9月WW日
例によって平塚先生に用事を頼まれ、少しばかり遅れてクラスに帰ったら文化祭で行う劇の主役に選ばれてた。
おかしい、万が一の事を考えて二人には脇役か道具係と楽なポジを頼んでおいた筈だ。
後で宗形から聞いたら最初は葉山と比企谷(海老名推薦)だったらしいが、比企谷は文化祭実行委員だから無理と言い辞退。
非情に残念そうな顔を浮かべた海老名は比企谷の名を消し、変わりに戸塚の名を書いてたのだが何故か途中で氷のように固まり、チラリと後ろを見た後慌てて消したそうだ。
多分、早乙女あたりが物凄い殺気&鬼の様な形相を浮かべてたんだろうな……。
その後、誰かが俺の事を指名し、クラスも「居ないのが悪い」とほぼ全員が賛成したらしい。
なるほど経緯はわかったが、取りあえず誰かについて心当たりは無いか早乙女?
暫くの間、昼飯代が浮いた。
―追記―
書き忘れていたが、劇は“星の王子さま”で監督・演出・脚本は全て海老名
キャスティングは全て男と完全にそっちの方好みの設定になっている。
9月XX日
海老名から台本を貰ったので早速読んでみたら案の定腐ってて葉山が影で苦々しい顔をしてた。
大まかな練習をし、休憩に飲み物を買いに行く途中で私服姿で堂々と校内を歩く女生と遭遇。
何だか関わったらめんどくさそうなタイプだな~と思いつつ隣に居た宗形がルパンダイブしそうだったので走って逃げた。
その後どうなったかは宗形の顔を見て大体わかる。
9月YY日
「衣装を作るのにはやっぱ一からサイズを測らなきゃ! という訳で男の子同士で出来る限り近く熱い顔で!!」と抜かした海老名にチョップをお見舞い。
三浦が少し睨んできたが、戸部が葉山のサイズを測りながら「隼人君、いい身体してるね」とか言ってるのを想像してみろと言ったら押し黙った。
ところで、何で相模が教室に居るんだ?
9月ZZ日
クラスの殆どが劇の練習やら準備やらしてるなか、相模とその一味は一向に手伝わず談笑してるだけ。
手伝ってと言えばもうすぐ実行委員に行くからと言うが一向に行く気配は無い。
三浦辺りが「暇なら手伝えし!」とキレ気味に言うとブ―たれながら作業を手伝うが直ぐに談笑、あるいは三浦の指示で進めるのが気に食わないのか時折口出してくる。
いや、もうお前実行委員行ってくんないマジで
10月○日
リビングでゆっくりしてたら母親が思い悩んだ顔で「悩みがあるなら相談に乗るわよ」と言ってきた。
心当たりが無いが取りあえずわかったと伝え部屋に戻ると机の上に“星の王子様の台本(腐)”が…
軽く死にたくなった。
10月△日
今日は通し稽古をやることになっているが母の件や相模の件で心底疲れていた。
それに拍車をかけるかのごとく海老名の「もっと隼人君攻めて!!」や「――君はもっと受けを意識して!!」と注文が多い。
面白くない。
ああ、面白くない!!
このまま流れに流されるのは凄く面白くない!!!
だから、行動に移すことにした。
簡単に説明すると海老名の台本だと“王子様×僕”になっているがそれを“僕×王子様”にした。
突然のアドリブに何とか対応しようとするがどうしてもタジタジとなる葉山。
それを気にせずグイグイと攻める俺。
イメージは“いざ告白しようとしたがヘタレた男子に女子がグイグイ追い込んで行く”だ。
やがて壁際に追い込まれた葉山に壁ドン(強)をするとズルズルと下にさがり尻餅をつく。
大きく股を開いてたので股間付近を踏みつけようとしたら三浦のストップ(羽交締め)がかかり、そこであたりを見渡すと半数程の女子が鼻から赤い液体を――特に海老名は輸血した方がいいレベルに流していて、大半の男子は青い顔で内股に手を押さえていた。
うん、ごめん。
やりすぎたわ。
でも、気分はスッキリしたから後悔してない♪
―追記―
次の日から葉山があまり練習に参加しなくなった。