超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜 作:絶望危惧種
ようやく投稿出来たのです。きっともう皆さん忘れている頃でしょうが・・・。本当に申し訳ありませんm(_ _)m
これからも不定期更新になるかもしれませんが、よろしくお願いしますね。
それでは、どうぞ。
――― リーンボックス教会・特命課 ―――
「麻宮カイト、ただ今戻りました!」
「・・・同じくケイブ。今戻ったわ」
「ボックスー!」「キューン!」
部屋の中に入ると、すでに課長とチカ様がそこで待っていた。・・・いや、課長の場合はデスクワークがまだ残っているだけか。感情を失ったかのごとく、雑務をこなしていた。
「来たわね。早速ブリーフィングを始め・・・ねえケイブ、アナタ少し機嫌悪くない?」
「・・・別に。問題ないわ」
明らかにむくれているケイブに気づいたチカ様。だが、なぜ不機嫌なのかが分からないようだった。
「・・・カイト。アタクシ何か悪いことしたかしら」
チカ様がサッと俺の隣にまで来て、耳打ちで尋ねる。
さすがに、「さっきまでイチャイチャしてたのを邪魔されたんですよ」とは言えるはずもなく、苦笑いを浮かべてその場をやり過ごす。
「・・・まあ、言いにくいのなら追求はしないわ。さて、気を取り直して始めるわよ」
チカ様がそう言うと、部屋の照明が一気に暗くなり、背後のスクリーンにマップが表示された。
「今回、アナタ達に向かってもらうのはここ。エレシアンシティよ」
表示されたのはプラネテューヌの西にある小さな街、エレシアンシティという場所だった。
「あれ、ここって確か・・・候補生達が向かったところですよね」
「ええそうよ。アナタ達には候補生達とはまた別件の仕事を頼みたいの」
先日、女神様一行はプラネテューヌの教祖、イストワール様の指示で、エレシアンシティ周辺の犯罪組織を討伐するためにリーンボックスを出ていた。にも関わらず、別の仕事とは・・・一体この街で何が起こっているのだろうか。
「実は、この街で候補生達が戦っている敵性反応の他にもう一つ、第三勢力と思われる反応が出たの。アナタ達にはこの反応の調査、場合によっては討伐をお願いしたいわ。それが今回のミッションよ」
「第三勢力というと・・・暴徒化した民間人、もしくはテロリスト、といったところですか?」
「それが、一般人にしては反応が特殊すぎるの。少なくとも、今までゲイムギョウ界に現れたことは一度もないわ」
・・・反応が特殊?一体どういう事なのだろうか。
「とりあえず、こちらの情報は皆無よ。現地についたら、そこからの判断は全てアナタ達に任せるわ。」
「任務、了解したわ」
ケイブがコクリと頷く。
「それと・・・この作戦が終了次第、アナタ達は候補生達と合流して、イストワールの元へ向かいなさい」
「・・・いいのですか?それでは、この国の治安維持が難しくなるのでは?」
女神様も、そして5pbも不在の今、特命課である俺達2人がリーンボックスから離れてしまうことは、この国の防衛機関の大部分が停止したことと同義だ。チカ様もその事は重々承知のはず。
俺がそう尋ねると、チカ様は「はあ・・・」と溜息をつき、続けた。
「自惚れないで頂戴。教会の、そして教祖のアタクシの力を舐めるなんて、いい度胸ね」
「そ、そんなつもりはっ!」
慌てて言い直そうとすると、チカ様はクスリと笑った。
「分かってるわ、冗談よ」
それを聞き、ホッと胸を撫で下ろした。
「ホントのことを言うと、この前の女神ライブでこの国の犯罪組織の力は大きく低下したの。そして、アナタ達のお陰でその残党もほぼ壊滅状態よ。・・・だから、大丈夫。アタクシ達を・・・いえ、この国を信じなさい」
「・・・チカ様」
「まあ、心配するくらいならさっさとベールお姉様をお助けして、この国に戻ってきなさい!これは最優先事項よ、いいわね!?」
