マギ -もし練紅炎に妻子があったら-   作:7seven

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大変なことに気付きました。黒炎の年齢計算間違えてました。
紅炎が19の時生まれた子供という計算なので、シンドリア留学時8歳のはず。
……10歳というのも説得力()でしたが、8歳とか大概ですね。
紅炎が17の時生まれた子供ということに変更しました。


なお今回は第三者の視点です。
神……じゃなくてソロモンの視点でしょうか(すっとぼけ)
話の転換点と化す第6話をどうぞ。


第6夜 新皇帝

煌帝国第二代皇帝崩御の知らせは、煌帝国だけではなく、遠く遠く、マグノシュタット、レーム、シンドリアと各国に届いた。

 

 

バルバッドで征西軍を率いていた練紅炎も、一番の部下にバルバッドを託し、共にバルバッドにいた妻子を連れて帰国していた。

 

絨毯で空路を帰ってきたため少しばかり髪が乱れてはいるが、通常通り陸路、あるいは海路を取るよりも数段早く帰国することが叶った。それもこれも、彼女の妻であり、煌帝国で最も魔力があると噂される練黒蝶のおかげである。

バルバッドと煌を直線距離で結んだとしても、休憩をはさまずに飛び続けるのであれば魔導師複数人分の魔力が必要となる。それを一人で賄い、特に苦とした様子もないのだからまさに常識外れの魔力量の持ち主である。

 

 

練紅炎、黒炎、黒蝶が帰城できたのは、同じく通常の陸路を使わず戻ってきた北方兵団とほぼ同時であった。

主に紅炎がバルバッドを空けるための仕事がどうしても半月かかってしまったため、たとえ同時に遠隔透視魔法により伝令が伝わっていて帰る速さが違っても、帰城は同時になってしまったのだろう。

 

そしてその日の夜に第三皇子の練紅覇も帰国し、翌日、陛下に謁見することとなった。

 

 

第一皇子であり皇位継承順の第一位に座る紅炎を先頭に、皇族たちは陛下の眠る部屋へと向かう。

第二皇子紅明と第三皇子紅覇が続き、更にその後ろには第二皇女から第七皇女までが続き、市井の生まれである第八皇女紅玉、紅炎の一人息子である黒炎、先帝の子女である第四皇子白龍と第一皇女白瑛、紅炎の妻であり血のつながりは薄いとはいえ姪である黒蝶と、14人の子たちが部屋の扉をくぐった。

 

「おかえりなさい、愛する息子たちよ」

 

陛下の元に付いていたのは、現皇后である練玉艶である。

何も知らない者が実年齢を聞けば必ず耳を疑うほどには、年齢にそぐわぬ美しさを保っている。

 

そして、玉艶の腰掛ける寝台の上には、醜い姿と成り果てた皇帝と思わしき遺体があった。

かなり深くまで医学を学んだ黒炎は、このおびただしいほどの水疱が、病とはいえ1年でできあがる数ではないとすぐに察することができた。

そもそも、ここまでの水疱ができる前にはとうに死ぬ、それが人間の体というもの。魔導師による治療の後なのか体の至る所に張り付けられた呪符が、黒炎にとってはどうしても、魔法による毒殺にしか見えない。顔を歪めたが、皇帝陛下の見るも無残な姿に恐れおののく皇女たちに紛れて、誰にも怪しまれることはなかった。

 

死臭を隠すための強い香と、皇帝陛下を弔うための火の香りの充満する部屋で陛下との別れを済ませたのち、陛下は手厚く葬られた。死因を追及されることがないよう、徹底的に葬ることだろうと黒炎は思う。

 

昔から、黒炎は玉艶が嫌いであった。

父方の祖父の後妻であり、元は初代皇帝の正妻。

その尻の軽さが人間として好きではなかったが、それ以上に、たまに見せる化け物のような笑顔が、どうしても嫌いだった。

恐ろしかったとも言えた。

 

実際に、玉艶と戦ったところで黒炎の勝るものなど何一つないのだから、恐れることはあながち間違ってはいないが。

 

 

葬儀が終わり、皇帝崩御に即して残された遺言が神官によって読み上げられた。

「練玉艶を第三代皇帝とする」という旨の遺言状であった。

 

 

当然、宮中は割れた。

皇位継承第一位である練紅炎を支えてきた家臣や武官、そして弟妹たち。

玉艶と、玉艶との繋がり深い神官一同。

そして-練白龍。

 

3陣営が割れ、しかも国の頭たる皇帝の派閥が変わってしまうのだ。

12年前の大火によって皇帝が変わった時よりも大きな変化を生むであろうことは用意に想像できたし、それを想像した黒蝶は頭を抱えて溜息を吐いた。

 

己は、三代皇帝とは血の繋がりはまったくない。

だから、嫁に行った紅炎の立場か、あるいは従弟である白龍の勢力に加わるのが筋である。

 

ただ、どの道を選んでも、間違いなくその先は茨の道であることはわかっていた。

愛する息子のため、どの道を選ぶのが正しいのか。

そして、愛する息子は大人しく紅炎陣営に付くのか。

 

「……来たるべき時に備えて、必要な備えをするしかないのでしょうね」

 

悩んでいても仕方がないとばかりに、黒蝶は何かの金属を取り出した。




16/11/28 一部訂正
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