もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
カラオケに行くと声が大きすぎて軽い公害だと言われる雪希絵です
薄い壁のカラオケだと、結構声が漏れるんですよね……
さて、やって来ました更新日
今回の登場人物は二人です!
主人公は影も形もありません!
それでは、ごゆっくりどうぞ!
「さて、始めようか」
「なんか面接みたいだな」
エミヤの横を歩くキリトがため息をつく。
場所は広場から転移門を潜った先。
今は一つ下の層となった、アインクラッド第五十層のとある道だ。
時刻も遅いが、念のため人目につかない場所を移動中なのだ。
その移動中にも人目につかないようにするという慎重っぷりである。
「それにしてもキリト、ここまでする必要があるのか?」
「ある。絶対に人には聞かれたくないからな」
「そういうことなら仕方ない」
キリトは終始落ち着かない様子だが、エミヤはもうすっかりこの世界に慣れている。
さらに歩くこと数分。
「ここだ」
到着したのは、やけに古ぼけたバーのような店だった。
「酒類が美味いわけでも、食事が美味いわけでもない店だ。それでも、昼間は客が入ることはあるが、夜になるとNPCの店員以外は誰もいなくなる」
「内緒話にはうってつけというわけか」
「そういうわけ」
まるで西部劇に出てきそうな扉を開き、キリトとエミヤは中に入った。
「こういう店は、持ち込みOKだったりするんだよな」
席につき、キリトはアイテム欄から一つの瓶を取り出した。
テーブルに用意されたグラスを二つ取り、それぞれに中身を注ぎ込む。
赤紫色の液体が注がれ、暗めの照明に乱反射する。
「まるでワインのようだな」
「味の方はわからないけど」
「では、試してみるとしよう」
エミヤはグラスを傾け、中の液体を飲む。
「……ふむ」
呟き、もう一口。
「味もワインに似ているな」
「そうなのか?現実で飲んだことないから、わからないな」
「未成年の飲酒は法律で禁止されているはずだが、この時代では違うのか?」
「いや、そこは同じだよ。安心してくれ」
苦笑いしながらそう言い、キリトもグラスの
中身を煽る。
お互いしばらく飲み続け、二杯目を注いだ時。
「それで、話というのは?」
エミヤがそう切り出した。
「ああ。エミヤが使っていた武器……それが気になったんだ」
「私の双剣がか?」
二杯目を受け取りながら、エミヤがそう聞き返すと、キリトは頷く。
「SAOでは本来、両手に武器を持った状態だと、ほとんど戦えないんだ。両手に武器を装備すると、ソードスキルにエラーが出る」
「本来……というと?」
引っかかった部分に、エミヤが反応する。
「鋭いな。一応、これには例外がある」
そう言い、キリトはステータス画面を操作し、スキルスロットを開く。
全表示モードに切り替え、その画面をエミヤに見せた。
「俺のスキル一覧だ。ここに、『二刀流』って書いてあるだろ?」
「たしかに」
キリトが指さした部分には確かに、二刀流と書いてある。
「まだ出たばかりだから確信はないが、これは恐らくユニークスキル……つまり、俺にしか使えないスキルかもしれないんだ」
「……ほう?」
「理由は簡単だ。スキルが出現するには、必ず条件を達成しないといけないんだ。だけど、この二刀流が現れた時、俺には全くその条件の心当たりがない。未だにわからないままだ」
説明するキリトに対し、エミヤは腕を組んで考え込む。
「無意識に条件を達成した可能性は?」
「それは出来る限り考えたけど、やっぱり当てはまりそうな行動はしてない。それ以上に無意識でやったことが、スキル発動の条件とは思えないし」
「ふむ……」
キリトの回答に納得し、エミヤは再び考え込む。
しかし、すぐに肩を竦め、
「私もこういった予想は不得意なわけではないが、やはりマスターが適任だろう。よほど気になるなら、一度相談してみることをオススメする」
困ったようにそう言った。
「そんなにすごいのか?リツカは」
「ああ。彼女は本物の傑物だ。マスターとしても、魔術師としてもまだまだだが、彼女は他の誰にも替えがきかない人物だ」
「すごいな、リツカ。過去の英雄にそこまで言わせるのか」
「私は少し、他の英霊とは話が違うがね」
皮肉めいた笑みを浮かべ、エミヤはグラスを傾ける。
「話が脱線してしまったな。その二刀流がどうしたんだ?」
「ああ、そうだった。つまり、ユニークスキルだと考えられる二刀流をあまりたくさん使うと、悪目立ちする可能性があるってことだ」
軌道修正し、エミヤが尋ねると、キリトはそう答えた。
「死ねば終わりのデスゲームとはいえ、ここはMMORPGの世界なんだ。レアなスキルを持っていれば、羨ましがるやつも居れば、妬むやつだっている」
「どれだけ時間が経っても、人間にそういうところがあるのは変わらないな」
「……ごもっとも」
耳が痛いと言わんばかりに苦笑いし、キリトは嘆息する。
キリト自身もまた少なからず、レアなスキルを持っていることを誇らしく思っているのだ。
「つまり、出来る限り別の武器の方がいいのだろうか?」
「そうだな。俺も普段は剣一本だけだし」
「なるほど。忠告感謝する。少し考えてみるとしよう」
「ああ、そうしてくれ」
そうして、二人は今更ながらに乾杯をして、中身を一気に飲み干した。
その後、結局エミヤは剣を一本にすることにし、ワインの瓶を空にして店を去った。
お読みいただきありがとうございました!
実は、これはエミヤさんへの制約だったりします
干将莫耶は夫婦剣の性質上、一緒に持っているとステータスが上がりますし、二刀流スキルなんかも使えてしまうので、こうすることにしました
もちろん、二刀流を絶対使わないわけではないので、ご安心ください
それでは、また来週お会いしましょう!