架空世界では俺の青春ラブコメは間違えない?   作:0ひじり0

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なかなか物語が進まない…orz

まあ、ゆっくり頑張って行きます。


Ep.6 Asuna

アスナside

 

あのボス戦からの私は変だ。彼の顔を見るとドキドキして胸が苦しくなる。現実世界の私はイイ子でいるために必死だった。親が敷いたレールを走り、努力をする。怒られた事など無かった。それが私の普通。だから、初めてだったのだ。彼が明確な怒気を含めた中にも優しさを感じとれるあの表情に私は混乱した。

後になって『ああ。この人は私を叱ってくれる。』と理解出来た。この人と居れば私は人形じゃない。本当の私を見せれる。そう思った。

だから、私は今から彼に会うのが不安で嬉しくて緊張していろんな感情が混ざり合う。

でも、時間は有限だ。もう出ないと遅刻してしまう。

私は最後に鏡の前で前髪を整えて部屋を出た。

 

――――――――――

 

ハチマンside

 

待ち合わせの15分前に着き、アスナを待ってると5分位後にアスナが現れた。俺を見つけると小さく手を振り、俺が手を振り返すと小走りでこちらに向かってきた。

 

アスナ「ごめんなさい。待った?」

 

ハチマン「いや、そんなに待ってないぞ。」

 

アスナ「そっか。じゃあ、行こっか?」

 

ハチマン「ん。」

 

挨拶をそこそこに俺とアスナは歩き出す。

 

アスナ「…なんか。今の会話は恋人みたいだね。」

 

ハチマン「ぶっ!!」

 

何を言っちゃってるんですかね。この子は。つか、赤くなって上目遣いで見るんじゃありません。惚れちゃうよ?告白しちゃうよ?フラれるよ?フラれるのかよ…。

 

アスナ「は、ハチマン?」

 

俺が返事をしないから不安になったのかこちらを見つめる目は捨てられた子犬みたいで保護欲が掻き立てる。ヤベェ……「ひゃっ!?」…今すぐ抱き締めたい。

 

アスナ「は…ハチ…マン…?//」

 

抱き締めてしまってた。おかしいな。いつから俺はこんなにも積極的になったんだ?あれだな。お兄ちゃんスキルに磨きがかかってるんだな。間違いない。

 

ハチマン「……わ、悪い。」

 

アスナ「ううん。……その、嬉しいからいいよ?」

 

ハチマン「そ、そうか…///」

 

なんだよ!?嬉しいの?理性吹き飛んで告白しちゃうよ?いいの?

 

ハチマン「…それで…今日はどうするんだ?」

 

俺は必死に本能を押さえ込み、話題を変える。

 

アスナ「あ、うん。今日はレベリングとハチマンが言ってた私の弱点を直す練習をしたいなって思ってる。」

 

顔を赤くしていたアスナだが、真面目な顔で今日のプランを話す。これから敵は強くなるから早めに直すのは正しい。

 

ハチマン「わかった。なら行くぞ。」

 

アスナ「うん♪」

 

――――――――――

 

アスナ「せああっ!!」

 

アスナの鋭い突きにモンスターはポリゴンとなって消滅する。

 

アスナ「どうだった?」

 

ハチマン「だいぶ良くなったな。だけどもう少し駆け引きが上手くなったら更に強くなれるな。イロハが駆け引きが上手いから教えてもらうといいぞ…って、どうした?」

 

なぜか不機嫌なアスナさん。マジでどうして?

 

アスナ「…なんでもない。」

 

ハチマン「はぁ…いったい何なんだよ。」

 

乙女心はわからん。

 

ハチマン「とりあえず、もう少しだけやってから休憩するか。」

 

アスナ「…うん。」

 

ハチマン「こっからは真面目に聞けよ?アスナは人の力量とかを見るのが上手いし、戦いのセンスもかなりいい。隊長とかが向くだろうな。だが、見るのは味方だけじゃなくて敵も見ろ。ただ立ったままじゃなく戦いながらだ。そんで敵のアルゴリズム。つまり、弱点や行動パターンなんかを頭に叩き込め。わかったな?」

 

アスナ「敵を見る…うん。やってみる。」

 

一瞬アスナは赤くなったが直ぐに真面目に俺の言葉を聞き入れる。きっとこいつは強くなって皆を引っ張る存在になるだろう。

 

それからアスナが数対のモンスターを倒したところで休憩にした。

 

――――――――――

 

アスナside

 

薄々わかってたけど、彼は女心をわかっていない。今まで恋をしたことがない私でもそれがわかるのだ。彼と一年間くらいの付き合いの彼女達は呆れているか、諦めているのだろう。けど、それを含めても余りある程彼は魅力的だ。彼自身は腐った目と言っているが私は嫌いじゃない。あの目で見られながら怒られると想像しただけでドキドキするのは内緒(※女性陣は気付いている)にしている。

 

そんな彼は私の休憩中に少し離れた所でレベリングしている。

 

アスナ「本当にハチマン君は速いなぁ。」

 

彼を見てると私はいてもたっても居れず、『俺が戻るまではどこにも行くなよ。』と釘を刺されているが少し位ならいいよね?

