アカメが斬る! 夜と正義と二重スパイ   作:斗穹 佳泉

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お久しぶり、です。
SAOの方が私の中で盛り上がってしまい、中々こちらが書けずじまいでしたが、なんとか書き終わりました。

かなり短いですが、これで少し物語が進みました。

これからも読んで頂けるとありがたいですっ!

それではっ、どうぞ


第四話 第一号は、彼

シウノは、仲むつまじいカップル(マインとタツミ)と別れ、集合地点でイエヤスとサヨを待っていた。

 

これと言った情報は特になかった。

民からすれば、ナイトレイドは救世主だからだ。

帝国(大臣)の圧政が民たちを苦しめ、貧しい生活を強いていることに、私もなにも思わないわけじゃない。

 

だけど、私は帝国軍人。

ここまで私を育ててくれた恩が、いまの帝国にはある。

 

 

「あ、いたいた。イエヤス、サヨ」

「なぁシウノ、これむちゃくちゃ大変じゃん」

「簡単にはいかないと思っていたけれど、ここまでなにもないとね」

「あはは、まぁそうだね」

 

 

イエヤスとサヨも、なにも収穫がなかったようだった。

 

場所を私たちの部屋に変え、話の続きをした。

次は誰が狙われるか、という話になった時、3人は口をそろえてこういった。

 

 

「「「オーガ隊長」」」

 

 

彼は帝国軍隊に勤める軍人であり、部下への思いやりが強く、敵へはとても冷たいことで、兵士たちの間で好感を持たれている。

 

そんな彼の嫌な噂が、民衆の間で広がっていた。

 

 

無実の民を罪人に仕立て上げ、死刑にして楽しんでいる、という噂だ。

 

ついこの間も、路地裏で若い男が殺されているのが発見されたらしい。

 

 

シウノは医術師であり、《人の命》ということに関しては、ただ助けることだけを考え、行動に移す。

 

しかし、エスデスと共にいくつもの戦場を経験し、人が死ぬところを多く見すぎてしまったせいで、彼女の心は壊れそうになった。

 

そこで彼女が自らに、無意識に暗示をかけ、その信念の下、今は治療している。

 

 

『自分の手の届く範囲なら、助ける』

 

 

一見普通のことで、良いことだと思うかもしれないが、それは少し違った。

 

 

それは、"手が届かないなら、助けない。助ける前から諦める"ということ。

 

 

だからシウノは、オーガ隊長の噂を聞いても、顔色一つ変えなかった。

 

 

 

 

その日の夜。

シウノは、いつもこの時間に自主訓練をしている友達の所へと向かった。

 

 

「やっほー、セリュウ。今日も頑張ってるね」

 

水筒を投げながら言うと、危なげなくセリュウがキャッチする。

 

「ありがと、シウノ。そうだ、組み手やる? やるよね?」

 

 

目をキラキラさせて必要以上に組み手を要求してくるのは、私がエスデス将軍の弟子みたいな位置にいるからだ。

 

初めて組み手をやった際、うっかり口を滑らせてしまい、それから毎回組み手を迫られるようになっている。

 

もちろん、普通に遊んだり、買い物とかもよく行ってるよ。

 

 

「えぇ~、もうしょうがないなぁ」

 

 

 

 

数分後。

 

 

立っていたのはシウノだった。

 

シウノの取った戦法は、カウンター。

ひたすらカウンターだった。

 

 

医術師であるシウノにとって、どこを攻撃すれば、弱い力でも倒せるかというのは、頭の中の標本を見れば、すぐわかる。

 

帝都最高の医術師とは、その速度ではなく、知識故にそう呼ばれているのだ。

 

 

「怪我、したとこない? 一応怪我させないようにはしてたんだけど」

「うん、大丈夫。それにしても、シウノやっぱり強すぎだよ。エスデス将軍に教わる前、普通の女の子だったんでしょ? よく耐えたね」

「今は普通じゃないみたいな言い方やめてよ~。今でも普通の女の子だよっ! あの頃は、毎日この子を使ってたよ……」

 

腰につけている『メディ』をなでながら、苦笑した。

 

私だって毒をもられれば死ぬし、刃で切られ、意識を失えばしんでしまう。

技術はあるが、体格や丈夫さは、並みの兵士にも劣る。

 

