超次元ゲイムネプテューヌ〜Secret Mission〜 作:絶望危惧種
それではどうぞ!(n‘∀‘)η
チカ様の特例が公布された翌日。
教会職員や特命課の活躍で、リーンボックスはどうにか沈静化した。それでも普段より出動回数や事件の発生件数は多いのだが。
そんななか、教会に複数の足音が響いた。
「……ここがリーンボックスの教会ね」
「なんか皆さん忙しそうです」
茶髪のサイドテールの少女の発言に続いて、ベージュのカールがかった長い髪のおっとりした少女がそう口にした。
「……教祖さんはどこでしょうか?」
「急に呼び出すくらいだから、それなりの用なんじゃない?」
「もし違ったら慰謝料を請求してやりますの」
紫の長髪の少女に、青いショートヘアーの少々危ない格好の少…女?いや、少年か?そしてその後にブラウンショートヘアーのモコモコした格好の幼女がやって来た。
珍しいな、こんな大勢での来客は。話からするにチカ様が呼んだみたいだが……あの方は何をお考えだ?
「あのー!教祖様はいらっしゃいますかー!!」
紫の少女がチカ様を呼ぶ。その声に気付いたようで、チカ様が彼女達の元へ足を運んだ。
「は、はい?って、めがっ……コホン。女神様達ではありませんか。この度は、どうなされたのですか?」
相変わらずのチカ様のおかしな挙動。今日もまだ戻っていない……か。
「あなたが、リーンボックスの教祖さんですか?」
おっとり少女が間延びした口調で尋ねる。
「え、ええそうです。私が教祖の箱崎チカですわ」
「あ、私はネプギアです」
なるほど、あの紫の子がプラネテューヌの女神候補生か。
ちなみに、プラネテューヌは四大国のひとつ。パープルハート様が治めるこの国は4ヶ国の中で最も最先端技術の発達している国だ。
「私はアイエフ。で、私たちはアンタに呼ばれてきたのだけれど?一体なんの要件かしら」
「ああ!そ、そうでしたわ!すっごく、お待ちしてましたわ」
アイエフと名乗ったサイドテールの少女にチカ様はおかしな態度で答える。
「え、えーと……そう!この近くのモンスターを退治してほしいのですわ」
「モンスター討伐?だったらヒーローのこの私、日本一の出番だね!」
青髪の日本一が目をキラキラさせていた。
「……それってガスト達を呼び出してまでさせることじゃないんですの」
モコモコの幼女、ガストがボソッと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
確かにその通りだ。モンスター討伐なら特命課にでも依頼すればいい。わざわざ彼女達にさせる必要はないはずだ。
「あの、チカさん!私達、この国のゲイムキャラの力を借りに来たんです。それで……」
「あぁ!そんなのいくらでも持って行って下さい」
……もう頭が痛くなる。
ゲイムキャラとは、古来より女神様とともにこの地を守る存在だ。今もどこかで眠っているはずだが……それを軽々しく差し出すというのか。
「えっ、でも……」
「いいんです。さあ、モンスター退治の方はお任せしますわね。あなた方ならきっと楽勝ですわ」
チカ様は用件を告げると、女神様達をさっさと追い出してしまった。
「カイト、指令よ」
今の一部始終を見ていた俺の後ろからケイブが声をかけた。
「あ、そうか。了解だ。で、内容は?」
「突然発生した禁忌種モンスターとその取り巻きの討伐。場所はガベイン高原よ」
……あれ?
✱✱✱✱✱
―― ガベイン高原 ――
「はぁぁぁぁっ!」
気合いの咆哮とともに目の前のひこどりを《影縫》で一閃。後ろから飛びかかるかぼちゃもんに回し蹴りをかまし、近くのひまわりんを十字に切り裂いた。
「ふう、ここはこれで終わりっと」
モンスターが全てポリゴンとなって消滅したのを確認し、一息つく。ケイブのほうも既に終わっていた。
「あとは禁忌種モンスターなのだけれど……どこへ行ったのかしら」
報告によれば、俺達が倒したのが取り巻き。あと禁忌種モンスターがいるはずなのだが、それらしき姿は見受けられない。
「あーっ!いました、きっとこのモンスターですよ」
「ちょっとネプギア!先走りすぎないで!」
この声は確か……っ!そうだ、思い出した!
