Fate/TriangleOrder 〜三位一体のサーヴァント〜   作:白花 頼羅

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このシリーズを忘れていたわけではないんですが、遅くなって申し訳ありません。

課題やら学生スタッフの仕事やらで忙しくて小説を書いている暇がなかったので更新が大幅におくれてしまいました。

とりあえずストックはもう一話あるので二話続けてどうぞ。


第三幕 根っからのお人よし(セイギノミカタ)

side:ヒスイ

 

「ヒスイくん?!」

「ごはっ…!」

 

まずい。消滅は避けられたけど、左目が潰れた。

しかも、右半身が見事に大火傷。

…守護者の仕事の記憶と感覚がなかったら発狂してた。

宝具…もとい神秘の塊を爆破する戦法。

サーヴァントであるこの身でまともに食らったら即死。

…こんなことをしでかす英霊はやっぱりあの人以外あり得ない。

 

「んー。宝具使わずに倒せちゃった。勝利すべき黄金の剣(カリバーン)の性質が有効だったってわけでもなさそうだね。…ところでヒスイ。さっきの射撃、どう考えてもあの人だよね?」

敵の返り血で青い髪が赤黒く染まった仁が冷静に聞いてくる。

…マスターと盾の子がお互いに抱き合って震えている。

うん。仁は敵をズタボロにする時本当に楽しそうにしてるからね。

楽しそうに敵をグサグサ差して、細切れにして、返り血まみれになる男…。

慣れていない人にはかなりキツイはずだ。

 

僕?

グサグサされた経験あるし、一緒に抑止力の仕事してたら慣れちゃったよ。

 

「仁、一回霊体化してキレイになりなよ。そのままだとマスターたちが動けない。」

「ん。そだね。…余裕があればヒスイにすみからすみまでキレイにしてもらうってのもありなんだけどな。」

そう言って仁はすぐに霊体化した。

 

「あ、あれ…?仁くん消えちゃった。死んじゃったの…?」

「いえ。霊体化といって…まぁ、意識を持ったまま無形に魔力の塊になったって感じですね。しばらくすればキレイになって戻ってきますよ。」

「…。そっか。よかった…。」

マスターは顔を青ざめさせたままだけど落ち着いてくれたみたいだ。

「うう…。一般的に“悪”と思われる所業を行った者も英霊の座に記録されるとはわかっていましたが…。いざそれを見てしまうと、その…。」

「…大丈夫。仁は自覚してるから言っちゃっても怒ったりしないし。むしろ今、愉悦感にひたってるんじゃないかな?…二人が怖がってるのを見て。」

「えぇ…?そういうタイプの悪、なんですか…?

あれだけ暴れて?」

盾の子はドン引きしている。

「それについては僕が悪いんだけどね…。

まぁいいや。僕もしばらく休ませてもらうよ?

…その前に、アーチャーについての情報をあげる。」

「…はい。」

「アーチャーは恐らく柳堂山の地下洞窟の入口付近に居て、中にいるであろうセイバーと聖杯を守っている。

ほら、あそこ。」

「…えっ?数キロは離れてますよね?!」

「アーチャーって言うだけあって、遠距離が得意分野なんだね。…なら接近戦なら…。」

「…。マスター。今回のアーチャーにその理屈は通じません。クーさんがランサーで召喚されてたらなんとかなったかもしれませんが。

…彼は、双剣の扱いに長けていて、どの距離でも戦えます。」

「ああ。一度だけやりあったことがあるが…。

まっとうな弓兵でも戦士でもない。

……悪く言えば中途半端だ。しかも、坊主たちが使う投影魔術を扱う。…とんでもない精度の、な。」

「…。彼の最大の脅威は、宝具の固有結界です。

彼の本質は“剣”。よって、剣の形さえしていれば魔力が許す限りいくらでも投影できる。…固有結界を展開されてしまえば、贋作剣型宝具の爆発の嵐に巻き込まれます。」

「…そこまで知ってるってことは、もしかして知り合い?」

「ええ。

…僕に投影魔術を教えてくれた師匠ですから。」

……こんな形で戦うことになるとは思わなかった。

だって、つい数時間前に座で話をしたばかりなのに。

…いや。考えるのはよそう。迷っていて勝てる相手じゃいない。

「知り合いってことは、真名も知っているんじゃないの?」

「………。いえ。」

所長さんの質問には少し嘘をつく。

…。これはきっと、知らせちゃいけないことだ。

特にマスターには。

…彼を見たら気がついてしまうかもしれないけど。

……。できれば気づかないでほしい。

 

「…。あのねヒスイくん。君たちが私を見て驚いた理由、わかっちゃったかもしれない。」

「…へ?」

何を言っているんだこの人は。

「私にはお兄ちゃんがいるの。双子みたいにそっくりな顔だちで、同じ赤髪のお兄ちゃん。」

…。まさか。

「たぶん、アーチャーは私の知らない世界のお兄ちゃんなんだよね?…それだったら知り合いに似てる人に遭遇した!っていう感じの反応も納得できる。」

…。最初の反応で見破られた、だって…?!

「マスター…。」

「大丈夫だよ。ルーラー、アヴェンジャー。

私はこの特異点を修正しなきゃいけない。…この推測の真相は正直どっちだっていいの。

…サーヴァントたちだって、元はこの世界を生きてきた人たちなんだもん。いい人も悪い人もいるだろうけど、この世全てを無かったことにしたいって願う人はきっといないから。

…だから、望まない戦いを終わらせてあげたいんだ。」

そう言ってマスターは、にこっと笑った。

 

…。ああ。彼女もやっぱり衛宮(正義の味方)なんだ。

今まで平和な世界で生きてきたからとか、そういうのじゃなくて、根っこからお人好しなんだ。

……彼女が人類最後のマスターになってしまったのは偶然ではなく、抑止力が定めた必然なのかもしれない。

 

…もしそうなら、彼女は間違いなく世界を救って死ぬ(英霊になる)

 

…この可能性に気づいてしまったのは僕だけのはずだ。

そのうち彼女自身も気づいてしまうだろう。

その時、彼女の支えになれる存在が必要だ。

 

なら、やるべきことは決まった。

「クーさん。盾の子を特訓させて宝具を扱えるようにしてあげてください。…殺す気で。」

「…えっ?」

「言われなくともやるつもりだったよ。…盾の嬢ちゃん。構えな。」

「えっ、あの、キャスターさん?!」

「宝具を使うコツはな…自分がこうしたい!ってことを強く願うことだ!そら、気合入れろ!足りなきゃマスター諸共死ぬぞ!」

「…!」

クーさんが殺気を放つ。

…。たぶん大丈夫だ。

あの盾は間違いなく“守る”ことができる宝具。

 

霊体化ついでに少し寝て、体力を回復しよう。

おやすみなさい…。

 

 




実はこのシリーズの主人公の一人であるヒスイくん。もともとの設定にとあるお方のシリーズの武人系ぐだ男さんの影響をうけて設定を足してます。

元の設定のほうのヒスイくんは魔法少女イベの番外編とかで出るかもしれません。(やれるとは言ってない)

主に五次鯖が師匠なあたりとかです。

次回、師弟対決です。
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