「・・・やっぱりチカはチカだったわね」
さっきとは打って変わって、ケイブが冷めた目でチカを見ていた。・・・俺もとっても残念な気分だ。今の俺の感動を返してくれ・・・。
「・・・話が逸れたわね。とにかく、以上が今回の任務よ。各自、心してかかるように・・・リーンボックス特命課、出動よ!」
――― エレシアンシティ・市街地 ―――
「・・・ようやくついたわね」
「そうだな。長旅お疲れ様」
「ん・・・ありがと」
「くぅーん・・・(んー・・・おはよー・・・)」
「よしよし、お前もお疲れ様だな」
リーンボックス港から船でプラネテューヌ港へ。その後軍用車両で進むこと3時間。俺達はやっとのことで目的地に到着した。
「うわぁ・・・これはひどいな」
「ここで激しい抗争があった、という事かしら」
俺達は車から降りると、半壊したビルや未だに火災の続く建物、横転した車や割れたガラス片の散らばる道路など、街の惨状を目の当たりにした。
幸い、テロが発生する前に避難勧告が出され、死傷者は出なかったそうだ。そのため、今この街は静まり返り、人っ子1人、気配を感じない・・・はずなのだが。
「なあケイブ。気づいてるか?」
「当然よ。わからない方がどうかしてるわ」
「確かに。もしそうなら、特命課を引退しないとな」
この街に入ってからずっと、ねっとりとした悪意の込められた視線が、いくつも俺達に向けられていた。それも、あらゆる方角から。
「囲まれてるみたいね・・・」
「そうだな・・・おっ、どうやらお出ましのようだ」
「がるるるるるっ・・・!」
正面の建物の影から、黒いローブを纏った輩が出てきたかと思うと、電柱の裏、瓦礫の後ろ・・・様々な所から1人、また1人と現れ始め、その数が20を超えたあたりで数えるのをやめた。
「ケイブ・・・行けるか?」
「もちろん。貴方と一緒なら、何だって」
「・・・そうだな」
隣にいるケイブの手を、ぎゅっと握る。彼女もそれに答えるように力強く握り返す。
「どんなに絶望的な状況でも、俺たちふたりなら負けるわけがないよな」
「ええ。だって、私達は最強のコンビだもの」
「きゅぅぅぅん!!(わたしも!わたしもっ!)」
俺の肩の上で、仔竜・・・ティアが甲高い砲声をあげる。
「・・・そうだな、お前も一緒だよ」
「ふふっ。ティアちゃんも、頼りにしてるわよ」
「・・・くぅん?(・・・ティア?なにそれ?)」
仔竜が不思議そうに首を傾げる。ああそうか、まだちゃんと教えていなかったな。
「ティアっていうのは、お前の名前だよ」
「そうよ。今日からあなたは、ティアちゃんよ」
「くぅーん・・・くぅーん!きゅぅぅぅん!!(ティア・・・わたしのなまえ!!うれしい!!ふたりともだいすき!!)」
よっぽど名前が気に入ったのか、ティアは俺達の頭上をグルグルと飛び回っていた。
「・・・さあ、そろそろお仕事をしましょ。相手の方も、そう気が長くないみたい」
見ると、黒づくめの集団はしびれを切らし、何かをブツブツと唱えているようだった。
「おっと、そうだったな。ちゃんと働かないとチカ様に叱られるしな」
俺はニカッと不敵な笑みを浮かべ、ケイブは静かに微笑んだ。
「・・・よぉ!こんな大人数でお迎えとは、ご苦労なことだな!」
「私達はリーンボックス特命課よ!教祖イストワールの名の下、貴方達を国家転覆罪で拘束するわ!」
応答は、ない。それどころか、怪しげなエネルギー体を周囲に発しながらこちらにどんどん近づいてきた。
「聞く耳持たず、ってか。それならこっちも遠慮なくいかせてもらうぜ」
「そうね・・・私たちの力、見せてあげる。覚悟しなさい」
黒づくめの集団を見据え、俺は《影縫》を、ケイブは二丁拳銃を構える。仔竜・・・ティアは、俺達の頭上でパタパタと羽ばたきながら、俺に力を送る。
「さあ、ミッションスタートといこうじゃねぇか」
