超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜   作:絶望危惧種

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今回から少しずつ原作シナリオに入っていきます。
ではでは、どうぞ!(*´ω`*)つ


第3話「黒の少女」

――リーンボックス教会―――

 

 今日の教会はいつもより少し浮ついた雰囲気だ。そしてそれは特命課も例外ではなく、一つの話題で持ちきりになっている。

 

 ラステイションの女神候補生がリーンボックスにやって来た。

 

 

 ゲイムギョウ界にはリーンボックス以外に3つの大国がある。

 そのうちの一つ、重厚なる黒の大地・ラステイション。女神ブラックハート様が治めるこの国は4大国のなかで最も強い勢力を誇っている。

 そんな国の女神様の妹……女神候補生のブラックシスター様が何の前触れもなくこの地に訪れるということは、それだけで一大事なのだ。

 

 そしてこの騒ぎの張本人である女神候補生は、今この教会の、しかも教祖様の前にいた。

 

 2人はじっと睨み合っている。その光景を俺達はそわそわしながら見守っていた。

 

 

「よく来たわね、ラステイションの女神候補生。ようこそリーンボックスへ」

 

 先に口を開いたのはチカ様だった。開口一番、嫌味ったらしい皮肉を口にした。

 

「……歓迎してないくせに、よく言うわ」

 

 黒髪ツインテールの少女が負けじと対抗する。その雰囲気から、彼女はチカとはまた別の気の強さを持っているように見えた。これは修羅場になりそうだ。

 

「社交辞令よ。アタクシはここの教祖、箱崎チカよ」

 

「あら、ご丁寧にどうも。私はユニよ」

 

「……で?この国に何の用?」

 

 チカ様はブラックシスター……ユニ様のことが気に入らない様子だ。不機嫌そうな顔で彼女に問いかけた。

 

 するとユニ様は不敵な笑みを浮かべ、とんでもないことを口にした。

 

 

「決まってるじゃない。この国のシェアをぶんどりに来たのよ」

 

 シェアとは国民の女神様への信仰がエネルギー化したものであり、それが女神様の力、ひいては国力となる。

 彼女はこの国のシェアを、それも堂々と教祖の目の前で『奪う』と言ったのだ。言うなれば、宣戦布告だ。

 

 しかしそれを聞いてもなお、チカ様は表情ひとつ変えずに対応した。

 

「そう。好きにすればいいわ」

 

「……どういうつもり?この国がどうなってもいいって言うの?」

 

 これにはユニ様も驚いたようだ。そして彼女の言葉は同時に俺たちの心を代弁していた。

 

「シェアなんてお姉様が帰ってきたらいくらでも取り返せるわ。今はもっと、大事なことがある」

 

 なるほど。彼女のこれまでの強気な発言は全て女神様に対する絶大な信頼からか。……この人も、強い。自分の未熟さを実感する。

 

「話はそれだけかしら?」

 

「……ええ。用は済んだし、そろそろ行くわ。邪魔したわね」

 

 ユニ様はそう言うとチカ様に背を向け、教会を後にする。その時、俺は彼女と目が合った。

 顔立ちはまだ幼いのに、先程のチカ様との対談といい、彼女は既に自身の役割を自覚している。格が違う、そう思い知らされた。

 

「……ふんっ」

 

 しばしの沈黙のあと、彼女は鼻を鳴らし去っていった。

 あれ、なんか嫌われた………?

