超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜   作:絶望危惧種

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皆さん、ご無沙汰しております。

二ヶ月ぶりの投稿で申し訳ありません。
これから更新速度上げていきます(未定)←


それでは、どうぞ!^^*


第18話「ただいま」

――ケイブside――

 

 

 

――……ここ、は……?

 

 

『ケイブー、やぁーっと見つけたぞぉ……』

 

 

 

――お……父さん……!?

 

 

『なぁケイブぅ……お前はぁ、お父さんの味方だよなあ?』

 

 

――嫌……やめて、来ないで……!!

 

 

『……どぉして逃げるんだぁ?なあ、ケイブぅ……』

 

 

――なんで、体が動かないのっ!?

 

 

『お父さん、悲しいなぁ……そんな悪い子にはぁ、おしおきしないとなぁ……』

 

 

――嫌……いやぁ!!来ないでぇぇっ!!

 

 

『だぁい好きだよ、ケイブ……』

 

 

――誰か……っ、助けて!!……助けてよぉ……っ。

 

 

『ギャハハハハハハハハハハハッ!!!!』

 

 

 

――嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!????

 

 

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

 

 

 

「っ……!?はぁ、はぁ……また、なの…… ?」

 

 

 霞む目を擦り、辺りを見渡す。先程までの光景やいるはずの無い父親の姿もない。何の変哲もない、いつもの私の部屋だ。

 

 そして、また悪夢を見たんだ、と理解した。

 

 

 壁にかけていた時計を見ると、時刻はまだ12時前。眠りについてからまだ30分程しか経っていなかった。

 

 

「眠ることすら許してくれないなんて……ふふっ、ひどい有様ね……」

 

 

 自分の現状に呆れ、乾いた笑みがこぼれる。

 

 

 その時ふと、視界の隅に可愛らしいくまのぬいぐるみが映った。

 

 昨日、今日と、精神的に追い詰められて忘れていたが、普段は抱き枕代わりに使っている……そして、カイトからプレゼントされた、わたしのお気に入りのひとつ。

 

 ベッドから落ちて床に転がっていたそれを拾いあげ、ぎゅっと抱きしめる。少しでも恐怖と孤独を紛らわせるために。

 

 

……これじゃまるで、子供みたいね。

 

 

 

 当然、か。どんなに誤魔化したところで、私は結局何も変わって無い。あの日から、私の時間は止まってるんだから。

 

 

 

 

…………。

 

 

 

 

 どうして神様は、私にこんな酷いことするの……?

 

 

 私、悪いことしたのかな……?

 

 

 ずっとずっと、チカとの約束守って、いい子にしてたのに……

 

 

 

……いっそ、――んでしまえば、楽になるのかな。

 

 

 

 

 その考えに至った時、私の手はいつの間にかハンドガンを握っていた。

 

 

 

……こめかみだと弾が頭蓋骨を滑ることがあるから、口の中に入れた方がいいんだっけ……。

 

 

 銃を逆さに持ちかえて、銃口を咥える。

 

 

 

「んぐっ……んんっ……」

 

 

 

 あとは引き金を引くだけ。それで、楽になれる……。

 

 

 

 私は、グリップを握る力を少し強めて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――パァン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――カイトside――

 

 

 

 

「……ここに来るのは2回目だな」

 

 

 

 リーンボックス教会から電車で10分ちょっとのところにある、とあるマンションの一室……ケイブの自宅へとやってきた俺は、その玄関の前で、以前ここに訪れた時のことを思い出していた。

 

 

 最初にここへ来たのは、ケイブと初めて遊んだあの日。

 

 帰る間、ケイブにプレゼントした洋服やぬいぐるみを彼女に持たせるわけにはいかなかったので、結局家まで運んできたのだ。

 

 あのとき、顔真っ赤にして「ありがと……」って言ったケイブが、すごく可愛かったな。

 

 

……また、あの可愛いケイブが見たい。ケイブの笑顔が見たい。だから絶対、助けてみせる。

 

 

「よし……いくか」

 

 

 覚悟を決め、家のチャイムを鳴らそうとした、その時……。

 

 

 

 

 

――パァン!!

