超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜   作:絶望危惧種

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すっごくお待たせいたしました。早めに投稿するなんてことはありませんでした……(´・ω・`)

今回もケイブとのイチャラブ(?)です。それではどうぞ!



第15話「ドキドキ♡メモリアル!~後編~」

――シオン店内1F・レストラン「ワグネリア」――

 

 

「いらっしゃいませ!ワグネリアへようこそ!」

 

 中へ入るとパッと見中学生ぐらいの小柄なポニーテール少女が出迎えた。てか、こんな小さな子が働いていいのだろうか。ウチもハコちゃんって子がいるし、言えた口ではないが。

 

 

「2名様でよろしかったですか?空いているお席へどうぞーっ」

 

 テキパキとした動作で案内される。見かけによらずとてもしっかりした子だった。

 

 俺達は奥の方の席につき、持っていた荷物を下ろした。だいぶ沢山買ってあげたからそれなりに重たい。一息ついてメニューを二つ取り、一つをケイブに渡した。

 

「さーって、何にしようかな」

 

 メニューを開くと美味しそうな料理の写真が所狭しとのせられている。

 ハンバーグ、ステーキ、グラタン。どれも食欲をそそるものばかりだが、俺が一番気になったのはこれ。

 

 

「……馬鳥南蛮定食、かぁ」

 

 ゲイムギョウ界の珍味とされている馬鳥。食べた人はみな口を揃えて「クセになる」と評判の高い食材だが……いつも戦っているモンスターを食べるのに抵抗があって、俺は今まで食べたことがなかった。

 

「キュッ、キュッキュッ!!」

 

――わぁーっ!カイト、これにしよっ!

 

 こいつも食べたいと言っているし、今回はせっかくだ。これに挑戦してみよう。

 

「おし、俺は決まり。ケイブは決まった?」

 

 俺がケイブのメニューを覗き込もうとすると、彼女はハッとした様子でページをめくった。その時、開いていたところがデザートのページだったのを俺は見逃してはいなかった。

 

「そ、そうね……。じゃあ、そうね。これにしようかしら」

 

 そう言って何事も無かったかのように、メニューのミートスパゲティを指さした。

 

 俺は呼び鈴のボタンを押す前に、ケイブに見られないようにもう1度メニューを開く。見たのはもちろん、デザートのページだ。

 

……おぉっ、これは……。

 

 そこにあったのは多分この店にしかないだろう、特製パフェだった。その内容はとても豪華で、4色のアイスがそれぞれひとつずつ、その上に生クリームが乗っかり、さらにそこにカラフルなトッピングとサクランボ。アイスの下にはヨーグルトと様々なカットフルーツがもられている。これは確かに美味しそうだ。

 

……なるほど、そういうことか。

 ここまでのケイブの挙動と今日知った彼女の性格から、俺は一つの結論に至った……が、これはもう少し後で答え合わせとしよう。

 

――ピーンポーン

 

 メニューの開いているページを変えて、呼び鈴のボタンを押した。しばらくすると、メガネの良く似合う青年がやって来た。

 

 

「お待たせいたしました。ご注文の方をお伺いします」

 

 青年は胸に研修中というバッチを付けていた。アルバイトの子か……などと思いながら、青年に注文をする。

 

 

「えーと、俺はこの馬鳥南蛮定食を」

 

「私はミートスパゲティをお願いするわ」

 

「はい、かしこまりました。注文は以上でよろしかったでしょうか?」

 

 

 アルバイト君が確認に入ろうとしたところで、俺はさらに追加の注文をする。

 

「あ、すみません。食後にこの特製ロイヤルパフェを1つ」

 

「はい、かしこまりました。それではしばらくお待ちくださいませ」

 

 注文をした時、一瞬ケイブの目がキラキラしていた。これはもう間違いない。

 ケイブ、パフェが好きなのに我慢しているのか。さっきといい今といい、窮屈な思いをしていたのだろう。だったら、ここは俺が自然体のケイブを引き出してあげないと!

