超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜 作:絶望危惧種
では第4話、始まります(*´ω`*)
――リーンボックス教会・特命課本部――
任務から戻ってきた俺達の目に飛び込んできたのは、なんともまぁ珍しい光景だった。
課長とチカ様が部屋の中央で何やら話をして、その周りをハコがウロチョロしている。ここまではいい。その近くにメガネをかけたスーツ姿の女性と、その背に隠れるようにしてこちらの様子をうかがう少女がいた。
あれ、あの子どこかで見たような……?
「あら、戻ってきたのね。ちょうど良かったわ」
チカ様が俺達に気付き話しかけてきた。
「チカ、どうかしたの?」
「えっと、そちらの方は……?」
「同時に質問しないでもらえるかしら……あなた達に指令よ。カイトは初対面よね。こっちは今回のクライアント……ほら、あなたも隠れてないで!」
チカ様が一喝すると、メガネの女性の影から少女がビクビクしながら出てくる。
「うぅ……恥ずかしい……」
青の長い髪を携えた、桃色の瞳の少女。泣きぼくろと特徴的なヘッドフォンが印象的な……って、この子はまさか!?
「紹介するわ。今回のクライアントの5pb.とそのマネージャーよ」
5pb.といえば、リーンボックスでその名を知らない人はまずいない、国民的歌手だ。歌に対するひたむきな姿勢と美しい歌声で大勢の人々に勇気を与えてきた。
そんな大スターが特命課に依頼とは……どんな内容だろうか。
「今回も以前と同じく、内容は3日後の彼女のライブの警備。カイトは要領がわからないだろうからケイブが教えてあげなさい」
「わかったわ」「了解!」
今回は要人護衛か……よし、頑張るぞ。
「5pb.さん。よろしくお願いしますね」
「わっ……えと、その……よろしく……です」
5pb.さんはたどたどしく言葉を紡ぐ。俺、怖がられてる……?
「ごめんなさいね、カイトさん。この子は極度の人見知りなの。ライブではそんなことないのにね……」
彼女の隣にいたマネージャーさんが代わりに答えてくれた。歌姫にも色々事情があるんだな……。
「とりあえず、護衛は頼みましたよ。期待、してますから」
「もちろん!任せてください!」
自信満々に応える。マネージャーさんの要望に沿えるように気合いを入れた。
――ピピッ!!ピピピッ!!
既に聞き慣れたアラーム音が鳴り響いた。何事かと耳に手を当て、無線を聞き取る。
「――緊急事態!リーンボックス港にて大規模な爆破テロ発生!繰り返す、爆破テロ発生!――」
✱✱✱✱✱
――リーンボックス港・第2乗船所―――
「……ひでぇ。メチャクチャじゃねぇか」
駆けつけた俺たちが見たのは、黒煙をあげる客船と暴れ回るモンスター達。そしてそれを指揮する緑髪の少女とネズミだった。
「オラ!モンスターども!もっと壊しちまいな!」
「はあ、ガサツな女は嫌いっちゅよ」
……ここは、指揮官を叩く!
「そこまでだ、お前ら!」
「リーンボックス特命課よ。大人しくしなさい」
銃口を向ける。敵は物怖じする素振りも見せずにこちらと相対した。
「あァん?アタイに指図するってのかい。いい度胸じゃねェか」
「2対2っちゅか。久々に対等な戦いっちゅね」
なんだこいつら……今までのやつと、違う。
「今すぐモンスターを止めなさい。貴方達も拘束するわ」
「ケッ、やれるもんならやってみなァ!」
女は鉄パイプを手にケイブへ突貫した。ケイブは女に向かって発砲する。
「そんなもんかァ!?おらよッ!!」
「くっ!!《鋏》!!」
ガキィィン!!
銃弾を全てかわした女は鉄パイプをケイブに叩きつけるが、ケイブは咄嗟の判断で銃を手放し、自身の得物でそれをぎりぎり防いだ。
「カイト!!私はこの女の相手をするわ!!貴方はネズミを!!」
「わかった!!来い、《影縫》!!」
双曲剣を握り、ネズミに向かって走る。そのまま距離を詰めて刃を振るう。
「ちゅちゅっ。まだまだ甘いっちゅね」
ネズミはバックステップし、剣裁を回避した。すぐさま体制を立て直し、俺に小型ナイフを連続投擲する。
「クソッ……!!」
バク転からの横ローリング。そこからの剣によるナイフの迎撃。ネズミの攻撃をどうにか凌ぐ。
こいつ、やっぱり強い!!
「まだまだいくっちゅよ」
ネズミの両手に漆黒のエネルギー体が握られる。ネズミはそれを俺に全力投球してきた。
くそっ、かなり速いっ!?