「さあ、ミッションスタートといきましょうか」
「きゅぅぅぅん!!」
敵の先頭目掛けて突貫する。その足取りはいつもの数倍軽く、彼らも俺の動きに付いてこれない。
日頃の鍛錬の成果・・・という訳では無い。ティアがものすごく張り切ってて、バフがとんでもない事になっているだけだ。個人的には、あまり力を送られすぎると暴走してしまうから、程々にして欲しいんだけどなぁ・・・。
「そらぁっ!!」
ティアのバフがかかった俺の力と加速の勢いを乗せた、強力な一太刀を先頭の男に叩き込む。だが俺の手に伝わってきたのは、グニャリという謎の感触だった。
「・・・っ!?何だと!」
見ると、《影縫》の刃先は男の寸前で完全に停止していた。危険を感じとり、すぐさま距離をとる。直後、俺のいた場所に無数の黒い球体が降り注いだ。
「カイトっ!!」
ケイブが後方から援護射撃を行う。が、やはりあのバリアで防がれ、勢いの殺された銃弾はカランカランと音を立てて地面に転がった。
それらをじっと観察すると、球体は男の周囲へと戻り、霧散し、目の前のバリアも霧状に変化。そして再び男にまとわりつくかのように浮遊していた。
・・・なるほど、あれはそうやって使っているのか。物理攻撃が効かないとなると、かなり厄介だな。
「ケイブ、奴らに物理攻撃は効かない。魔法かビームに切り替えよう」
―――ザザッ・・・・・ええ、了解したわ。
無線でケイブに指示を出す。後方でケイブがすぐさま魔法式を展開するのが確認できた。
「食らいなさい、《弾幕・必ず死なす》!!」
放たれたいくつもの火球が先頭の男を含めた数人を巻き込んで直撃し、砂煙をたてて爆発する。
「・・・どうだ?」
もしもあの障壁が魔法すら防ぐチートバリアだった場合、俺達はほぼ詰みだ。頼むから、そんなラスボス級の高位魔法使わないでくれよ・・・!
しだいに視界が晴れてくる。先程の黒づくめの男達は・・・。
「おいおい、嘘だろ・・・!?」
多少のダメージは見られるが、ほぼ無傷といった状態で佇んでいた。男達は自分たちの障壁を重ね張りして、一つの強力な盾を作り上げることで、ケイブの魔法を防いでいた。
「クソッ!これは不味いぞ・・・!?」
男達はこちらに攻撃の手段が無くなったと判断し、俺達を囲むようにジリジリと距離を詰めてきた。
「どうするケイブ・・・これ、大ピンチだ」
「確かに、洒落になってないわね・・・」
ケイブと背中をあわせ、敵を睨みつける。そしてこの状況をどう打開するか、必死に思考を巡らせる。そんな時だった。
「・・・カイト。私のこと、信じてくれる?」
突然、ケイブが背中越しにそう話しかけてきた。一瞬、なんのことか分からずキョトンとしてしまうが、すぐに何か策があるのだと察した。
「当たり前だろ。どんな状況でも、俺はいつだってケイブを信じてる」
するとケイブはクスッと笑みをこぼし、静かに作戦を告げた。
「カイト、60秒だけ敵の気を引き付けてほしいの。その後速やかに戦線を離脱して。貴方が射線から離れたのを確認したら、大規模な術式を展開するわ」
「・・・了解した」
ケイブだけを敵のど真ん中に残してしまっていいのか、本当にケイブの作戦は成功するのか。不安は拭いきれない・・・けれど、それを含めた上で、俺はケイブを信じる。そう決めたんだ。
「いくわ・・・3、2、1・・・GO!」
「行くぞティア!!」「きゅぅぅぅぅん!!!」
敵の中に突っ込みながら、ティアから送られる力を制御する。暴走しないギリギリまで力をため続けて、一気に開放する。
「《ドラゴンファング》!!!」
ふたつのエネルギー体の刃は、敵の作り出した巨大な障壁に防がれてしまうが、その衝撃波で何人かが吹き飛び沈黙した。
ケイブには気を引きつけるようにしか言われていないが、数を減らせることに越したことはない。60秒で出来るだけ、ケイブの負担を減らす!!