 

私はハチマン君に見つからないように少し離れた所に移動する。もちろんハチマン君からは見えない場所でモンスターと戦い始める。それがいけなかった。

モンスターを倒して武器をしまって戻ろうとすると後頭部に衝撃が走る。

 

アスナ「あぐっ。」

 

朦朧とした意識の中で見たのは下劣な笑みを張り付けた数人の男性だった。私は力の限り男どもを睨みながら意識を手放した。

 

ハチマン君……助けて………。

 

――――――――――

 

アスナ「っ!……ぅ…あ…。」

 

後頭部に走る痛みで目が覚める。まだ朦朧とするが痛みを我慢しながら頭を振ると徐々に意識が覚醒する。

 

アスナ「……ここ…は?」

 

男1「お。起きたみたいだぜ。」

 

声がする方に顔を向けると先程の男がニヤニヤと笑いながらこちらに近付く。

 

アスナ「…誰?」

 

私は男を睨み付けながら可能な限り情報を集める。ここは古びた小屋の様な建物の中らしく、私は椅子に座らされ両手と足首を縄で縛られていた。男達は三人で他に仲間は居ないと思われるが、その男達が舐めるように私の体を見ながらニヤニヤと笑い続ける。寒気が走り、弱気になりそうになるが私は必死に相手を睨み付ける。

 

男2「こりゃあ、上玉だな。」

 

男3「だな。やべぇ、勃てきたわ。」

 

男1「気が早ぇよ。バカが。」

 

男一人が膨らんだ股間を見せつける様にしてきて、二人はそれを見て更に笑う。気持ち悪い。吐き気がする。イヤだ。怖いよ。

 

アスナ「………。」

 

男3「なんだ?怖くて声も出ないか?」

 

アスナ「……ぷっ。」

 

私は近付いてきた男の顔に唾を破棄かける。まだ大丈夫。負けない。こんなやつらなんかに。

 

男3「っ!?このアマアァァァ!!!」

 

バシッ!!

 

アスナ「くっ!!」

 

私は頬を叩かれて椅子ごと床に倒れてしまう。痛い。

 

男3「もう、ゆるさねぇ…メチャクチャに犯してやる!!」

 

ビリィィ!!

 

上半身の服を破られて胸が露になるが、私は必死に声をあげずに相手を睨み付け続ける。思い通りになってやるものか。私は絶対に負けない。

 

男2「ちっ。顔はいいがとんだじゃじゃ馬だな。」

 

男1「可愛げがないが、その内素直になるさ。」

 

二人はゲラゲラと笑い。もう一人は私の胸に手を伸ばす。

 

触られるならハチマン君がいいな。汚れちゃったら彼はどんな顔をするかな?怖いな…。

 

バンッ!!!

 

私の体に触れそうになる瞬間大きな音をたてて扉が開かれる。勢い余って壊れた扉は私に覆い被さる男に当たり吹き飛んだ。

 

ハチマン「………。」

 

アスナ「は、ハチマン…君。」

 

彼は私を横目で見ると一瞬安堵の表情を浮かべるが直ぐに怒気を孕んだ目を私に向ける。

 

ハチマン「アスナ。無事だな?」

 

アスナ「う、うん。」

 

ハチマン「なら、いい。」

 

短く受け答えをすると彼は更に怒りを露にした目で男達を睨む。

 

ハチマン「おい。お前ら。」

 

男1「な、なんだ「死ぬか?」なっ!?」

 

いつの間にか彼は男の背後に回り刀を首に当てていた。私にも全く見えなかった。多分隠蔽スキルも使ったのだろう。

 

男1「ひっぃ!た、助け…。」

 

ハチマン「黙れ。」

 

ゴッ。ガスッ。ドカッ。

 

彼は先程と同じ様に移動し、男達に峰打ちを打ち込み気絶させていく。

 

ハチマン「………。」

 

男達を気絶させた彼は私に上着を掛けてから縄を切り私の拘束を解き、次に男達を縄で縛っていく。

 

アスナ「あ、ありがとう。」

 

ハチマン「………。」

 

お礼を言うが返事をしてくれない。

男達を縛り終えた彼が床に座る私の前にしゃがむ。

 

ハチマン「…どうして言い付けを守らなかった?」

 

アスナ「……そ、それは…。」

 

ハチマン「なんだ?」

 

彼は怒っている。当たり前だ。

 

アスナ「は、ハチマン君が…強くて、いてもたっても居られなくて…その…。」

 

パンッ。

 

左頬が熱くなる。不思議と痛くなかった。だけど彼の顔を見てわかってしまった。彼の方が悲しそうで痛みに堪えるような表情をしていたのだ。

 

ハチマン「ばかやろぉ…。」

 

アスナ「……んなさい。」

 

彼の声に私は涙が溢れて来る。私は彼にしがみつく。

 

ハチマン「もう、一人で行動するな。わかったな?」

 

アスナ「うん……うん…ごめんなさい……ごめんなさい…。」

 

彼はしがみつく私を強く、少し苦しくなるくらいに強く抱き締めて囁く様に諭す。私は我慢出来なくって泣き始めてしまう。

私は何度も謝り、彼は何も言わずに抱き締めながら頭を撫でてくれて私は彼の優しさに更に涙を流す。

泣きながら私は自覚してしまう。私は彼…ハチマン君が好きなのだ。

彼は優しくてかっこよくてめんどくさがりだけど、何より彼は私を叱ってくれる。私が間違えたら正してくれるのだ。それは当たり前の様で難しい。

ああ…この恋は私の初恋。ライバルも多くて大変だろう。でも、例え実らなくてもきっとこの恋は私の素敵な思いでとなりうるだろう。

でも、私はどんなに可能性が低くても諦めない。絶対に振り向かせてみせるんだから!

 

私は泣き続けながら心の中で宣戦布告したのだった。




さて、アスナのでEp.6終了になりまます。

読んでいただきありがとうございました♪

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