マギ -もし練紅炎に妻子があったら-   作:7seven

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タイトルこそ「紅炎に妻子があったら」だけど、よく考えたら子の名前考えてなかったよ……。一番大事なところなのに……。何かいい案ないですか。

さて、もう1話だけプロローグが続きます。


プロローグ2

あれよあれよという間に婚儀の手筈は整った。

皇帝に女を娶ると告げた時、皇帝は苦虫を噛み潰したような顔をしたが、共に玉座に座る皇太后であり皇后である魔女は名案だと言った。

 

 

「兄王様、その女とは一体何者で?」

 

父母を同じくする唯一の皇子である、弟の紅明は軍議を終えたあとに尋ねてきた。

その女、とは俺の妻となる女のことだろう。

突然の婚儀で、相手の名も明かされぬでは訝しむのも当然といえば当然だ。

 

「フッ、顔を見ればすぐにでもわかるだろう。何せ、よく似ているからな」

 

面白がって名を明かしていないのだと暗に告げると、紅明は溜息を吐いた。

 

「……私の知る者の親族、と?」

「一応そうなる」

 

あの時、女がずっと顔を伏せていたのは、単に女中だからというだけではない。

理由が他に1つ、いや2つはあるだろう。もしかするとそれ以上かもしれないが、そこは俺の知るところではない。

 

しかし1つは間違いなく、あの髪飾りだろう。

俺はファッションには明るくないが、しかしあの髪飾りが年頃の娘のするものではないことぐらいわかる。

なぜならあの紋様は……。

 

俺を試そうなどとする女がまだいたと思えば、物珍しくて欲しくなってしまうだろう。

俺が少しばかり笑うと、弟は意外なものを見たとばかりに目を丸くした。

 

 

***

 

 

婚儀の顔合わせで、女-黒蝶は、非常に教養溢れる挨拶を義弟義妹となる俺の弟妹に対して行い、朗らかな笑顔もありそれなりには受け入れられたように見えた。

いっそ俺の妹たちよりも教養があるのは、少しばかりは致し方ない面もあったのかもしれないが。

何せ俺や妹たちが皇子や皇女になってから、せいぜい一年なのだ。家系図的なことを説明すると面倒だから省くが、黒蝶は一年前まで、皇位継承権の話を除けば俺達より身分が高かった。

 

最後、挨拶に向かった先は、父の温情で皇子・皇女の地位を持つ、先帝の幼い子息である白龍と白瑛の下だ。幼く、後ろ盾も多くなく、不安げな表情で隅に佇むふたりに、慈愛に満ちた微笑みで話しかける黒蝶は、2人と同じ髪色をしていた。

俺の赤毛は祖母からのものだが、異なる祖母を持つ先帝白徳の血筋の者や黒蝶は、祖父の黒髪を今も受け継いでいる。

 

「白瑛様、白龍様、元気にしておいででしたか?」

「黒蝶おねえさま……」

 

この場にいる先帝の血筋の者は2人しかおらず、下手なことを言えないと白瑛はわかっているんだろう。白龍も晴れ姿の黒蝶の裾に縋り付いて離れない。

 

「はっ白龍、お姉さまから離れなさい!」

「やだ! お姉さまは僕と結婚するんだ!!」

 

幼子の駄々とはいえ、もう黒蝶は人妻なんだが。

 

「黒蝶は俺のものだ。誰にもやらん」

「も、申し訳ありません紅炎殿、黒蝶お姉さま……」

 

白龍が本気で泣き出してしまい、晴れ着でそれを拭うものだから、晴れ着は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている。

 

「白龍様、ご安心くださいませ。私は、あなた様が望む限り、ずっとあなた様の『お姉さま』でいましょう。しかし、姉と弟は結婚できないのです。わかってもらえますね?」

 

懐紙を取り出して涙と鼻水を拭き取ると、5歳の子供にもわかるように言い聞かせた。

俺の思っていたよりも、白徳帝の子息と黒蝶との関係は深そうだ。

黙って見守っていた俺のほうを申し訳なさげな顔で振り返ると、黒蝶は謝った。

 

「なぜ謝る?」

「折角紅炎様にお選びいただいた晴れ着でしたのに……」

 

得意ではないからと一度は断ったが、婚儀なのだからと俺の好みで晴れ着を選んでほしいと言われて、悩みに悩んで選んだ晴れ着だった。

主張しすぎないが整っている顔の黒蝶だから何を着てもそれなりには見えたんだろう。

 

「構わん」

「……はい」

 

謝罪でこうべを垂れていた黒蝶の髪を束ねる髪飾りが、目に入る。

竜胆の花を模してこそいるが金属製で無骨な髪飾り。

竜胆は、白徳帝が好んだとされる花だ。花に意味を持たせるという文化がレームを中心にあるらしく、そこでは竜胆には勝利の意味がある。

実に侵略大国の皇帝らしい理由だと思った。

 

「頭をあげろ。……俺は気にしていない」

「……はい、紅炎様」

 

素直に顔をあげた黒蝶を見て、皇帝は高らかに宣言した。

 

「練紅徳の名において、我が子紅炎と、白徳が姪黒蝶の婚儀を結ぶ!」

 

従者たちや弟妹たちからの拍手。

その音に包まれて、黒蝶は微笑んだ。

 

「これから、よろしくお願いします、紅炎様」

「ああ。……黒蝶」




練家家系図

母========父========母
     |       |
玉艶=白徳ー黒蝶の母   紅徳
  |    |     |
 白雄ら  黒蝶     紅炎ら

ズレたらすみません。大体こんな感じと受け取っていただければ。
煌帝国は元は平原のいくつかの小国が統合された感じで形成された国だったはずなので、練家はその小国でも権力を持っていたと思います。よって白徳・紅徳の母が違ってもおかしくないかと。
(本音:だって紅徳の子がみんな赤毛なのに白徳の子がみんな黒髪なの、同じ親から生まれたにしてはおかしいじゃん……)
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