もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?   作:雪希絵

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どうも皆様

朝起きたら床に居た雪希絵です

何よりも落ちたのに起きなかったことに驚きです

さて、今回はちょっと短めになります

キリよく終わろうと思ったらこうなってしまいました

それでもよろしければ、ごゆっくりどうぞ


今日も歌が聞こえる

「無事……ですね?ダメージなどは入っていますか?」

 

息がどうにか整い、アルトリアは振り返ってそう言う。

 

ユナはぽかんとした顔から我に帰り、ふるふると首を降って、

 

「だ、大丈夫です!あ、ありがとう……ございました……」

 

お礼を言いながらも、ユナは呆然としていた。

 

実に正常な反応だ。

 

いくら中層域とはいえ、モンスターによる数の暴力というのは、プレイヤーにとって最大の敵である。

 

中層プレイヤーどころか、攻略組ですら死亡するような、膨大な数の敵。

 

おまけに、ここは結晶無効化空間である。

 

即時回復も緊急脱出も許されない状況で、アルトリアは戦い抜いた。

 

そして、ただ一人で勝利したのである。

 

もはや尊敬や羨望を通り越し、畏怖すら感じるレベルの強さである。

 

「HPが随分減っていますね。今のうちに、ポーションを飲んでおいてください」

 

そんな内心は梅雨知らず、アルトリアはそう言って周囲を見回す。

 

敵がいないのは分かっているが、警戒するに越したことはない。

 

「は、はい……。わかりました」

 

そんなアルトリアの言うことに従い、ユナはアイテム欄からポーションを取り出す。

 

先程までは暇がなかったが、今なら飲めるだろう。

 

アルトリアもグリーンゾーンではあるが、一応ポーションをくわえている。

 

五分もあれば、HPはMAXになるだろう。

 

「アルトリア!」

 

そんな時、近くからアルトリアが聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「マスター!」

「アルトリア、アルトリア!」

 

名前を呼びながら立香が走り寄り、アルトリアに飛びつく。

 

「大丈夫!?HPは!?」

「お、落ち着いてください、マスター!私は大丈夫ですから!」

 

ぎゅーっと抱きしめ、立香は半分涙目でそう言う。

 

どうやら本気で心配していたようだ。

 

「ごめんね、ごめんね……!無茶させて、本当にごめんね……!」

「……マスター」

 

何度も何度も謝る立香に、アルトリアはうろたえる。

 

それでも、なだめるようにポンポンと頭に、恐る恐る手を置いた。

 

「……アルトリア?」

「ああ、いえ……なんでも。ご安心を、HPは充分残っていましたし、ユナも無事です」

「……そっか。良かった」

 

安心し、立香は息を吐く。

 

全く離れる気はないらしいが。

 

「それに……」

「それに?」

 

そんな立香に苦笑いしながら、アルトリアはユナの方を見る。

 

「ユナ!!!」

「あ……ノーチラス……」

 

ノーチラスがユナに駆け寄り、その身に触れようとして……直前でやめた。

 

そんなノーチラスの様子を見ると、ユナは黙って手を握り……微笑んだ。

 

直後、ノーチラスは崩れるように座り込んだ。

 

嗚咽を漏らし、ぱたぱたと涙が落ち続ける。

 

肩を震わせるノーチラスは、ユナの胸に抱かれて、長く長く泣き続けていた。

 

「……こうして、この光景を守り抜けたんです。危険を犯した意味はあったはずです」

「……うん。そうだね。そうだと思うよ」

 

そう言い合い、二人は微笑んだ。

 

───────────────────────

 

「……すまなかった。本当に感謝してる」

「いえ。騎士として当然の務めです」

 

迷宮区を出ると、すぐにノーチラスが頭を下げた。

 

道中、何が起きたのか詳しく聞いた。

 

攻略組がボス部屋に行った後、閉じ込めトラップが発動してあるパーティーが全滅しかけた。

 

ユナ達はその救出に向かったが、多勢に無勢で自分達がやられそうになってしまった。

 

そんな中、ユナはモンスターを吟唱スキルによって引き寄せ、囮となってパーティーを逃がした。

 

ノーチラスはそんなユナを救出しようとしたが、フルダイブ不適合症の症状『恐怖心が優先してナーヴギアに読み取られる』というものが発動し、動けなくなってしまった。

 

他のメンバーは救出を拒み、大急ぎで回廊結晶を使って、ボス部屋で救援を要請した……ということらしい。

 

「っていうかさ、なんでボス部屋前の回廊結晶なんて持ってたの?」

 

立香が尋ねる。

 

「ああ……これでも、攻略組の端くれだ。なんとか、ボス戦に途中からでも参加出来ないかと思って……あらかじめ設定しておいたんだ」

「なるほどねぇ」

 

納得したように頷き、立香はアルトリアの手を引く。

 

「マスター?」

「あとはお若いお二人で……ってね?じゃあねー、お二人さん」

 

振り返らず手を振りながら、立香はアルトリアを連れて街の方へと歩いて行く。

 

ノーチラスはそんな二人の背中を見つめ続け、ユナは深々と頭を下げ続けた。

 

その後、ノーチラスは血盟騎士団を離脱。

 

同時に攻略組からも退いた。

 

しかし、深夜になれば。

 

「〜〜♪〜〜♪」

 

またどこかの街で、透き通るような歌声が聞こえてきていた。




お読みいただきありがとうございました

もう12月に入って、結構日にちが経ちましたね

この頃になるとだいたい体調を崩すので、気をつけたいと思います

皆様も、お身体にはお気をつけください

それでは、また来週お会いしましょう!

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