「あ?誰だこいつ?」
「ダンテ・・・クラス一緒なんだから名前くらい覚えとけよ。ていうかお前と一緒に転校してきたんだからわかるはずだろ。」
「何ごちゃごちゃ言ってるの?はやく部屋に入れてなさいよ!」
神崎・H・アリアが訪問してきた。ここが男子寮だというにもかかわらず。なぜここに来たんだ?等当たり前の疑問を抱く間もなく、神崎は部屋の中へ入っていった。」
「っ!・・・おい神崎!勝手に部屋に入るな!」
「アリアでいいわよ。そんなことより・・・」
次に出てきた言葉は、キンジ達を驚愕させるものだった、
「アンタたち、私のドレイになりなさい!!」
・・・・・
・・・
・
「飲み物用意しなさい!エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ。砂糖はカンナ!一分以内!」
「・・・なぁ、なんだこの呪文のような名前のコーヒーは?」
「俺コーヒー飲まねぇから知らねぇや。」
あれから小一時間ほどドレイ云々の言い争い(ドレイになれの一点張り)が繰り広げられ、疲れた様子のアリアは飲み物を要求してきた。
これ以上暴れられては仕方ないので、とりあえずインスタントコーヒーをつくって差し出すことにした。
「?」
どうやらインスタントコーヒーを知らないようだ。首を傾げてる。
「ほんとにこれコーヒー?」
「それしかないんだ、我慢しろ。」
「・・・やっぱりそんなにうまくないな。」
ダンテは普段飲まないコーヒーを飲んで苦かったのか、顔をしかめてる。アリアも飲んでみることにした。
「・・・変な味。でもギリシャコーヒーに似てる?・・やっぱり違う?」
「味はどうでもいい。それよりもう一回聞くぞ。」
キンジは話を再開させた。
「なんで俺の部屋に押しかけてきた?・・そりゃお前を怒らせるような発言もしたし、それは謝る。あの場で助けてくれたことにも感謝している。けど押しかける理由はもうそれ以外何もないだろ。」
「そーそー。キンジはともかくなんで俺にまでそんな要求してくるんだよ。」
「・・・・わからないの?ほんとうに・・。」
そんなんでわかるわけがないと二人の心の内は見事にシンクロしていた。
「まあいいわ。いずれわかるでしょ。」
「「わかるかよ。」」
「なっ何よふたりして。・・それよりおなかすいた。」
また話題が変わってしまった。
「何か食べ物ないの?」
「ねえよ。」
「大問題だな。」
おいダンテ察しろ。とはキンジの心の内である。
「無いわけないでしょ。普段何食べてるの?」
「普段は外で何か買ってるんだよ。・・・しょうがない、この時間だしそろそろコンビニで何か買ってくか。」
「こんびに?・・ああ、あの小さいスーパーのことね。じゃあ行きましょ。」
「じゃあってなんだじゃあって。」
「ばかね。夕飯を買いに行くんじゃない。」
「噛み合ってねえな。」
晩飯もここで食べていくらしいアリアは続けてこんなことを言ってきた。
「ねえ。松本家の桃まんって知ってる?あれあれ買ってくれないかしら。」
・・・・・
・・・
・
闇、毒、女、この3つは武偵が常に気をつけなければならないものである。
その三つ目に当てはまるアリアはコンビニで桃まんを大量に買った。それも7つだ。桃まんとはその名のとおり、桃の形をしたあんまんである。どうみてもそんな大食いには見えないが、部屋に帰ってからすぐに食べ始めて、あっという間に残り2個である。あの小さな体にどうやって大量の桃まんが入っているのだろうか。ギャル曽根並の不思議である。
・・・とそんなことはどうでもよく、桃まんを食べ終えて、早く帰って欲しいものだ。
キンジはそう願っていた。が・・・
「で、奴隷ってどう言う意味?そこんとこ詳しく教えて欲しいんだけど。」
(ダンテ!?お前また余計なことを!!)