掌に力を集中させ、敵との間合いをゼロ距離にまで持ち込む。目の前の男は慌てて障壁を張るが、構わずその上から叩き込む。
「インパクトぉぉ!!!」
発勁の要領で内部に打ち込んだ衝撃は、そのまま障壁の後ろにいた数人の脳を揺さぶり昏倒させた。
ケイブの魔法発動まであと40秒。
この時俺は目の前の敵に気を取られ、周囲から向かい来る脅威に気づくことが出来なかった。
ゾクッ、という一瞬の寒気と同時に訪れた死の恐怖を感じ、後ろを振り返ると、俺の命を刈り取らんと飛びかかる男達の姿があった。
その両腕はあの黒いエネルギー体を纏い、触れられたならば俺の体は呆気なく砕かれるだろう。
迂闊だった。奴らは障壁とエネルギー弾しか使わないと思い込み、接近戦を仕掛けないと踏んだ俺の慢心が招いたピンチだ。
敵の魔の手はもう目と鼻の先。回避も防御も間に合わない。
やられる訳にはいかない。ケイブを守るためにも、まだ負けられない。
「きゅぅぅん!!(だめぇぇぇぇぇ!!)」
「!?」
突如、ティアの叫ぶ声とともに目の前の男達がものすごい勢いで吹っ飛んでいったのだ。
状況が飲み込めず少しばかり呆けてしまったが、どうやらティアが俺を助けるために力を振り絞り、敵に体当たりを敢行したようだ。
・・・あのとんでもバフを送り付けてくる張本人の全力タックルなら、ああなっても仕方ないか。などと思いながら先程の男達が吹き飛んだ辺りを見やる。物の見事に他の連中を巻き込んで気絶させていた。
「危なかった・・・ありがとな、ティア」
「きゅきゅっ、きゅーっ!(どーいたしまして!つぎいこっ!)」
魔法の起動まで半分を切る。だが、敵の数は一向に減らない。それどころかどんどん増えているようにも感じる。
「けど、やるしかないよな・・・っ!」
歯を食いしばり、敵陣の中央へ突貫する。
俺の正面には、既にバリアを展開した状態で待ち構える屈強そうな男と、浮遊する球体でこちらを狙う取り巻き2人。
「なら・・・こんなのはどうだ!」
拳銃をフルオートモードへ変え、障壁に向かって乱射する。もちろん銃弾は障壁当たると同時に勢いを無くし、カランカランと音を立てて地面に転がる。
男達はニヤリと笑みを浮かべながら黒い球体を放つ。自分達の有利を確信しているようだった。
だが、彼らは俺がこの弾幕に仕込んだトリックにまだ気付いていない。
突如としてバリアを貼っていた屈強な男が「うっ」と短い呻き声をあげて崩れ落ちる。それに続けて取り巻きの1人もその場で倒れた。
何が起こったのか理解出来ずに、パニックになりながらこちらを狙うもう1人。だがそんなものが当たるはずもなく、距離を詰められて呆気なく倒されてしまう。
俺が使ったトリック。それは、「跳弾」だ。あの乱射の中に2発だけ、敵の背後を狙うように跳ね返らせるように撃った弾があったのだ。敵を正面から攻めつつ奇襲を行う、ケイブ直伝の技だ。
「この程度、ケイブならすぐに見破るけどな」
ちなみにケイブはこれを最大25発まで仕込むことが出来る。しかもいつ、どこを狙うのかすら分からないほどの神業だ。俺はまだこの2発だけしか仕込むことが出来ないんだけどな・・・。
ケイブの方に視線を向ける。発動まではあと15秒。彼女の周囲には尋常ではない量の魔力が凝縮され、圧倒的なオーラを放っていた。
するとそこに、ようやくケイブの異変に気付いた敵の集団が、彼女に向かって一気に攻め込み始めた。
しかし、俺とケイブの位置はいつの間にか離れすぎていた。俺の防衛よりも敵の到達の方が確実に早い。
「クソっ!!間に合わねぇ!!」
「きゅぅぅぅ!!(このままじゃやられちゃうよ!!)」
吐き捨てながらも全力で駆けつける。ケイブと敵との距離はどんどん近づいていく。
「畜生・・・!!頼む、もういいんだ。だから逃げてくれ・・・お願いだ!逃げろぉ、ケイブぅぅぅ!!!!」
懇願するように叫ぶ。男達の持つ剣の刃先がケイブに振り下ろされようとしていた。
・・・その時だった。
——キーン・・・ズドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!
