超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜 作:絶望危惧種
では張り切って行きましょう!
――雄大なる緑の大地・リーンボックス。
ゲイムギョウ界の南に位置するこの国は、芸術・文化が盛んで、豊かな自然と美しい景観が魅力だ。
しかし、数年前から突如現れた「犯罪組織マジェコンヌ」により、この国のモラルは著しく低下してしまった。
そして3年前には、この国を治めるグリーンハート様達が犯罪組織に捕まってしまうという大事件が起きてしまった。
それ以来、リーンボックスはモラルの低下に拍車がかかった。今では街ゆく人々の半分が、女神様ではなく犯罪組織を信仰する始末だ。
女神様が不在の今、この国の治安を維持する為に活動する組織、それがリーンボックス特命課だ。
そして俺は今、憧れのリーンボックス特命課に配属されたのだが…………あれ、やけに人が少ないような。皆出払ってるのかな?
「よく来たね麻宮カイト君。ようこそ、リーンボックス特命課へ」
部屋の奥、巨大なディスプレイの前にたたずむ細身の男がゆっくりと歩いてきた。
「さぁ、いつまでもそんな所にいないで、こっちに来たまえ」
「あ、はい!」
彼の指示に従い、部屋の中央のスペースに進む。
それをきっかけに他の3人も近くへやって来る。
「さて、全員揃った事だ。自己紹介を始めようか」
えっ、全員揃った?今この部屋にいるのは俺を含めて5人だけだが……まさか、な。
「私がこの特命課の課長だ」
短く切りそろえた黒髪に茶色がかった瞳。ダンディーな雰囲気を醸し出す目の前の男はそう言って手を差し出す。
…………あれ、それだけ?名前とかは?
とりあえず上司の方なので両手で握手する。
「よ、よろしくお願いします………課長」
「うむ、君には期待しているよ」
結局、彼のことは課長だということしか分からなかった。ま、まあこれから知っていけばいいか……。
「次はアタクシね。知っているでしょうけど、アタクシは箱崎チカ。この国の教祖よ。握手は要らないわ」
俺から見て課長の左の女性。ライトグリーンのポニーテールと真紅のつり目。どことなくグリーンハート様を彷彿させる彼女は、この国の教祖……女神様を補佐するリーンボックスのナンバー2、箱崎チカ様だ。
うーん……テレビとかで見たことあったけど、やっぱり気が強そうな人だな……。
「よろしくお願いします、教祖様」
握手のかわりにぺこりと綺麗なお辞儀をした。
「アタクシは特命課ではないけど、度々あなた達に指示を出しにくるわ。ベールお姉様がいない以上、新人のあなたにもキリキリ働いてもらうから、覚悟しておきなさい」
うっ、めっちゃ怖ぇ……。俺この人苦手かもです。
「ボックスー!」
…………はい?なんでこんなところにロリっ娘が?
「あぁ……。彼女も一応特命課だよ。ただ『ボックス』としか言わないものだから、名前すら分からないんだ」
マジかよ……。けど俺からすればあなたも同じくらい謎だらけなんですよ、課長。
「私たちはとりあえず『ハコ』と呼んでいる。一応、仕事はしてくれているんだ。意思疎通は難しいが……仲良くしてやってくれ」
そう言われて、ハコちゃんに向き直る。身長は俺の半分で、金のロングヘアーと透き通る蒼の瞳。ぱっと見た感じ10歳ぐらいの少女である。これで成人しているのなら驚きだ。
「えーと、ハコちゃん。よろしくね?」
「ボックスー!ボックスー!」
うん、予想通りの反応でした。これは先が思いやられるな。
「最後は私のようね。私の名前はケイブよ」
肩まで伸びた赤いツインテールと眠たげな翡翠の瞳。メイド服を動き安く改造した、まるで蜂のようなデザインの制服を纏った少女、ケイブがそう呟いた。
ようやくまともな人に会えた!ケイブさん、か。すごく綺麗だし、クールビューティって感じがしてカッコイイな。
「よろしくお願いします、ケイブさん」
「ケイブで構わないわ。貴方とはこれから長い付き合いになると思うから、よろしく」
そう言って俺は彼女と握手を交わした。
「さあ、特命課全員の紹介も済んだことだ。早速仕事に取りかかろうか」
……今、聞き捨てならない言葉が出てきたぞ。さっきはスルーしたけど、もう見過ごせないよな。
「課長……。まさか、この4人で全員なんですか?」
意を決して課長に尋ねた。課長は不思議そうな顔をしてあたかも当然のようにその答えを突きつけた。
「うむ、そうだが……どうかしたか?」
……うそだろ!?リーンボックスの治安を維持する組織が?たった4人で構成されてるってどういう事だ!?
「貴方が言いたいことは大体分かるわ。ちなみに課長は毎日ヘタクソな特命課の勧誘。ハコは見ての通り。実質、私だけで毎日治安を維持しているわ」
ケイブが俺の心中を察したかのように的確な答えをくれた。
ますます不安になったよ!よく今までやってこれたな特命課!!あーなるほどさっきチカ様が言ってた意味がよーく分かったよ!!
俺のイライラなど気にもせず、課長は淡々と話を進める。
「カイト君。早速だが君に指令を与える」
その言葉に今までの余計な感情が吹き飛ぶ。ついに来た。ここにきて最初の仕事だ。しっかり聞かなければ。
姿勢を正し、課長の方を向く。
「今日から君は、ケイブと一緒にこの国の治安維持をしてもらう。分からないことがあれば彼女から聞くように。以上だ」
「了解!…………あれ?ちょっと待てよ?」
なんだかそれっぽい雰囲気に流されそうになったが、今の指令ってよくよく考えてみると。
「…………全部ケイブに丸投げしてるだけじゃねぇか!!オイ課長!!お前それでもここのリーダーかよ!?」
俺は今、完全に理解した。ここにはケイブ以外、まともな奴がいないと。
「ちょっ!?怒らないでおくれカイトくん、私だって仕事で忙しいのだよ!?」
「ほざけ!!さっきケイブがヘタクソな勧誘しかしてないって言ってただろうが!!少しはちゃんと働けぇ!!」
「あら、もう課長との正しい接し方をマスターするなんて。貴方なかなかやるわね」
「……アタクシはこんなところにお姉様の代理を頼まなくちゃいけないの……?」
「ボックスー!ボックスー!」
他の職員がテキパキと仕事をするなか。協会のとある一室で、俺たちはギャーギャーと騒ぎ立てた。この後職員達から苦情がきたのは言うまでもあるまい。
俺の物語は、とんでもなく先行き不安なスタートをきった。
俺、本当にここでやっていけるのかな………
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