それはさておき、とシウノはここに来た理由をセリュウに告げた。

 

 

「セリュウ、オーガ隊長の周り、気をつけておいた方がいいかもしれない」

「隊長の周り? どうして?」

「あまり大きい声じゃ言えないんだけど、たぶん、ナイトレイドの標的になる。いくらオーガ隊長でも、不意打ちを受ければ万が一が有り得るからね」

「ナイトレイド……帝国に蔓延る悪だね。わかった。私から伝えておくよ。ありがとね、シウノ」

 

 

セリュウはすぐにオーガ隊長のところへと走っていく。

その、師を思う姿を見て、シウノは思う。

 

 

 

 

はやく、配備を進めなきゃ。

 

 

 

 

 

次に足を運んだのは、Dr.スタイリッシュの研究所だ。

彼の持つ帝具、『神の御手パーフェクター』は、彼の頭脳と非常に相性が良くて、それを見込んでシウノは、ある依頼をしていた。

 

 

 

「Dr.スタイリッシュさん、こんばんわ。例のやつできてますか?」

「あらシウノちゃん。私にかかればこんなものあっという間よ? でも、少し量産に時間かかっちゃうけど。それにしてもシウノちゃん、冷凍カプセルなんて何に使うのかしら?」

「それはお楽しみです」

 

 

にこっと微笑むシウノ。

 

あぁ~ん、この娘可愛いわ! 娘にしたいちゃいくらい!

という中年男性の心の底からの叫びは、シウノは聞かなかったことにした。

 

 

彼女がスタイリッシュに頼んだのは、人を冷凍睡眠させることのできる装置の開発だ。

 

 

大臣にお願いして作ってもらった私の医術研究所の地下に、設置する予定のもの。

 

ナイトレイドに対抗する部隊を作れと命令を受けたその日の夜。

 

私はスタイリッシュさんの所へ向かい、開発をお願いした。

 

 

 

 

 

それは、"死んだと思われた人"を眠らせておくための装置。

 

 

 

 

 

これからのナイトレイドとの戦闘で、必ず死者がでるということを予想し、開発をお願いした。

 

 

 

じゃあまた来ますね、と挨拶をして、スタイリッシュの研究所を出た。

 

 

 

その数日後の夜。

 

オーガ隊長は、街に出たまま帰ってこなかった。

 

死体はなく、彼の物と思われる血塗れの鎧と剣だけが、その場にあったという。

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、オーガ隊長だったな」

「ごめんなさい。私が見失わなければ……」

 

 

イエヤスの呟きに、サヨは視線を落とす。

しかし、それは仕方のないことだった。

 

 

月明かりすらない夜中、遠距離から路地裏を歩く人を"視認"する事ほど、難しいことはない。

 

 

あの日は、サヨがオーガ隊長の行動を監視する番だった。

 

サヨの持つ帝具『一矢必中 アルテミシア』は、"敵を視認できなければ弦を引くことができない"という謎の作りになっており、夜目が効くサヨとかなり相性がよかった。

 

だが、運が悪かった。

 

ナイトレイドであると思われる刺客がオーガ隊長を襲った路地裏は、丁度サヨから見えない位置で、次のポイントまでサヨが移動している間に、全て終わってしまったのだ。

 

 

「今悔やむのは、だめ。後で悔やむだけ悔やもう。それより、東の方で中級危険種の数が増えてきて、私たちに駆除が命じられたの。ナイトレイドも平行して調査するけど、危険種優先ね」

「おう、了解だぜ」

「……ええ、わかったわ」

 

 

全員の支度が終わり、外にでて用意された馬に乗る。

 

帝具を手にしてから初めての中級危険種戦に、イエヤスとサヨはドキドキを隠せないようだった。

 

他愛もない会話をしながら、徐々に馬の走る速度を上げていく。

 

 

 

少しずつ離れていく帝都を振り返り、シウノはぽつりと呟く。

 

 

 

 

 

「……ごめんね、セリュウ。ちゃんと後で話すから」

 

 

 

 

親友に向けたその声は、馬が地を駆ける音でサヨとイエヤスには届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、シウノが持つ医術研究所の地下では、たくさんあるカプセルの内、一つだけが、稼働していた。

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