ケイブのいたとおぼわしき場所から眩い光が溢れだし、衝撃とともに敵全てを吹き飛ばした。
「・・・カイト、ありがとう」
聞き慣れた透き通る声、炎のように赤く揺れる髪。・・・それは紛れもなく、ケイブだった。
「・・・間に合ったんだな」
「ええ。ここからは私の仕事よ。あとは任せて頂戴」
ケイブが鋭く・・・けれどもどこか愛おしそうにこちらを見つめる。その瞳にはうっすらと、あの女神様達と似た模様が浮かび上がっていた。
「了解だ。・・・無理はするなよ」
「分かってる・・・じゃなかったわ。うん、いってくるね」
ケイブが俺に向かって微笑む。その意味は、俺に対する絶対の信頼。彼女も俺を信じてくれた。なら、今度は俺が彼女を信じて待つ番だ。
ケイブを残し、戦線から離脱。だが、もしもに備えてすぐに援護に向かえるよう近くの高台へと移動する。
「頼んだぞ・・・ケイブ」
俺はその場から、ただひたすらに彼女の無事を願っていた。
——ケイブside——
(・・・魔力、残弾数、ともに十分。システムオールグリーン・・・いけるわね)
辺りを見渡す。カイトとティアちゃんの時間稼ぎで数は減ったみたいだけど、まだまだ敵は多いわね。
こんな敵陣の真っ只中で、私1人だけ・・・。ふふっ、いつかプレイしたゲームみたい。
この技を実践で使うのは初めて。しかも調整もまだ済んでいないようなシロモノ。成功するかどうかすらも分からないのに・・・なぜかしら、上手くいく気しかしないのは。
・・・そんなの、考えなくてもわかるわね。だって、カイトが私を信じてくれているんだもの。彼となら、どこへだっていける。彼となら、何だって出来る。彼となら私は・・・
「どこまでも強くなれるのよ」
——システムチェック、オールグリーン
——
カツン、カツンと音を鳴らし踏み出す度に、足元に術式が展開される。そして、髪をはらう仕草をトリガーに、全ての魔法陣を起動させる。
1対多数における最強を目指し続け、ついに至った・・・私の究極奥義。
その名を、唱える。
「『 ブラックレーベル』・・・究極の弾幕を味わせてあげる」
私を中心に、固有結界が形成。敵の全てを覆い尽くす。
そして、全身の力を一気に解放させる。実弾、魔弾、エネルギー弾・・・私の持てる全ての弾丸を、この一瞬で全て使い果たすように放ち続ける。
・・・正面だけでは駄目。その考えに至った時には既に、私はその場でくるくると回り始めていた。
前後左右、360°全てに銃弾を放つ。人、モノ、関係なく全てを破壊し続けるその光景は、いつか私が夢見たゲームを映し出したかのようだった。
(そうよ・・・これよ!これが私の望み続けた弾幕よ!)
