超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜 作:絶望危惧種
……いや、本当に申し訳ありませんでした。まさか一ヶ月も開けてしまうとは。これも全てセンターが近づいているのが悪いのです。決して私のせいでは……すみません、勘弁してください(泣)
お詫びもかねて、今回はいつもより多めです。
それではどうぞ!
――リーンボックス教会――
朝9時過ぎ。出勤してまもなく、ケイブの姿を見かけた俺は、彼女に話しかけようとするのだが。
「おーい、ケイブ」
「っ!?…………。」スタスタ
……あれ、聞こえていなかったのだろうか。無視してどこかへ行ってしまった。何か急いでいるみたいだったし、声をかけるのは後でもいいか。
✱✱✱✱✱
――リーンボックス教会・特命課本部――
「よーし……デスクワーク終わりっと」
女神ライブが成功し、犯罪組織からシェアの大半と取り返した俺達は、つかの間の平和な1日を過ごしていた。
うん、平和っていいね。仕事中なのに命の危険がない。そう思ってしまうのは、俺も特命課に蝕まれてきたということだろう。
けれど、俺達が働かなくて済むならそれが一番いい。いつか俺達が税金泥棒って呼ばれる日がくるといいなぁ……。
とまぁ、そんなことを考えながら今日という1日の幸せを噛み締めていた。
「キューッ……キューッ……」(カイトぉ……おなかすいたぁ……)
お?もうそんな時間なのか。
仔竜が俺の裾を引っ張っておねだりをしてきて、腕時計に目をやる。いつの間にか12時を少し回っていた。
「そうだな、飯食いに行くか」
「キューッ!!」(わぁーい!!)
ちょうど小腹が空いてきたところだ。こいつを連れて教会の食堂に向かうことにした…………のだが。
ここでふと。本当にふと、あることに気付いた。
「……そういや俺、おまえの名前知らねぇじゃん」
「……キュー?」(……んーっ??)
俺の肩で、仔竜が小さな頭を傾けて、キョトンとしていた。
「なあ……お前、名前ぐらいは覚えてないか?」
以前、こいつの事について夢の中で尋ねた時は『分からない』だったが、せめて名前だけでも覚えていないだろうか。
このままだと、俺はこいつをなんて呼べばいいのかわからない。今まではどうにかなってきたが、これからはきっと、戦闘中にこいつの力を借りる時がきっと来るだろう。その時になんて呼ぶかで迷っていては、大きな隙に繋がるだろうし、なにより……カッコ悪い。
「キューッ……キュゥゥゥーン……」(ごめん、カイト……わたし、なにもわからないの……)
……困ったな、完全に詰みだ。
まあ、後でチカ様にこいつが一体なんて種族なのかだけでも聞きに行くか。
にしても、名前……か……。俺が付けるしかないのか。
だが残念なことに、俺は昔からネーミングセンスの欠片もない。小さい頃に女の子の友達に愛称を付けたら大泣きされた。それぐらいだ。
んー……。ケイブにでも相談してみるか。
とりあえず、細かいことは後回し。まずは飯だ。
俺は椅子から立ち上がり、自動ドアの前に立つ。ドアが開き、部屋から出ようとするとちょうど同じタイミングで入ろうとしたケイブと鉢合わせの形になった。
「おっと。悪いなケイブ」
「っ!?……え、ええ。大丈夫よ」
おお、噂をすればなんとやら。早速話を聞いてもらうとするか。
「なあケイブ。こいつに名前付けたいんだけどさ……どんなのがいいかな?」
「え?あ、えっと……そ、そうね。うん、どんな名前がいいかしらね?」
……あれ、何だろうこの違和感。いつものケイブと少し違うような。
「ケイブ、どうした?体調悪かったりするか?」
「いえ、その……べ、別に、大丈夫よ?気にしないで頂戴」
そう言われてもなぁ……。何だか火照ってるし、いつもみたいな凛々しい雰囲気とは打って変わって、弱々しいというかなんというか……。心配になって彼女の額に手をあててみる。
「……ッッ!!??」
うん、熱はないみたいだ。けれど、さっきより顔が赤い。今変な声出たし、やっぱり体調不良なのだろうか。
「ケイブ、ホントに大丈夫か?」
「~~~~~ッッッ!!!!!」
彼女の表情を伺おうと、俺は顔を近づける。
その瞬間、一周まわって心地良いほどの破裂音とともに、俺の頬にとんでもない衝撃が走った。
……何が、起こった?
