もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
録り溜めしたアニメを消化していたら寝不足になった雪希絵です
ブレンドSが面白過ぎました_(:3 」∠)_
それではごゆっくりどうぞ
「り、リツカちゃん……?急に何を……」
「誤魔化そうとしてもダーメ。見れば分かるよ」
「うぅ…………」
咄嗟に話をかわそうとしたが、残念ながら立香にそれは通用しないのだ。
「たしかに、SAOはデスゲームなわけで、早く脱出したいと思うのは当然だと思うよ。でも、身体は充分な処置はされてると思うし、急ぎすぎて死んじゃったら元も子もないよ」
「……うん」
「……そんなことは百も承知だよね。じゃあ、理由聞いてもいいかな?」
立香がそう言うと、アスナは口ごもった。
やや目をそらし、答えにくそうに口元を何度か開け閉めする。
立香はそんなアスナを急かすことなく、両手で頬杖をつきながらじっと見つめる。
どれくらいそうしていただろうか。
「……リツカちゃんは、カルデアって所に入る前は、学生だったんだよね?」
「ん、そうだね」
「……なら、分かるかな」
ぽつりと呟き、アスナは続ける。
「別に、他の人からしたら大したことじゃないんだけど……」
「うんうん」
適切に相槌を打ちながら、話を聞く。
「私の家って、母親が凄く厳しくて……。一定の成績を維持しないと、凄く怒る人なんだ」
「なるほどね。それはたしかにプレッシャーだね」
「うん……。同級生との競走とか、出席日数の事とか考えたら、なんだか……落ち着かなくて。早く、早く戻って元の生活に戻らなきゃって……!」
微かに震え、自らの肩を抱くアスナ。
焦燥と絶望感、そして恐怖感が滲む表情。
「だから、早くクリアしないと……。他の誰にも任せちゃいけない、私自身の手で……!」
「もういいよ」
そんなアスナの手を肩から強引に引き剥がし、立香が両手で握りしめる。
「もういいよ、分かったから。……もう充分だよ」
「リツカちゃん……?」
じっと見つめる立香の黄色の瞳を、アスナが見つめ返す。
SAOは感情が極端に出やすい。
アスナの瞳は、微かに濡れていた。
「もうアスナは充分戦ってるよ。ずっとずっと最前線で頑張って来たんでしょ?だからもう、一人で戦おうとしないで」
「…………え?」
「たまには頼ってよ。色々話してよ。一人で抱え込まないでよ。……せっかく会えたんだから、それくらいしてくれてもいいんじゃない?」
「……リツカちゃん……」
アスナの震えが止まる。
素直で、飾り気のない言葉。
それでも、自分と同じ年齢の少女からぶつけられたその言葉は、アスナの心に素直に突き刺さった。
「……いの?」
かろうじてアスナが絞り出せたのは、
「いいの?」
その一言。
立香は満面の笑みを浮かべ、
「当たり前でしょ?」
両手を強く握った。
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陽の光が、アインクラッド外周区から入ってきた。
窓から光が飛び込んで来る。
眼窩付近に飛び込んで来た光に、立香は目を開く。
「……朝か」
「………んぅ……」
そして、目の前には、見慣れた整った顔があった。
長い茶髪が鼻にかかり、少々くすぐったい。
「……そっか、昨日一緒に寝ちゃったのか」
あの後、立香はひたすらアスナの話を聞き続けた。
今までの攻略戦のこと、これまでの愚痴、そしてこれからのこと。
立香も自分の事を話したし、聞いてもらった。
そうしていつしか疲れて、二人で揃って眠ってしまったのだ。
メッセージを確認すると、
『いつの間にか寝てしまうのは構いませんが、ちゃんと布団くらいは被ってくださいね』
と、マシュからのメッセージが届いていた。
「流石は私の愛しの後輩。優秀だねぇ」
にこやかに微笑み、再びアスナに向き直る。
「……ふむ」
相変わらず、どこまでも精緻で整った顔立ちだ。
普段から美男美女美少女に囲まれて生活してはいるが、アスナはその中でも上位に食い込める程だろう。
「とりあえず眺めてよ」
そう呟きながら立香がアスナの頬に手を当てると、アスナは僅かに微笑んだ。
お読みいただきありがとうございました
いやはや、百合百合してますねぇ、よろしいですねぇ(๑´ω`๑)ウヘヘ
……失礼致しました
それでは、また来週お会いしましょう