 

「さああなた達、作業再開よ!手を止めない!」

 

 パンパンッ!とチカ様が手を叩き職員達に指示を出す。教会の妙な雰囲気は次第にいつも通りに戻っていった。

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

 ……ふう、まさかこんなに早いとはね。もう少しかかると思っていたのだけど、さすがは女神。

 

 アタクシもそろそろ動かなくてはね。

 

「外交課、プラネテューヌに回線を繋いで」

 

「了解しました」

 

 耳につけた小型ヘッドセットから声が聞こえ、呼び出し音がなる。しばらくすると聞き覚えのある声がした。

 

「はい、こちらイストワール。チカさん、どうかされましたか?」

 

 

「用件を簡潔に伝えるわ。……女神候補生達を、ウチに派遣してくれないかしら」

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

 

――アンダーインヴァース・最深部――

 

 教会での一連の騒動のあと、俺とケイブはモンスターの大量発生の情報を聞きつけ、アンダーインヴァースにやって来た。

 

「ふう……こんなもん、か」

 

 ドッカーンやフレイムボーイの群れをあらかた片付け、一息つく。

 

「気を抜いちゃダメ。来るわ!」

 

 ケイブが忠告すると、俺たちの前に紅い体毛の巨大な狼……フレイムフェンリルが現れた。

 

「これはキツそうね……来なさい、《鋏》!!」

 

 ケイブが銃をしまい叫び手を前にかざすと、そこに彼女の得物とする巨大なハサミ型の剣が転送される。

 

 それを握り、再びフェンリルに相対する。

 

「俺もいこう……来てくれ、《影縫》!!」

 

 銃をホルスターにしまって両手を突き出す。するとケイブの時と同じように、二振りの曲刀が送られてくる。俺はその2本を逆手に持ち構える。

 

 ガオォォォォォォォン!!

 

 フェンリルの咆哮と同時に俺達は距離を詰める。俺は左足へ横一閃。ケイブは右足を切り裂く。先制攻撃に成功した。

 そのまま回り込み、跳躍。横っ腹に2つ、3つと切り傷をつけていく。

 地に足を付けると、フェンリルの鋭い爪が迫る。急いでバックステップして回避、すぐに距離を詰め切り刻む。

 

「カイト、下がって!」

 

 ケイブの指示に従い、いったん距離を置く。

 

「この弾幕を躱せるかしら」

 

 見ると、ケイブの足元に魔法陣が展開され、そこから無数の緑の球体が浮かび上がった。

 

「弾幕・極悪上弩!」

 

 球体がフェンリルに向かって放たれる。着弾と同時に風の刃が体表に傷を作り、2つ、3つとその数を増やしていく。最後の1つがぶつかると、フェンリルを中心に巨大な竜巻が巻き起こる。

 

 これが、魔法……!

 この世界の代表的な攻撃のひとつ。使える種類は人それぞれ。人の数だけ、魔法がある。

 

 しかし残念なことに、俺には全く魔法の適正がない。周囲から異常だといわれるほどだ。その分体術とか頑張ってるけど。

 

 竜巻が消えると衰弱したフェンリルがそれでもなお立っていた。

 

「トドメを刺すわよ」

 

「OK!」

 

 タイミングをあわせ、強く地面を蹴る。ケイブは刀身に魔力を込め、俺は空中で2回転スピンして勢いをつける。

 

「「はあああああ!!」」

 

 最大威力の斬撃を同時にフェンリルの鼻っ面に叩き込んだ。フェンリルはポリゴンとなってそこから消滅した。討伐完了だ。

 

 

「うっし、今度こそミッションコンプリート」

 

「お疲れ様、カイト。剣の腕、上達してきたわね」

 

「ケイブのお陰だよ。それにいつまでも足でまといは嫌だからな」

 

 特命課になってはや1ヶ月半。ケイブとの特訓やクエストをこなすうちに俺もだんだんと強くなった。

 けど、あくまで「以前より」だ。まだまだケイブのようにはなれそうにない。

 

「大丈夫。貴方ならすぐわたしに追いつく。期待して待ってるから、早く私を楽させて頂戴ね?」

 

 珍しくケイブがジョークを口にした。その表情はいつもの無表情……いや、ちょっとぎこちない笑みを浮かべているような。

 

「ありがと。ケイブのために頑張ってやるよ」

 

 俺もケイブに笑顔で返した。

 

 

 

 

 さて、帰ろう。課長とハコが待ってる……はず。

 




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