空中に身を投げ出しながら、情報を整理してみた。
顔を近づけたら、ケイブにビンタされて、その勢いで空中錐揉み回転。……いや、ケイブってば力強すぎない?ビンタで人が吹き飛ぶとか聞いたことないよ?
直後、俺は背中から床に叩きつけれて本日2度目の鈍い痛みに襲われた。
「グボァッッッ!!」
なんだ今の声と思い、それが自分の口から出たものだと気付いて、俺ってこんな声出せたんだなーと新しい発見をした。
「!?……ごめんなさい……っ!!」
痛めた体を擦りながら上体を起こすと、ケイブが去り際にボソッとそう呟いてどこかへ走り去って行くのが見えた。
ケイブ、本当にどうしたんだろうか……?
――ケイブside――
――リーンボックス教会・エントランス――
「はぁ……」
1つ大きなため息をつく。私の心は今、得体の知れない感情でぐちゃぐちゃとかき乱されていた。
「どうしてあんな事しちゃったのかな……」
思い出すのは、今日1日でカイトに対しての行動。彼と出くわす度に、無視したり、殴ったり、etc、etc……。
別に嫌っている訳では無い。むしろ彼は、唯一私が心を許せる相棒だ。
そのはず……なのだが……。
(なんだろう、この感覚……?)
先日、カイトと一緒に出かけたあの日から、彼に抱く感情が変化していた。それが何なのか分からないのが問題なのだが……。
それからだ。カイトに対しての私の行動がおかしくなり始めたのは。
彼の姿が視界に入ると、急に胸が締め付けられるような感覚に陥る。話すときも、勝手に頬が火照ってきて、胸の鼓動が早くなる。
落ち着こうとするけれども逆効果。どんどん頭がこんがらがってきて、まともな判断なんてしていられなくなる。
そして結局、カイトにひどいことをするという形に収まるわけで……。
「……はぁ」
自身の不甲斐なさに呆れ、2度目のため息をついた。カイトには本当に悪いことをしていると思っている。
だから、なるべくそうならないよう深く考えないようにしていのだが、少し気を抜くとすぐに彼のことを考えてしまっている。
「カイト、今何してるのかな」「次はいつ遊べるのかな」などなど。そして一番厄介なのは、こうして彼のことを考えている時も、ちゃんとした思考が出来なくなっている事だ。
おかげで最近は全然仕事が片付かない。今日もチカに注意されてしまった。
「どうすればいいんだろう……」
ポツリと呟き、頭を抱えていると。
「あれ?ケイブさんじゃないですか。こんにちは」
「……なんだか浮かない顔をしてますの」
振り返ると、先日イストワール様に呼び戻されたはずの女神候補生・ネプギアと、ルウィーの錬金術師・がすとが佇んでいた。
「……あら?貴方達、プラネテューヌに戻ったんじゃなかったの?」
「あっ、そっちはもう終わったんです。それで、リーンボックスにやり残してた用事があったので、また戻ってきました」
尋ねると、すぐにネプギアが丁寧に答えてくれた。続けてがすとが近寄ってきて、私の顔をまじまじと見つめる。
「……どうかしたんですの?よかったら相談に乗ってやらないこともないですの」
さすがはがすと。人の心の動きを敏感に捉えることが出来るなんて……。私が今すごく悩んでいることをあっさり見抜かれてしまった。
やっぱり、商売人の血というものだろう。私なんかとは大違いだ。
「えっ?ケイブさん、そうなんですか?私も相談、乗りますよ」
ネプギアもそう言ってくれた。本当に皆、優しい仲間達だ。
「ありがとうネプギア、がすと。実は……」
私はそんな2人の優しさに甘え、相談に乗ってもらうことにした。
✱✱✱✱✱
――カイトside――
――同時刻・リーンボックス教会――
「……ってことがあったんですよ」
「……はあ、アンタって人は……」「類は友を呼ぶとはこういうことかしら……」
ケイブに吹き飛ばされたあと、俺は昼飯を食べてチカ様の元へと向かい、仔竜の件について話を聞こうとした。
……のだか、何故かユニ様もご一緒だった。すると突然ユニ様に、
「……アンタ、何かあった?」
と尋ねられたので、せっかくなのでユニ様とチカ様にケイブのことを相談してみたのだが……
「カイト、アンタ本当に分からないの?」
「もし分からないなら、アタクシはあなたの仕事から交渉関連のものを外すことになるわ」
え、えぇー……。俺、なんでこんなにボロクソ言われなきゃいけないんだ。
「そ、そう言われましても……俺、悪い事しましたか?」
恐る恐る尋ねてみる。それを聞くと、ユニ様は大きくため息をついて、呆れた様子で問いかけてくる。
「あのねぇ……。はぁ、まあいいわ。じゃあ、1つ質問いいかしら」
「あ、はい。どうぞ」
「アンタ、ケイブのこと好きでしょ?」
「なっ!?」
