいはずなんだが
・・・まぁいいか。
「用があるから会いに来たに決まってんでしょ!」
「いや、そんな気軽に会いに来れ、まぁ、いいか、久しぶりマイシスタープリンセスヘル」
「なにそれ」
うん、何言ってんだ俺
「すまん、ぶっちゃけ人と話すの久しぶりすぎてテンションがおかしい」
「引きこもりが久々に外出したときのいいわけみたいね・・・」
失礼な・・・とりあえず回りの動物達を下がらせるか、久々の家族水入らずの会話だしな
「下がれ」
「「「「「はい」」」」」
すぐに周辺から生き物の気配が消え辺り一帯が静寂に包まれる、忍者かお前ら
それにしても、今ままであいつらとのんびりガヤガヤと過してたせいか急に静かになるとなんか寂しい、あっやべ泣きそ
あとなんかヘルが驚いてるんだけどどったの?
「・・・兄さんちょっとどころか大分変わったわね、昔だったらそんな気遣いとかできなかったのに」
なーる、昔の俺ってば天井天下唯我独尊的な感じでしたもんね
「そりゃ、こんなところに封印されてボケっとしてたら牙も抜け落ちらぁな」
「・・・そうね、さっきまでの兄さんただの好々爺の老狼にみえたわよ」
「いや、実際俺達ってば何千年生きてるドシニアじゃん」
つまりヘルも見た目はろりぃでも中身はBABAのいわゆるロリBABA
「口から尻尾まで引き裂くわよ、この発情犬」
この妹コワイ、しかもさっきから心を読んでくるんだけど
「いや、さっきから全部口に出してしゃべってるわよ?」
「まじか」
仕方ないことかもしれんない、いやだって数千年も一人っすよ?話し相手は動物オンリーよ?
・・・それにしても発情犬、発情かぁ
「・・・」
「・・・なによ」
「・・・ここ千年くらいさ、朝起きても俺のマグナムってばノーリアクションなんよ」
「・・・は?」
「おまけにそういった欲が全然わいてこなくてどうしたもんかと」
「・・・全弾撃ち尽くして弾切れになったんじゃない?補給もできずにあとは錆びるだけ的な?」
「ば、ばっかお前!俺のマグナムは無限バンダナ付きだ!!弾切れじゃねーし!!ただリロード中なだけですうううう!!!」
「ぷっ、リロードに千年かかるとかワロス」
「ふっざけんな!おれのマグナムは口径ができすぎてリロードにめっちゃ時間がかかるんだよ!一撃必殺の黄金の弾丸だごらぁ!!」
「それ絶対リロード中に弾丸が湿気ってゴミになってるじゃない」
「人のをゴミとか言うなああああああ!!」
「スコル、ハティあなたたちのお父さんは不治の病、ぷっ、不能の病になってしまったみたいよ、かわいそうに、あ、もちろんかわいそうなのはそんな父親を持ってしまったスコルとハティの方よ」
「お前マジでなんなん!?わざわざ神々の契約破ってまで俺をバカにしに来たの!?」
ちなみにスコルとハティは俺と巨人族の女性との間に生まれた子供の名前である
俺、フェンリル、二児の父親そして職業は無職つーか拘留中・・・やばい字面だけでもろくな父親の香りしかしない、
こんな状態で、あの純粋な子たちが父親から不能宣言とかされたらドメスティックバイオレンスに目覚めるきっかけになりかねん
言えねー絶対言えねーわそんなこと
たとえ
むしろ最後になるかもしれない会話に「父さん実は不治の病なんだ」「な、なんだって一体何の病気なんだい!?」
「ED」
・・・そのまま家族が
ないないないないない!!
家庭崩壊の原因が不能とかマジないわ!バイアグラ持ってこい!!
「そんな兄さんに朗報よ」
「まさかマジでバイアグラっすか!?」
薬物治療か~、薬に頼るのはイヤだがこの際背に腹は代えられない仕方のないこととあきらめるしかない、そう何も怖いことはない風邪を引いたときだって薬を飲むじゃないか、あれと一緒だ
「何の話よ、そうじゃなくて出してあげる」
出して挙げる?新しいショック療法とかか?まさかの物理治療っすか
「不能から離れろ!そうじゃなくて!ここから出してあげる!!封印を解いてあげるって言ってんの!!」
・・・・・・・・・・は?
あれ下の話しかしてなくね?ヽ(´Д`;≡;´Д`)ノ