 

 

「……カイト、随分たくさん食べるのね」

 

「おう、こいつも食べたいって言ってるしな」

 

 怪しまれないようにさらっと流す。ケイブもそれで納得してくれた。この仔竜がいてくれて本当に助かった。

 

「あ、ケイブ。そういえばこの前……」「……え、そんなことあったかしら?」「キュキュッ!!」「あ、ドリンク入れてくる」

 

 

 こんな感じでケイブとの会話を楽しみながら、料理を待つこと約15分。少し離れたところにさっきのポニーテールの子がチラッと見えた。手に持っているのは俺達の注文した料理のようだ。……けど、小柄なせいか少し不安定だ。

 

「ちょっ、先輩。危ないですよ?」

 

「だ、大丈夫……かたなし君は別の仕事を……」

 

「そういう訳にはいきません。僕が代わりに運びますから」

 

 

 そう言ってかたなしという青年が少女の頭を撫でる。……なんか店の中でラブコメを見せられた気分だ。

 

 

「お待たせいたしました、馬鳥南蛮定食とミートスパゲティです」

 

 目の前に2人の頼んだ品が置かれる。写真で見たとおり、とても美味しそうだ。

 

「じゃ、いただきまーっす」

 

「……いただきます」

 

「キュキューッ!」(――ごはん、ごはんー!)

 

 さて、どんな味なのだろうか。

 既に切り分けられている南蛮の1切れを口に運ぶ。

 

「……おお、これなかなか美味いな」

 

 食感はチキン、だが味は馬肉。これこそ馬鳥の名に相応しい。これは確かに癖になる味だな。

 

「キューッ、キューッ」(ねー、たべさせてー)

 

「落ち着けって。ほら、食べな?」

 

 俺は南蛮1切れを仔竜の口の前まで持っていってやる。すると待ってましたと言わんばかりにぺろりと平らげた。

 

「キュゥゥゥーン!!」(これおいしーいっ!!)

 

 仔竜も大満足のようだ。俺も次の1切れに箸を伸ばし、また一口。……うん、やっぱ美味い。気に入った。

 

 食べながらケイブの方を見る。彼女も美味しそうにフォークにスパゲティを巻いて食べていた。食べ方も上品で綺麗だな……。

 

 

 俺は仔竜に肉を食べさせつつ、ケイブと談笑しながら食事を続けた。

 

 しばらくして、俺もケイブも料理を食べ終えた頃。もうそろそろかな、と思いながら再び呼び鈴のボタンを押した。

 

 

 ピーンポーン

 

 

 電子音が鳴り響くと、今度は紫髪の少女がやって来た。胸に研修中というバッチがついているから、この子もアルバイトなのだろう。

 

「はい、ご注文どうぞです!」

 

「えーと、さっき頼んだ食後のパフェお願いします」

 

「はい、かしこまりました!」

 

 

 注文を聞くと少女はそそくさと厨房へと消えていった。そしてまたしばらくして。

 

「お待たせいたしました!ロイヤルパフェです!」

 

 テーブルに置かれたのは色とりどりのフルーツとアイスで彩られたパフェ。その大きさは想像以上で、2人以上で食べることを前提としているようなボリュームだ。

 

……うん、2人以上?

 

 その考えに至った時、パフェの受け皿を見て1つの失敗に気づいた。

 本当なら彼女に食べてもらうために頼んだのだが、そこにはパフェ専用のスプーンが2つ。そう、2つ。

 

 

……わけあいっこしろと言うのか!!

 

「……山本、頑張りましたっ!」

 

 遠くの方でさっきの女の子がそんなことを言ってるのが聞こえた。非常に気が利いていますね、良い意味でも悪い意味でも。

 

 ケイブを見てみると、彼女はパフェを前に目を輝かせていた。やっぱり食べたかったんだな。

 

「……あのさ、ケイブ」

 

「っ!?え、えぇ。何かしら?」

 

 慌てて返事をするケイブ。もうバレバレなのだが、彼女は平然を装っていた。

 

「このパフェだけど……その、俺ひとりじゃ食べきれないから……い、一緒に、食べないか……?」

 

 俺は恥ずかしいながらも、どうにかその言葉を口にした。くそっ、少しかっこ悪い。こんな状況になるのは予想外だった。

 

「えっ……!?で、でも……」

 

 ケイブは俺の提案に驚き、戸惑っていた。多分今ケイブの中では食べたい気持ちとパフェを食べることへの恥ずかしさがせめぎあっているんだろう。

 

「……パフェ、食べたかったんだろ?ケイブが甘いものが好きでも、別に変じゃないと思うよ」

 