俺は奴を中心に円を描くように走る。外れた球体が近くのコンテナにぶつかり、爆散する。一撃でも当たればひとたまりもない。
「しぶといっちゅね。これならどうっちゅか」
ただでさえ回避で精一杯なのに、ネズミはそこに投げナイフを追加してきた。黒球を躱しつつ、ナイフを迎撃。だが次第に対処しきれなくなり、遂にナイフが左肩に突き刺さる。痛みでよろけたところに黒球の無慈悲な追撃がかかった。
「ぐあぁぁぁぁああ!!」
「カイトっ!!うぐっ……!!」
「あぁん?よそ見してんじゃねぇよ!」
俺は爆風で吹き飛ばされ、地面に転がされる。ケイブが悲痛な声をあげるも、女との戦いで手一杯だ。
体を起こそうとするが、体が痺れて思うように動かない。くそ、麻痺毒かっ……!!
「こんなもんっちゅかね。トドメっちゅよ」
マズイ、やられるっ…………!!
ネズミが特大の黒球を放とうとした、その時。
「まったく、見てられないわね」
どこからか聞き覚えのある声が響き、直後ネズミの胴体にエネルギー弾が直撃した。
「ぢゅーーーっ!!」
ネズミはそのまま数メートル飛ばされる。弾の出どころを探し、振り向くと、そこにはライフルを構えたツインテールの少女……ユニ様がいた。
「げっ、女神!?くそっ、おいネズミ!!ここは退くぞ!」
「ぢゅー……」
緑髪の女は気絶したネズミの尻尾を掴んで引きずりながら一目散に逃げていった。
「覚えてろーっ!」
……助かったのか。
安堵し、肩の力を抜くとどっと疲れが押し寄せてきた。体の痺れはまだ取れていない。
「男のくせに情けないわね。ほら、これ使って」
ユニ様から液体の入った瓶を手渡される。パララキシンと書いてあった。麻痺毒中和剤だ。俺はそれを一気に飲み干す。
「……ふう、ありがとうございます。ユニ様」
「ふんっ。お礼なんていらないわ。無様な姿を見たくなかっただけ。アンタ、そんなんじゃ何も守れないわよ」
ユニ様から辛辣なコメントをいただいた。まさにその通りだ。今回の事件で自分の弱さを身をもって実感した。
「カイト!大丈夫!?」
ケイブが心配そうに駆け寄って来る。モンスターの方も片が付いたようだ。
「俺は大丈夫。心配かけてごめんな」
ケイブに謝罪する。彼女には迷惑をかけてばかりだ。
「いいのよ、無事ならそれで。女神様、本当に助かりました。ありがとうございます」
「お礼はいいっての……じゃ、アタシは行くわ」
ユニ様はそのままどこかへ行ってしまう。俺とケイブは2人、港に残される。
「ケイブ……俺、強くなりたいよ」
横にいるケイブに語りかける。
「……そう、ね。私も強くなりたいわ」
その発言に少し驚く。いつもなら「大丈夫」「すぐ強くなるわ」と言っていたのに。そう思うのと同時に、そんな優しい言葉をかけて欲しかった自分に気付き、嫌気が差す。
「強くならないとな……ふたり一緒に」
「……ええ、もちろんよ」
俺はケイブに拳を出す。彼女もその意図を察し、俺の拳に自分のをコンッとぶつける。
俺達はまだまだ弱い。けど、ここからだ。
俺は決意を新たにする。
しばらくすると、地元警察がようやく現場に駆けつけてきた。あとの処理は彼らがしてくれるだろう。俺達はその場を離れる。
……と、その時。俺の足元に何かが転がっていた。
「……なんだ、これ?」
拾い上げると、それは青い結晶だった。大きさは掌サイズ。キラキラとしていて、中は透き通っている。目にするのは初めてだ。
「カイト、いくわよ」
「ああごめん。今行く」
不思議に思っているとケイブに呼ばれる。とっさにその結晶をポケットに入れ、彼女の元へ向かった。
✱✱✱✱✱
―――深夜・リーンボックス教会―――
ハハッ、まさかこんなに上手くいくなんてなァ。リーンボックスはチョロいな!
「んなこと言ってないで、さっさと用を済ませるっちゅ」
ああ、そうだな。よっ……と。ふう、以外と重いなこいつ。
あとは……こんな感じか。我ながら完璧な変装じゃねぇかよ。
じゃあな、教祖さん。アンタの代わりはアタイがきっちり勤めてやるぜ?ハハハハハハッ!
教会に、不気味な高笑いが響き渡った。
……なんか下っ端たち強くね?
当然です、だって女神様達タダでさえ強いのに物量戦で潰しにかかるもん。下っ端は弱いわけじゃないんです……多分。
感想、アドバイス、よろしくお願いします!