すぐには無理のようだ。
「
それを聞いたキンジは、食べることも忘れ大声で荒げた。
「何言ってんだ!俺は強襲科がイヤで武偵高で唯一マトモな探偵科に転科したんだぞ!第一、俺の今のランクはEだ。お前が考えているような実力は俺にはない。」
「学期末試験をボイコットしたせいで降格されたってことは調べがついてるわ。」
「・・なんでそんなことしたんだ。聞く限りお前、相当の実力者じゃねえか。」
この件についてはダンテも同意見だった。今朝の出来事を端的に見ていたダンテでさえもその実力ははっきりわかるほどであったから。
「・・・俺は武偵を辞めるつもりなんだよ。探偵科に転科したのもそのためだ。」
キンジは今年度いっぱいで武偵を辞めるつもりだ。あの事件があってキンジは絶望した。兄は犠牲になりかわりに残ったのは残酷な世論のみだった。それは武偵を否定するかのような全く立場を知らない人間の喚き声だった。あんなことはもうあって欲しくない。だから彼は・・逃げることにした。
「とにかく、俺は来年から一般の高校へ通うことになる。武偵なんかもう二度としない。しかも・・・よりによってまたあの場所に、・・・あんなトチ狂った場所に戻るとか・・・・無理だ。」
「あたしには嫌いな言葉が3つあるわ。『無理』、『疲れた』、『面倒くさい』。この3つは人間の可能性を押し止める良くない言葉。あたしの前では二度と言わない事、いいわね?」
「おっ意外とまともなこと言うなあ。」
「人の話を聞けっ!!」
「ポジションは・・・そうねえ、あたしと一緒にフロントがいいわね。」
もはや聞く耳持たず。帰ってくれるかどうかも疑わしくなってきた。
「とにかくだ。早く帰ってくれお願いだから!」
「俺も人を奴隷扱いするような奴と組みたくはねぇな。」
キンジもダンテもようやく意気投合してきた。・・少し前から片鱗は見せていたが。
「アンタたちがうんと言うまで帰らない。あたしには時間がないの!それでも首を縦にふらないなら・・・ここに泊まってく覚悟もできてるわ。長期戦も覚悟してるわよ!」
「何言ってんだ。ここは男子寮だぞ。絶対ダメだ帰れ!今すぐに・・・・」
「出てけ!」
今言ったのもう一人の部屋の住民ダンテではない。訪問者であるはずのアリアだった。
「はぁ!?」
「わからず屋にはお仕置きよ!しばらく外で頭冷やしてきなさい!しばらく戻ってくるな!」
アリアはなんのためらいもなく発砲。キンジは実質的な家主にもかかわらず、部屋を追い出される羽目になった。
「・・・・・・で、あんたははいってくれるわよねえダンテ?」
「・・・頭冷やしてくるわ。」
「チョッ、まっ、」
それでもダンテは嫌なのか、さっさと部屋を出て行ってしまった。
「なんなのよもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
その部屋にはアリアの声だけが虚しく響いていた。
・・・・・
・・・
・
しばらく経って、ダンテとキンジはそれぞれ立ち寄っていた場所から同時刻に帰ってきた。
「・・・なあキンジ。あいつ帰ってるといいなあ。」
「そうなることを祈るぜ。」
そして、部屋の中へはいっていった。
辺りを確認してみる。リビング・・・・なし。寝室・・・・なし。キッチン・・・・なし。
「ようやく帰ったか。よかった、本当に良かった。」
そうやって一時は安堵したキンジだったが・・・
「・・・・いや、そうでもないみたいだぜ。」
ちゃぽん
「こっこの音は・・・まさかあいつ風呂に入ってるのか!人の部屋なのに。」
「あ~もうめんどいな。俺もう寝るわ。」
「おっおいダンテ!」
そう言ってダンテは早々にベッドへと潜り込んだ。
そしてその直後に起きた出来事に気付くこともなく、深い眠りへとついた。
・・・・・
・・・
・
翌朝
「こらあんたたち。早く起きる!」
「いたっ。」
「フゲッ!?」
いきなり腹パンで目覚めさせられた。ちなみに上はダンテ。下はキンジである。
「いきなり何すんだっ!」
「朝ごはん!」
「無い。」
「お腹すくじゃない。」
「空かせ馬鹿!」
「いったわね!キンジの分際で。」
朝から言い争う二人。そこにダンテが、
「うるせぇ。痴話喧嘩ならよそでやれよ。」
「「違うわっ!」」
KY発言をしてなんとかこの場は収まった。
「アリア、部屋を出るタイミングをずらすぞ。お前が先に行け。」
「そんなこと言って逃げる気でしょ!そんな手には乗らないわよ。」
「クラス同じなんだから逃げようがないだろ。いいからさっさと行け。」
「・・・・わかったわ。今回はあんたの言うとおりにしてあげる。でも絶対あきらめないからね!」
そして、アリアが去っていった後、
「なんだ。あのちんちくりんツインテちゃんはこの先もずっと俺たちを狙っていく気か?ストーカーかよ。」
正直はた迷惑だなとダンテは思った。
「・・・ダンテ、話がある。耳を貸してくれないか?」
「?どうした。」
「アリアを撒くための方法を考えた。聞いてくれないか?」
「!それはどんな方法だ!?」
キンジが考えた作戦はこうだ。
このまま二人が一緒にいれば、アリアは間違いなく執拗に追いかけてくるだろう。しかし、それなば二人には一旦分かれてもらえばいいだけのことだ。そこで、二人はそれぞれ別々に探偵科の任務を受ける。
一兎を追うものは二兎を得ず。二人いっぺんに手に入れようとしたアリアは、対象を見失ってしまうという作戦だった。
「それって一時しのぎな上にもし一人だけ追うという選択肢になったらどうするつもりだ?」
「その時はその時だ。うまくやり過ごすしかない。」
やけに無責任である。
「わかった、とりあえずキンジの考えに乗ってみるぜ。」
「頼むぞ。じゃあ俺は先に言ってるからな。」
「ああ。」
キンジもこの部屋をあとにした。
「・・・じゃ、俺も支度して学校行きますか。」
そんなことを言って準備に取り掛かろうとしたその時だった。
priiiiiiiiiiiiiiiii
ダンテの携帯にメールが届いた。
「?なんだあさっぱらから。」
ダンテは携帯を手にとってメールを確認した。
「・・・・・・グッドタイミングだぜ。」
そこにかかれていたのは・・・・・・・