 そう言って迷っているケイブの背中を押してやる。ケイブはほんのりと頬を赤らめながら、スプーンに手を伸ばした。

 

「じゃあ……その言葉に甘えるわ……」

 

「お、おっし!じゃあ溶けないうちに食べるか!」

 

 俺達は目の前のアイスの山を崩し始めた。このパフェは見た目だけでなく、味もかなりいいものだった。このボリュームでも食べ続けて飽きがこない。みるみる高さが減っていく。

 

 

 そうしているうちに俺達のスプーンが器の底まで到達した。完食だ。

 

 ケイブは甘いものが食べられて満足そうな表情をしている。作戦はとりあえず成功したが……これはかなり恥ずかしかった。まあ、結果オーライというやつだ。

 

 

 腕時計を見ると、時刻はいつの間にか1時半過ぎだ。

 

 

「……ケイブ。そろそろ行くか」

 

「ええ、そうね。行きましょう」

 

 俺とケイブは立ち上がり、レジへ向かう。

 そのまま支払いを済ませ、俺達はレストランを後にした。

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

「カイト、次はどこへ行くの?」

 

 店から出た後、モールの中を2人で歩きながらケイブがそんな質問をしてきた。

 

「いっぱい食べた後は、少し動きたくなるよなぁ」

 

 わざとらしくそんなことを言ってみる。次に行くところは既に考え済みだ。

 

「というわけで、アミューズメントエリアに行こう!!」

 

 このモールの4~5階エリアにはゲーム、スポッチャなどが広がっている。ケイブもゲーム好きだという話を聞いた事があったので、絶対に行こうと決めていたのだ。

 

 

「ふふっ、いいわね。私の腕を見せてあげるわ」

 

 ケイブもかなり乗り気だ。ゲーマーの血が騒いでいるのだろう。ちなみに俺もだ。

 

「よーし、行くか!!」

 

「キュキュゥーン!!」(れっつごー!)

 

 早速俺達はアミューズメントエリアへと向かった。

 

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

 ――シオン店内4F・アミューズメントエリア――

 

 

 エレベーターの扉が開くと、薄暗い空間でたくさんのゲーム筐体の光が輝いていた。

 

「おお……。かなり広いな……」

 

 さすが大型ショッピングモールなだけあって、ゲームコーナーの面積はかなり広い。1日中いても飽きることはないだろう。

 

 

「カイト、これなんてどうかしら」

 

 ケイブは早速気になるものを見つけたようだ。近づいて指し示す筐体を見てみる。

 

「……ガンシューティング、か」

 

 スクリーンにはゾンビらしきモンスターや異形の怪物達がわんさか現れるムービーが流れており、その前には銃のコントローラが4つささった台がある。協力プレイ可能、1プレイ100クレジットだ。

 

「よし、やるか!」

 

 俺は筐体に100クレジット玉を入れ、画面左側でスタンバイ。ケイブもつづけて100クレジット玉を入れて逆サイドへ。

 

 目の前の台にあったボタンを押すと、チュートリアルが流れ出した。このゲームは最大4人プレイが可能。2人プレイまでなら2丁拳銃を使用できるとのこと。ただし、威力は1丁の半分らしい。リロードはコントローラのグリップ底面にあるボタン、ボムは台のボタンで使用できる。

 

 ケイブはそれを見ると迷わず2丁拳銃を選択。俺はそんな器用なことは出来ないので1丁だ。

 

  「……さあ、始めましょう」

 

「さてと、ミッションスタートといこうじゃねぇか」

 

 

 ゲームがスタートする。画面の至る所からモンスター達が溢れてくる。それに照準をあわせ、トリガーを引く。倒す度にどんどんスコアが加算されていく。

 ケイブも2丁拳銃を使いこなし、すごい勢いでスコアを伸ばしていった。……俺も負けられない。

 

 そうこうしているうちにあっという間に第1面のボス。ボスの攻撃に合わせて射撃。怯んだところにケイブが銃弾の雨を浴びせる。たちまちボス撃破。

 これじゃいつもの仕事変わらない気が……とも思ったが、気にしないでおこう。

 

 俺達はそのまま危なげなくノーコンティニューで最終面へ。しかし、終盤に差し掛かった途端にモンスターの数が激増。どんどん対処しきれなくなる。

 

「くそっ、ケイブ!!」

 