歓喜に打ち震えながら、私は弾幕を創り続ける。
敵の数はみるみる減っていく。あまりの物量に防御が追いつかないようだ。
魔弾が尽きたところで回転をやめ、次の魔術を発動させる。
腹部、胸、喉元と、指を上に滑らせながら魔力を誘導し、指を鳴らす。これをトリガーとして、魔術が起動する。
着弾した弾に組み込まれていた爆破術式によって、弾幕に触れながらも形を留めていたものを全て爆発させていく。
それでもなお、敵を全滅せし得ない。その場で高く跳躍し、全方位を見下ろすようにして残敵数を確認。
この結界内でなら私は思うがままに動ける。空中に浮遊するよう足元に術式を広げ、その場でホバリングする。
左右に手をかざし、2基の蜂型ユニットを転送させる。残りの敵全てをマルチロックし、エネルギー弾、実弾の全てをぶちまける。
満身創痍の敵に、文字通りの弾丸の雨が降り注ぐ。蝶のように美しく舞い、蜂のユニットが見境なく周囲を破壊する。
ついに実弾も空になる。残りのエネルギーもごくわずか。回転を止め、ユニットを変形させて正面で構える。
全てのエネルギーをユニットに充填。引き金を引き、射出する。
敵に当てることはしない。しかし、着弾と同時に地面が融解し、熱量を溜め込む。それが臨界点に達し、地面は大規模な爆発を引き起こす。
エネルギー、0。同時に、残敵数も0となる。
スタッ、と地面に軽く着地し、服の裾についた汚れをはらう。
「ミッション、コンプリートよ」
結界が崩れ、元の荒廃した都市の風景へと戻っていく。達成感と安堵から、ふぅ・・・と息がこぼれる。
緊張の糸が切れた瞬間、ぐにゃりと視界が歪み、脳を揺さぶられるような感覚に襲われる。
平衡感覚は失われ、その場で崩れ落ちてしまう。
・・・少し、頑張りすぎたみたいね・・・。
地面にぶつかる直前、なにかが私を受け止めた。
「・・・ケイブ!?大丈夫か!?」
あぁ・・・そうよね・・・。そんなの、カイト以外ありえないじゃない・・・。
「・・・ごめん、なさい・・・少し、眠るわ・・・」
カイトの腕は、やっぱりあったかいわね・・・。
彼の体温を感じながら、私の意識は深い闇へと引き込まれて言った。
———カイトside———
「魔力枯渇・・・か。お疲れ様、ゆっくり休んでくれ」
ケイブの大規模魔術によって、敵の全てが壊滅した。あんなものを隠し持っていたなんて・・・まだまだケイブには適わないな、と実感する。
「ホントに、ありがとな」
今日1番の功労者を、優しく撫でてやる。ケイブは気持ちよさそうに寝息を立てていた。
———ガサッ・・・カチャリ・・・
微かな物音が聞こえた方向にすかさず銃口を向け、見向きもせずに引き金を引いた。
——パンッ!
放ったショック弾は、姿を潜めていた男の眉間に直撃し、辛うじて保っていた意識を完全に刈り取った。
「・・・相棒が寝てるんだよ。起こさないでやってくれ」
倒れた男に吐き捨てて、ケイブを抱きあげる。起こしてしまわないようにそのまま車に運んだ。
少し前に、任務完了の報告と、プラネテューヌに応援を要請しておいた。しばらくすればプラネテューヌの連中がやってきて彼らを拘束することだろう。
任務を遂行したとはいえ、俺もケイブも満身創痍。このまま女神様と合流する訳にもいかないと判断した俺は、一旦プラネテューヌ教会のイストワール様の元へと向かうことにした。
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「・・・・・・みーつけたっ♡ふふっ・・・あははははっ!!」
モニターを通じて、先程のケイブとカイトの戦闘を観る、影が1つ。
「おっ、もしかして見つかったのか?例のアイツは?」
その周りをふわふわと浮かびながら話しかける、小さな影が1つ。
「そうよ・・・やっと見つけたわ。どれほど待ちわびたことかしら!どれほど夢見たことかしら!」
歓喜に震える1人の女。・・・いや、もはやそれは狂気とも呼べるものだった。
「はあ・・・カッコイイよぉ・・・♡私の、私だけの王子様・・・。けど、私の下っ端程度で苦戦するなんて・・・。まだまだ未熟で、かわいいよぉ・・・♡」
その想いは全て、画面に映る男・・・麻宮カイトに向けられていた。
「もうすぐ、会いに行くからね・・・♡大好きだよ、カイト♡」
その瞳に光はなく、ただひたすらに深い闇と、狂愛が渦巻いていた。
・・・久々の投稿なので、少し長めに。
そんなことするぐらいならもっと短くして早いスパンであげた方がいいのでしょうか・・・(´・_・`)
アドバイス、お願いします。
次回の予定は未定ですが、上げるつもりではいます。どうか、気を長くしてお待ちくださいm(_ _)m
それでは、またお会いしましょう!