超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜   作:絶望危惧種

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今回はいつもより長めです。
それではどうぞ!(n‘∀‘)η



第6話「動き出す物語」

 チカ様の特例が公布された翌日。

 

 教会職員や特命課の活躍で、リーンボックスはどうにか沈静化した。それでも普段より出動回数や事件の発生件数は多いのだが。

 

 

 そんななか、教会に複数の足音が響いた。

 

「……ここがリーンボックスの教会ね」

 

「なんか皆さん忙しそうです」

 

 茶髪のサイドテールの少女の発言に続いて、ベージュのカールがかった長い髪のおっとりした少女がそう口にした。

 

「……教祖さんはどこでしょうか?」

 

「急に呼び出すくらいだから、それなりの用なんじゃない?」

 

「もし違ったら慰謝料を請求してやりますの」

 

 紫の長髪の少女に、青いショートヘアーの少々危ない格好の少…女?いや、少年か?そしてその後にブラウンショートヘアーのモコモコした格好の幼女がやって来た。

 

 珍しいな、こんな大勢での来客は。話からするにチカ様が呼んだみたいだが……あの方は何をお考えだ?

 

「あのー!教祖様はいらっしゃいますかー!!」

 

 紫の少女がチカ様を呼ぶ。その声に気付いたようで、チカ様が彼女達の元へ足を運んだ。

 

「は、はい?って、めがっ……コホン。女神様達ではありませんか。この度は、どうなされたのですか?」

 

 相変わらずのチカ様のおかしな挙動。今日もまだ戻っていない……か。

 

「あなたが、リーンボックスの教祖さんですか?」

 

 おっとり少女が間延びした口調で尋ねる。

 

「え、ええそうです。私が教祖の箱崎チカですわ」

 

「あ、私はネプギアです」

 

 なるほど、あの紫の子がプラネテューヌの女神候補生か。

 

 ちなみに、プラネテューヌは四大国のひとつ。パープルハート様が治めるこの国は4ヶ国の中で最も最先端技術の発達している国だ。

 

「私はアイエフ。で、私たちはアンタに呼ばれてきたのだけれど?一体なんの要件かしら」

 

「ああ!そ、そうでしたわ!すっごく、お待ちしてましたわ」

 

 アイエフと名乗ったサイドテールの少女にチカ様はおかしな態度で答える。

 

「え、えーと……そう!この近くのモンスターを退治してほしいのですわ」

 

「モンスター討伐?だったらヒーローのこの私、日本一の出番だね!」

 

 青髪の日本一が目をキラキラさせていた。

 

「……それってガスト達を呼び出してまでさせることじゃないんですの」

 

 モコモコの幼女、ガストがボソッと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。

 

 確かにその通りだ。モンスター討伐なら特命課にでも依頼すればいい。わざわざ彼女達にさせる必要はないはずだ。

 

「あの、チカさん!私達、この国のゲイムキャラの力を借りに来たんです。それで……」

 

「あぁ!そんなのいくらでも持って行って下さい」

 

……もう頭が痛くなる。

 

 ゲイムキャラとは、古来より女神様とともにこの地を守る存在だ。今もどこかで眠っているはずだが……それを軽々しく差し出すというのか。

 

「えっ、でも……」

 

「いいんです。さあ、モンスター退治の方はお任せしますわね。あなた方ならきっと楽勝ですわ」

 

 チカ様は用件を告げると、女神様達をさっさと追い出してしまった。

 

 

「カイト、指令よ」

 

 今の一部始終を見ていた俺の後ろからケイブが声をかけた。

 

「あ、そうか。了解だ。で、内容は?」

 

「突然発生した禁忌種モンスターとその取り巻きの討伐。場所はガベイン高原よ」

 

 

……あれ?

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

―― ガベイン高原 ――

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

 気合いの咆哮とともに目の前のひこどりを《影縫》で一閃。後ろから飛びかかるかぼちゃもんに回し蹴りをかまし、近くのひまわりんを十字に切り裂いた。

 

「ふう、ここはこれで終わりっと」

 

 モンスターが全てポリゴンとなって消滅したのを確認し、一息つく。ケイブのほうも既に終わっていた。

 

 

「あとは禁忌種モンスターなのだけれど……どこへ行ったのかしら」

 

 報告によれば、俺達が倒したのが取り巻き。あと禁忌種モンスターがいるはずなのだが、それらしき姿は見受けられない。

 

 

「あーっ!いました、きっとこのモンスターですよ」

 

「ちょっとネプギア!先走りすぎないで!」

 

 この声は確か……っ!そうだ、思い出した!