まさかのこのタイミングで、しかもオブラートに包もうとする意志の欠片もない超ストレートな問いかけに、俺は動揺を隠せなかった。
「バレてないと思ってたの?」
「アタクシの知る限り、知らないのは日本一くらいね」
なんてこったい。いとも容易くバレテーラ。
「そりゃそうでしょ。アンタの、ケイブを最優先に考えてる戦闘スタイルとか、ケイブがピンチに陥ってパワーアップするのとか見てたら誰だって気付くわよ」
……嘘だろ、超恥ずかしい。自分の顔が火を噴くほど赤くなっているのが分かる。
穴があったら入りたいっていうのはこういう状況なのだろう。いっそのこと自分で穴を掘って埋まりたい。
「そ、そうですよ……!それが、なんだって言うんですか?」
半ばヤケクソ気味に答えると、チカ様が鋭い目つきで俺を見つめてきた。……いや、いつもつり上がった目をしてるけれども。そして、俺にこう告げた。
「今のケイブはね、戸惑ってるの。あなたへ抱いた感情が、恋だって分からずにね」
「……はっ?」
なに、言ってるんだ?
いや、意味は分かってる。頭がそれを認識しようとしないだけだ。
本当に、あのケイブが?俺なんかを好きになってくれたってのか?でも、そんな素振り1度も……。
「……あっ」
そこまで考えてようやく、頭の中でバラバラだったパズルのピースがどんどん組み上がっていく。
そうだよ。予兆なんて、何度もあったじゃないか……。
「やっと気付いたようね、この鈍感野郎は」
「はい……本当に今更ですけど」
「それで?ここまで聞いて、あなたはどうするの?」
チカ様からの問いかけに、俺は少し間をおいて答えた。
「……俺、ケイブと話してきます」
「そう。頑張りなさい」
チカ様は今まで俺に見せたことのない優しい笑みを浮かべて、俺を応援してくれた。
「まったく、世話の焼ける男ね。……乙女を惚れさせた責任は、ちゃんとりなさい。まあ、せいぜい頑張る事ね」
トゲのある言い方だが、それでも応援してくれるのがユニ様らしくて、少し笑ってしまう。
「な、なに笑ってるのよ!?人がせっかく相談乗ってあげたのに!!もういい、さっさと行きなさいよっ!!」
「あいたっ!!」
ユニ様に思いきり背中を叩かれる。しかもケイブに吹き飛ばされて強打した所を。ものすごく痛いです。
でも、2人の優しさは十分に受け取った。あとは、俺が頑張るだけだ。
「お2人とも、ありがとうございました!!」
振り返って、一礼する。チカ様はコクリと頷き、ユニ様はぷいっとそっぽを向いていた。
そこまで見て、俺は2人に背を向けケイブの元へ向かった。
――ネプギアside――
――リーンボックス教会・食堂――
「これって、もしかして……!?」
「……もしかしなくても、初恋に決まってますの」
「やっぱりですよね……!!」
ケイブさんから相談を受けた私達は、その内容からケイブさんがカイトさんに恋をしていることに気付きました。
けど、恋かぁ……。いいですよね、恋って!なんだか青春って感じがして!私自身、よく分かってないんですけど……。
でもでも、これでケイブさんのもやもやは無くなるはずです。早速教えてあげようとしたんですが。
「ネプギア様、それを言ってはいけませんの」
その寸前でがすとさんに止められてしまいました。
「えっ?どうしてですか?」
「初恋は、当人たちで気付かせてあげないとダメなんですの。人から言われて自覚すると、あとで好きって気持ちが何なのか、分からなくなるんですの」
私の質問に、がすとさんは丁寧に答えてくれました。な、なるほど。そういうものなんだ……。恋って難しいなぁ……。
「ケイブ。あなたのその症状、何が原因か分かったですの」
がすとさんがそう言うと、案の定ケイブさんが食いついてきました。
「本当!?……教えて、もらえないかしら?」
「……ごめんなさい、ですの。教えるのは簡単ですの。けれど、それはあなた自身で見つけなきゃダメなんですの」
「……そう……分かったわ」
ケイブさんはとても残念そうな表情を浮かべていました。それは、がすとさんも同じでした。きっと私もそんな顔をしていたと思います。
少し、重い空気が漂ってきました。そんな時、がすとさんが口を開きました。
「……大丈夫ですの。すぐに分かる、そんな気がするんですの」
すると、どこからかバタバタと足音が近づいてきます。音のする方……食堂の入り口をみていると、しばらくして、もう1人の当事者、カイトさんがやって来ました。
「……っ!?ケイブ、ここにいたんだ」
そう呟いて、私達のテーブルに近付いてきます。ずっとケイブさんを探していたみたいで、その額には汗が浮かんでいました。
「か、カイト……」
「……ケイブ。今、時間大丈夫か?」
「え、ええ……大丈夫よ。うん、大丈夫」
こ、これはっ!?すごい、本当にがすとさんの言った通りになりました!