 

 

 

 

 

 

「っ!?銃声!?」

 

 

 

 

 突如、ケイブの家の中から耳をつんざく破裂音が響いた。

 

 

 

「嘘だろ……!?ケイブ!!大丈夫か、ケイブっ!!」

 

 

 

 無我夢中で、玄関をドンドンと叩くも、中からの反応はない。

 

 

「クソッ!!こうなったら……っ!?」

 

 

 

 しびれを切らし強行突入しようとした俺は、ドアノブに手をかけた時、偶然にも鍵がかかっていなかったことに気付いた。

 

 

 そのままドアを開けて中へ入り、片っ端から部屋のドアを開けていく。

 

 

 そして最後に残ったドアを開ける。

 

 

 その部屋は、昼間だというのに真っ暗で、中の様子が確認出来なかった。だが、微かに漂う火薬のにおいが、この部屋だと確信させた。

 

 

 徐々に目が慣れてくる。

 

 目を凝らすと、そこは寝室だった。シンプルなデザインの内装に、可愛らしいぬいぐるみがいくつも飾られ、奥にはピンクのシングルベッドがあった。

 

 

 

 そして、そのベッドの上に。

 

 

 

 

 

「……グスッ……うぅっ……グスン……」

 

 

 

 

 膝を抱え、泣きじゃくるケイブがいた。

 

 

 

 

 

――ケイブside――

 

 

 

 

「……グスッ……できない……出来るわけないよ……」

 

 

 

 手元の愛銃の銃口からはほのかに煙が登り、部屋の壁には銃弾が1発だけめり込んでいた。

 

 

 

 結局私は、自分で死ぬことすら出来なかった。愛に怯え、父親の亡霊に怯え……死に怯えた。

 

 私は……弱虫だ……。

 

 

「……誰か、助けてよ…………」

 

 

 

 そう呟くと同時に、寝室のドアが開いた。

 顔を上げると、そこに男の人が立っていた。

 

 

 その人は、私が初めて心を許した男の人。

 初めて私を女の子として見てくれた人。

 そして、いつも私を守ってくれた人。

 

 

 

「……ケイブ!」

 

 

 カイトが、そこにはいた。

 

 

 

「……カイ、トぉ」

 

 

 

 その名を呼ぶと、彼は私に歩み寄り、そして私をそっと抱きしめた。

 

 

「……ごめんな、ケイブ。君の辛い思いに気付けなくて。結局、こんなに遅くなった」

 

 

「……どうして」

 

 

 昨日私は、彼を傷つけた。自分勝手な理由で、彼から逃げた。

 なのに、どうして……カイトはこんなにも私に優しくしてくれるの?

 

 

 

「ケイブが、好きだから」

 

 

「……っ!!」

 

 

 

 私の疑問に答えるかのように、カイトがそう言ってくれた。

 耳元で紡がれるその言葉は、とても心地よくて、暖かくて……。私の凍りついた時間を少しずつ溶かしていくようだった。

 

 こんな私を、愛してくれる人がいるなんて……。

 

 

 

「今まで、辛かったよな。苦しかったよな……」

 

 

「うん……グスッ……つらかったよ、苦しかったよぉ……っ!!ずっとずっと、逃げたかった……怖かったよぉ……っ!!」

 

 

 せき止めていた感情が一気に溢れ出て、私はカイトに縋った。離れたくないと、ひたすらにカイトに縋りついた。そんな身勝手な私を、カイトは優しく包み込んでくれた。

 

 

「でも、もう大丈夫」

 

 

 彼は、私の頭を優しく撫でながら、続けた。

 

 

「俺が、一緒だから」

 

 

 

 

 涙が、止まらなかった。

 

 

 私は……幸せ者だ……。

 

 

……ああ、こんな身勝手だった私に……あと一つだけ、ワガママが許されるのなら……。

 

 

 この想いを伝えたい……彼の気持ちに、応えたい。

 

 

 

「うん……私も、大好きだよ……カイト……っ!!」

 

 

 

 

 薄暗い部屋の中、私達は暫くの間、そのままお互いの体温を求めるかのように、ぎゅっと抱きしめあった。

 

 

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

 

 

――チカside――

 

 

 

 

――リーンボックス教会・執務室――

 

 

 

……カイトが出ていって、3、4時間経った。

 

