The Outlaw Alternative   作:ゼミル

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別名:ツンデレ回(何


TE編10:Runner/Shooter

<2001年6月7日>

 

 

 

 

 

 

網膜投影に映し出される警告ウィンドウが規定進路からの若干の逸脱をユウヤに知らしめ、コクピットの中で彼は僅かに表情を歪ませた。

 

 

「クソッ、このじゃじゃ馬が…!」

 

 

ハイヴ内壁との間隔はまだ僅かながらの余裕があるものの―だがその『余裕』はほんの2~3m程度でしかない―太古より遥かな時間をかけて構築された鍾乳洞の様に天井や側部壁面が隆起していたりBETAが壁面に張り付いているのは当たり前である為、見逃せば機体のどこかしらが接触する羽目に陥ってしまうから少しも気は抜けない。

 

大体、今ユウヤが搭乗しているこの機体――――<不知火・弐型>に搭載されているOSは今やユウヤが慣れ親しむ<EX-OPS>ではなく旧来のキャンセル機能やコンボも搭載されていない反応速度が鈍重な代物なのだ。

 

<吹雪>でこの数週間日本製機体の慣熟訓練をこなした結果、米軍機と同等以上の成績を残せるほどの腕前に上り詰めたユウヤであっても、<吹雪>以上に滅茶苦茶な<不知火・弐型>の扱いにくさは演習を始めて以降度々ユウヤの額に冷や汗が浮かばせる程であった。

 

特にユウヤを悩ませているのは、機体特性そのものは<吹雪>寄りではあっても、各部出力が機体バランスをおかしくするほど高過ぎる点だ。主機と跳躍ユニットの出力が高過ぎるせいで日本機特有のセンサーマストや腕部ナイフシースを用いた空力制御の影響がモロに出やすく、より微細な姿勢制御が求められるようになった。

 

極めてクイックな反応を実現してくれる<EX-OPS>であれば最大限有効活用できたであろう特性も旧OSでは望むべくもないが、贅沢は言えない。

 

――――<吹雪>が興奮剤を打ったロバなら、<不知火・弐型>はジェットエンジンを搭載した軽自動車だ!

 

 

「なろぉッ…!」

 

 

天井からBETA群の落下を探知。高度を落としてBETAの落石(・・)を回避しようと試みた所でまたも警報。偽装横坑(スリーパードリフト)から更なるBETAの大群が現れ、地表とレーダーを覆い尽くす。

 

接近警報。BETAに足元が覆い尽くされた分ユウヤ機との高度差が縮まり、地表面に近づきすぎていると航法コンピュータが判断したからである。

 

本来ならこの時点で自動回避プログラムが機体の降下をキャンセルし、乗っているユウヤは下から突き上げられるような衝撃に襲われていただろうが現実にはそうはならなかった。

 

最初からユウヤは自動回避プログラムの設定を弄ってバイタルサインが危険域……気絶もしくはそれに準じた状態に搭乗者が陥った場合以外地表面に接近しても自動回避プログラムが作動しないようにしていた。

 

実はこのような設定の改変を行っている衛士は少なくなく、特にソ連・EU・日本帝国斯衛軍の前衛を担う衛士に顕著だ。BETAの軍勢に接近戦を挑む際、機体各部に備えたブレードベーンによるすれ違いざまの斬撃を伴った地表スレスレでの平面高速機動時に自動回避プログラムが一々作動しては命取りになるからである。

 

<不知火・弐型>にはSu-37やEF-2000<タイフーン>みたいな固定兵装は備えられていないが、外部からの操作で自分の操縦が勝手に捻じ曲げられるようではギリギリの所で活路が見いだせなくなってしまう――――そのような考えからユウヤは設定を操作しておいた。

 

脚部がベータに触れそうなほどスレスレの高度を維持して跳躍噴射を維持。ゾクゾクと湧き出るBETAがまるで波のように不気味かつ不規則にさざめき、そのすぐ上を通過していく<不知火・弐型>の姿はBETAの波に乗っているかのようだ。

 