「ま、まさかこんなに早いとは思わなかったですの」
言った本人もかなり驚いている様でした。私達はお2人の邪魔をしないように、出来るだけ気配を消すことにしました。
「……ここじゃあアレだ、話しづらい。場所を変えていいか?」
「私は……大丈夫だけれど……」
ケイブさんが私達の方を心配そうに見つめて来ました。
もちろん、ここで引き止めるなんて野暮な真似はしません。私とがすとさんは、いってらっしゃいという意味を込めて、にっこり笑顔を浮かべました。
ケイブさんはそれを見て安心したようで、カイトさんにコクリと首を縦に振ると、2人一緒に食堂を後にしました。
頑張れ、ケイブさん!
……で、終わればよかったんですけど。
「……やっぱり、気になりますの」
「ですよねぇ……」
あんなの見せられて、じっとしていられるほど私達は大人ではありませんでした。私達はこっそり、ケイブさん達のあとを追いかけることにしました。
――リーンボックス教会・屋上――
2人が向かったのは、ここのはずですよね……?
教会職員の方達の情報を頼りに、私達は屋上への扉の前までやって来ました。
確認のため、そーっと扉を開けると……。
「……ごめんな、急に連れ出したりして」
「べ、別に気にしてないわ。それで……な、何の話かしら?」
いっ、いました!カイトさんとケイブさん!ちょうど今、向かい合ってカイトさんが話を切り出そうとしています。
わわっ、私まですごく緊張してきました……。
「……あ、アンタ達も来てたの……?」
突然、後ろから聞き慣れた声がしました。びっくりしそうになるのをなんとか抑えて、振り向くと、そこにはユニちゃんとチカさんがいました。
「……てことは、ユニちゃん達も……?」
「はぁ……皆、考えることは同じってことね……」
どうやら皆、目的は同じみたいです。私達はドアの隙間から、2人の行く末を見届けることにしました。
ちなみに、私達の今の状況は、上からチカさん、ユニちゃん、私、がすとさんの順に頭を重ねながら覗いています。傍から見るとお団子みたいです。
「実は、伝えたいことがあってさ……」
「う、うん……」
き、来ました!ついに、ついに告白シーンです!
「俺、今までずっと……ケイブのことが……」
「「「「「…………(ゴクリ)」」」」」
刹那、訪れる静寂。私達全員(もしかしたらケイブさんも……)の息を呑む音がしました。
そして…………
「大好き……でした………」
きゃーーっ!!い、言っちゃいました!!生の告白、ドラマとかで見るのと全然違う!!こんなにドキドキするものなんですね!!
さ、さて……一旦落ち着かないと。あとは、ケイブさんの返事です。ケイブさんも、今のできっと自分の恋心に気付いたはずです。返事はもちろん……!!
「………………ごめんなさい」
「「「「「………………えっ」」」」」
私達とカイトさんの呆然とした声が、静まり返った屋上にこだまするのでした。
……はい、ベタかもです。ごめんなさい。
次回は下手すると2ヶ月後とかになる可能性も……長い目でお待ちしていただけるとありがたいです。
それでは、また次回お会いしましょう。
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