もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら? 作:雪希絵
なんだか随分と長かった気がします
曜日も違うし、いきなりだし、混乱されるかもしれませんが
わたくし雪希絵、恥ずかしながら帰って参りました
というわけで、大変お久しぶりです!
雪希絵です!
忙しい期間も終わり、人生の大事な時期も無事事なきを得まして、ようやく再開することが出来ました
他作品、オリジナル共々、復活したいと思います!
実は新連載も始めようかなぁ、とか思ってたりもしますので、そうなった時はそちらもよろしくお願いします
ただ、いきなり謝罪になるんですが、ラフコフ討伐戦はもう少しお待ちを……
書いてるうちに長くなってきてしまったので、数話ほどに分けて、書き上がったら一気に投稿します
どうかそれまでお待ちください、申し訳ございません
というわけで、お久しぶりにごゆっくりどうぞ!
これからも、雪希絵と『もしもセイバーのマスターがソードアート・オンラインに異世界転移したら?』をよろしくお願いします!
翌日。
キリトとアスナは早速血盟騎士団として活動するために出かけていった。
彼らに渡した概念礼装は、それぞれなかなかに大きな効果を発揮してくれたようだ。
特に、リミテッド・ゼロ・オーバーの攻撃力上昇量は、
「なんか、猛烈にいけないことをしている気がする……」
とキリトが言うほどのものだった。
目醒め前もステータスが全体的に上昇し、アスナも、
「いいのかな……ズルしてる気分だよ……」
と言っていた。
その後、二人とも『私の気持ち……受け取ってくれないの?』という立香の上目遣いの懇願によって折れ、活用していくことを決めた。
そのため、二人の戦闘能力については心配してはいない。
問題はそれ以外である。
「うーん、やっぱり心配だなぁ……」
「今日で何度目だ?そのセリフ」
ため息をつく立香に対し、苦笑いでそう言うのはスキンヘッドのガタイの良い男性プレイヤー。
名を『エギル』という。
服の上からでも筋骨隆々なのが分かるが、これで雑貨屋の店主である。
今はカウンターで話しながら、立香はコーヒーを飲んでいるのだ。
「だって、心配じゃない?」
「そんなに気にするような事態になってるのか?」
ちなみに、サーヴァント組とは珍しく別行動だ。
立香とエギルのおつかいを頼まれている。
「まあ、実は……ね。前に血盟騎士団の団員とちょっと揉めたらしくてさ。もちろん、キリトが間違ったことをした訳じゃないんだけど……」
「ああ、あれか。KOBの団員とデュエルしたっていう」
「そうそう。割と騒ぎになってたよね」
そう言い、立香はコーヒーを啜る。
カタンッとコーヒーカップを置くと、再びため息をついた。
「それのせいで、逆恨みとかされてたら心配だなぁ、ってさ。ほら、ここのプレイヤーって……たまに、タガが外れてる人がいるから」
「……まあな。命懸けのデスゲームでありながら……いや、デスゲームだからこそか」
「どこでも変わらないものだよね。人って」
どこか悲しそうに、立香は苦笑する。
「だが、それをここでぶちまけられても困る。心配するのが悪いとは言わないが、してるだけじゃ何も起こらないぞ」
「……エギルってさ、結構いいこと言うよね」
「なんだ?急に褒めだして」
「んーん、ふと思っただけ」
よっ、と呟き、立香は椅子から降りる。
「行くのか?」
「うん。とりあえずね」
「気をつけろよ」
「そうするよ。ありがとう、ご馳走」
踵を返しながら手を振り、立香は足早に店を出ていった。
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一方のお使い組。
「えーっと、これで最後でしょうか?」
「マスターからのお使いは終わりですね。あとは、アーチャーの方ですが……」
「こちらも揃ったぞ。そろそろ戻るとしよう」
場所はアインクラッド第五十五層『グランザム』。