「ええ、分かってるわ!」

 

 俺とケイブは位置を入れ替わり、お互い違う敵を攻撃する。そして玉が切れるとお互いの銃の底面をあわせ、同時にリロード。敵を殲滅していく。

 

 ついにラスボスが登場する。体力は今までの敵の比ではない。しかも取り巻きのザコ敵もかなり体力がある。

 

「カイト、来るわよ!」

 

「OK、行こうか!!」

 

 ケイブがボスに攻撃を仕掛け、俺は迫るザコ敵敵を掃討する。弾切れすると同時にケイブとリロード、再び射撃。ザコ敵を十分引き付けたところで、今まで温存していたボムを使用する。

 

 

 ドカァァァァン!!

 

 爆破のエフェクトとともにコントローラがブルブル振動する。ザコ敵はとりあえず殲滅出来たようだ。

 そのままケイブと共にボスを迎え撃つ。

 

 ボスの体力が減るにつれて攻撃のパターンも激化する。HPバーが赤になったところで、ボスの頭部に2つ、腹部に1つ、クリスタルの弱点が浮かび上がった。

 

 

「ケイブ!!」

 

「ええ、カイト!!」

 

 俺達は1歩踏み出し、台に足をかける。その時に足の裏でボタンを押し、バク宙。サマーソルトキックの要領だ。滞空中に俺は腹部の弱点、ケイブが頭部の2ヶ所を狙い撃つ。

 2つのボムと的確な射撃でボスの体力ゲージは一気に減っていき、俺達が着地すると同時に。

 

「ギャオオオオオオォン……」

 

 ドカァァァァン!!

 

 ボスは爆散して跡形もなく消え去った。ゲームクリアだ。エンディングムービーが始まり、エンドクレジットが流れ出した。

 

 

「……ふう。やったな、ケイブ」

 

「ええ。久々に盛り上がったわ」

 

 ケイブはとても満足そうな笑みを浮かべていた。俺もかなり楽しかった。さて、そろそろリザルト画面だ。

 

 左側に1Pの俺、右に2Pのケイブのスコアが表示される。

 俺のスコア……130万4301点。対してケイブのスコアは……160万6590点。かなりの差を付けられてしまった。

 

 

「あら、私とここまで近いスコアなんて。さすがカイトね」

 

 ちょっと悔しいが、ケイブは特命課のシューター。その彼女といい勝負ができたのだから、よしとしよう。

 

 ちなみに俺とケイブの総合スコアだが……店舗ランキングどころか、全国ランキング1位を叩き出してしまった。少し大人げなかったかも知れない。

 

 ふと、周りを見ると、俺達の周りには軽く人だかりが出来ていた。そりゃああんな息の合った神業プレイをしたら当然だろう。

 

「うわやべっ。ケイブ、早く離れよう」

 

「えっ、ええ。少しやり過ぎたわね……」

 

 俺達は早足で人だかりから離れて行った。後にこの動画がSNSに投稿されて世間で軽く話題になったのは、また別の話だ。

 

 

 

 この後も、俺達はゲームなどを楽しんだ。例えば、エアホッケーでは……。

 

 

「この弾幕を防げるかしら?」

 

「なんで10枚に増えてるのさ!?」

 

 

 続いてモグラ叩き……

 

 

「……あ、手が滑ったわ」

 

「あいたっ!」

 

「キュゥゥゥーン!」(わー、おいしそー!)

 

「こら、それは生き物じゃない!」

 

 

 レースゲームにて……

 

 

「うわ、バナナ!次はこうら3連!?って、ニセボックスのダイレクト!?……ケイブ、やりやがったなぁ!?」

 

「ふふ、まだまだよ」

 

「ちょっ、無敵&青こうらはダメ……ギャーッ!」

 

 

 

 とまあ、こんな感じで遊びまくった。

 そうこうしているうちに、時刻は夕方5時過ぎ。そろそろ帰らなければ。

 

「ふーっ、楽しかった。ケイブ、そろそろ帰ろっか」

 

「……そうね。帰りましょう」

 

 

 ケイブに声をかけて、出口に向かって歩き出す。すると、不意にケイブが立ち止まる。どうしたのだろうと振り返ると、何かを物欲しそうに見つめる彼女の姿があった。

 

「……ケイブ?どうかしたか?」

 

「あ、ええ。何でもないわ。行きましょう」

 

 不思議に思って声をかけると、正気を取り戻したかのようにこちらへ歩いてくる。俺はケイブがさっきまで見つめていたものを探してみる。

 

 その時、一際目立つ筐体を見つけた。クレーンゲームだ。中に置かれていた景品は、大きなクマのぬいぐるみだった。

 

 

……ケイブどんだけカワイイんだよ!!