「ケイブ!!女神様達が禁忌種モンスターに接触した!!こっちだ!!」
「……!?了解したわ」
俺達は全速力で女神様達の救援に向かった。
「大丈夫です、チカさんも楽勝って言ってましたし……えいっ!」
カンッ!
「あ、あれ?おかしいな。もう1度……えいっ!」
カキンッ!
……あれは、エレメントドラゴン!?
俺の予想通り、ネプギア様が禁忌種モンスターに攻撃を仕掛けるも、ことごとく跳ね返されていた。戸惑うネプギア様にドラゴンの鋭い爪が襲いかかる。
「ネプギア!前見て!!」
「へっ?」
くそ、間に合ってくれ……ッ!!
「「危ないッ!!」」
ガキィィン!!
ドラゴンの攻撃が直撃する寸前、俺とケイブの斬撃がドラゴンの腕に当たり、軌道をそらした。
「あ、あわわわわっ」
「ネプギア、大丈夫!?」
アイエフがネプギア様の介抱をする。彼女は腰が抜けただけで目立った外傷は見受けられない。無事でよかった。
「貴方達は下がっていて……カイト、来るわよ」
「ああ、いつでも!!」
迫り来るドラゴンの腕を左右別々に別れて躱す。俺はそのままドラゴンの足元へ接近し、連続で切り刻む。ケイブはドラゴンの腕を駆け上がり、顔面を切り裂く。
グギャァァァァアァ!!
ドラゴンは目を潰され、無我夢中で辺りを尾で薙ぎ払う。俺達は一旦距離をとって回避。
「……鱗が固くてダメージが通らねぇ」
「……そうね。なら、これを使うわ」
ケイブは《鋏》を持っていない方の手を前にかざす。
「オプション展開!!」
すると彼女の背後から小型ユニットが飛び出し、かざした手を中心にして円を描くように回り出した。
「フルバースト!!」
それをトリガーに10機のユニット一つ一つからレーザーが放たれ、ドラゴンの体表を削り取っていく。
グギャァァァァアァアァァ!!
ドラゴンが怯み、少し仰け反る。同時に、小型ユニットのレーザー照射が止まった。
「……やっぱりまだエネルギー効率が悪いわね。カイト、今ので大分脆くなったわ。切り刻むわよ」
「OK、得意分野だ!」
ドラゴンが体制を立て直す前に急接近、足元を再び切り裂く。ケイブが言った通り、さっきのレーザーでかなり鱗がボロボロになっている。刃がザクリと肉を抉った。
……いける!
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
俺は片方の剣を肉に突き刺したままもう片方で滅多切りにし、傷口を広げるようにドラゴンを1周した。ケイブは大きく跳躍し、喉元から下腹部までを一気に切り裂いた。
ギャオァァアォォァ!!
まだ止まらない。双剣をクロスさせ尻尾に突き立てると、そのままハサミの要領で切断し、その間にケイブは魔法を詠唱。火球が次々とドラゴンを襲う。
ドシンッ!と音を立て、ついにドラゴンが膝をつく。一気にケリをつけるため、背中を踏み台にしてドラゴンの頭上へ跳び、落ちる勢いとともに脳天に双剣を突き立てた。
ガァァァァア!!!!
「…ッ!!カイト、ブレスよ!!女神様たちを狙ってるわ!!」
こいつ、まだやるってのか!?
ドラゴンが死に際の一撃を放とうと、口にエネルギーを蓄え始める。
「させるかっての」
俺は握っていた《影縫》を放し、飛び降りる。その時に腰からグレネードを外し、ドラゴンの口内に投げ込んだ。
ドカァァァァン!!!!