局地的にBETAの数が急速に増加した事によりBETAの山が行く手を阻もうと急速に隆起していく。高度を上げて飛び越えようにも隆起と同時に天井部の偽装縦抗(スリーパー・シャフト)からも出現した大量のBETAがつらら宜しく道を塞ぐ。

 

舌打ち1つと共に視線で120mmを選択。両手腕並びに背部兵装担架に搭載した計4門の突撃砲が噴火の如く強烈な発砲炎(マズルフラッシュ)を吐き出した。

 

ハイヴ内の侵攻という設定なので、120mm砲に装填している弾種は例によってキャニスター弾。数千発の散弾がBETA製の壁に戦術機が通り抜けれるだけの大穴を一時的に拵え、早くも塞がりつつあった隙間を突破し先へと進む。

 

 

『チェックポイント3――――プラス1.74』

 

 

 

 

ステラから設定タイムに対する遅延を告げられて微妙に責められているような錯覚に陥ったユウヤは、操縦桿を握り締め直して遅れを取り戻すべく跳躍ユニットに蹴りを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      TE-10:Runner/Shooter

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

整備パレットに降り立ったユウヤの元にヴィンセントがやって来てミネラルウォーターのパックを渡してくれたので、ユウヤは無造作に呷って程好く冷えた中身を一気に半分ほど飲み干す。軽くないGに散々苛まれた全身の筋肉がユウヤに抗議するかのようにみしみしと軋んだ。

 

 

「相変わらず調子良さそうじゃねぇか。とんとん拍子にスケジュールも消化出来てるし、これなら唯依姫もお気に召してくれるんじゃねーの?」

 

「どうだかな。とにかく俺は最大限の結果を出すまでさ」

 

「そうやって良い成績残してもスカしたフリするのもグルームレイクの頃から変わんねェなあ――――ほら、噂をすれば唯依姫のお出ましだぞ」

 

 

近付いてきた唯依にとりあえず礼儀上の敬礼を行う。どうせ遅かれ早かれデブリーフィングで話し合う予定になっていたというのに、せっかちな事だ。

 

 

「…やはりまだこの機体(不知火・弐型)の扱いに慣れていないようだな」

 

「時間の問題ですよ。けど癖は大分読み取れた。すぐにコイツの手綱を完全に握ってやります」

 

 

見栄から出てきた言葉ではない。ユウヤ自身の感覚では<不知火・弐型>を扱いこなす為のとっかかりは既に見つかっている。更に搭乗経験を積んでいけば自分の思い通りに動かせるようになる日もそう遠くは無いと己への贔屓目無しにユウヤは考えていた。

 

日本人嫌いのユウヤからしてみれば癪ではあるが、先に<不知火>系列の直系機である<吹雪>で慣熟訓練を積ませておくという唯依の考えは正しかったと言わざるをえない。

 

ゼロス達の言うツンデレ体質であるユウヤが当の唯依に向かってそう白状する日はまず訪れないだろうが。

 

 

「そうあって欲しいものだがな。<不知火・弐型>は、いやそのベースとなった壱型丙はかなり特殊な機体だ。その操縦には繊細さと大胆さがかなり高度なレベルで重要となる――――貴様に易々とそれが行えるかな?」

 

「長くは待たせませんよ。すぐに中尉のお望み通りの……いや、予想以上の結果を出してやります」

 

 

冷淡に、かつ珍しく挑発的に答える唯依を睨みつけるようにして、いっそ不敵な程の自信を込めてユウヤも言い返した。

 

僅かに不穏な気配が2人の間に漂い始めたのを敏感に察知し、先程の演習で随伴機として参加していたヴァレリオとタリサに他のメカニック達も俄かに手を止めてユウヤと唯依に注目する。

 

これってマズくね?と2人の最も傍に居たヴィンセントはすぐさま睨み合い始めた2人の仲裁に入れるように身構え、緊張でゴクリと喉を鳴らす。張りつめる空気。

 

 

 

 

 

 

――――何時かの焼き直しのように、先に顔を逸らしたのは唯依が先であった。

 

 