 

「ケイブ!!女神様達が禁忌種モンスターに接触した!!こっちだ!!」

 

「……!?了解したわ」

 

 俺達は全速力で女神様達の救援に向かった。

 

 

 

「大丈夫です、チカさんも楽勝って言ってましたし……えいっ!」

 

 カンッ!

 

「あ、あれ?おかしいな。もう1度……えいっ!」

 

 カキンッ!

 

 

……あれは、エレメントドラゴン!?

 

 俺の予想通り、ネプギア様が禁忌種モンスターに攻撃を仕掛けるも、ことごとく跳ね返されていた。戸惑うネプギア様にドラゴンの鋭い爪が襲いかかる。

 

「ネプギア!前見て!!」

 

「へっ?」

 

 くそ、間に合ってくれ……ッ!!

 

 

「「危ないッ!!」」

 

 

 ガキィィン!!

 

 ドラゴンの攻撃が直撃する寸前、俺とケイブの斬撃がドラゴンの腕に当たり、軌道をそらした。

 

「あ、あわわわわっ」

 

「ネプギア、大丈夫!?」

 

 アイエフがネプギア様の介抱をする。彼女は腰が抜けただけで目立った外傷は見受けられない。無事でよかった。

 

 

「貴方達は下がっていて……カイト、来るわよ」

 

「ああ、いつでも!!」

 

 迫り来るドラゴンの腕を左右別々に別れて躱す。俺はそのままドラゴンの足元へ接近し、連続で切り刻む。ケイブはドラゴンの腕を駆け上がり、顔面を切り裂く。

 

 グギャァァァァアァ!!

 

 ドラゴンは目を潰され、無我夢中で辺りを尾で薙ぎ払う。俺達は一旦距離をとって回避。

 

 

「……鱗が固くてダメージが通らねぇ」

 

「……そうね。なら、これを使うわ」

 

 ケイブは《鋏》を持っていない方の手を前にかざす。

 

「オプション展開!!」

 

 すると彼女の背後から小型ユニットが飛び出し、かざした手を中心にして円を描くように回り出した。

 

「フルバースト!!」

 

 それをトリガーに10機のユニット一つ一つからレーザーが放たれ、ドラゴンの体表を削り取っていく。

 

 

 グギャァァァァアァアァァ!!

 

 ドラゴンが怯み、少し仰け反る。同時に、小型ユニットのレーザー照射が止まった。

 

「……やっぱりまだエネルギー効率が悪いわね。カイト、今ので大分脆くなったわ。切り刻むわよ」

 

「OK、得意分野だ!」

 

 ドラゴンが体制を立て直す前に急接近、足元を再び切り裂く。ケイブが言った通り、さっきのレーザーでかなり鱗がボロボロになっている。刃がザクリと肉を抉った。

 

 

……いける!

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 俺は片方の剣を肉に突き刺したままもう片方で滅多切りにし、傷口を広げるようにドラゴンを1周した。ケイブは大きく跳躍し、喉元から下腹部までを一気に切り裂いた。

 

 ギャオァァアォォァ!!

 

 まだ止まらない。双剣をクロスさせ尻尾に突き立てると、そのままハサミの要領で切断し、その間にケイブは魔法を詠唱。火球が次々とドラゴンを襲う。

 

 ドシンッ!と音を立て、ついにドラゴンが膝をつく。一気にケリをつけるため、背中を踏み台にしてドラゴンの頭上へ跳び、落ちる勢いとともに脳天に双剣を突き立てた。

 

 ガァァァァア!!!!

 

「…ッ!!カイト、ブレスよ!!女神様たちを狙ってるわ!!」

 

 こいつ、まだやるってのか!?

 

 ドラゴンが死に際の一撃を放とうと、口にエネルギーを蓄え始める。

 

 

「させるかっての」

 

 俺は握っていた《影縫》を放し、飛び降りる。その時に腰からグレネードを外し、ドラゴンの口内に投げ込んだ。

 

 

 ドカァァァァン!!!!