ブレスのエネルギーとグレネードの爆発が合わさり、ドラゴンの顔面は吹き飛び、そのままポリゴン化して消え去った。
「任務、完了……」
「貴方達、怪我はない?」
モンスターの消滅を見届けるとケイブは後ろの少女達の安否を確認した。
「あ、はい。大丈夫です。助けてくれてありがとうございます。えっと……」
「私はケイブ。リーンボックス特命課よ」
「同じく麻宮カイトです」
俺達は手短に自己紹介をした。
「それにしても貴方達、どうして禁忌種モンスターを?」
「私達、チカさんに頼まれたんです。楽勝って言われたんですけど……」
「チカが……?一体どうしたというのかしら……」
その事実にケイブが怪訝な表情を浮かべた。
「……ケイブさん、何があったか教えてくれませんか?」
「……そうね。実は……」
ケイブはネプギア様にチカ様の異変とこの国の状況を説明した。案の定、彼女達の反応は信じられない、というものだった。
「これはまた、あの教祖のところに行く必要があるわね」
「そうですね。今回の件についても、確かめませんと」
どうやら彼女達の次にやるべき事が定まったようだ。俺はケイブと目配せして、この場を去ることにする。
「それじゃあ、私達はこれで」
「次からは無策で敵に飛び込むなんて真似、しないで下さいね?」
彼女達の感謝の言葉を受けつつ、俺達は帰途へとついた。
✱✱✱✱✱
「……カイト」
帰り道の途中、不意にケイブに名前を呼ばれる。見ると、彼女が慈しむような目で俺を見つめていた。
「ん、なんだ?」
「……いつの間にか、あんなに強くなっていたのね」
なるほど、さっきの戦闘のことか。
「約束しただろ?ケイブを楽させるって」
いつぞやのやり取りを思い出す。あの時より俺は強くなれたと思う……だけど、ケイブにはまだ及ばないどころか、犯罪組織のネズミに負けてしまった。こんなんじゃ、ケイブを守れない。
……あれ、今俺は、一体何を…………?
「ふふっ、そうだったわね……ねえ、カイト」
「ん、ああ。何?」
今、なにかとんでもないことに気付きかけたところで思考を中断し、ケイブの方を向く。
「……正直、不安なの。チカが急に変わってしまったり、イレギュラーな事態がたて続けに起きたり……私の知ってたものがどんどん変わっていくのが、怖くて仕方ないのよ」
その表情はいつもの彼女とは思えない、弱々しいものだった。
……そうだ。彼女だって、女の子なんだ……
いつもクールに振舞い、俺を助けてくれる。そんな彼女も特命課である前に、1人の少女だ。怖いものもあれば、悲しい事だってある。だけど俺は彼女に甘え、いつの間にかそんな当たり前の事すら忘れていた。そんな自分に、どうしようもなく腹が立つ。
「……だけれど、貴方だけは大丈夫って信じてる。どんな事があっても変わらないって、信じてる」
その言葉に、胸が熱くなった。
同時に、確信した。
ああそうか……俺は、この子が《好き》なのか……
「……俺は変わらないよ。何があろうと、俺はケイブの味方だ」
その言葉を伝えると、ケイブは嬉しそうに、いつもよりほんの少し柔らかい笑みを浮かべた。それは俺の心音を跳ねさせるのに十分なものを秘めていた。
「……ありがとう、カイト」
2人だけの時間が流れる。
ようやく気付いた、自分の想い。
俺は目の前の少女を見つめ、胸の中で誓った。
いつか彼女が戦わなくて済むようになるその時まで、俺がこの笑顔を……ケイブを守ってみせる。と……
やっと恋愛要素出せました……。
これでケイブさんもヒロインっぽくなったかな……という感じです。
追記:2月13日。最後の場面、ケイブの笑顔の表現を少し変更しました。
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