 アタクシはいつもと変わらない業務をこなしていた。

 確かにあの子達のことは気になる。けれども、アタクシは一国の教祖。私情を業務にはさむ訳にはいかない。

 

 

 それに……あの男なら、アタクシが出来なかったことをやってくれると信じている。アタクシが見込んだ男だもの。きっと大丈夫。

 

 

 

――ザワザワ…………ザワッ……

 

 

 

……なんだかどこぞの賭博マンガみたいに騒がしいわね。もしかして……戻ってきたのかしら。

 

 

 

――コンコンっ

 

 

 

 ドアがノックされる。

 

 

「入りなさい」

 

 

「失礼します。麻宮カイト、ケイブの両名が教会に戻りましたので、その報告を」

 

 

 入ってきた教会職員の男が、そのように告げた。

 

 

「そう。ご苦労だったわ。下がっていいわよ」

 

 

 

 この男は私が駆け出しだった頃からの同僚で、こういう私的なことをちょくちょく頼んでいる。

 

 ……え?仕事に私情は挟まないんじゃなかったのかって?これは仕事ではないわ。パシリよ。

 

 

 

「……それにしても、このような事を頼むなんて。チカ様はよっぽど心配性なのですね?」

 

 

「なっ……!!アナタねぇ……」

 

 

 

 でも、こんな風にからかわれるのがいつも癪に障る。

 

 

 

「その減らず口を止めないと、給料減らすわよ」

 

 

「うわ、堂々と職権濫用宣言しとる……」

 

 

「なんのことかしら?」

 

 

「おお怖い怖い。では私はこれにて」

 

 

 

――バタン!!

 

 

 

……逃げたわね。まあいいわ、アイツはいずれ何らかの処罰をするとして。今はあの子達のところに行こう。

 

 

 アタクシは執務室を出て、1階のロビーに向かった。

 

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

 

 

――リーンボックス教会・ロビー――

 

 

 

 アタクシがロビーにつくと、ちょうどカイト達が教会の中に入ったところだった。

 

 

 ケイブは目と鼻を赤くしていて、ずっと泣いていたことが分かった。でも、頬を赤らめているのは、きっと違う理由なんでしょうね。

 それに、いい表情になった。憑き物のとれた、穏やかな表情を浮かべてる。

 

 カイトは、そんなケイブの手をしっかりと握って、並んで歩いていた。

 やっぱり、アナタはアタクシの見込んだとおりだったわ。アナタが、あの子を救ってくれたのね。

 

 

 

 二人はアタクシの姿を見つけると、真っ直ぐアタクシの前にやって来た。

 

 

 

「チカ様。全部、終わらせてきました」

 

 

「……そのようね。本当にありがとう、カイト」

 

 

 普段はどうしても立場的に言わないのだけれど、今だけは言わせてほしい。

 アタクシでは出来なかったことを……アタクシがするべきだったことを、彼は成し遂げてくれたのだから。

 

 

 

 

「……チカ」

 

 

 ケイブが、口を開いた。

 

 

 

「……ケイブ」

 

 

 ケイブのこんなに幸せそうな顔は、いつ以来だろうか。本当に、懐かしくて……愛おしい。

 

 

「今まで言い忘れてたこと、言うね」

 

 

「……え?」

 

 

 

 ケイブはそう言うと、満面の笑みで、目尻に涙を浮かべながら、続けた。

 

 

 

 

「ただいま……チカ!」

 

 

 

 

 その姿は、あの日の幼いケイブそのままで。

 

 もう戻ってこないと思っていた、あのケイブの姿で。

 

 帰ってきたんだと、そう思った瞬間。涙が止まらなかった。

 

 

 

「……おかえりなさい……っ!!ケイブ……っ!!」

 

 

 

 昔のように、アタクシはケイブの体をぎゅっと抱き寄せた。

 

 

 

「ケイブ……っ!!ケイブぅ……!!」

 

 

「……うん……チカぁ……っ!!」

 

 

 

 

……帰ってきたんだ、本当に。

 

 もう二度と、無くさない。

 

 ここからまた、始めていこう。なくした時間を、取り戻そう。

 

 二人で一緒に……ね?ケイブ。




次回からまた本編に沿って進みます!

もしかしたら何かの作品とクロスオーバーするかも……?

では、また次回!
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