では、どうぞー♪
ハルノン「それにしてもアレだね。そっくりだよね。」
ユキノン「そうかしら?私はそうは思わないのだけども。」
ハチマン「いやいや。そっくりだからな。」
サチ「そ、そうかな?」
俺と雪ノ下さんの言葉に一人は髪を払いながら澄まし顔でもう一人は困った様に笑いながら首を傾げている。
俺は先程までテツオ・ササマル・ダッカーの三人を叱りあげていたが、反省していた為とりあえず許してやった。それからケイタを含む男衆四人は自分の部屋の家具を買いに出ていったので留守番をしている。
ハルノン「目を瞑って聞いてたらユキノンが二人居るみたいで耳が幸せだねー♪」
ユキノン「姉さん。馬鹿なこと言わないで。」
かなり上機嫌な雪ノ下さんの言葉に雪ノ下は額に手をやりながら呆れている。
サチ「あの、お二人はハチマンとはどういう関係なんですか?」
サチがおどおどしながら質問をする。
なんか途中で部屋の気温が下がった気がするんだが。なんで氷の女王様は此方を睨んでおられるのですか?え?魔王様目が笑っていませんよ?何なの?俺死んじゃうの?目から汗が出てきたよ。
ハチマン「クラスメイトとその姉「二人ともハチマンの彼女なの♪」…何言ってんすか?」
サチ「ほ、ほんとなの?」
ハチマン「そんな分けねぇだろ。サチ、考えてみろ。俺だぞ?」
凄い笑顔で妙な嘘を言ってるし。つか、サチも信じてるんじゃねぇよ。
ユキノン「ところで女性に呼び捨てで名前を呼ばせるなんてどんな弱味を握っているのかしら?自首した方が刑罰は軽くなるわよ?グズ谷君。」
ハチマン「いや、握ってないから。俺が呼ばしてる訳じゃないから。」
ハルノン「それはそうとかなり呼び慣れてるよね。ハチマンもサチちゃんも満更じゃ無さそうだし、あやしー♪」
ハチマン「ハルノンさん?目が怖いですよ?」
ハルノン「何がかなー?」
ハチマン「…何でもございません。」
これはあれだ。凄くキレてる。つか、意味がわからないんですが。
ユキノン「まあいいわ。とりあえず、皆はどうしてるのかしら?」
雪ノ下は殺伐とした空気を破り、軽く溜め息を吐く。
ハチマン「アイツらなら元気だ。一人も欠けてない。」
ユキノン「そう…良かったわ。」
ハルノン「うんうん♪一安心だね。」
二人とも嬉しそうに微笑む。
ハチマン「じゃあ、帰るか。」
俺の言葉に二人は返事をして、月夜の黒猫団をあとにした。
――――――――――
ユイ「ユキノーン!」
イロハ「ユキノンせんぱーい!」
コマチ「ユキノンさーん!」
ユキノン「ちょっ、苦しいわ。三人とも。」
アジトに帰ると二人を知る三人は飛び付くように抱き付き迎える。雪ノ下も口ではああいってるが笑顔だ。
ハルノン「ユキノンは愛されてるね。」
ハチマン「ハルノンも愛されてますよ。」
ハルノン「え?って、きゃっ!?」
言うが早いか、三人は雪ノ下も巻き込みながら姉である雪ノ下さんにも抱き付く。
ユイ「ユキノンと一緒にいてくれてありがとうございます!」
イロハ「お二人とも本当に心配しましたよ?」
コマチ「本当に良かったです♪」
ハルノン「……ぅ…ぐずっ…。」
雪ノ下さんはまさか自分もこんなにも手厚く迎えてくれるとは思って無かったのか涙ぐむ。
ハチマン「ほら、帰って来たら言う言葉があるだろ?」
俺の言葉に雪ノ下姉妹以外の三人が頷く。
ユキノン「ただいま。」
ハルノン「…た…ただいま。」
ハチマン・ユイ・イロハ・コマチ「「「「おかえりなさい。」」」」
優しく微笑む雪ノ下に俺達の迎えの言葉に遂に本気で泣き出してしまう雪ノ下さん。釣られて泣き出すユイとコマチとイロハ。その温かな光景は雪ノ下さんが泣くまで続いた。
――――――――――
ハチマン「おーい。ハルノン。」
ハルノン「…///」
泣き止んだ雪ノ下さんは強化外骨格ではなく、本気で泣いて笑ってしたのが恥ずかしいのか毛布を頭からかぶって丸まっている。
ユキノン「ふふっ…姉さんのあんな姿は初めて見たわ。」
ユイ「かわいかったけどあんまりいじめちゃダメだよ?」
コマチ「かわいかったですねー♪」