「だ、だが貴様の技量が高いお陰で当初の予定よりも遥かに速くスケジュールが消化されているのは事実だだ。『XFJ計画』は予想以上のペースで極めて順調に進行している。貴様の操縦能力なら自分でも言っている通り、<不知火・弐型>を見事に扱いこなせる日も遠くは無いと私も予想している!」

 

「そ、そりゃどうも…」

 

「………その、だな。きっ、貴様にはこれからも期待しているぞ!」

 

 

それだけ言い放つと唯依は回れ右してそのまま立ち去ってしまう。

 

すぐに背中を向けてしまったので彼女の顔が赤く染まっている事にユウヤが気付く事は無かった。

 

取り残されたのは唯依の背中を呆然と立ち尽くしながら見送るユウヤと何故か腰砕けになってフェンスに縋り付きながら乾いた笑みを浮かべるヴィンセント、そしてヴィンセントほどではないが脱力気味に肩を落とすその他大勢。

 

 

「……何だったんだ一体」

 

「つ、つまり唯依姫もツンデレだったっつー訳ね。なんつー似た者同士……」

 

 

 

 

真実を知らぬは言われた当人ばかりなり。

 

ついでに余談ではあるが、必死になって火照った顔を覚まそうと何度も顔を洗う唯依の姿が格納庫のトイレで目撃されたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<同時刻:ユーコン基地南西の演習区域>

 

 

 

司令部や居住区など人が集まるユーコン基地中心部より南西方向に位置する演習区域は、他の演習区域と比べ張りぼてのダミービルの数が格段に少ないがそれには理由があった。

 

中心部より最も離れた位置に存在し、近くには宇宙往還機用の打ち上げ施設しか見当たらない南西の演習区域はその見晴らしがよく広大な地形を生かした実弾射撃用の演習場として利用されているからである。

 

そのような場所で動く人型のシルエットが2つ。漆黒の戦術機と白と灰色のモノトーンカラーの戦術機。パイロットは黒い機体がゼロス、モノトーンの機体がユーノ。

 

機体のコードネームは黒のゼロス機が<レイヴン>、モノトーンのユーノ機が<リンクス>と呼ばれている。基本的な機体構造はほぼ同一であり武装のコンセプト―近接戦向きか火力重視―とカラーリングのみが両者の違いである、まったく新しい次世代の戦術機だ。

 

2機の足元には大型トレーラーが数台停車しており、そこから約1km離れた別の地点にはストライカー装甲車をベースとした在米国連軍向けの指揮戦闘車両が停まっていた。足元のトレーラーの荷台に乗っているのは、各部が厳重に荷台に固定された突撃砲らしき新兵器が数丁。

 

今回この演習場に訪れたのは新兵器のテストを行う為であった。

 

 

「こちらアウトロー0、これより実射試験を開始するぞ」

 

『こちらアウトロー2。こっちもいつでも始めて構わないよ。こちらからのデータはちゃんと受信できてるかな?』

 

『アウトロー0(ゼロス)、2(ユーノ)。こちらCP、感度良好。そちらからのデータも仔細滞りなく受け取っていますよ。遠慮なく始めちゃって下さい』

 

「OK、手始めは基本モデルから撃ってみるか」

 

 

ゼロスが機体を操作して遠隔操作で荷台のロックを解除、突撃砲の1つを装備して構えた。

 

具体的に表現してみるならば、まず全長は日本の戦術機部隊が使用している87式支援突撃砲と同程度。戦術機の手の部分が入るグリップ部分から後ろが87式よりも短く、その分グリップ部分より先、特に砲身が長く太くなっている。砲身自体の直径は突撃砲の物より一回り以上太くなっていながら口径はより小型だ。

 

正確に言うとこの新兵器の口径は20mmと装甲車の機関砲並に小さいのだが――――

 

 

「それじゃあ試射を開始するぞ。3…2…1……」

 

 

火薬式の銃砲とは別種の連続した砲声、吐き出された超高速の砲弾が辺り一帯の空気を切り裂いた。砲口から飛び出した際の初速が高過ぎる余り大気の壁との摩擦熱によって曳光弾のような光の尾すら引きながら標的に吸い込まれていく。