 

 心の中でそう叫んだ。まさかケイブがこんなにも乙女チックだったとは、ギャップ萌えもいいところだ。

 

 

「……ケイブ、ちょっと寄り道いい?」

 

「えっ?どうしたの?」

 

 

 俺はクレーンゲームの筐体に近寄り、500クレジット玉を投入した。ケイブもすぐ後ろまでついてきた。

 

 よーしケイブ、そこで見とけよー。今まで負けっぱなしだったけど、今度こそいいとこ見せてやるからな。

 

 まず、1回目。アームを横に動かし、クマの少し右側で止める。そして縦に移動させて、アームを下ろす。クマは少しだけ持ち上がるが、コロンと転がってしまう。これが狙いだ。これで穴に近づいた。同じ要領で2回、3回と転がし、穴に寄せていく。

 そして最後の1回、アームをクマの左側に移動させ、ツメがクマを手繰り寄せるようにひっかけ、そのまま穴に引き寄せる。あとは重力に従って……。

 

 

 ゴトン。

 

 

「うし、取れた」

 

 取り出し口からぬいぐるみを引っ張り出す。クマはモフモフしていて気持ち良かった。もう少しこの感覚を楽しみたかったが、この辺にしておこう。

 

「ほれ、ケイブ。プレゼント」

 

「……えっ?でも……いいの?」

 

「遠慮するなって。俺が持ってても仕方ねえし。ほら、もらっとけ」

 

 恥ずかしさから受け取るのを躊躇っていたケイブに、ぬいぐるみを押し付けるように手渡す。ケイブはぬいぐるみを手に取ると、幸せそうな表情でそれを優しく抱きしめ、クマに顔をうずめた。

 

 

「ありがとう、カイト」

 

 ケイブが顔を上げ、笑顔で俺にそう告げた。

 

「ああ、どういたしましてだ」

 

 それに応えるように、俺も満面の笑みを彼女に返した。

 

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

 

 

――ケイブside――

 

 

 

――ケイブ自宅・寝室――

 

 

 

「はぁ……」

 

 お風呂からあがってネグリジェに着替えた私は、ボスンと音を立ててベットに倒れ込み、大きなため息をついた。

 

 

……今日は、本当にいろんな事があった。

 

 今まで皆に隠してきたことが、カイトにほとんどバレてしまった。でも彼は、そんな私のことを受け入れてくれた。凄く恥ずかしかったけど……正直、嬉しかった。こんな私を女の子として接してくれるのが。

 

 目の前にあるのは、今日カイトが私のために取ってくれたクマのぬいぐるみ。私はそれを引き寄せ、ギュッと抱きしめる。モフモフとした肌触りが、とても心地よい。

 

……あれ。なんだろう、この感情は。

 

 こんなにも満たされているのに。満たされているはずなのに。それでもまだ足りないような気がしてしまう。けど、それが何か分からない。それがいったい何なのか、考えてしまう。

 

 

……ダメね。いつの間に私はこんなワガママになったのかしら。

 

 

 その時、今日一日の疲れが睡魔となって私に押し寄せてきた。急に瞼が重くなって、意識があやふやになり始める。

 

 

「……カイト」

 

 いるはずもない、彼の名を呼んだ。意味なんてない。けれど、何故か呼びたくなってしまった。

 

 眠気はどんどん強くなり、意識も遠のいていく。体の疲れがピークに達していた。けれど、それはいつもとは違う、とても心地良い疲れだった。

 

 

……また、遊びたいな…………。

 

 

 意識が飛ぶ直前、そんなことを考えながら、私はクマのぬいぐるみを抱きしめて、深い眠りについた。

 

 

 




いつもの3倍の長さ……やりすぎました。

次も出来るだけ早く上げるつもりですが、時間が空いてしまう可能性が高いです。ご了承ください……。

それではまた次回!コメント、アドバイス、評価等お待ちしております!
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