イロハ「ですねー♪女のわたしでもキュンキュンしちゃいました♪」
ハルノン「も、もう許してよー…///」
それぞれに感想を言う度に恥ずかしいのかぷるぷる震える雪ノ下さんは顔半分を出しながら抗議する。
ハチマン・コマチ・イロハ「「「かはっ!!」」」
ユイ「はわわ…///」
ユキノン「くっ//」
余りにものギャップに俺を含めた三人は吐血しながら倒れて、由比ヶ浜は真っ赤になってオドオドし、雪ノ下は片膝をついて堪えている。
アスナ「……何があったのよ。」
このタイミングで帰って来たアスナは当然意味が分からず、立ち尽くしていた。
――――――――――
アスナ「アスナよ。よろしく。」
ユキノン「よろしくお願いするわ。ユキノンでいいわ。」
ハルノン「ユキノンの姉のハルノンだよ。よろしくね。」
それぞれ挨拶が終わるとアスナはジト目で俺を見る。
アスナ「前から思ってたけど…ハチマンっておんなったらしなの?」
ハチマン「ばっか。俺がそんな甲斐性なんかあるわけないだろ。」
アスナ「ふーん。」
ご機嫌斜めなアスナは俺の姉の言い分なんて信じちゃいない。意味がわからん。
ユキノン「彼の言う通りよ。ねぇ、スケコマシ谷君。」
ハチマン「いや、言ってるからな?俺はプロぼっちだぞ?」
ハルノン「これだけの女の子達に囲まれちゃったらぼっちじゃないんじゃないかな?」
アスナ「………フンッ。」
遂にはそっぽを向く。ほんと理不尽だ。つか、雪ノ下さん楽しんでるだろ?
――――――――――
アレから何とかアスナをなだめてから談笑になった。今まで雪ノ下姉妹はボス戦には出ておらず、何があったか皆聞きたかったのだ。
ハルノン「あーそれはね。何と言うか…。」
珍しく苦笑いな雪ノ下さんはチラチラと雪ノ下を見ているが見られている本人はどこ吹く風である。
ユキノン「特に意味はないわ。」
ハルノン「ユキノン嘘はダメだよ?ユキノンが迷子になってばかりで着いた頃にはいつも終わった後なんだから。」
ハチマン「は?」
雪ノ下さんの言葉に俺だけじゃなく皆呆気に取られている。
ハルノン「それでわたしが連れて行こうとしたらユキノン一人で行こうとしちゃうし、ほんと大変だったんだよ?」
ユキノン「あら?そうだったかしら?」
要するに雪ノ下の方向音痴はバーチャルであるこの世界でも適応されて、ずっと迷子だったらしい。
ユイ「ユキノンそれは…。」
流石の由比ヶ浜も少し引いている。イロハとコマチは呆れて、俺も開いた口が塞がらない。
ユキノン「ふぅ…困ったものね。」
ハチマン「お前がな。」
イロハ「ですね。」
コマチ「流石にフォローできませんねー。」
悪そびれた風もない雪ノ下を余所に雪ノ下さんはニヤニヤと笑いながら俺に近付く。近い近いいい匂い。
ハチマン「…なんですか?」
ハルノン「さっきアスナちゃんから面白い話を聞いたんだけど?」
あ、これあかんやつ。
アスナの方を向くとそっぽを向かれる。まだおこらしい。
ハルノン「皆とデートしたんだってねー。」
ユキノン「!?」
姉の言葉に立ち上がる雪ノ下。あーマズイよマズイよ。
ユキノン「どう言うことかしら?」
ハチマン「違うんだよ。あれは俺へのお仕置きと言うか「したんだよね?」はい。」
ハルノン「じゃあ、わたし達も頑張ったからご褒美にデートしてもらおうかな?」
ハチマン「え?意味がわから「そうですね♪」コマチ。お前もか。」
カサエルもビックリな裏切りに俺は頭を垂れる。こうなってしまっては逃げ場はないのだ。泣きそう。
順番はじゃんけんの結果妹→姉の順番に決まり、雪ノ下は無言でガッツポーズをしていた。何それ、かわいい。
ユキノン「存分にこき使ってあげるわ。ハチマン。」
ハルノン「あちゃー。負けちゃった。まあ、楽しみにしてるからね?ハチマン♪」
意気揚々と出ていく二人に続いてゾロゾロと皆部屋に戻っていき、残された俺は自室に戻って布団に潜り込んでつかの間の現実逃避を決め込むのだった。
次で遂にEpも二桁です。
頑張って行きます!!
次回からは地の文での雪ノ下姉妹の区別は名前で別ける事にしますのでよろしくお願いします。