 

今回標的としたのは幾重にも重ねた増加装甲や引退・解体された装甲連絡艇など。大気圏突入にも耐えられる強度を誇る耐熱パネルもそのまま外されぬまま持ってきた為、その強度は下手な追加装甲よりも頑丈だし、分厚く重ねられた追加装甲の方も120mm砲のAPFSDS弾(装弾筒付翼安定徹甲弾)すらも弾き返せるほどの強度に昇華している。

 

にもかかわらず、それらの標的は一瞬で穴開きチーズと大差無くなった。

 

着弾部周辺は酷く抉れ何十個ものトンネルが僅か20mmの砲弾によって拵えられていた。

 

 

「…やっぱ99型みたく跡形も無く、って訳にはいかないわな」

 

『当たり前ですよ。向こう(99型電磁投射砲)は120mm、こっちは20mmなんですからこれだけの威力が出せれば十分ですよ』

 

 

……日本帝国では未だ試作の域を脱せていないが、99型電磁投射砲と呼ばれる戦術機用のレールガンが存在している。

 

今ゼロスが試射した新兵器もまたレールガンの一種であった。だが99型が戦術機を超えんばかりの全長と120mmという戦車砲クラスの口径、専用の給弾用バックコンテナを含め機動力が制限されてしまうほどの重量を持ち合わせているのに比べ、このリベリオンが設計したレールガンはあらゆる意味でダウンサイジング化された代物であった。

 

動力源はレールガン本体のストック部分に内蔵されているパラジウムを動力源としたアークリアクター。これは<レイヴン><リンクス>にも大型版が搭載されており、アークリアクターから供給される膨大なエネルギーは燃料電池と推進剤の存在すら不要にする位だ。<レイヴン>と<リンクス>の跳躍ユニットはアークリアクターからのエネルギーを推進力に変換する形式となっている。

 

20mmという小口径であっても砲弾の威力は弾体重量×初速で決定されるという点からローレンツ力の働きで火薬方式よりも遥かに高速で射出する分威力は補えるし、砲身そのものにも頑丈で加熱しにくい新素材が用いられているのに加え、口径が小さいので相対的に砲身そのものの厚みが増した結果砲身の耐久性も向上した。

 

流石に99型の様な突撃級の軍勢を一斉射で消滅させれるような出鱈目な威力は獲得できなかったが、最前列の突撃級の甲殻を真正面から貫通出来るだけの威力はあるのでこの時点で従来の突撃砲とは比べ物にならない。99型の現時点での問題である耐久性・耐熱性もリベリオン謹製のレールガンは解決済みだ。

 

冷却材タンクは通常の突撃銃(アサルトライフル)の様にグリップ前方に装着されている。サイズは米軍の突撃砲(AMWS-21)のマガジンの半分。

 

弾薬用マガジンはこちらは87式突撃砲の物とよく似た細長い長方形型をしており、本体上部から銃身と水平に装填する。装弾数は3000発と増量(僅かながらマガジンの厚みが増し炸薬が必要無い分マガジン内のスペースが余分に取れる為)しているので長期戦という観点においても従来より有利だ。

 

またサイズも従来の突撃砲と比べればまだ大型ではあるが99型やMk-57中隊支援砲、長刀ほどではないのでBETAのど真ん中に突っ込んでもまだ振り回すのに支障はない。

 

そもそもゼロスやユーノの希望を受け『突撃砲と同様に近距離戦でも振り回せるレールガン』をコンセプトにリベリオンが開発した存在……いわゆる電磁突撃砲(アサルトレールガン)なのだから当然だ。

 

これならば例えハイヴに突入しても重さとサイズが仇になって身動きが取れずに喰われる、という事態も防げるだろう。もっとも威力が高いので、乱戦時は貫通した流れ弾による誤射に注意しなければなるまい。

 

 

「とはいえ普通の突撃砲よりも反動が強いから動き回りながら撃つ分にゃ注意が必要だろうな。特に空中じゃ油断すると反動でバランス崩しかねねぇ」

 

