超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜 作:絶望危惧種
では第5話、行ってみましょう!
……おかしい。
ん、何がだって?答えはチカ様の様子が、だ。
いつも気高く、自分の行動に自信を持ち、この国のことを第一に考えているチカ様。
そんなチカ様が今日はいつもより妙に物腰が柔らかい……いや、なんだか挙動不審だ。
そんなチカ様と職員の今日のやりとりがこれだ……。
「チカ様、以前お話した予算の件ですが……」
「あっ、ええ!!えーと、ど、どんな話でしたっけ」
「忘れたのですか?ほら、教会周辺の警備についてです」
「あ、あぁ!!そうでしたわ。え、えーと。あなた達に任せますわ!」
「ちょっ、えぇーっ……」
さて、俺達がおかしいと思う理由がわかってくれたと思う。もしかして、どこか具合が悪いのだろうか。心なしか声が上擦っているというか、枯れているというか……そんな感じがする。
そのことをケイブに話してみると。
「そうなの?……ごめんなさい。私、人の機微には疎いのよ。全然気付かなかったわ」
だそうだ。クールで優秀だと思っていた彼女に、まさかこんな一面があったとは。そう言って少し恥ずかしがっていたケイブを、俺は可愛いなと思ってしまった。……とまぁ、そんな事は今どうでもいいのだが。
しかし、このままでは埒があかない。教会内も混乱するばかりだ。
俺は他の職員たちを代表し、意を決してチカ様の元へ向かった。
「チカ様!!お話があります!」
「ひゃいっ!?どどど、どうしたのですか?」
……やっぱりおかしい。これは大分重症だぞ。
「チカ様、どうされたのですか?今日のチカ様はまるで挙動不審です」
「そっ、そんな事はないわ。私はいつも通りよ」
むむむっ、そこで抵抗しますか。ですが今日は俺も引き下がりませんよ。
「いいえ、変です!体調が悪いのでしたら、どうかお休み下さい。今のチカ様では、職員は混乱するばかりです」
「……っ!そ、そうよね。ごめんなさい、実は体の調子が悪くて……。しばらく休ませてもらうわね」
ようやく折れてくれた。チカ様はそう言うとスタスタと自分の部屋へと向かって……あれ、どこ行くんだろ。そっちは広報課、あ、間違ったって気付いたようだ。今度こそ自室へと戻っていった。本当に大丈夫だろうか。
それにしても、説得するのって結構疲れるな。俺はふう、と一息つく。
すると周りから次々と声をかけられた。
「いやー助かったよ」「俺たちの言いたいこと言ってくれてありがとな」「君、なかなか勇敢だねぇ!」
あー、どうもどうも。こういうのはあまり慣れてないから照れるな……。
こんな感じで、今日は珍しく事件も何も起こらず、特命課の俺達は平和な1日を過ごした。
✱✱✱✱✱
――― 翌日 ―――
俺はいつもと同じく、特命課の仲間――といってもケイブくらいだが――と談笑しながら、指令が下るまで待機していた。
そんな時、近くにあったスクリーンの映像が突然変わり、チカ様の姿が映し出された。
……一体何事だ?
チカ様の登場に疑問を抱えながら、俺達はその映像をじっと見つめた。
「リーンボックスの国民の皆様に、重大なお知らせがあります」
……なんのことだ?息を飲み、次の言葉を待つ。
しかし出てきたのは俺達の想像を絶するものだった。
「……これよりリーンボックスは犯罪組織・マジェコンヌの信仰を公式に認め、これに関する犯罪組織の規制を、全て解除します」
教会、いや、リーンボックス全土が震撼した。
✱✱✱✱✱
「……ザザッ、こちら第4区!マジェコンヌと思われる集団の強盗発生!繰り返す……」「居住第3区画にて、暴動発生!応援を頼む!!ザザッ…」「ザザッ…くそッ!第4地区で銃撃戦!!3名負傷した!応援はまだか!?」
チカ様からの異例の声明がなされて数時間。この短時間で既にいくつもの暴動、テロ、事件が発生している。
「畜生!!チカ様は一体何をお考えだ!?」
「……カイト、気持ちは分かるけど落ち着いて。私達が冷静でなくてどうするの」
「あんなもの公布されて落ち着いていられるかよ!?それに……」
「カイト、お願い。私の言う事を聞いて」
ケイブの冷たい声が響き、正気に戻る。
……確かに。ここで俺がどれだけ喚いても状況は好転しない。深呼吸をして少し頭を冷やす。
「でも、なぜチカ様はあのようなことを?」
「……考えられるのは2つ。1つはマジェコンヌを信仰させることで、国民の生活水準を上げようとした」
だが、それもおかしな話だ。現にリーンボックスはいくつもの事件が多発し、とても生活どころではない。このままではいずれ世紀末と化すのも時間の問題だ。
「……じゃあ、もうひとつは?」
「……乱心、でしょうね……」
ケイブは目を伏せがちに呟く。その拳はふるふると震えていた。……彼女も冷静でいられないのだ。あのチカ様が乱心だとは、俺も信じたくはない。
「……けど、これが現実だもんな」
既に特例は公布されてしまった。俺達がしなくてはいけないことは山積みだ。
「……行こう、ケイブ。少しでも多くの人を助けなきゃ」
「……そうね。行きましょう」
今日で既に5回目の出動。俺とケイブは疑問を胸に、荒れ狂うリーンボックスの街へと向かった。
次回はいよいよ、原作サイドと合流します!
お楽しみに!
感想、アドバイス等、よろしくお願いします!