ここでしか売っていないものもあるようで、お使いでここまでやって来たのだ。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……。大丈夫そうですね。ちゃんとメモの通りの数です」
「層をいくつか渡ったからな。少しだけ骨が折れたが、まあ、この程度問題ないだろう。そろそろ戻……おや?」
ふと、エミヤが街の一角を見つめる。
その方角には、この五十五層のフィールドがあるはずだ。
一般人なら見えるわけがないが、アーチャークラスの視力は伊達ではない。
「どうかしましたか?エミヤさん」
「いや、アスナが走って行ったんだ。尋常ではない表情でな」
よく見えたな、とか。
どうしたんでしょう、とか。
そんな疑問は全て置き去り。
「アルトリアさん、追いかけてください」
「あぁ。何かあったに違いない」
頷き、アルトリアは駆け出す。
サーヴァント組でトップの敏捷力、そして魔力放出をいかんなく発揮する。
フィールドを出てすぐ、荒野の中で二人は合流した。
「あ、アルトリアちゃん!?」
少し遅れてアルトリアに気がついたアスナは、驚きに声をあげる。
しかし、依然として速度は緩まない、
SAOでも随一の敏捷力は、魔力放出付きのアルトリアにさえ引けを取らない。
高速で滑走しながら、アルトリアはアスナに声をかける。
「アスナ。多くは聞きません。あなたの急務に、このままで間に合いそうですか?」
「……! そ、れは……」
アスナは焦りの表情と共に言葉を濁す。
分からない、そういう顔だ。
「……でも、何もしないなんて嫌。大好きな人が、このままいなくなっちゃうなんて……そんなの……嫌……!」
目頭に浮かぶ涙を堪え、アスナは尚も懸命に駆ける。
「……分かりました。間に合わせてみせましょう、私が」
「えっ……?」
滑走しながら、アルトリアは鎧を解除する。
「時にアスナ。あなたは、風に乗って飛べますか?」
少しだけ黙り、アスナは答える。
「それが、キリトくんの為なら」
決意した目で、頷く。
ならばもう、言葉はいらない。
「舞い上がれ、『
風が爆ぜ、不可視の鞘は効果を失う。
代わりに、鮮烈な暴風が二人を撫でた。
それはアスナに収束し、包み込むように上へ上へとすくい上げようとする。
アスナの足元へ、風が一極集中する。
同時、アルトリアは剣を横抱きに構える。
一際強く、アスナが地面を蹴ったその瞬間。
「飛べ!アスナ!」
風によって作られた架空の足場を、叩きつけるように踏みしめる。
強く、強く、されど繊細なコントロールで風を手繰り、アルトリアはアスナを上空へと打ち上げる。
高度はいらない。
代わりに水平移動の距離を強引に引き伸ばしていく。
やがて、輝く風と共に、アスナは彼方へと舞い降りる。
その先には、きっとキリトがいるだろう。
「……ふぅ」
(アスナ、あなたなら大丈夫です。あなたは、私の知る中で、マスターの次に強い
立ち止まり、軽く息を整える。
この先は、二人の選択だ。
乗り越えられると信じて。
幸せになってくれると願って。
今は待つと、そう判断した。
「さて、戻りましょうか。……ご武運を、お二人とも」
しばらく歩き、アルトリアは街に戻る。
門前には、マシュとエミヤ、そしていつの間にか合流していた立香がいた。
「お疲れ、アルトリア」
「いえ。大したことは、してませんから」
「人を遥か彼方に飛ばすのは大したことなんだけどなぁ」
あはは、と笑い、息をつく。
「さて、どう転ぶかな」
「戦う軍師でも予想出来ないのか。意外だな」
「私は予言者じゃないよ」
そう言いながら、腕を組んで考え込む。
少し経って、何か思いついたように顔を上げる。
「何か思いつきましたか?先輩」
「うん。たぶんだけどね」
苦笑いというか、それでも嬉しそうというか、絶妙な表情で答える。
「たーぶん、明日辺りに驚くことになるのかなぁ……ってさ」
「はい?」
「ほぅ?」
「はぁ……?」
現段階では分からないサーヴァント組に、やはり立香は、たははと苦笑いをしていた。
というわけで、雪希絵復活となります
待ってて下さった皆様、ありがとうございます
これからお読みの方は、これからよろしくお願いします
では、また来週お会いしましょう!