『とりあえずは1マガジン分丸々一気に撃ってみてください。計算上は全く問題ないと分かってはいますが、実際に長時間の射撃でレールガン本体と機体双方にどれだけの負荷がかかるのかデータを取っておく必要がありますので』

 

「おkおk」

 

 

言われた通り1マガジン分きっちり撃ち尽くした頃には標的群の原形は残っておらず、指揮戦闘車両の車内では機体から送られてきたデータが電磁突撃砲に全く問題が生じていない結果を示している事に対しリベリオンが満足げに笑みを浮かべた。

 

 

『次は僕の番だよ』

 

 

次はユーノが試射を行う番だ。彼の機体が装備した武器は一見たった今ゼロスが実射を行った電磁突撃砲に似ているものの、砲身と口径は一層大きさを増している上砲身を覆うバレルジャケットより更に伸びる砲身の長さが電磁突撃砲よりも延長されているので全長はこちらの方が長い。

 

 

『それじゃあ撃つね』

 

 

電磁突撃砲のそれよりも更に強烈な衝撃波が周囲を叩き、地面から巻き上がった砂がユーノ機を包んだ。ゼロスがフルオートで連射したのに対しこちらは1発ごとのセミオート射撃だった。

 

ゼロスが穴だらけにしたのと全く同じタイプの標的に大穴が生じた。容易くメートル単位の厚みを持つ標的の向こう側から飛び出した砲弾は更に飛翔を続け、たまたま直線状に在ったダミービルを半壊させてようやく止まる。

 

 

『やはり80mmともなると突撃級を纏めて射抜くにも十分な威力が出ますね』

 

『だね。だけど連射速度を遅く設定しているから流石に単独で軍団規模のBETAをまとめて一掃、っていうのは無理だろうけど』

 

「そりゃその銃もコンセプトが違うんだから当たり前だろ。向こうは120mmだぞ120mm、それを突撃砲並みの連射速度でばら撒くんだぜ?」

 

『99型はいわば重機関銃みたいなものですよ。こちらは精々突撃銃や狙撃銃程度ではありますが完成度には自信がありますよ?』

 

「大体99型の場合、『扱いが面倒な重機関銃を歩兵1人で何から何まで運用させて尚且つ敵陣の真っ只中を走り回らせる』ような運用法が取られちまってるからな。あれだけの威力とサイズならハイヴ攻略よかむしろ防衛戦とかで使った方が役立つだろ常識的に考えて」

 

『皆が皆ゼロスみたいに柔軟な思考の持ち主って訳じゃないさ。そもそもハイヴの攻略法自体『向かってくるBETAを皆殺しにしながら進むもの』って考えが一般的だったみたいだからね』

 

 

雑談を交わしながらユーノも1マガジン分の試射を終えた。新しいマガジンを装填するが、装填されている弾種は最初とは別物だ。

 

 

『次は弾種を散弾に切り替えて撃ってみるよ』

 

『では3時方向へ1000m移動し次の試射に移って下さい』

 

 

ゼロス機を伴い指示された地点に移動。並んでいたのはゼロスが撃ったような増加装甲や連絡装甲艇を用いた大型の標的ではなく、密集した戦車級や小型種を想定し直径数m程度の小型標的が何十体と狭い間隔で設置されていた。

 

ドバドバドバッ!!とこれまた壮絶ながら比較的低い連射速度で特量的な砲声が轟く。1個1個が親指大の散弾が光の尾を伴って一斉にばら撒かれる様子はまるで流星群もかくやの美しさすら感じさせる光景であったが結果は非常に凄まじく、標的の大部分が根元からごっそり粉砕されていた。

 

弾種を切り替える事で一粒(スラッグ)弾による中~遠距離間の狙撃から散弾による中~近距離での掃討戦まで即座に対応できるこの砲は多目的電磁砲(マルチレールガン)とゼロス達は呼んでいる。

 

 

『うん、悪くない。相変わらず良い出来だよ』

 

『お褒め頂き光栄です』

 

 

 

 

 

 

 

 

通信越しに笑みが交差し、試射はまだまだ続く。

 

 

 

 

 

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