 

 ブレスのエネルギーとグレネードの爆発が合わさり、ドラゴンの顔面は吹き飛び、そのままポリゴン化して消え去った。

 

 

「任務、完了……」

 

 

「貴方達、怪我はない?」

 

 モンスターの消滅を見届けるとケイブは後ろの少女達の安否を確認した。

 

「あ、はい。大丈夫です。助けてくれてありがとうございます。えっと……」

 

「私はケイブ。リーンボックス特命課よ」

 

「同じく麻宮カイトです」

 

 俺達は手短に自己紹介をした。

 

 

「それにしても貴方達、どうして禁忌種モンスターを?」

 

「私達、チカさんに頼まれたんです。楽勝って言われたんですけど……」

 

「チカが……?一体どうしたというのかしら……」

 

 その事実にケイブが怪訝な表情を浮かべた。

 

 

「……ケイブさん、何があったか教えてくれませんか?」

 

「……そうね。実は……」

 

 

 

 

 ケイブはネプギア様にチカ様の異変とこの国の状況を説明した。案の定、彼女達の反応は信じられない、というものだった。

 

 

「これはまた、あの教祖のところに行く必要があるわね」

 

「そうですね。今回の件についても、確かめませんと」

 

 どうやら彼女達の次にやるべき事が定まったようだ。俺はケイブと目配せして、この場を去ることにする。

 

「それじゃあ、私達はこれで」

 

「次からは無策で敵に飛び込むなんて真似、しないで下さいね?」

 

 

 彼女達の感謝の言葉を受けつつ、俺達は帰途へとついた。

 

 

 

 ✱✱✱✱✱

 

 

 

 

「……カイト」

 

 帰り道の途中、不意にケイブに名前を呼ばれる。見ると、彼女が慈しむような目で俺を見つめていた。

 

「ん、なんだ?」

 

「……いつの間にか、あんなに強くなっていたのね」

 

 なるほど、さっきの戦闘のことか。

 

「約束しただろ?ケイブを楽させるって」

 

 いつぞやのやり取りを思い出す。あの時より俺は強くなれたと思う……だけど、ケイブにはまだ及ばないどころか、犯罪組織のネズミに負けてしまった。こんなんじゃ、ケイブを守れない。

 

 

 

 

 

……あれ、今俺は、一体何を…………?

 

 

 

「ふふっ、そうだったわね……ねえ、カイト」

 

「ん、ああ。何?」

 

 

 今、なにかとんでもないことに気付きかけたところで思考を中断し、ケイブの方を向く。

 

 

「……正直、不安なの。チカが急に変わってしまったり、イレギュラーな事態がたて続けに起きたり……私の知ってたものがどんどん変わっていくのが、怖くて仕方ないのよ」

 

 その表情はいつもの彼女とは思えない、弱々しいものだった。

 

 

 

……そうだ。彼女だって、女の子なんだ……

 

 

 いつもクールに振舞い、俺を助けてくれる。そんな彼女も特命課である前に、1人の少女だ。怖いものもあれば、悲しい事だってある。だけど俺は彼女に甘え、いつの間にかそんな当たり前の事すら忘れていた。そんな自分に、どうしようもなく腹が立つ。

 

「……だけれど、貴方だけは大丈夫って信じてる。どんな事があっても変わらないって、信じてる」

 

 その言葉に、胸が熱くなった。

 

 同時に、確信した。

 

 

 

 ああそうか……俺は、この子が《好き》なのか……

 

 

 

「……俺は変わらないよ。何があろうと、俺はケイブの味方だ」

 

 

 その言葉を伝えると、ケイブは嬉しそうに、いつもよりほんの少し柔らかい笑みを浮かべた。それは俺の心音を跳ねさせるのに十分なものを秘めていた。

 

 

 

「……ありがとう、カイト」

 

 

 

 

 

 

 2人だけの時間が流れる。

 

 ようやく気付いた、自分の想い。

 

 俺は目の前の少女を見つめ、胸の中で誓った。

 

 いつか彼女が戦わなくて済むようになるその時まで、俺がこの笑顔を……ケイブを守ってみせる。と……




やっと恋愛要素出せました……。
これでケイブさんもヒロインっぽくなったかな……という感じです。

追記:2月13日。最後の場面、ケイブの笑顔の表現を少し変更しました。

ご意見、感想、アドバイス、色々お待ちしております!!
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